菅沼菜々の生き方 批判を受けても発信を続ける自分軸の作り方

批判があっても発信を続けるプロゴルファー菅沼菜々の自分軸の生き方を象徴するイメージ スポーツアスリート

SNSに批判が書き込まれるたび、多くの発信者は投稿の手を止める。プロゴルファーの菅沼菜々は逆だった。広場恐怖症という制約を抱えながら競技を続け、シーズンオフには”自称アイドル”としてライブを開催し、批判が来ても発信をやめない。その判断の裏側にある考え方を追う。

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「善行はスルーされ、挑戦は叩かれる」という菅沼菜々の実感

菅沼菜々は2018年にプロテストへ一発合格し、2025年5月のパナソニックオープンレディースでツアー通算3勝目を挙げたトッププロだ。競技の一方で、シーズンオフには自身のライブを開催する”自称アイドル”としての顔を持つ。2026年のオフには3回目となる単独ライブを都内で開催し、500人の席を満員にした。

華やかな活動にはSNS上の批判もつきまとう。一方で、4年前から続けているパラスポーツへの寄付活動には、ほとんどコメントがつかないという。「寄付の記事にはヤフコメが全然つかない。普段あんなに叩く人たちが、いいことをすると急に静かになる」と菅沼は語り、この現象を「善行はスルーされ、挑戦は叩かれる」という一言で表現している。

Q. 菅沼菜々が語る「善行はスルーされ、挑戦は叩かれる」とはどういう意味ですか?

寄付活動のような誰も傷つけない行動には批判が来ない一方、アイドル活動のような挑戦的な発信には批判が集まりやすいという、本人が実感した傾向を表した言葉です。菅沼はこの構造を客観的に観察し、発信を続ける判断材料にしています。

なぜ批判を恐れず”自称アイドル”活動を続けるのか

菅沼のアイドル活動の起点は、2022年のヨネックスレディスで見せた「体育座り」の映像がSNSで話題になったことだった。「あれ?いけるかも」という直感から、150人規模の小さなイベントを経て、現在の単独ライブにまで発展している。

批判への向き合い方を支えているのは、元プロ野球選手・篠塚和典氏から受けた「アンチが来たら一流、有名になった証拠だよ」という言葉だ。「ゼロの人にはアンチも来ない」と菅沼は語り、批判の存在自体を注目されている証拠として捉え直している。実際には「気にしいで繊細なタイプ」と自己分析するとおり、平気なわけではない。それでも発信を止めないのは、自分がアイドルの言葉に救われた経験があり、今度は自分が誰かを元気づける存在になりたいという使命感があるからだ。

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(参考)「善行はスルーされ、挑戦は叩かれる」SNSに批判の声も…”自称アイドル”活動の発信を続けるワケ――ゴルフ・菅沼菜々 – W-ANS ACADEMY

菅沼菜々が発信で使い分ける2つの領域|反応の違いを整理する

菅沼自身の発言をもとに、発信内容と世間の反応の関係を整理すると、性質の異なる2つの領域があることが分かる。

発信の種類 世間の反応
パラスポーツへの寄付活動 ほぼコメントがつかず、静かに受け止められる
アイドル活動・キラキラした発信 称賛と批判の両方が集まり、注目を集める

本人のインタビュー発言をもとにHuman Soarが整理

誰も傷つけない発信は静かに受け止められる

寄付活動は4年間継続しているが、記事に対する反応はほとんどないという。「そこもアンチしろよ、って思うくらい」と菅沼が冗談交じりに語るとおり、無難な発信は賛否を呼びにくい代わりに、話題にもなりにくい。

挑戦的な発信は賛否を呼ぶが注目も集める

一方でアイドル活動のような挑戦的な発信は、批判も集める代わりに、話題性と共感の両方を生んでいる。菅沼はあえて「キラキラした部分」を発信し続けることで、「有名な人が発信することで、病気のことも含めて広く伝わる」という信念を実現しようとしている。

Q. 菅沼菜々はなぜアイドル活動を始めたのですか?

2022年の試合中に映った「体育座り」の映像がSNSで話題になったことがきっかけです。反響を受けて150人規模の小さなイベントから始め、現在は単独ライブを開催する規模にまで発展しています。

広場恐怖症との共生が教える「無理に克服しない」という選択

菅沼は高校2年の冬に広場恐怖症を発症し、飛行機や新幹線に乗れなくなった。一度は競技から完全に離れたが、アイドルのライブで受け取った言葉をきっかけに競技へ復帰。現在も国内移動はすべて車で行い、渋滞や事故の情報を常にチェックしながら試合会場に向かっている。

病気を無理に克服しようとするのではなく自分が壊れない選択をする菅沼菜々の判断軸を示した比較図解

ここで重要なのは、菅沼が「病気を克服する」という発想を選んでいない点だ。飛行機に乗れるようにする努力ではなく、車移動という制約の中でできることに集中する道を選んでいる。「無理に克服する」のではなく「自分が壊れない選択をする」という考え方は、批判への向き合い方にもそのまま通じている。批判を無理に受け止めて心を消耗させるのではなく、「アンチが来たら一流」という言葉に置き換えて距離を取る対処法は、同じ思考の型だ。

「自分の意志を消さない」という視点|発信を続けるすべての人への応用

菅沼は現代を生きる女性へのメッセージとして「自分の意志を消さないこと」を挙げている。周りに流されやすく、自己犠牲的になりがちな自分自身への戒めでもあるという。この考え方は、SNSでの発信に限らず、仕事上の意見表明や新しい挑戦全般に応用できる。

熊谷紗希が続ける日々の習慣のように、外部の評価に左右されず自分の基準を保ち続けるアスリートは他にもいる。共通するのは、批判や評価を「やめる理由」にせず、続けるかどうかの判断基準を自分の内側に置いている点だ。

AIは批判との向き合い方をサポートできるか

SNS上の反応を毎回すべて人力で確認し、心理的に消耗するのは負荷が大きい。AIを使えば、大量のコメントから応援メッセージと誹謗中傷を機械的に仕分けし、対応が必要な内容だけを抽出するといった使い方ができる。感情的に受け止める前に情報を整理するクッションとして、AIは実務的に役立つ。

ただし「アンチが来たら一流」と捉え直す思考の転換や、「自分の意志を消さない」という軸を持ち続けることは、本人にしかできない部分だ。AIができるのは情報整理までであり、批判をどう解釈し発信を続けるかという判断は、菅沼のケースが示すとおり、本人の価値観に根ざしている。

Q. SNSでの批判に対して菅沼菜々はどう向き合っていますか?

「私のことを好きな人だけ好きでいてくれたらいい」と割り切り、批判自体を興味を持たれている証拠として捉え直しています。篠塚和典氏の「アンチが来たら一流」という言葉が、その考え方を支える支えになっています。

菅沼は移動先の高速道路情報を常にチェックし、渋滞や事故が多い区間を避けるルートを頭に叩き込んでいるという。「高速道路のサイトはたぶん日本で一番見てる」と笑うほどの徹底ぶりだが、これも「無理に克服しない」を実践するための具体的な行動だ。制約をなくそうとするのではなく、制約があることを前提にルートを設計し直す発想は、批判との向き合い方にも通じている。

まとめ

  • 菅沼菜々は「善行はスルーされ、挑戦は叩かれる」という構造を客観的に観察している
  • 批判は「有名になった証拠」と捉え直し、発信を止める理由にしていない
  • 寄付活動と挑戦的な発信では、世間の反応の性質が明確に異なる
  • 広場恐怖症への向き合い方は「克服」ではなく「壊れない選択」という考え方に基づく
  • 「自分の意志を消さない」という軸は、発信を続けるすべての人に応用できる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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