「多様性研修は座学ばかりで実感が伴わない」という声を人事担当者からよく聞きます。頭で理解しても、行動レベルでの変化につながりにくいという課題です。
この記事では、スポーツを活用した多様性・インクルージョン研修の考え方と、企業での具体的な導入方法を紹介します。
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スポーツ 多様性 インクルージョン 研修とは
スポーツを活用した多様性研修とは、年齢・性別・国籍・体力差のあるメンバーが一緒に取り組める競技を通じて、違いを尊重し合う体験を作る研修手法です。
座学で「多様性の大切さ」を説明するだけでなく、実際に体を動かしながら「できないことを補い合う」経験をすることで、理解が行動に結びつきやすくなります。
具体例:世代混合チームでのニュースポーツ体験
ある製造業の企業では、20代から60代まで幅広い年齢層の社員が参加する社内研修で、ボッチャやユニカール(氷上カーリング風の軽スポーツ)を取り入れました。体力差があっても戦略性で勝敗が決まる競技を選ぶことで、年齢や体力に関係なく全員が活躍できる場を作っています。
「若手だから」「体力がないから」という先入観が、実際にプレーする中で自然と崩れていくのが特徴です。
(参考)スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画) – スポーツ庁
研修設計における3つのポイント
多様性研修としてスポーツを取り入れる際は、以下の3点を意識すると効果が高まります。
①体力差が出にくい競技を選ぶ
ボッチャ、モルック、ユニカールなど、瞬発力よりも戦略性が重視される競技は、体力差のあるメンバーでも対等に参加しやすい特徴があります。
②チーム編成をランダムにする
普段の部署や役職を超えたランダムなチーム編成にすることで、普段関わりの少ないメンバー同士の相互理解を促します。
③振り返りの時間を必ず設ける
競技後に「どんな気づきがあったか」を共有する時間を設けることで、体験を学びとして定着させます。
あわせて読みたいスポーツ研修の効果とは?企業が得られる7つのメリットと成功のポイント›
目的別・おすすめニュースポーツの比較
研修の目的に応じて、適した競技は異なります。代表的な3種目を比較しました。
| 競技 |
特徴 |
向いている目的 |
| ボッチャ |
パラスポーツ発祥、体力差が出にくい |
障がい理解、多世代交流 |
| モルック |
ルールが簡単で老若男女が楽しめる |
部署間交流、初対面の緊張緩和 |
| ユニカール |
氷上(模擬)でチーム戦略が問われる |
チームビルディング、戦略思考 |
競技選びは参加者の年齢層・体力差・研修目的に応じて調整することが重要です。
ボッチャ
パラリンピック競技としても知られ、車椅子利用者も同じ条件で参加できるよう設計されています。障がい理解を含めたインクルージョン研修に特に適した競技です。
モルック
木製のピンを倒すシンプルなルールで、運動が苦手な人でも気軽に参加できます。初対面同士のアイスブレイクとしても人気が高まっています。
ユニカール
チームでの作戦立案が勝敗を左右するため、コミュニケーション能力や戦略的思考を養う研修として活用されています。
研修効果を高めるための注意点
スポーツを取り入れた多様性研修は、設計を誤ると一部の得意な人だけが盛り上がる場になってしまうことがあります。効果を高めるための注意点を押さえておきましょう。
「勝敗」よりも「プロセス」を評価する
優勝チームを称える演出に偏ると、競技が得意なメンバーだけが目立ってしまいます。ファシリテーターは、声かけの工夫やサポートの姿勢など、プロセス面での貢献を意識的に評価・共有することが大切です。
不参加の選択肢も用意する
体調や事情により運動が難しい社員もいます。得点係や記録係など、体を動かさない役割も用意することで、誰も置き去りにしない設計になります。
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多様性研修をスモールスタートする|人事担当者向け3ステップ
多様性研修へのスポーツ導入を検討している人事担当者は、まず小規模な試験導入から始めましょう。
人事担当者向け:導入の3ステップ
1有志メンバーでの試験実施:部署横断の有志10〜20名でニュースポーツ体験会を試験的に開催する
2気づきの共有ワーク:競技後に参加者同士で「気づき」を共有する振り返りワークを行う
3正式プログラムへの発展:参加者アンケートをもとに本格的な研修プログラムへ発展させる
部署横断の有志メンバーで試験的に開催する
人事担当者がいきなり全社展開を目指すと、対象者の温度差や日程調整の負担が大きくなりがちです。まずは興味のある社員だけを部署横断で10〜20名集め、小さな成功体験を作ることで、その後の展開に説得力のある実績を持たせられます。
競技後の気づきをその場で言語化する
ニュースポーツ体験は「楽しかった」で終わらせず、競技中に感じた立場の入れ替わりや協力のあり方を、その場で言葉にして共有することが重要です。多様性研修としての狙いは、この気づきの共有を通じて初めて参加者の実感につながります。
アンケート結果を正式プログラムの設計に活かす
試験導入後は参加者アンケートで満足度だけでなく「業務にどう活かせそうか」まで聞き取り、その回答をもとに対象人数・頻度・競技種目を調整して正式な研修プログラムに落とし込みます。ここで得たデータは経営層への提案資料としても活用できます。
特に体力に自信のない社員が参加しやすいよう、競技選定には配慮しましょう。
まとめ
- スポーツを活用した多様性研修は、座学だけでは得にくい体験的な理解を促す
- 体力差が出にくい競技選び・ランダムなチーム編成・振り返りの3点が設計のポイント
- ボッチャ・モルック・ユニカールなど目的に応じた競技選択が可能
- まずは小規模な試験導入から始め、正式プログラムへ発展させよう
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執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。
「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。
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