スポーツで改善する不安と抑うつ|レジリエンス強化

屋外でランニングをしながらストレスを解消しレジリエンスを高める様子 ウェルビーイング

「メンタル不調を訴える社員が増えている」「休職からの復職支援に何を取り入れればいいか分からない」。産業保健スタッフや健康経営担当者からは、こうした相談が増えています。

運動には不安や抑うつを和らげ、ストレスへの耐性(レジリエンス)を高める効果があることが、国の指針でも示されています。この記事では、スポーツとメンタルヘルスの関係性を整理し、企業のウェルビーイング施策への活用方法を紹介します。

不安・抑うつと運動の関係性

厚生労働省が策定した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、身体活動・運動への取り組み方について、個人差を踏まえて強度や量を調整しながら、可能なものから取り組むことが全体の方向性として示されています。

成人については、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)、加えて息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上行うことが推奨事項として整理されています。運動そのものが心身の健康づくりの土台として位置づけられている点がポイントです。

(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(概要) – 厚生労働省

スポーツがレジリエンスを高める仕組み

レジリエンスとは、ストレスや逆境に直面したときに立ち直る力のことです。運動がレジリエンスを高める背景には、身体面と心理面の両方のメカニズムがあります。

身体面:ストレスホルモンの調整と睡眠の質向上

定期的な運動は、ストレスに関わるホルモンバランスを整え、睡眠の質を高める効果が指摘されています。睡眠の質が上がることで、日中の集中力や感情のコントロールがしやすくなり、結果としてストレスへの耐性が高まりやすくなります。

心理面:達成感の積み重ねと自己効力感

運動を継続し、小さな目標を達成する経験を積み重ねることは、「自分にはできる」という自己効力感を育てます。この自己効力感は、仕事上のプレッシャーや困難な状況に直面したときの心理的な支えになり、レジリエンスの土台となります。

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企業のウェルビーイング施策への活用

身体活動・運動ガイド2023の推奨事項を踏まえ、企業がウェルビーイング施策として取り入れやすい運動の形を整理しました。

施策 内容
昼休みウォーキング制度 1日の歩行量を増やす仕組みを就業時間内に組み込む
週1回の軽い運動タイム 息が弾む程度の運動を週60分の目安で取り入れる
復職支援プログラムへの組み込み 産業医・保健師と連携し、段階的な運動導入で復職をサポートする

表:企業が導入しやすい運動施策の3例

昼休みウォーキング制度

特別な設備投資をせずに始められる施策です。社内アナウンスや歩数記録アプリと組み合わせることで、参加のハードルを下げられます。

週1回の軽い運動タイム

就業時間の一部を活用し、軽い有酸素運動を行う時間を設ける方法です。強度を上げすぎず、誰もが参加しやすい負荷に設定することがポイントです。

復職支援プログラムへの組み込み

メンタル不調からの復職支援では、産業医や保健師と連携しながら、無理のない範囲で運動を段階的に取り入れることで、生活リズムの立て直しをサポートできます。

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導入前に確認しておきたいこと

運動施策をメンタルヘルス対策として位置づける際は、あくまで補完的な取り組みであることを社内で共有しておく必要があります。重度の不調がある社員には、まず医療機関や産業医への相談を優先し、運動はその後押しとして活用する姿勢が大切です。

また、個人差を踏まえて強度や量を調整するという身体活動ガイドの考え方どおり、一律のノルマ化はせず、無理のない範囲で継続できる仕組みを設計しましょう。

座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することも、同ガイドで触れられている観点です。デスクワーク中心の職種では、運動タイムだけでなく、こまめに立ち上がる・軽く歩くといった小さな行動の積み重ねも意識してもらうとよいでしょう。

すぐ使えるアクションプラン(産業保健・健康経営担当者向け)

今月から着手できる3つのステップです。

1現状の運動習慣を把握:ストレスチェックの結果とあわせて社員の運動習慣を簡易的に調査する
2低負荷の施策から試験導入:昼休みウォーキングなど、参加ハードルの低い施策から始める
3産業医・保健師との連携体制構築:復職支援プログラムに運動要素を組み込む際の連携フローを整備する

まとめ

  • 厚労省の身体活動・運動ガイド2023は、個人差を踏まえた運動への取り組みを推奨事項として示している
  • 運動はストレスホルモンの調整や睡眠の質向上を通じてレジリエンスを高める
  • 達成感の積み重ねによる自己効力感の向上も、心理的な支えになる
  • 企業施策としては昼休みウォーキング・週1回の運動タイム・復職支援への組み込みが取り入れやすい
  • 運動は医療的対応の代替ではなく補完的な位置づけとして設計することが重要

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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