ダルビッシュ有の科学的アプローチ|体で敵わないなら頭脳で勝つ思考法

ダルビッシュ有の科学的な栄養管理とトレーニング スポーツアスリート

東北高校時代にエースとして甲子園に4度出場し、2004年ドラフト1位で日本ハムファイターズに入団したダルビッシュ有。NPB通算94勝、防御率2.04という驚異的な数字を残して2012年に渡米し、テキサス・レンジャーズやドジャース、カブスを経て現在はサンディエゴ・パドレスに在籍している。渡米後の体づくりで際立つのは、感覚に頼らず栄養学の知識を積み上げていく姿勢だ。その具体的な取り組みを見ていく。

体格で劣る現実から生まれた「知識で勝つ」という発想

渡米直後のダルビッシュは、195cmという高身長にもかかわらず体重は70kg程度しかなく、体格で優るメジャーの選手たちと同じ土俵で戦うことに難しさを感じていたと伝えられている。パワーやスピードで単純に上回ることが難しい以上、別の武器を磨く必要があった。

栄養学や身体生理学を独学で学び、常識とされてきたトレーニング理論もまず疑ってかかるという姿勢は、体格差を知識で埋めようとする発想から生まれている。才能や体格の差を努力の量だけで埋めるのではなく、学んだ知識を体づくりに反映させることで差を縮めるという考え方が、ダルビッシュの体づくりの土台になっている。

知識を蓄えて頭で勝負するという姿勢は、単なる精神論ではなく、栄養学の教科書を実際に読み込み、日々の食事やトレーニングメニューに落とし込むという具体的な行動によって裏づけられている点が特徴だ。感覚や経験則だけに頼ってきた従来のトレーニング観に対して、まず疑問を持ち、自分自身で検証しながら方法を組み立て直していく姿勢は、若手選手の指導にも通じる普遍的な考え方と言える。

トミー・ジョン手術を機にした肉体改造

2017年に右肘の靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けたことは、ダルビッシュにとって体づくりを見直す大きな転機になった。日本ハム時代のスラリとした細身の体型から、現在では筋肉をまとった体重100kg近くの体格へと変化している。

メジャーで結果を出すには筋力と体力そのものを底上げする必要があると痛感し、トレーニング・食事・サプリメントの3本柱でコンディションをつくる方針に転換したと伝えられている。単に筋肉量を増やすのではなく、パフォーマンス向上に直結する部位や動きを意識しながら体を作り替えていった点が特徴だ。

体調不良に悩まされた時期に「自分の身体に対して不安を感じた」と振り返っているように、故障や不調を経験したからこそ、それまでの体づくりを根本から見直す決断につながったと言える。

栄養学の教科書を読み込む食事へのこだわり

ダルビッシュの食事管理で象徴的なのが、栄養学の入門書を読み込みながらカロリー摂取を綿密に計算している点だ。「体に良いものしか取り入れない」という意識のもと、オートミールや鶏胸肉、発芽玄米、野菜を中心にした食事を継続している。

球場にはピーマンやトマトなどの野菜をタッパーに入れて持ち込むといった、日常の細部にまで気を配る徹底ぶりも見られる。夜に体重を測り、想定より軽ければ翌日は炭水化物を多めに摂るというように、数値をもとに翌日の食事量を微調整する習慣も特徴のひとつだ。

絞り込みたい時期には徹底した節制を行う一方で、極端な減量に偏るのではなく、必要な栄養素を欠かさないバランス重視の考え方が根底にある。

(参考)ダルビッシュ有が実践する栄養学!肉体を維持する食事やサプリに驚愕 – Nakaji’s Blog

1日5〜6回に分けたタンパク質補給とサプリメント活用

筋肉の材料となるタンパク質については、運動後1時間以内のいわゆるゴールデンタイムを意識しながら、朝昼晩の食事後と就寝前を含めて1日5〜6回に分けて補給している。ホエイプロテインを中心に、血流促進や疲労物質の除去に関わるとされるアミノ酸成分も取り入れているという。

食が細い体質を補う目的で、マルチビタミンや関節ケア、消化酵素など8種類・30錠にのぼるサプリメントを日々摂取していることも伝えられている。食事だけでは埋めきれない栄養素を補いながら、コンディションのベースを底上げする発想がうかがえる。

プロテインひとつを選ぶ際にも成分表示を確認し、タンパク質含有量や吸収効率を比較検討するなど、サプリメント選びにも栄養学の知識を反映させている点が、単なる「なんとなくの習慣」との違いだと言える。

ウェアラブル端末で「知識で戦う」体づくりを可視化する

ダルビッシュのように体重や食事内容を数値で管理する発想は、スマート体組成計を使えば感覚に頼らず再現できる。

「夜の体重測定」を機械任せにする

ダルビッシュが毎晩手動で行っていた体重測定は、Withings Body Compのような体組成計に乗るだけで体重・体脂肪率・筋肉量まで自動記録される。手間が減る分、測定そのものを習慣として続けやすくなる。

アプリのグラフで「軽い日」のパターンを探す

専用アプリに蓄積されたグラフを見ると、体重が想定より軽い日、筋肉量がじわじわ落ちている週といった変化に気づきやすい。ダルビッシュが「軽ければ翌日は炭水化物を多めに」と調整していたのと同じ判断を、記録をもとに下せるようになる。

体脂肪率の推移から食事の線引きを調整する

体脂肪率が想定より高い期間が続くようであれば、揚げ物や間食を控える日を意識的に増やすなど、栄養学の知識と手元のデータを突き合わせながら食事の線引きを微調整していく。

よくある質問

なぜダルビッシュは栄養学を独学で学んでいるのか

体格や地力で優るメジャーの選手と同じ土俵で戦うために、知識を武器にするという考え方があるためだ。栄養学の教科書を読みながらカロリー計算や食材選びに反映させる姿勢は、体格差を埋める手段のひとつになっている。

体重管理はどのくらいの頻度で行っているのか

夜に体重を測定し、前日より軽ければ翌日の炭水化物量を増やすというように、日々のデータをもとに食事量を調整している。感覚ではなく数値をもとに判断する点が特徴だ。

サプリメントはどんな目的で摂取しているのか

食が細い体質を補い、ビタミンや関節ケア、消化酵素など幅広い栄養素を摂取する目的で活用されている。食事だけでカバーしきれない部分を補完する位置づけだ。

2026年シーズンの状況はどうなっているのか

ダルビッシュは肘の手術を受け、2026年シーズンは全休してリハビリに専念する見通しが伝えられている。長年積み上げてきた科学的な体づくりの知見は、今後の復帰に向けたコンディション作りにも生かされることになる。

まとめ

  • 渡米直後は体重70kg程度で、体格差を知識で埋めるという発想がダルビッシュの体づくりの原点になっている
  • 2017年のトミー・ジョン手術を機に、筋肉をまとった体重100kg近くの体格へと肉体改造を進めた
  • 栄養学の教科書を読み込み、カロリー計算に基づいた食事管理を徹底している
  • タンパク質は1日5〜6回に分けて補給し、8種類・30錠のサプリメントで栄養素を補完している
  • 夜の体重測定をもとに翌日の炭水化物量を調整するなど、数値に基づいた体づくりを続けている

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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