18歳、日本一だった100メートル走を手放し、当時は無名に近かったハードルへ転向する。為末大さんが実践してきたのは「全部を求めず、最高でなくても選び、決めたことも変えていい」という”仮決め”の思考法です。進路や転職で価値観が揺れて動けなくなっている人にとって、為末さんの選択のプロセスは具体的な手がかりになります。
18歳、100メートル走からハードルへの転向という決断
男子400メートルハードルの日本記録保持者である為末大さんは、18歳のときに大きな選択を迫られました。中学時代には花形競技である100メートル走で日本一になったものの、高校で記録が伸び悩みます。自身の身体特性をより生かせるハードル走への転向という決断を下したのは、この時期でした。
100メートル走でトップを極めるのは難しいが、ハードルなら世界で勝てる。そう考えた為末さんは、18歳という若さで日本一だった種目を諦めることに後ろめたさを抱えながらも、転向後の競技を続けていきました。
Q. 為末大さんはなぜ100メートル走からハードルに転向したのですか?
中学時代に日本一になった100メートル走で高校時代に記録が伸び悩み、世界のトップを目指すのは難しいと感じたためです。自身の身体特性を分析した結果、ハードルなら世界で勝てると判断し、18歳で転向を決断しました。
(参考)為末大氏が就活生に伝えたい「諦める力」、人の限界を作る”思い込み”を壊していこう – ダイヤモンド・オンライン
「諦める」のではなく「選び直す」為末大の思考法
為末さんは当時を振り返り、「好きなこと(100メートル走)でうまくいかないかもしれない人生を生きたいのか、可能性がある(ハードルで)人生を生きるのか、という価値観のせめぎ合いの中での選択だった」と自己分析しています。単に諦めたのではなく、可能性のある道を自分で選び直したという捉え方です。

“走る哲学者”とも呼ばれる為末さんのこの姿勢は、著書『諦める力』の原点にもなっています。目標が一つに定まらず迷う人ほど、この「選び直す」という捉え方が助けになります。
なぜ転向を選んだのか|身体データと自己分析の裏付け
為末さんの転向は思いつきではなく、自分の実績と可能性を冷静に見比べた結果でした。ここでは転向前後の実績を比較しながら、判断の裏付けを整理します。
| 種目 | 主な実績 | 為末さん自身の評価 |
|---|---|---|
| 100メートル走 | 中学時代に日本一。高校で記録が伸び悩む | 花形競技だが世界のトップを極めるのは難しいと判断 |
| 400メートルハードル | 日本記録保持、世界選手権2001・2005年に銅メダル、五輪3大会連続出場 | 身体特性を生かせば世界で勝てると判断 |
筆者が公表済みの為末大さんのプロフィール・実績をもとに作成(2026年8月時点)
100メートル走|中学日本一から高校での伸び悩みへ
中学時代に日本一だった100メートル走は、いわば為末さんにとって最も分かりやすい成功体験でした。しかし高校で記録が伸び悩んだことで、世界のトップを目指すには別の道が必要だと気づきます。得意だったものに固執せず、状況の変化を認めた点が最初の転機です。
400メートルハードル|世界基準で勝ち続けた18年間
転向後の為末さんは、日本記録保持者として世界選手権で2001年・2005年に銅メダルを獲得し、2000年シドニー・2004年アテネ・2008年北京の五輪3大会連続で出場しました。100メートル走のままでは届かなかった世界基準の舞台で、18年間にわたり結果を出し続けたことになります。
Q. 「仮決め」とはどういう考え方ですか?
価値観が複合的に絡み合い、正解が分からない状況でも「とりあえず今の情報で決めてみる」という為末大さんの考え方です。全部や最高を求めず、決めたことも後から変えられるという前提に立つことで、選択そのものへの心理的なハードルを下げられます。
為末大の「仮決め」と一般的なキャリア理論の比較
為末さんが語る「仮決め」の考え方は、就活生や転職に悩む人に向けたアドバイスとしても紹介されています。ここでは、その思考法を3つのステップに分けて整理します。

為末さんは就活生に向けて「第一に、全部手に入れなくても、人は幸せになれる。第二に、最高のものでなくても、人は幸せになれる。第三に、決めたことは途中で変えられる」という3つの要点を挙げています。ライフステージによって大事なものは変わっていくため、就活のような人生初の選択で「一番大事なことを選ぶ」と気負う必要はないというのが為末さんの助言です。
(参考)為末大氏が就活生に伝えたい「諦める力」、人の限界を作る”思い込み”を壊していこう – ダイヤモンド・オンライン
Q. 為末大さんの現役時代の主な実績を教えてください。
男子400メートルハードルの日本記録保持者で、世界選手権では2001年・2005年に銅メダルを獲得しています。オリンピックには2000年シドニー・2004年アテネ・2008年北京の3大会連続で出場し、2012年に競技を引退しました。
為末大の仮決め思考を、就活・転職の意思決定に応用する
仮決めの考え方は、アスリートに限らず就活や転職に悩むビジネスパーソンにも応用できます。嫌いなこと・苦手なことを避けるという消去法から始め、いくつかの仮決めした価値観からさかのぼって職業を考えるという為末さんのアプローチは、正解が見えない状況での判断力を鍛える手順になります。
大切なのは、仮決めを「弱い決断」だと捉えないことです。むしろ、情報が不十分な中でも前に進むための実践的な技術として位置づけることで、進路や転職の選択肢を広く検討できるようになります。
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AIを使って「仮決め」を検証する方法
仮決めをする際、AIチャットは選択肢を増やしたり、見落としているリスクを洗い出したりする壁打ち相手として使えます。決断そのものをAIに委ねるのではなく、材料を整理するための道具として活用するのがポイントです。
具体的には「今悩んでいる選択肢」「譲れない条件」「譲れる条件」を伝え、それぞれを選んだ場合に起こりうる後悔を比較して聞いてみましょう。為末さんが自身の身体特性を分析してハードルへの転向を判断したように、感覚だけに頼らず、材料を並べたうえで仮決めをする姿勢が重要です。
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Q. 仮決めをAIで検証するには、どんな質問を投げればいいですか?
「今悩んでいる選択肢」と「譲れない条件・譲れる条件」を伝えたうえで、「この仮決めをした場合に起こりうる後悔と、しなかった場合に起こりうる後悔」を比較して聞くと、感情に流されずに判断材料を整理できます。決定そのものはAIに委ねず、材料集めに使うのがポイントです。
まとめ
- 為末大さんは18歳で日本一だった100メートル走を離れ、ハードルへの転向を決断した
- 転向の判断は感覚ではなく、自身の身体特性と可能性を冷静に見比べた結果だった
- 「仮決め」は、全部・最高を求めず、決めたことも変えられるという前提に立つ考え方
- 就活や転職の意思決定にも、仮決めした価値観からさかのぼって考える手順が応用できる
- AIは決断を代行する道具ではなく、選択肢のリスクや後悔を整理する壁打ち相手として活用できる
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