フィットネス業界の動向2026|市場規模・トレンド・今後の展望を解説

フィットネス業界の動向2026 スポーツビジネス

フィットネス業界の売上高は2024年に2,910億円まで戻りましたが、コロナ前(2019年)の86.9%にとどまっています。ただし内訳を見ると事情はもっと複雑で、事業所数は逆に16.4%増えているのに会員数は14.3%減り、1事業所あたりの売上は25%落ちました。

「市場は回復した」と一言で片づけられがちですが、業界で働く人・新規参入を検討する企業・就職先として見る学生では、見るべき数字がまったく違います。

この記事では、経済産業省が2000年から2024年まで25年間続けた統計を集計し直し、3つの立場それぞれにとって何が起きているのかを整理します。主要企業10社の顔ぶれも公開情報で確認しました。

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市場規模はコロナ前の86.9%まで戻った

結論から言うと、売上高は回復基調にあるものの、ピークだった2018年の3,373億円には届いていません。2020年に2,235億円まで落ち込み、そこから4年連続で増えて2024年に2,910億円となりました。

より長い目で見ると、2000年の1,974億円から2024年で1.47倍です。25年かけて1.5倍に届かない、成熟した市場と見るのが実態に近い読み方になります。

売上高 会員数 事業所数 2019年比
2000年 1,974億円 210万人 704
2015年 3,146億円 302万人 1,100 94.0%
2018年(ピーク) 3,373億円 337万人 1,426 100.7%
2019年 3,348億円 336万人 1,461 100.0%
2020年 2,235億円 269万人 1,583 66.8%
2022年 2,683億円 265万人 1,500 80.1%
2024年 2,910億円 288万人 1,700 86.9%

経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」長期時系列表18(フィットネスクラブ)の年次・実数をHuman Soarが集計。同調査の対象企業ベースの数値であり、業界全体の推計とは範囲が異なります(一般に流通する「約5,000億円」という市場規模は、より広い範囲を対象にした民間推計です)。2002年・2006年・2015年・2020年に調査対象の追加があり、以前の数値と不連続が生じている点も原典の注記どおりです。

(参考)特定サービス産業動態統計調査 長期時系列表18 フィットネスクラブ – 経済産業省(e-Stat)

Q. フィットネス業界の市場規模はいくらですか?

調査によって金額が異なります。経済産業省の統計では2024年の売上高が2,910億円ですが、これは同調査の対象企業ベースです。民間推計で「約5,000億円」とされることが多く、こちらはより広い範囲を含みます。数字を使うときは必ず出典と対象範囲をセットで確認してください。

フィットネスクラブの事業所は増え会員は減っている

この業界でいま最も重要な変化がここです。2019年から2024年にかけて、事業所数は1,461から1,700へ16.4%増えた一方、会員数は336万人から288万人へ14.3%減りました。店は増えて客は減ったことになります。

結果として1事業所あたりの売上高は2億2,900万円から1億7,100万円へ、25.3%落ちました。小型・低価格の24時間ジムが急増し、1店舗あたりの規模が小さくなった構造がそのまま数字に出ています。

指標 2019年 2024年 変化
事業所数 1,461 1,700 +16.4%
会員数 336万人 288万人 -14.3%
1事業所あたり売上高 2億2,900万円 1億7,100万円 -25.3%
会員1人あたり年間会費 90,153円 92,943円 +3.1%

同統計の年次・実数から算出。1事業所あたり売上高は売上高合計÷事業所数、会員1人あたり年間会費は会費収入合計÷会員数(C+D)で計算しました。

注目したいのは会員1人あたりの年間会費が3.1%上がっていることです。客数を落としながら単価は上げている。値上げが通る市場である一方、店舗を増やしても会員が付いてこない段階に入っていると読めます。

Q. いまからフィットネスジムを開業するのは厳しいですか?

立地と業態の選択がこれまで以上に重要になっています。事業所数が16.4%増える一方で会員数は14.3%減り、1事業所あたりの売上は25%下がりました。市場全体が伸びて席が空いている状態ではないため、既存店と同じ業態で数を増やす戦略は成立しにくくなっています。

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フィットネス業界で伸びているのはスクール事業だけ

売上を種類別に分けると、回復の中身がはっきりします。スイミングなどのスクール会費だけがコロナ前を13.3%上回り、フィットネスクラブ本体の会費は80.7%にとどまっています。

収入の種類 2019年 2024年 回復率
スクール会費 715億円 810億円 113.3%
フィットネスクラブ会費 2,317億円 1,869億円 80.7%
利用料金収入 182億円 125億円 68.8%
売上高 合計 3,348億円 2,910億円 86.9%

同統計の年次・実数から算出。回復率は2024年÷2019年。利用料金収入は都度利用の料金で、会費とは別区分です。

この差は事業の性質から説明がつきます。子どものスクールは保護者が決めて継続する支出で、大人の任意の運動より止まりにくい。一方、都度利用の利用料金収入は68.8%と最も戻っておらず、「気が向いたときに行く」層が最も帰ってきていないことを示します。

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主要企業10社の顔ぶれ

業界の担い手を、公開情報で確認できる範囲で10社挙げます。上場して業績を開示している企業は限られており、大手でも非上場・親会社の一部門というケースが多いのがこの業界の特徴です。

企業 主なブランド 開示の状況
ルネサンス スポーツクラブ ルネサンス 東証プライム上場(2378)
セントラルスポーツ セントラルスポーツ 東証プライム上場(4801)
カーブスホールディングス カーブス 東証プライム上場(7085)
東祥 ホリデイスポーツクラブ 東証スタンダード上場(8920)
コナミグループ コナミスポーツクラブ 東証プライム上場(9766)/スポーツは事業の一部
RIZAPグループ chocoZAP・RIZAP 札幌証券取引所アンビシャス上場(2928)
Fast Fitness Japan エニタイムフィットネス 日本取引所グループの上場銘柄一覧には未掲載
ティップネス ティップネス・FASTGYM24 非上場(日本テレビHDグループ)
THINKフィットネス ゴールドジム 非上場/公式サイトで全国100店舗と表示
ウェルネスフロンティア JOYFIT 非上場/公式サイトで全国220店舗と表示

選定条件は「全国規模でフィットネス施設を運営し、企業サイトまたは取引所の公表情報で事業内容を確認できる法人」。上場区分は日本取引所グループの上場銘柄一覧(2026年8月時点)で照合しました。店舗数は各社公式サイトの表示をそのまま記載しています。売上高の順位づけは、非上場企業と親会社の一部門が混在し同じ基準で比較できないため行っていません。

上場して単独で業績を開示しているのは4社

ルネサンス、セントラルスポーツ、カーブスホールディングス、東祥の4社は、フィットネス事業を主力として上場し業績を開示しています。業界の数字を継続的に追いたいなら、この4社の決算資料が最も確度の高い情報源です。

大手でも非上場・一部門というケースが多い

コナミスポーツクラブはコナミグループの事業の一部、ティップネスは日本テレビホールディングスのグループ会社です。知名度と情報の入手しやすさは一致しません。THINKフィットネス(ゴールドジム)やウェルネスフロンティア(JOYFIT)も非上場で、公表されるのは店舗数などに限られます。

低価格・小型の業態が店舗数を押し上げた

chocoZAP、エニタイムフィットネス、FASTGYM24のような小型・低価格の業態は、1店舗の規模が小さいぶん出店しやすく、前章で見た「事業所+16.4%・1事業所あたり売上-25.3%」という構造をつくった側です。総合型クラブとは損益の組み立てがまったく異なります。

Q. フィットネス業界で売上高が最大の企業はどこですか?

同じ基準で比較できる公開データがないため、順位を断定できません。フィットネスを主力として上場し業績を開示しているのはルネサンス・セントラルスポーツ・カーブスホールディングス・東祥の4社で、コナミスポーツクラブやティップネスは親会社の一部門または非上場のため単独の売上高が公表されていません。

業界で働く人の実像

就職先として見るときに最も重要な数字を先に出します。この統計に含まれる企業の従業者42,443人のうち、正社員は8,516人(20.1%)です。残る約8割はパート・アルバイト等が占めます。

区分 2019年 2024年 変化
従業者数 合計 45,723人 42,443人 -7.2%
うち正社員 8,470人 8,516人 +0.5%
うちパート・アルバイト等 37,253人 33,927人 -8.9%
指導員(インストラクター等) 37,171人 36,848人 -0.9%
正社員比率 18.5% 20.1% +1.6pt

同統計の年次・実数より。指導員数は従業者数の内数ではなく別掲項目で、正社員・パート等の双方を含みます。

読み取れることが2つあります。第一に、正社員だけがコロナ前を超えました(+0.5%)。全体は7.2%減っているので、パート・アルバイトを絞りながら正社員は維持した形です。第二に、指導員数はほぼ横ばい(-0.9%)で、会員が14.3%減るなかでも現場の指導体制は削られていません。

就活生にとっての含意ははっきりしています。正社員の椅子は業界全体で8,516席しかなく、しかも増えていません。一方で指導の担い手は減らされていないため、資格や実技の裏づけがある人ほど入りやすい構造です。

Q. フィットネス業界は就職先として安定していますか?

正社員に限れば底堅い状況です。2019年から2024年にかけて従業者全体は7.2%減りましたが、正社員は8,516人と0.5%増えました。ただし業界全体の正社員数は1万人に届かず、パート・アルバイトが約8割を占める構造のため、正社員採用の門は広くありません。

2025年から業界の統計が変わった

これから業界を分析する人が必ず知っておくべき変更があります。ここまで使ってきた経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」は、2024年12月調査をもって終了しました。

2025年1月分からは、総務省の「サービス産業動向調査」と統合され、総務省が「サービス産業動態統計調査」として実施しています。つまり2000年から続いたフィットネスクラブの時系列は2024年でいったん途切れます。

実務上の注意は2つです。2025年以降の数字を旧統計と単純に接続しないこと。そして調査対象や区分が変わる可能性があるため、比較する際は必ず両調査の定義を確認することです。この記事の数値がすべて2024年までなのはそのためです。

(参考)特定サービス産業動態統計調査 調査の結果(2024年12月調査をもって終了) – 経済産業省

(参考)上場銘柄一覧 – 日本取引所グループ

フィットネス業界2026年の論点|経営・新規参入・就職

同じデータでも、どの立場から見るかで結論が変わります。3つの立場それぞれの論点を整理します。

業界で働く人|1店舗あたりの経済性が落ちている

1事業所あたり売上高が5年で25.3%落ちた事実は、現場の人員配置や設備投資の余力に直結します。一方で会員単価は3.1%上がり、正社員数は維持されました。コストを絞る局面ではありますが、人を減らして乗り切る段階は過ぎつつあると読めます。法人向けに需要を広げる場合は、従業員の運動不足を解消する企業施策で企業側が何を求めているかを押さえておくと提案が組みやすくなります。

新規参入を検討する企業|空いている席はスクールと法人需要

フィットネス本体の会費が80.7%にとどまるなか、スクール会費だけが113.3%とコロナ前を超えました。成人向けの任意の運動より、継続性のある需要に事業機会があります。健康経営の文脈で企業が費用を負担する形も、個人の可処分所得に依存しない点で同じ性質を持ちます。費用対効果の示し方は健康経営のROIを計算する方法にまとめています。

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就活生|正社員8,516人の椅子をどう狙うか

業界全体の正社員が8,516人という規模を知らずに志望すると、見通しを誤ります。指導員数がほぼ維持されている(-0.9%)ことから、実技・資格の裏づけが選考で効きやすいと考えられます。また業績を開示している上場4社は、選考前に事業の状況を自分で確認できる点で有利です。職種ごとの進み方はスポーツ業界のキャリアパス事例が参考になります。

まとめ

フィットネス業界の2026年時点の実像を、公的統計から整理しました。

  • 売上高は2024年に2,910億円。コロナ前の86.9%で、ピークの2018年(3,373億円)には未到達
  • 事業所は+16.4%、会員は-14.3%。1事業所あたり売上は-25.3%まで落ちた
  • 回復しているのはスクール会費だけ(113.3%)。フィットネス本体は80.7%、都度利用は68.8%
  • 会員1人あたり年間会費は+3.1%。客数を減らしながら単価は上げている
  • 従業者は7.2%減ったが正社員は8,516人で+0.5%。業界全体でも1万人に届かない
  • この統計は2024年12月で終了し、2025年から総務省の調査へ統合された

「市場は回復した」で終わらせると、店舗過剰と単価上昇という同時進行の変化を見落とします。見るべきは総額ではなく、1事業所あたりの経済性と収入の種類別の差です。

引用について

本記事の集計値・表は、出典を明記いただければ自由に引用・転載いただけます(事前のご連絡は不要です)。元データは経済産業省・日本取引所グループの公表資料で、集計はHuman Soarが行いました。

出典表記の例

出典:Human Soar「フィットネス業界の動向2026」(About The New株式会社)
https://www.human-soar.com/method/sports/fitness-industry-2026/

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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