人間工学の椅子を企業が選ぶ5基準|腰痛対策はスポーツと両輪

人間工学の椅子を企業が選ぶ5基準|腰痛対策はスポーツと両輪 スポーツウェルビーイング

人間工学の椅子とは、座面の高さ・背もたれ・肘掛けを座る人の体に合わせて調整でき、座ったまま姿勢を変えやすい椅子です。企業が社員用に選ぶときは、厚生労働省のガイドラインが示す「座った状態で37〜43cm程度」の座面高の調整範囲、腰を支える背もたれ、JIS S 1043に沿った安全性の3点を順に確かめます。そのうえで、1時間以内の連続作業ごとに10〜15分の作業休止を取り、30分を目安に座りっぱなしを区切る運動の習慣を組み合わせると、目や肩、腰の疲れを防ぎやすくなります。

夕方になると、背もたれから背中が離れて、画面をのぞき込むように前かがみになっている。座面の高さは入社したときのまま、肘掛けは机に当たるので一番下に下げてある。そんなオフィスは少なくありません。ここでは、椅子の買い替えや入れ替えの担当になったときに、何を基準に選び、配ったあとどう使ってもらうかを、厚生労働省の指針とJISをもとに整理します。

  1. 人間工学の椅子とは|体に合わせて調整でき姿勢を変えやすい椅子
  2. 人間工学の椅子を選ぶ5つの基準|厚労省の指針とJISで見る
    1. 座面の高さは体格に合わせて調整できるものを選ぶ
    2. 座面の奥行きは太ももを圧迫しない長さにする
    3. 背もたれは後ろに傾き腰を支えるものを選ぶ
    4. 肘掛けは高さを変えられ机に当たらないものにする
    5. 安定と移動はキャスターと床の組み合わせで確かめる
  3. 人間工学の椅子とデスクの高さの目安|カタログの数値との違い
    1. 椅子の座面高は座って沈んだ高さで見る
    2. 机の高さは椅子を合わせてから決める
  4. 法人でオフィスチェアをそろえるときはJIS S 1043の安全性を確かめる
    1. 転倒しにくさと壊れにくさは試験の基準で比べる
    2. 製品の表示と取扱説明書を受け取ったときに確かめる
    3. 耐用年数と経費の扱いを購入前に確かめる
  5. 腰痛対策は椅子と運動の両輪|座りすぎを30分ごとに区切る
    1. 作業休止の10〜15分にストレッチを入れる
    2. 30分を目安に立ち上がる仕組みをつくる
    3. 週2〜3日の筋力トレーニングとスポーツを習慣にする
  6. 企業が人間工学の椅子を導入する手順|試座から定期点検まで
    1. 選ぶ前に作業時間と体格の幅を把握する
    2. 候補を試座で比べてJISの表示を確かめる
    3. 配る時に調整方法を説明して机の高さを合わせる
    4. 使う間は定期点検で調整し直す
  7. 人間工学の椅子の選び方のまとめ

人間工学の椅子とは|体に合わせて調整でき姿勢を変えやすい椅子

人間工学の椅子は、人の体の寸法や動きに合わせて設計され、座る人が自分の体格に合わせて調整できる椅子です。オフィスの椅子については、厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」と、日本産業規格(JIS)の2つが判断のよりどころになります。

ガイドラインは、パソコンなどの情報機器を使う作業で事業者が整える椅子の要件として、安定していて容易に動かせること、座面の高さを体形に合わせて調整できること、適当な背もたれがあること、必要に応じて肘掛けがあることを挙げています。椅子や机の人間工学上の要求事項の詳細は、JIS Z 8515を参照するよう案内しています。

JIS Z 8515は、パソコン作業の作業場の配置と姿勢に関する規格で、国際規格ISO 9241-5と一致しています。この規格は、良い椅子の目的を「同じ姿勢で固めること」ではなく、姿勢が動くことを支えることに置いています。具体的には、脚の血流を妨げないこと、姿勢を保つことも変えることもしやすいこと、背骨を支えること、座面が滑りにくいこと、座面が湿気を逃がすことを主な考慮点に挙げています。

つまり人間工学の椅子は、正しい姿勢に固定するための道具ではなく、体に合わせたうえで動きやすくするための道具です。この考え方は、後で触れる座りすぎ対策の運動ともつながっています。

(参考)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正) – 厚生労働省

(参考)JIS Z 8515 人間工学-視覚表示装置を用いるオフィス作業-ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項 – 日本産業標準調査会

Q. 人間工学の椅子とは何ですか?

座る人の体格に合わせて座面の高さや背もたれ、肘掛けを調整でき、座ったまま姿勢を変えやすいように作られた椅子のことです。JIS Z 8515は、良い椅子の条件として、脚の血流を妨げないこと、姿勢を保つことも変えることもしやすいこと、背骨を支えることなどを挙げています。

人間工学の椅子を選ぶ5つの基準|厚労省の指針とJISで見る

椅子を選ぶ基準は、座面の高さ、座面の奥行き、背もたれ、肘掛け、安定と移動の5つです。厚生労働省の情報機器作業ガイドライン、職場における腰痛予防対策指針の解説、JIS Z 8515は、それぞれ別の目的で書かれていますが、椅子について触れている部位を並べると、同じ5か所に集まります。

部位 情報機器作業ガイドライン 腰痛予防対策指針(解説) JIS Z 8515
座面の高さ 体形に合わせて調整できる。37〜43cm程度の範囲が望ましい 座面高を体格に合わせて調節できる 膝の裏の高さに靴のかかとの厚さを足した高さが適切
座面の奥行き 腰掛けたとき、座面と太ももの間に指が入るゆとりがある 座面が太ももを圧迫しすぎない お尻から膝の裏までの長さより短い
背もたれ 適当な背もたれがあり、傾きを調整できることが望ましい 後ろに傾き、腰パッドを備える どの姿勢でも背中を支え、特に腰を支える
肘掛け 必要に応じて適当な長さの肘掛けがある 肘掛けの高さと位置を調節できる 首や肩の負担を減らし、机に近づくときに邪魔にならない
安定と移動 安定していて容易に動かせる。交替で使うなら調整中に座面が落ちない キャスター付きで安定し、座面と背もたれの材質は熱がこもりにくい 床に合ったキャスターで、意図せず動かない。回転できる

出典:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」「職場における腰痛予防対策指針及び解説」、JIS Z 8515 をもとに Human Soar 作成

座面の高さは体格に合わせて調整できるものを選ぶ

座面の高さは、3つの資料すべてが「体格に合わせて調整できること」を求めている基準です。情報機器作業ガイドラインは、大部分の人の体形に合わせられるよう、床から座面までの高さを37〜43cm程度の範囲で調整できることが望ましいとしています。JIS Z 8515は、背すじを伸ばして座るときの適切な高さを、膝の裏の高さに靴のかかとの厚さを足したものとしています。

複数の人が交替で同じ椅子を使う場合、ガイドラインは、高さを簡単に変えられ、調整中に座面が落ちない構造を求めています。フリーアドレスの職場では、この「簡単に変えられること」が特に大切になります。

(参考)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正) – 厚生労働省

座面の奥行きは太ももを圧迫しない長さにする

座面の奥行きは、深く座ったときに太ももの裏を圧迫しない長さが基準です。ガイドラインと腰痛予防対策指針は、椅子と太ももの膝側の裏との間に、手の指が入る程度のゆとりがある姿勢を基本としています。JIS Z 8515は、座面の奥行きがお尻から膝の裏までの長さより短ければ適しているとしています。

JIS Z 8515は、奥行きを調整できない場合には、太もも全体を支えるより、背中をきちんと支えることを優先するのが望ましいとしています。小柄な社員が多い職場では、奥行きを調整できる椅子か、奥行きの浅い椅子を候補に入れると選びやすくなります。

(参考)職場における腰痛予防対策指針及び解説 – 厚生労働省

(参考)JIS Z 8515 人間工学-視覚表示装置を用いるオフィス作業-ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項 – 日本産業標準調査会

背もたれは後ろに傾き腰を支えるものを選ぶ

背もたれは、腰痛予防の観点で最も重視されている部位です。腰痛予防対策指針の解説は、腰の角度を90度に固定すると骨盤が後ろに回り、重心が前に移って腰や背中の筋肉が働き続ける状態になると説明しています。そのうえで、望ましい椅子の条件として、背もたれが後ろに傾き、腰パッドを備えていることを挙げ、腰パッドの頂点は第3腰椎と第4腰椎の中間にあることが望ましいとしています。

情報機器作業ガイドラインも、背もたれの傾きを調整できることが望ましいとしています。JIS Z 8515は、背もたれがどんな座り方でも背中を支え、特に腰を支えるように設計されるのが望ましいとしています。

(参考)職場における腰痛予防対策指針及び解説 – 厚生労働省

肘掛けは高さを変えられ机に当たらないものにする

肘掛けは、首や肩の負担を減らす部位です。JIS Z 8515は、肘掛けが首や肩の筋肉の負担を軽くし、立ち座りを助けるとしたうえで、高さや幅を調整できる肘掛けは、女性の5パーセンタイルから男性の95パーセンタイルまでの体格をカバーするのが望ましいとしています。

一方で、肘掛けの高さが合わないと、椅子を机に近づけたときにぶつかり、かえって前かがみの姿勢になります。JIS Z 8515も、肘掛けが好ましい姿勢や机への近づきやすさを妨げるなら、調整か取り外しができるのがよいとしています。机の天板の高さと合わせて確かめます。

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(参考)JIS Z 8515 人間工学-視覚表示装置を用いるオフィス作業-ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項 – 日本産業標準調査会

安定と移動はキャスターと床の組み合わせで確かめる

椅子が安定していて、必要なときに楽に動かせることも基準の1つです。腰痛予防対策指針の解説は、作業中の動きに応じて位置を変えられるよう、キャスター付きの安定した椅子が望ましいとし、座面や背もたれの材質は快適で熱がこもりにくいものがよいとしています。

JIS Z 8515は、キャスターの種類を床の性質に合わせ、座っているときも離れているときも意図せず動かないことを求めています。硬い床に転がりやすいキャスターを組み合わせると、立ち座りのときに椅子が動いて危ないため、床材を伝えて候補を絞ります。

(参考)職場における腰痛予防対策指針及び解説 – 厚生労働省

(参考)JIS Z 8515 人間工学-視覚表示装置を用いるオフィス作業-ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項 – 日本産業標準調査会

Q. 腰痛になりにくいオフィスチェアの条件は何ですか?

背もたれが後ろに傾き、腰の部分を支えるパッドがあり、座面の高さや背もたれの角度を体格に合わせて調節できる椅子です。厚生労働省の腰痛予防対策指針の解説は、腰パッドの頂点を第3腰椎と第4腰椎の中間に置くことが望ましいとしています。ただし、椅子だけで腰痛を防げるわけではなく、座りっぱなしを区切ることも欠かせません。

人間工学の椅子とデスクの高さの目安|カタログの数値との違い

人間工学の椅子の座面高は、カタログの表示からクッションの沈み込み2〜3cmを引いた座った時の高さで37〜43cmを目安にすることを示した図

座面の高さの目安である37〜43cmは、カタログの数値ではなく、実際に座ってクッションが沈んだ状態の高さです。情報機器作業ガイドラインは、ここでいう座面高はクッション材が2〜3cm圧縮された状態の高さであり、市販の椅子の表示は圧縮されていない表面の高さが一般的なので注意が必要だとしています。

(参考)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正) – 厚生労働省

椅子の座面高は座って沈んだ高さで見る

沈み込みを2〜3cmとして単純に足すと、カタログの表示ではおよそ39〜46cmの範囲を含む椅子が、座った状態で37〜43cmをカバーする計算になります。沈み込みはクッションの硬さで変わるため、候補を絞ったら実際に座って測るのが確実です。

JIS S 1043は、座面の高さを調整できるオフィス用の回転椅子の規格で、製品に「椅子の高さの上限と下限」を表示することを求めています。参考として示されている寸法の表し方では、座高は床から座面の前の縁の中央までの高さで、上下に調整できるものは調整できる範囲を表示します。カタログの「座面高」がどこを測った数値かを、メーカーに確かめておくと比べやすくなります。

ガイドラインは、椅子の調整範囲で合わない人には、足台(フットレスト)を使うなど、必要に応じて対応するのが望ましいとしています。足台は足の疲れだけでなく、背中や腰の疲れを防ぐ効果もあると説明しています。

(参考)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正) – 厚生労働省

(参考)JIS S 1043 オフィス家具-座面高さ調節式回転椅子 – 日本産業標準調査会

机の高さは椅子を合わせてから決める

机の高さは、高さを調整できない机ならおおむね65〜70cm、調整できる机なら60〜72cm程度の範囲で調整できることが望ましいとされています。ガイドラインは、65cmと70cmがそれぞれ女性と男性に必要な高さのほぼ平均値だと説明しています。

調整できる机を使う場合は、椅子の高さを最適に合わせてから、机の高さを合わせるとよいとしています。先に机を決めると、椅子を机に合わせて高くしすぎ、足が床に届かなくなるためです。立ったり座ったりして作業できる昇降デスクを検討する場合も、椅子と組み合わせて高さを確かめます。

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(参考)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正) – 厚生労働省

Q. オフィスのデスクの高さは何cmが目安ですか?

高さを調整できない机なら、床からおおむね65〜70cmが目安です。厚生労働省のガイドラインは、65cmと70cmがそれぞれ女性と男性に必要な高さのほぼ平均値だとしています。高さを調整できる机なら60〜72cm程度の範囲で調整できることが望ましく、椅子の高さを先に合わせてから机を合わせます。

法人でオフィスチェアをそろえるときはJIS S 1043の安全性を確かめる

数十脚の椅子を一度にそろえるときは、座り心地より先に、転倒や破損が起きにくいかをJIS S 1043の試験で確かめます。JIS S 1043は2016年3月22日に制定され、2025年10月20日に確認された規格で、高さを調整できるオフィス用の回転椅子を対象にしています。

(参考)JIS S 1043 オフィス家具-座面高さ調節式回転椅子 – 日本産業標準調査会

転倒しにくさと壊れにくさは試験の基準で比べる

JIS S 1043は、安定性、静荷重、耐久性の試験を定めています。たとえば前縁安定性の試験では、座面に22kgのおもりをつり下げて転倒しないかを調べ、座面の前の縁には1,320Nの力を10回かけて、使ううえで支障のある破損や変形がないかを確かめます。座面と背もたれの耐久性の試験では、最も大きい荷重として1,250Nの力を60,000回くり返しかけます。

規格はこれらの力を「レベル1」として規定値にし、欧米人の体格を考えた「レベル2」(座面の前の縁で1,600Nなど)を参考の目標値として示しています。体格の大きい社員が使う椅子では、どちらの水準で試験しているかをメーカーに問い合わせて確かめる方法があります。木材を使う椅子では、ホルムアルデヒドの放散量がF☆☆☆等級の規定値以下であることも求めています。

(参考)JIS S 1043 オフィス家具-座面高さ調節式回転椅子 – 日本産業標準調査会

製品の表示と取扱説明書を受け取ったときに確かめる

JIS S 1043は、製品に規格の番号、製造年、製造業者名、椅子の高さの上限と下限を表示することを求めています。あわせて、取扱い上の注意と、手入れの方法などの維持管理上の注意を添付することも求めています。

納品時にこの表示があるかを確かめ、取扱説明書は総務の手元にまとめて保管しておくと、のちの点検や修理の問い合わせで役立ちます。表示された高さの範囲は、前のセクションで計算した目安と見比べられます。

(参考)JIS S 1043 オフィス家具-座面高さ調節式回転椅子 – 日本産業標準調査会

耐用年数と経費の扱いを購入前に確かめる

減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一では、器具及び備品のうち事務いすは、主として金属製のものが15年、その他のものが8年です。国税庁は、取得価額が10万円未満かどうかは通常1単位として取引される単位ごとに判定するとしているため、1脚ずつ買う椅子なら1脚の価格で判断することになります。

中小企業者等には、取得価額が一定額未満の減価償却資産を、合計300万円まで事業に使い始めた年度に損金にできる特例があります。令和8年4月1日以後に取得したものは、この基準が40万円未満(改正前は30万円未満)に引き上げられました。適用の要件や手続きは、顧問の税理士に確認してください。

(参考)減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一 – e-Gov法令検索

(参考)No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示 – 国税庁

(参考)No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 – 国税庁

Q. オフィスチェアの耐用年数は何年ですか?

減価償却資産の耐用年数等に関する省令では、事務いすは主として金属製のものが15年、その他のものが8年です。ただし、1脚の取得価額が10万円未満なら、使い始めた事業年度に全額を損金にできます。実際の処理は顧問の税理士に確認してください。

腰痛対策は椅子と運動の両輪|座りすぎを30分ごとに区切る

体に合った椅子を選んでも、長く座り続ければ腰への負担はたまります。腰痛予防対策指針の解説は、座る姿勢は立つ姿勢より体全体の負担は軽いものの、腰の骨にかかる力学的な負担は大きいとしています。長く座ると背中の筋肉が疲れて前かがみになるため、足の位置を変える、背もたれを倒す、立ち上がって膝を伸ばす、クッションなどの腰当てを入れるなど、姿勢を変えることが必要だとしています。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」によると、平成25年の国民健康・栄養調査で、平日1日の座っている時間が8時間以上と答えた人は男性で38%、女性で33%でした。椅子への投資と、座る時間を減らす取り組みは、セットで考える必要があります。

(参考)職場における腰痛予防対策指針及び解説 – 厚生労働省

(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 – 厚生労働省

作業休止の10〜15分にストレッチを入れる

情報機器作業ガイドラインは、1回の連続作業が1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10〜15分の作業休止時間を設け、さらに連続作業の途中で1〜2回程度の小休止を取るよう指導することを求めています。作業休止時間は、遠くを眺めたり、ストレッチなどの運動をしたり、ほかの業務をしたりするための時間で、いわゆる休憩時間ではないと説明されています。

腰痛予防対策指針の解説は、腰痛予防体操として、筋肉を伸ばした状態で止める静的なストレッチを主体とすることが望ましいとしています。職場で体操を取り入れる方法は企業のラジオ体操の効果と続けるコツ、腰痛予防の健康管理と教育の全体像は職場の腰痛対策|3管理1教育にまとめています。

(参考)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正) – 厚生労働省

(参考)職場における腰痛予防対策指針及び解説 – 厚生労働省

30分を目安に立ち上がる仕組みをつくる

身体活動・運動ガイド2023は、成人に向けて、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意することを推奨しています。長く座る状態をできるだけ頻繁に、たとえば30分ごとに中断することが、食後血糖値や中性脂肪などに関わる心血管代謝疾患のリスク低下に重要だという報告も紹介しています。

ガイドは、働く人が職場で活動的に過ごすための環境として、立ち会議、階段の利用、スタンディングデスクなどを挙げています。パソコンに通知を出して立ち上がりを促す方法は座りすぎ防止アプリの比較で紹介しています。

(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 – 厚生労働省

週2〜3日の筋力トレーニングとスポーツを習慣にする

身体活動・運動ガイド2023は、成人に、歩行かそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。1日60分以上の中強度以上の身体活動で、座っている時間による死亡リスクの低下が期待できるとも紹介しています。

ガイドは、身体活動を増やす社会環境の整備の1つに、総合型地域スポーツクラブやスポーツイベントなどの運動・スポーツの振興を挙げています。社内でウォーキングやスポーツに参加する機会をつくることも、座る時間を体を動かす時間に置き換える手段になります。

椅子が体を支える時間を短くし、自分の筋肉で体を支える時間を増やすことが、座りすぎ対策の土台になります。社員が運動を続けられる仕組みづくりは、ウェルビーイング施策の設計法の考え方と合わせて進めると、福利厚生の単発の企画で終わりにくくなります。

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(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 – 厚生労働省

企業が人間工学の椅子を導入する手順|試座から定期点検まで

企業が人間工学の椅子を導入する手順を、選ぶ前・比べる・配る時・使う間の4段階で示した図

人間工学の椅子は、選ぶ前、比べる、配る時、使う間の4段階で整えると、買って終わりになりません。JIS Z 8515は、椅子や机の高さを調整する理由と方法を使う人に伝え、慣れるためのトレーニングをすることが望ましいとしています。調整できる椅子も、調整のしかたが伝わっていなければ効果を発揮できないからです。

(参考)JIS Z 8515 人間工学-視覚表示装置を用いるオフィス作業-ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項 – 日本産業標準調査会

選ぶ前に作業時間と体格の幅を把握する

まず、その椅子を使う人の1日のパソコン作業の時間と、社員の体格の幅を把握します。情報機器作業ガイドラインは、作業内容や作業場所ごとに健康への影響に関わる要因を評価し、必要な対策を選ぶことを原則にしています。長時間座る部署と、会議や来客で短時間しか座らない場所とでは、求める調整機能が変わります。

体格の幅が大きい職場ほど、座面の高さや肘掛けの調整範囲が広い椅子が必要です。交替で使う席が多いなら、高さを片手で簡単に変えられることを条件に加えます。

(参考)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正) – 厚生労働省

候補を試座で比べてJISの表示を確かめる

候補を2〜3脚に絞ったら、体格の違う社員に実際に座ってもらい、座面の高さが合うか、背もたれが腰に当たるか、肘掛けが机に当たらないかを確かめます。ガイドラインも、情報機器の導入にあたっては必要に応じて作業者などの意見を聞くことが望ましいとしています。あわせて、JIS S 1043の表示や試験の水準をメーカーに確かめます。

(参考)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正) – 厚生労働省

(参考)JIS S 1043 オフィス家具-座面高さ調節式回転椅子 – 日本産業標準調査会

配る時に調整方法を説明して机の高さを合わせる

椅子を配るときは、座面の高さ、背もたれの傾き、肘掛けの高さの調整方法を説明し、その場で一人ひとりに合わせてもらいます。ガイドラインは、椅子に深く腰をかけて背もたれに背中を十分に当て、靴の足裏全体が床に着く姿勢を基本にしています。椅子を合わせてから、調整できる机であれば机の高さを合わせます。

(参考)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正) – 厚生労働省

使う間は定期点検で調整し直す

ガイドラインは、作業開始前か1日の適当な時間帯に椅子や机などの点検を作業者に行わせ、定期にも椅子や机の調整状況を点検することを求めています。配ったときに合わせた高さが、席替えや担当の交代で合わなくなっていることは珍しくありません。30分ごとに立ち上がる声かけと合わせて、職場巡視の項目に入れておくと続けやすくなります。

在宅勤務の社員については、同じガイドラインが、事務所と同等の作業環境になるよう助言などを行うことが望ましいとしています。テレワークガイドラインは、労働者に作業用品などを負担させる場合は就業規則に定めなければならないとしているため、椅子を貸与するのか、購入費を補助するのかを先に決めておきます。在宅勤務の運動支援は健康経営のテレワーク運動支援も参考になります。

(参考)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正) – 厚生労働省

(参考)テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン – 厚生労働省

人間工学の椅子の選び方のまとめ

人間工学の椅子は、体に合わせて調整でき、姿勢を変えやすい椅子です。選び方と使い方の要点は次のとおりです。数値の出典は本文の各セクションに記載しています。

  • 座面の高さ・座面の奥行き・背もたれ・肘掛け・安定と移動の5つで選ぶ
  • 座面高は座ってクッションが沈んだ状態で37〜43cm程度に調整できるかを見る
  • 法人でそろえるときはJIS S 1043の試験と表示を確かめ、耐用年数と経費の扱いも確認する
  • 1時間以内に10〜15分の作業休止を取り、30分を目安に座りっぱなしを区切る
  • 配るときに調整方法を伝え、定期点検で合わせ直す

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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