グループトレーニングの効果とモチベーション向上

複数人でグループトレーニングを行いモチベーションを高め合う様子 ウェルビーイング

「運動施策を用意しても、社員が続けてくれない」。健康経営担当者からよく聞く悩みです。実は、個人で黙々と取り組む運動よりも、仲間と一緒に行うグループトレーニングのほうが継続率やモチベーションが高まりやすいことが分かってきています。

この記事では、集団運動が個人のやる気に与える「ピアパフォーマンス効果」の仕組みと、企業の運動施策への応用方法を解説します。

グループトレーニングとピアパフォーマンス効果の関係

ピアパフォーマンス効果とは、周囲の仲間の存在や取り組む姿が、自分自身の行動やモチベーションに影響を与える現象を指します。誰かと一緒に運動すると、1人のときより頑張れたという経験がある方も多いのではないでしょうか。

スポーツ庁の調査でも、勤務先で運動・スポーツを活用した取り組みがある場合とない場合とで、週1日以上のスポーツ実施率に大きな差が出ることが示されています。取り組みがある職場では実施率が70.1%であるのに対し、取り組みがない職場では46.3%にとどまり、その差は20ポイント以上に及びます。

この結果は、周囲を巻き込んだ仕組みづくりそのものが、運動習慣の定着に直結することを裏付けています。個人の意志だけに頼った施策よりも、職場という環境そのものを味方につける発想が求められているといえるでしょう。

(参考)令和6年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果を公表します – スポーツ庁

モチベーション向上のメカニズム

集団で運動することがなぜモチベーションを高めるのか、代表的な2つの心理的な仕組みから見ていきます。

社会的促進:見られている・一緒にいるという感覚

他者と一緒に取り組むこと自体が、パフォーマンスを引き上げる効果を持つことは心理学の分野でも古くから知られています。1人では手を抜きがちな作業でも、仲間が近くにいると自然と集中力や努力量が高まる傾向があります。運動の文脈でも同様に、グループでのトレーニングは「見られている」「一緒に頑張っている」という感覚が継続の後押しになります。

相互の目標共有:達成の実感を分かち合う

グループで目標を共有すると、自分の進捗を仲間と比較したり、励まし合ったりする機会が生まれます。この相互作用が、1人では味わいにくい達成感を生み、次への意欲につながります。特に運動習慣がない社員にとっては、仲間の存在が最初の一歩を踏み出すきっかけになりやすいという特徴があります。

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企業の運動施策への応用

ピアパフォーマンス効果を実際の健康経営施策に取り入れるには、いくつかの工夫が有効です。

まず、参加の単位を「個人」ではなく「小グループ」に設計することです。3〜5人程度のチームでウォーキングの歩数を競う、あるいは週替わりでトレーニングの成果を報告し合うといった仕組みは、個人任せの施策よりも継続率が高まりやすい傾向があります。

また、部署や役職をまたいだグループ編成にすることで、社内コミュニケーションの活性化という副次的な効果も期待できます。運動施策を単体の健康対策としてではなく、組織づくりの一環として位置づける視点が重要です。

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導入時に気をつけたい落とし穴

グループ施策には注意点もあります。競争意識が強くなりすぎると、運動が苦手な社員や体力に不安がある社員が参加をためらう原因になりかねません。順位づけよりも「継続そのもの」を評価する仕組みにするなど、心理的なハードルを下げる配慮が必要です。

また、強制参加にしてしまうと本来の目的である自発的なモチベーション向上とは逆効果になります。あくまで参加は任意とし、参加したくなる魅力づくりに力を入れることが大切です。

加えて、リモートワークが定着した職場では、対面での集団運動が難しいケースもあります。オンライン上でグループを組み、歩数や運動時間をアプリで共有し合うといった形でも、同様のピア効果は一定程度期待できます。自社の働き方に合わせて実施形態を柔軟に選ぶとよいでしょう。

すぐ使えるアクションプラン(人事・健康経営担当者向け)

グループトレーニング施策を始める際の3ステップです。

1小グループの試験導入:まずは希望者を募り、3〜5人のチームでウォーキングやストレッチの継続に挑戦する
2継続を評価する仕組みづくり:順位よりも参加日数や継続週数を可視化し、称える仕組みを取り入れる
3部署横断のグループ編成:同じ部署だけでなく異なる部署を混ぜたグループにし、コミュニケーション活性化も狙う

まとめ

  • 集団で運動するピアパフォーマンス効果は、個人の運動継続率を高める
  • 職場で運動施策がある場合、スポーツ実施率は70.1%と、ない場合の46.3%を大きく上回る
  • モチベーション向上の背景には社会的促進と目標の相互共有という2つの心理的メカニズムがある
  • グループ編成は3〜5人が目安で、部署をまたぐ設計はコミュニケーション活性化にも寄与する
  • 競争を煽りすぎず、継続そのものを評価する設計が定着の鍵になる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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