スポーツドリンク12社比較|3,567億円市場の勢力図

スポーツドリンク12社比較|3,567億円市場の勢力図 スポーツ栄養学

スポーツドリンクは、汗で失われる電解質を補う「アイソトニック・ハイポトニック系」と、アミノ酸で運動時の代謝をサポートする「アミノ酸系」の大きく2系統に分かれ、国内市場は2024年に3,567億円まで拡大しています。この記事では、公式サイトで一次情報を確認できた主要12社の製品を一覧化し、企業が水分補給施策を選ぶときの判断軸まで解説します。

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  1. スポーツドリンク市場の全体像|3,567億円をどう捉えるか
  2. 国内スポーツドリンク・水分補給飲料 主要12社
    1. 大塚製薬|ポカリスエットが確立した「アイソトニック」という発想
    2. 日本コカ・コーラ|アクエリアスは「対抗商品」から定番ブランドへ
    3. サントリービバレッジ&フード|「もうひと頑張り」を訴求したDAKARA
    4. 明治|スズメバチの生態研究から生まれたVAAM
    5. アサヒ飲料|体液より薄い「ハイポトニック」で吸収速度を狙う
    6. 大塚製薬工場|スポーツドリンクの隣にある「経口補水液」という選択肢
    7. キリンビバレッジ|スポーツ協賛と連動した飲料展開
    8. 伊藤園|スポーツクラブと共同開発した機能性表示食品
    9. ダイドードリンコ|自動販売機網を活かしたアイソトニック飲料
    10. 味の素|アミノ酸系と経口補水液の2ラインを持つ唯一の企業
    11. ポッカサッポロフード&ビバレッジ|無糖タイプへのシフトを進めるブランド
    12. 森永製菓|ゼリー飲料でスポーツ需要を取り込むinゼリー
  3. 電解質系・アミノ酸系・経口補水液系|3つの設計思想で読み解く12社の違い
  4. 市場の伸びを支える2つの背景|職場の熱中症対策と健康経営
    1. 職場における熱中症対策の義務化
    2. 健康経営における水分補給の位置づけ
  5. 企業が水分補給施策を選ぶときの実践フロー
    1. まず現場のヒアリングから始める
    2. 常備ルールは社内外に共有し、健康経営の取り組みとして位置づける
  6. まとめ

スポーツドリンク市場の全体像|3,567億円をどう捉えるか

スポーツドリンクは単なる清涼飲料の一区分ではなく、運動時の水分・電解質補給を目的に設計された機能性飲料です。全国清涼飲料連合会が公表する統計を見ると、市場は緩やかに拡大しながらも、生産量ベースでは伸び悩みが見え始めています。

指標 2023年 2024年
販売金額 3,523億円 3,567億円(前年比101.2%)
生産量 144.25万kl 138.55万kl(前年比96.0%)
新商品数 45品

出典:全国清涼飲料連合会「清涼飲料水統計2025」のスポーツ飲料等区分の数値をもとにHuman Soarが2年分を並べて作成。

販売金額は増加、生産量は減少という「単価上昇」の構図

2024年は販売金額が前年比101.2%と伸びた一方、生産量は96.0%に縮小しました。これは、内容量を絞った携帯サイズや、アミノ酸・機能性表示を訴求した高付加価値タイプへのシフトが進み、1本あたりの単価が上がっていることを示唆しています。量を売る競争から、機能・成分で選ばれる競争へと軸足が移りつつある業界だといえます。

Q. スポーツドリンク市場は今後も伸びますか?

2024年時点では販売金額ベースでは前年を上回っていますが、生産量は減少しており、量的な拡大よりも高付加価値化による単価上昇が成長を支えています。今後は熱中症対策や健康経営など、法人・自治体の水分補給ニーズが新たな伸びしろになるとみられます。

(参考)清涼飲料水統計2025 – 全国清涼飲料連合会

国内スポーツドリンク・水分補給飲料 主要12社

本記事では、電解質補給系・アミノ酸系・経口補水液系という3つの設計思想を横断し、かつ企業公式サイトで一次情報を確認できた12社を掲載しています。母数としては清涼飲料メーカー・製薬系飲料メーカーを合わせて数十社が存在しますが、そのうち代表的なスポーツ用途の飲料ブランドを公式サイトで確認できた企業に絞りました。上位4社は事業モデルまで掘り下げ、残り8社は特徴を簡潔にまとめています。

企業名 代表製品 系統
大塚製薬 ポカリスエット 電解質補給系
日本コカ・コーラ アクエリアス 電解質補給系
サントリービバレッジ&フード DAKARA 電解質補給系
明治 VAAM アミノ酸系
アサヒ飲料 アサヒ スーパーH2O 電解質補給系(ハイポトニック)
大塚製薬工場 OS-1 経口補水液系
キリンビバレッジ KIRIN LOVES SPORTS 電解質補給系
伊藤園 アクアビクス 電解質補給系(機能性表示食品)
ダイドードリンコ ミウ プラス スポーツ 電解質補給系
味の素 アミノバイタル/アクアソリタ アミノ酸系/経口補水液系
ポッカサッポロフード&ビバレッジ スポーツウォーター/スマートバランス 電解質補給系
森永製菓 inゼリー スポーツラインアップ 電解質補給系(ゼリー飲料)

出典:各社公式サイトの情報をもとにHuman Soarが独自に一覧化。2026年8月時点。

大塚製薬|ポカリスエットが確立した「アイソトニック」という発想

ポカリスエットは1980年に大塚製薬が発売した飲料で、体液に近い浸透圧に調整し、汗で失われるナトリウムやカリウムなどの電解質を効率よく補給できる設計が特徴です。開発の発端は、当時の徳島工場長が「汗の飲料はできないか」と発案したことだったと大塚ホールディングスは紹介しています。1982年から海外展開を始め、現在は20以上の国・地域で販売される、国内スポーツドリンクの原型といえる存在です。

(参考)生命にとどくまで物語 ポカリスエット – 大塚ホールディングス株式会社

日本コカ・コーラ|アクエリアスは「対抗商品」から定番ブランドへ

アクエリアスは日本コカ・コーラが1983年4月に発売した飲料で、ポカリスエットへの対抗商品として開発されました。体液とほぼ同じ浸透圧のアイソトニック設計で、汗と同種のミネラルを補給できる点は共通していますが、スポーツシーンだけでなく日常の水分補給ブランドとして展開を広げてきた点に違いがあります。同社は1957年設立で、本社は東京都渋谷区です。

(参考)会社概要 – 日本コカ・コーラ株式会社

サントリービバレッジ&フード|「もうひと頑張り」を訴求したDAKARA

DAKARAは2000年に発売された、開発に4年をかけたスポーツドリンクです。イノシトールで中性脂肪の蓄積を、アラビノースで糖分の吸収を抑えるとし、「余分なものを排出する」という当時としては珍しい訴求で差別化を図りました。ピーク時には年間3,000万ケースを販売し、2012年には派生商品「GREEN DA・KA・RA」も展開しています。同社は2025年12月時点でグループ会社70社、連結売上収益1兆7,154億円の飲料大手です。

(参考)企業概要 – サントリービバレッジ&フード株式会社

明治|スズメバチの生態研究から生まれたVAAM

VAAM(ヴァーム)は明治が1995年に発売したアミノ酸系のスポーツ飲料です。長距離を飛び続けるスズメバチの幼虫が分泌する液に含まれる17種類のアミノ酸バランス(V.A.A.M.)を再現しており、電解質補給ではなく運動時の脂肪代謝サポートを訴求する点が、ポカリスエットやアクエリアスとは異なる立ち位置です。2025年9月には発売30周年を機にシリーズが全面リニューアルされました。

(参考)VAAMについて – 株式会社明治

アサヒ飲料|体液より薄い「ハイポトニック」で吸収速度を狙う

アサヒ スーパーH2Oは、体液よりも浸透圧を低く設計したハイポトニックタイプの飲料です。運動中の素早い水分吸収を重視する層に向けて展開されています。

あわせて読みたいスポーツ栄養食品市場11社の比較ガイド

(参考)アサヒ スーパーH2O 商品情報 – アサヒ飲料株式会社

大塚製薬工場|スポーツドリンクの隣にある「経口補水液」という選択肢

OS-1(オーエスワン)は大塚製薬工場が製造する経口補水液で、大塚製薬とは別法人が手がけています。スポーツドリンクよりも電解質濃度を高め、糖分を抑えた設計で、脱水症状が疑われる場面や医療・介護の現場でも使われている点が特徴です。

(参考)経口補水液 OS-1 – 株式会社大塚製薬工場

キリンビバレッジ|スポーツ協賛と連動した飲料展開

KIRIN LOVES SPORTSは、日本サッカー協会(JFA)の公式飲料としても位置づけられているキリンビバレッジのブランドです。競技団体との連携を軸に展開している点が他社と異なります。

(参考)ソフトドリンク商品情報 – キリンビバレッジ株式会社

伊藤園|スポーツクラブと共同開発した機能性表示食品

アクアビクスは伊藤園がセントラルスポーツと共同開発した飲料で、機能性表示食品として届出されています。飲料メーカー単独ではなく、フィットネス事業者と組んで開発した点が特徴です。

(参考)企業情報 – 株式会社伊藤園

ダイドードリンコ|自動販売機網を活かしたアイソトニック飲料

ミウ プラス スポーツは、アイソトニック設計のスポーツドリンクです。同社は全国の自動販売機ネットワークを強みに持ち、購入導線の広さで他社と差別化しています。

(参考)水・スポーツドリンク類 – ダイドードリンコ株式会社

味の素|アミノ酸系と経口補水液の2ラインを持つ唯一の企業

味の素は、アミノ酸系スポーツ飲料「アミノバイタル」と、経口補水液「アクアソリタ」の両方を自社で展開しています。アミノ酸研究を祖業とする同社ならではのラインナップで、運動時と脱水時それぞれに製品を使い分けられる構成になっています。

(参考)アミノバイタル – 味の素株式会社

ポッカサッポロフード&ビバレッジ|無糖タイプへのシフトを進めるブランド

スポーツウォーターや無糖スポドリ「スマートバランス」を展開し、糖分を抑えたタイプへのシフトを進めています。

(参考)ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 公式サイト

森永製菓|ゼリー飲料でスポーツ需要を取り込むinゼリー

inゼリーのスポーツラインアップは、塩分や電解質を補給できるゼリー飲料で、液体を飲みにくい場面でも摂取しやすい形状で需要を取り込んでいます。

(参考)inゼリー スポーツラインアップ – 森永製菓株式会社

電解質系・アミノ酸系・経口補水液系|3つの設計思想で読み解く12社の違い

12社の製品をよく見ると、単純な「味の違い」ではなく、何を目的に設計されているかという思想の違いがあることが分かります。Human Soarでは今回調査した12社の製品を、目的別に3つのグループへ分類しました。

電解質補給系体液に近い、または低い浸透圧に調整し、汗で失われるナトリウム・カリウムを補う。ポカリスエット、アクエリアス、DAKARA、アサヒ スーパーH2Oなど大半の製品がこの系統。
アミノ酸系電解質よりもアミノ酸の働きで代謝・脂肪燃焼をサポートする設計。VAAM、アミノバイタルが代表例で、運動効果を高めたい層に向く。
経口補水液系電解質濃度を高め糖分を抑えた設計で、脱水症状が疑われる場面や医療・介護現場向け。OS-1、アクアソリタが該当。

各社公式サイトの製品説明をもとにHuman Soarが設計思想の違いで分類。

同じ「スポーツドリンク」でも用途が違う

この3分類が示すのは、スポーツドリンクが一つの市場に見えて、実は「日常的な水分補給」「運動効果の底上げ」「脱水症状への対処」という異なる用途に分かれているという点です。企業が水分補給施策を検討する際も、目的をどこに置くかでどの系統を選ぶべきかが変わってきます。

Q. アイソトニック飲料とハイポトニック飲料の違いは何ですか?

アイソトニック飲料は体液とほぼ同じ浸透圧に調整されており、電解質をしっかり補給できます。ハイポトニック飲料は体液より浸透圧を低くすることで、体への吸収スピードを優先した設計です。運動強度が高く素早い水分補給を優先したい場面ではハイポトニック、じっくり電解質を補いたい場面ではアイソトニックが向くとされています。

Q. 経口補水液とスポーツドリンクは何が違いますか?

経口補水液はスポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、糖分を抑えて作られており、脱水症状が疑われる場面や医療・介護の現場での利用を想定しています。日常の運動時の水分補給にはスポーツドリンク、体調不良や熱中症が疑われる場面ではOS-1のような経口補水液が適しています。

市場の伸びを支える2つの背景|職場の熱中症対策と健康経営

スポーツドリンク市場が単価上昇を伴いながら拡大している背景には、個人の運動需要だけでなく、企業・自治体側の水分補給ニーズの高まりがあります。

職場における熱中症対策の義務化

近年、事業所における熱中症対策の強化が法改正で進められており、現場作業やオフィスワークを問わず、企業が組織的に水分補給・休憩の体制を整える必要性が高まっています。具体的な義務化の内容や罰則については、Human Soarの既報で詳しく解説しています。

あわせて読みたい職場の熱中症対策が義務化|2025年法改正の対応と罰則

健康経営における水分補給の位置づけ

健康経営優良法人の認定でも、従業員の体調管理や生活習慣サポートが評価項目の一部になっており、オフィスへのスポーツドリンク・経口補水液の常備は、実施しやすい施策の一つとして企業に検討されています。

Q. 経口補水液とスポーツドリンク、オフィスに置くならどちらがいいですか?

日常的な水分補給や軽い運動後のケアにはスポーツドリンクで十分ですが、夏場の屋外作業や高温環境がある職場では、脱水症状のリスクに備えて経口補水液も併せて常備しておくと安心です。用途に応じて使い分けるのが基本になります。

企業が水分補給施策を選ぶときの実践フロー

ここまでの分類を踏まえ、企業が自社に合った水分補給施策を選ぶための実践的な手順を整理します。

1リスク環境を把握する:屋外作業・高温多湿の現場があるか、オフィス勤務中心かで必要な備えが変わります。
2目的に合う系統を選ぶ:日常の水分補給には電解質補給系、脱水リスクが高い現場には経口補水液系を優先します。
3常備場所とルールを決める:休憩室・現場詰所への常備、支給基準を明文化し、健康経営の取り組みとして社内外に共有します。

まず現場のヒアリングから始める

いきなり製品を選ぶのではなく、現場責任者や産業保健スタッフに「どの時間帯・場所で水分補給が滞りやすいか」をヒアリングすることが最初の一歩になります。実態を把握してから系統を選ぶことで、備蓄が無駄になりにくくなります。

Q. 企業が水分補給対策を始める際、まず何をすればいいですか?

現場や部署ごとに熱中症・脱水のリスクをヒアリングし、リスクが高い現場から優先して電解質補給系または経口補水液系の飲料を常備することから始めるのが実践的です。あわせて休憩の取りやすさなど運用ルールも同時に整えると効果が高まります。

常備ルールは社内外に共有し、健康経営の取り組みとして位置づける

常備を決めたら、支給基準や設置場所を文書化し、社内向けの周知だけでなく、健康経営の取り組みの一部として社外にも発信すると、採用や取引先からの評価にもつながりやすくなります。職場の食環境整備という観点では、既報の内容もあわせて参考にしてください。

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まとめ

  • 国内スポーツドリンク市場は2024年に3,567億円まで拡大し、生産量の減少とは対照的に単価上昇が続いている
  • 主要12社の製品は「電解質補給系」「アミノ酸系」「経口補水液系」の3つの設計思想に分類できる
  • 大塚製薬のポカリスエット、日本コカ・コーラのアクエリアスなど老舗ブランドは電解質補給系が中心
  • 味の素のようにアミノ酸系と経口補水液系の両方を展開する企業もある
  • 企業側は現場のリスク環境をヒアリングしたうえで系統を選び、常備ルールを整えることが実践の第一歩になる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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