AIモーションキャプチャとは|主要10社と導入価値

AI・モーションキャプチャ業界の主要企業10社 スポーツAI

体にマーカーを貼らなくても、カメラの映像だけで骨格や関節の動きをAIが解析できるようになりました。結論から言うと、このマーカーレス技術によって国内プロ野球団体の半数以上がすでに動作解析システムを導入しており、3Dモーションキャプチャの世界市場は2036年に12億2,980万米ドル規模まで拡大すると予測されています。本記事では主要10社の技術と、企業が関わる視点を解説します。

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マーカーレス化がAIモーションキャプチャの普及を後押しした

従来のモーションキャプチャは、選手の体に反射マーカーを貼り付けて専用カメラで撮影する方式が主流でした。2018年に東京大学が発表した論文・特許出願をもとに、画像処理の高度化によってマーカーなしで動作計測を行う技術が実用化され、選手が試合用のユニフォームを着たまま、より実戦に近い状態でパフォーマンス分析ができるようになりました。国内では「THEIA3D」というマーカーレス解析エンジンが、プロ野球団体の半数以上に導入されるまで普及しています。

Q. マーカーレスモーションキャプチャとは何ですか?

選手の体にマーカーを貼らずに、カメラ映像の画像処理だけで骨格や関節の動きを計測する技術です。試合用のユニフォームを着たまま計測できるため、より実戦に近い状態での動作分析が可能になります。

(参考)モーションキャプチャの仕組みやAI活用方法を解説 – コンテンツ東京

AIモーションキャプチャが現場にもたらす3つの価値

AIモーションキャプチャの価値は単に「動きが見える」ことではありません。ここではHuman Soarが独自に、現場にもたらす価値を優先順位付きで整理しました。

AIモーションキャプチャがもたらす3つの価値を示すランキング図

マーカーレス化によるコスト低減|研究機関水準の計測が日常化

最も大きな価値は、マーカーレス化による計測の手間とコストの低減です。専用マーカーの装着・キャリブレーションが不要になったことで、これまで大学や研究機関でしか導入できなかった精度の計測が、プロチームの日常的なトレーニングにも取り入れられるようになりました。

負荷・フォームの可視化による怪我予防

選手の動きを数値化して可視化することで、フォームの乱れや局所的な負荷の蓄積を早期に発見できます。これまで経験や感覚に頼っていた怪我予防の判断に、客観的なデータの裏付けを加えられる点が価値になります。

プロだけでなく部活動・一般層への普及|裾野拡大の価値

導入コストの低下は、プロチームだけでなく部活動や一般のスポーツ愛好者への普及にもつながっています。専門知識がなくても扱えるアプリと組み合わせることで、これまで一部のトップアスリートしか受けられなかった動作分析が、より広い層に開かれつつあります。

国内主要10社の一覧比較|AI・モーションキャプチャを担う企業

マーカーレス技術のパイオニアから、従来型モーションキャプチャの大手まで、性格の異なる10社を一覧にしました。そのあとで各社の特徴をH3で個別に解説します。

企業 技術領域 特徴
Kinescopic マーカーレス解析 東京大学発、2024年にデジタルツインサービスを開始
ナックイメージテクノロジー クラウド全自動解析 カメラシステム「AIREAL」で運動・バイオメカ解析を全自動化
Theia Markerless マーカーレス解析エンジン 「THEIA3D」が国内プロ野球団体の半数以上に導入
Qualisys 計測カメラ Miqus Videoカメラを提供、THEIA3Dと組み合わせて活用
Vicon(ヴァイコン) 従来型モーションキャプチャ 映画・研究・スポーツで使われる業界大手
アーカイブティップス マーカーレス導入支援 国内でのマーカーレス導入事例を多数持つ
エースポイントシステムズ モーションキャプチャ専業 モーションキャプチャ・画像処理を専業で扱う
SPLYZA スマホ完結型AI解析 「SPLYZA Motion」でスマホ動画からAIマーカーレス3D解析
富士通 AI動作解析 大手ITベンダーとして動作解析AI技術を開発
NTTデータ AI動作解析事業 通信インフラの知見を活かしたAI動作解析事業を展開

各社公式発表・報道情報をもとにHuman Soarが作成(2026年9月時点)。

Kinescopic|東京大学発のデジタルツイン技術

Kinescopic株式会社は、東京大学が2018年に発表したマーカーレス動作計測の研究成果をもとに、2024年からデジタルツインサービスを開始しました。学術研究から生まれた技術が実用サービスとして展開されている代表例です。

ナックイメージテクノロジー|クラウド完結の全自動解析

ナックイメージテクノロジー社は、カメラシステム「AIREAL」で撮影した映像をクラウドに送信するだけで、運動解析からバイオメカ解析までを全自動で行うサービスを提供しています。専門知識がなくても高度な解析結果を得られる点が特徴です。

Theia Markerless・Qualisys|プロ野球現場で普及するコンビ

Theia Markerless社のマーカーレス解析エンジン「THEIA3D」は、Qualisys社の「Miqus Video」カメラと組み合わせてピッチングフォームの動作解析に使われ、バイオメカニクスに基づいた詳細な解析結果を提供しています。国内プロ野球団体の半数以上に導入されるなど、実用段階での普及が進んでいます。

Vicon|映画からスポーツまで支える老舗

Vicon(ヴァイコン)は、映画のCG制作から研究機関、スポーツ現場まで幅広く使われるモーションキャプチャの老舗企業です。マーカーレス化が進む中でも、高精度が求められる研究用途では従来型システムの需要が根強く残っています。

アーカイブティップス・エースポイントシステムズ|国内導入を支える専業企業

アーカイブティップス株式会社は国内でのマーカーレスモーションキャプチャ導入事例を多数持ち、エースポイントシステムズ株式会社はモーションキャプチャ・画像処理を専業で扱う企業です。海外発の技術を国内現場に適合させる橋渡し役を担っています。

SPLYZA・富士通・NTTデータ|スマホ完結型と大手ITの参入

株式会社SPLYZAが提供する「SPLYZA Motion」は、スマートフォンで撮影した動画からAIがマーカーレスで3D動作解析を行うサービスで、専用機材を持たないチームでも導入しやすい点が特徴です。富士通、NTTデータといった大手ITベンダーも、それぞれの技術基盤を活かしたAI動作解析事業に参入しています。

Q. AIモーションキャプチャは今後どれくらい市場が拡大しますか?

3Dモーションキャプチャの世界市場は、2026年から2036年にかけて年平均成長率14.2%で拡大し、2036年には12億2,980万米ドル規模に達すると予測されています。スポーツだけでなく医療・リハビリ分野での活用拡大も成長要因です。

(参考)3Dモーションキャプチャシステム市場:2036年に12億2,980万米ドル規模へ – Panorama Data Insights Ltd.

企業がAIモーションキャプチャ市場と関わる2つの視点

Human Soarの読者である企業の経営者・健康経営担当者にとって、AIモーションキャプチャはスポーツ選手向けの技術であるだけでなく、従業員の健康管理や研修プログラムにも応用できる可能性を持っています。

健康経営における姿勢・動作チェックへの応用

カメラだけで姿勢・動作を分析できる技術は、デスクワーク中心の従業員の姿勢改善指導や、腰痛・肩こりの予防プログラムにも応用できます。専用マーカーが不要になったことで、オフィスでの手軽な健康チェックへの応用ハードルが下がっています。

リハビリ・介護分野との連携による新規事業機会

デジタルリハビリテーション市場でもAIによる動作分析の活用が広がっており、患者の回復過程を可視化する用途への応用が進んでいます。スポーツ向けに開発された技術を医療・介護分野に展開することは、企業にとって新たな事業機会になり得ます。

あわせて読みたいスポーツAIとは|活用事例・市場・課題を完全解説

Q. AIモーションキャプチャは健康経営にどう活用できますか?

カメラだけで姿勢や動作を分析できるため、デスクワーク中心の従業員向けに姿勢改善指導や腰痛・肩こり予防プログラムに応用できます。専用マーカーが不要なため、オフィスでも手軽に導入しやすい点が利点です。

まとめ|AIモーションキャプチャはマーカーレス化で応用範囲を広げる

AIモーションキャプチャは、マーカーレス化によって計測の手間とコストが下がり、プロスポーツから一般層、さらには医療・健康経営まで応用範囲を広げています。ポイントを振り返ります。

  • マーカーレス技術により、国内プロ野球団体の半数以上が動作解析システムを導入している
  • 3Dモーションキャプチャの世界市場は2036年に12億2,980万米ドル規模へ拡大すると予測される
  • Kinescopic、ナックイメージテクノロジーなど学術発・国内発の技術と、Vicon、Qualisysなど海外の老舗企業が併存する
  • SPLYZAのようなスマホ完結型サービスが専用機材のないチームにも普及を広げている
  • 企業は健康経営における姿勢・動作チェックや、リハビリ・介護分野への技術展開でこの市場と関われる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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