映像解析・トラッキングとは|主要10社の技術

映像解析・トラッキング業界の主要企業10社 スポーツDX

Jリーグの試合中継で見かける選手の走行距離やヒートマップは、専用のトラッキングシステムが生み出しているデータです。結論から言うと、この技術は国内スタジアムの映像解析システムから海外発のウェアラブルGPS、判定支援システムまで幅広く、企業が持つ役割もカメラメーカーからデータ配信会社まで多岐にわたります。本記事では主要10社の技術と、企業が関わる視点を解説します。

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Jリーグが導入したトラッキングシステムの仕組み

Jリーグでは2015年から「Tracab(トラキャブ)」というトラッキングシステムを運用しています。スタジアムに設置した専用カメラでピッチ全体を撮影し、選手・ボール・審判の動きをデータ化する仕組みで、各選手の走行距離・加速度・トップスピード・スプリント回数などが試合中にリアルタイムで得られます。同システムはリーガ・エスパニョーラ、ブンデスリーガ、プレミアリーグなど欧州主要リーグでも採用されており、国際的に標準化された技術基盤の上でデータが蓄積されています。

Q. Jリーグではどのようなトラッキングシステムが使われていますか?

2015年から「Tracab」というシステムが使われています。スタジアムに設置した専用カメラで選手・ボール・審判の動きをデータ化し、走行距離やスプリント回数などをリアルタイムで取得できます。欧州主要リーグでも同様のシステムが採用されています。

(参考)Jリーグのトラッキングシステム導入が決定しました – データスタジアム株式会社

トラッキングデータが現場に活かされるまでの循環

取得したトラッキングデータは、そのままでは選手やコーチの判断材料になりません。取得から現場活用まで一定の循環プロセスを経ることで、初めて価値が生まれます。

映像解析・トラッキングデータの活用サイクル図

カメラやウェアラブルセンサーで動きを取得したデータは伝送・蓄積され、専用ソフトウェアで解析・可視化されます。分析結果は監督・コーチ・トレーナーにフィードバックされ、次の試合の采配やトレーニング計画に反映されます。このサイクルが試合ごとに繰り返されることで、シーズンを通じたパフォーマンスの傾向まで見えるようになります。

国内主要10社の一覧比較|映像解析・トラッキング技術を担う企業

国内のトラッキング事業者から海外発の技術提供企業まで、性格の異なる10社を一覧にしました。そのあとで各社の特徴をH3で個別に解説します。

企業 技術領域 特徴
データスタジアム カメラトラッキング Jリーグへのトラッキングシステム導入を主導
CHYRONHEGO(Tracab開発元) カメラトラッキング 欧州主要リーグでも採用される国際標準技術
Catapult(カタパルト) ウェアラブルGPS 豪州発、野球など幅広い競技に展開
GPSports 衛星トラッキング ラグビー・サッカーの衛星トラッキングに強み
Sportradar データ配信 スイス本社、世界最大級のスポーツデータ配信企業
ナック 映像計測 国内スポーツ向け映像計測機器の専業企業
富士通 映像解析・判定支援 自動判定技術など映像解析システムを開発
NEC 映像解析・顔認証 スタジアムの観客動線・入場管理の映像解析に強み
パナソニック 放送用映像システム マルチアングル放送・映像制作システムを提供
ソニー(Hawk-Eye Innovations) 判定支援トラッキング テニス・クリケット等の判定システムで知られるホークアイを傘下に持つ

各社公式発表・報道情報をもとにHuman Soarが作成(2026年9月時点)。

データスタジアム・CHYRONHEGO|Jリーグ導入の中核技術

データスタジアム株式会社は2015年にJリーグへのトラッキングシステム導入を主導し、開発元である米CHYRONHEGO社の「Tracab」を国内スタジアムに展開しました。同技術は欧州主要リーグでも採用されており、国際的に標準化されたトラッキング基盤が国内にも導入されている形です。

Catapult・GPSports|ウェアラブル型トラッキングの2強

Catapult(カタパルト)は豪州発のウェアラブルGPSトラッキング企業で、サッカーだけでなく野球など幅広い競技に技術を展開しています。GPSportsも同様に衛星を使ったトラッキングシステムを提供し、ラグビーやサッカーのトップチームで導入が進んでいます。両社とも選手に装着するウェアラブル端末でカメラでは取得しにくい負荷データまで計測できる点が特徴です。

Sportradar|世界最大級のスポーツデータ配信企業

Sportradarはスイスに本社を置くスポーツデータ配信企業で、様々な競技のスコア・試合結果データを集積し、メディアやスポーツベッティング企業に提供しています。MLB・NBA・NFLなど世界的なリーグと提携しており、トラッキングデータの「配信」という川下の役割を担っています。

ナック|国内スポーツ映像計測の専業企業

株式会社ナックは、国内スポーツ向けの映像計測機器を専業で扱う企業です。海外発の大型システムとは異なり、競技団体や研究機関のニーズに合わせた計測ソリューションを提供しています。

富士通・NEC・パナソニック|大手電機メーカーの技術応用

富士通は自動判定技術など映像解析システムの開発を進め、NECはスタジアムの観客動線・入場管理における映像解析・顔認証技術に強みを持ちます。パナソニックはマルチアングル放送や映像制作システムを提供し、それぞれ自社の中核技術をスポーツ領域に応用しています。

ソニー(Hawk-Eye Innovations)|判定支援トラッキングの代表格

ソニーグループ傘下のHawk-Eye Innovationsは、テニスのライン判定やクリケットの審判支援システムで世界的に知られるホークアイ技術を持つ企業です。複数カメラの映像から3次元的にボールの軌道を再現する技術は、判定支援だけでなく分析用途にも応用されています。

Q. カメラ型とウェアラブル型のトラッキングはどう違いますか?

カメラ型はスタジアムに設置した専用カメラで選手・ボールの動きを撮影するため選手への負担がありません。一方ウェアラブル型は選手に装着するセンサーで、心拍数や筋肉への負荷といったカメラでは取得しにくいデータまで計測できます。

(参考)スポーツ×テクノロジー活用調査事業(するスポーツ)事例集 – スポーツ庁

企業が映像解析・トラッキング市場と関わる2つの視点

Human Soarの読者である企業の経営者・研修担当者にとって、映像解析・トラッキング技術はスポーツ現場向けの専門機器であるだけでなく、自社の業務改善に応用できる考え方でもあります。

安全管理・作業分析への応用

ウェアラブル型トラッキングで培われた「負荷を可視化して過労や怪我を防ぐ」という発想は、工場や物流現場の作業員の安全管理にも応用が進んでいます。スポーツ由来の技術を自社の労務管理に取り入れる視点は、企業にとって新しい着眼点になります。

研修・チームビルディングでの映像分析活用

トラッキングデータを使ったプレー分析の考え方は、企業研修における行動観察・フィードバックの手法としても応用できます。実際の映像データを使って「見える化」する体験は、通常の座学研修にはない説得力を持ちます。

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Q. スポーツのトラッキング技術は他業種にも応用できますか?

はい。負荷を可視化して怪我や過労を防ぐという発想は、工場や物流現場の安全管理に応用が進んでいます。映像分析の手法も企業研修における行動観察・フィードバックに活用できます。

まとめ|映像解析・トラッキングはスポーツと企業活動をつなぐ技術

映像解析・トラッキング技術は、Jリーグのようなプロスポーツの現場から、企業の安全管理・研修まで応用範囲を広げています。ポイントを振り返ります。

  • Jリーグは2015年から「Tracab」を導入し、選手・ボールの動きをリアルタイムでデータ化している
  • データは「取得→伝送→解析→フィードバック→活用」という循環を経て現場の判断に活かされる
  • データスタジアム、CHYRONHEGOなどカメラ型と、Catapult、GPSportsなどウェアラブル型が二大潮流である
  • 富士通・NEC・パナソニックなど大手電機メーカーも自社技術を応用して参入している
  • 企業は安全管理・作業分析や研修・チームビルディングへの応用でこの技術と関われる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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