福井ブローウィンズは2022年5月に設立されたクラブです。まだ4年しか経っていません。それでいて、パートナー一覧に並ぶ企業は249社あります。
もっと驚いたのは決算のほうでした。スポンサー収入9億8995万円は、B2の14クラブで1位。しかも、B1で観客動員トップクラスの宇都宮ブレックスとほぼ同額です。数字を順に追っていきます。
福井ブローウィンズのスポンサーは249社、掲載は延べ253枠

クラブ公式サイトの「オフィシャルパートナー」ページを2026年9月23日に取得し、掲載枠を数えました。結果は延べ253枠です。
重複は4件でした。株式会社ヤスサキ(SILVERとOFFICIAL SUPPLIER)、オートランドウエジマ(BRONZEとOFFICIAL SUPPLIER)、SPORTS BAL Moles(BLOWINDS PARTNERに表記違いで2回)、そして日華化学株式会社(GOLDと、BRONZEにブランド名の「デミ コスメティクス」で)です。これを差し引いて実数は249社になります。
階層はPLATINUM・DIAMOND・GOLD・SILVER・BRONZEの5段に、OFFICIAL SUPPLIERとBLOWINDS PARTNERを加えた7つ。名前の付け方は宝石の階梯で、順番に迷いがありません。この点は、区分の性格がばらばらだったアルビレックス新潟の21区分とは対照的です。
最上位のPLATINUM PARTNERは株式会社サイバーエージェント1社だけです。福井のクラブの最上位に東京の企業が単独で入っているのは、一覧を開いてまず目につくところでした。
Q. 自治体は入っていますか。
福井県がDIAMOND PARTNERに入っています。上から2番目の階層です。市町村の名前は一覧にありません。なお福井県はこれとは別に、県の制度でもこのクラブを支援しています(後述)。
7つの階層は、そのままユニフォームの掲出位置に対応している
階層ごとの枠数と、ユニフォームのどこに出るのかを並べます。掲出位置はクラブが公開している2026-27ユニフォームの写真から確認しました。
| 階層 | 枠数 | ユニフォームでの掲出(確認できた分) |
|---|---|---|
| PLATINUM PARTNER | 1枠 | 胸(サイバーエージェント) |
| DIAMOND PARTNER | 9枠 | 右肩(アトム)、背面下部(福井コンピュータ) |
| GOLD PARTNER | 12枠 | — |
| SILVER PARTNER | 50枠 | — |
| BRONZE PARTNER | 46枠 | — |
| OFFICIAL SUPPLIER | 10枠 | アンダーアーマー(用具供給) |
| BLOWINDS PARTNER | 125枠 | — |
出典:福井ブローウィンズ「オフィシャルパートナー」および「2026-27ユニフォーム特設ページ」より筆者作成。掲出位置はユニフォーム写真で確認できたもののみ記載
ホームユニフォームの胸にはCyberAgentのロゴが大きく入ります。右肩がATOM CORPORATION、背面の名前の下がFUKUI COMPUTER。左肩はBリーグのワッペンとりそなグループで、これはリーグ側の枠です。
つまりユニフォームに載るのはPLATINUMとDIAMONDだけで、GOLD以下の243枠は別の場所での露出になります。階層が価格の順であることはクラブが明言していませんが、掲出の重さがこの順に並んでいることは写真から確認できます。
掲載枠数で見ると、いちばん多いのはBLOWINDS PARTNERの125枠で、全体の49%を占めます。SILVER 50枠とBRONZE 46枠を足すと221枠、全体の87%が下位3階層という構成です。
Q. BLOWINDS PARTNERはどういう階層ですか。
クラブは内容を説明していません。ページ上はBRONZEの下、OFFICIAL SUPPLIERの後ろに置かれ、125枠と最多です。名前からも位置からも、地元企業が入りやすい層だと読めますが、具体的なメリットは公表資料からは分かりません。
(参考)2026-27 ユニフォーム特設ページ – 福井ブローウィンズ
決算で見ると、スポンサー収入はB2の14クラブで1位

B.LEAGUEが開示した2024-25シーズンの決算で、福井ブローウィンズのスポンサー収入は9億8995万円でした。同じ年のB2平均は5億1814万円ですから、平均の1.91倍です。
開示されているB2の14クラブと並べると、この金額は1位でした。2位は神戸ストークスの8億1700万円、3位はライジングゼファー福岡の8億1489万円。営業収入では信州、アルティーリ千葉に次ぐ3位ですが、スポンサー収入だけは頭ひとつ抜けています。
もうひとつ並べておきたい数字があります。この連載で前に扱ったB1の宇都宮ブレックスは、同じ2024-25シーズンのスポンサー収入が9億9862万円でした。福井との差は867万円です。営業収入では宇都宮31億9552万円に対して福井13億4238万円と2.4倍の開きがあるのに、スポンサー収入だけがほぼ並んでいます。
Q. 集客はどうなっていますか。
入場料収入は1億6122万円で、B2平均1億3224万円の1.22倍です。平均は上回っていますが、スポンサー収入ほどの差はありません。ホームアリーナはセーレン・ドリームアリーナ(福井県営体育館)、福井市体育館、越前市アイシンスポーツアリーナの3つに分かれています。
(参考)B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要 B2クラブ(PDF) – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
営業収入の73.7%がスポンサー収入という構成
決算全体をB2平均と並べます。
| 項目 | 福井ブローウィンズ | B2平均 |
|---|---|---|
| 営業収入 | 13億4238万円 | 8億9925万円 |
| スポンサー収入 | 9億8995万円 | 5億1814万円 |
| 入場料収入 | 1億6122万円 | 1億3224万円 |
| 物販収入 | 7791万円 | 5932万円 |
| ユース・スクール関連収入 | 4204万円 | 3508万円 |
| 試合関連経費 | 2億7321万円 | 1億6670万円 |
| トップチーム人件費 | 5億6963万円 | 3億2775万円 |
| 営業利益 | 5367万円 | 1564万円 |
| 当期純利益 | 1221万円 | 2229万円 |
出典:B.LEAGUE「2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要 B2クラブ」より筆者作成。千円単位の開示値を万円に換算した
営業収入13億4238万円のうち、スポンサー収入が73.7%を占めます。B2平均は57.6%ですから、収入の中身がスポンサーに寄ったクラブです。入場料は12.0%、物販は5.8%にとどまります。
この偏りには良い面と危うい面の両方があります。設立4年でこれだけの協賛を集められたのは、地元でクラブが受け入れられている証拠です。一方で、協賛が景気や1社の判断に左右されやすい収入であることも確かです。入場料や物販のように、来場者が増えれば自然に積み上がる収入の比率はまだ小さい状態です。
費用側では、試合関連経費2億7321万円がB2平均1億6670万円の1.64倍と目立ちます。ホームアリーナが3会場に分かれていることと無関係ではなさそうですが、内訳は開示されていないので推測にとどめます。
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Q. 利益は出ていますか。
営業利益5367万円でB2平均1564万円を上回っています。ただし当期純利益は1221万円で、B2平均2229万円を下回りました。営業段階では平均以上、最終段階では平均以下という形です。
(参考)B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要 B2クラブ(PDF) – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
スポンサー1社あたりは約398万円

スポンサー収入9億8995万円を249社で割ると、単純平均で1社あたり約398万円です。この連載で同じ計算をしてきたクラブのなかでは7番目になります。
注目したいのは、B1の宇都宮ブレックス(約263万円)より高いことです。宇都宮は380社に分散しているのに対し、福井は249社でほぼ同じ金額を集めています。社数が少ないぶん1社あたりが大きい、という構図です。
いつもの注意書きを添えておくと、実際には上位数社が大半を占めるので、大多数の企業はこの平均よりずっと下です。福井の場合、PLATINUMとDIAMONDの10社と、BLOWINDS PARTNERの125社では金額が桁違いだと考えるのが自然でしょう。
Q. 協賛金は経費としてどう扱われますか。
国税庁は、不特定多数への宣伝的効果を意図した費用は広告宣伝費、特定の取引先などを接待・供応する費用は交際費等にあたるという区分を示しています。ユニフォームや会場への掲出は前者に近く、招待券を取引先に配る使い方は後者に近づきます。同じ協賛でも使い方で扱いが変わりうるので、実際の処理は顧問税理士に確認してください。
(参考)No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分 – 国税庁
金額は公開されていない。公開されているのは階層の名前と社名だけ
「福井ブローウィンズ スポンサー 料金」で調べる人のために書いておくと、階層ごとの金額は公表されていません。公式サイトのパートナーページにあるのは階層の名前とロゴ、社名、リンク先だけです。申込みの案内や資料請求のページも見当たりませんでした。
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 階層の構成と社名 | 公開されている(7階層・253枠) |
| ユニフォームの掲出位置 | 写真で確認できる(胸・右肩・背面下部) |
| 階層ごとの年間金額 | 公開されていない |
| 階層ごとの特典内容 | 公開されていない |
| パートナー募集の申込ページ | 公式サイトには見当たらない(問い合わせフォーム経由) |
出典:福井ブローウィンズ公式サイト(2026年9月23日時点)を筆者が確認して作成
この連載で金額を公開していたクラブと比べると、小口の相場はロアッソ熊本のサポートカンパニーが年20万〜70万円、千葉ジェッツのブーストカンパニーが年15万円(税別)、鹿児島ユナイテッドFCのブロンズが年6万6000円(税込)でした。福井の下位階層がこの範囲に入るかどうかは、公表資料からは分かりません。
Q. 249社という数から金額を逆算できませんか。
できるのは全体の平均(約398万円)までです。階層ごとの金額を推定するには、各階層の単価か、せめて上位数社の契約額が要ります。どちらも公表されていないので、この記事では推定しません。
ファンが買うレプリカには、スポンサーロゴが入らない
ユニフォームの販売ページに、スポンサーの立場から見ておきたい記述がありました。オーセンティックとレプリカの違いです。
| 項目 | オーセンティック | レプリカ |
|---|---|---|
| 位置づけ | 選手が試合で着用するプロ仕様 | 縫製を簡素化した安価版 |
| パートナーロゴ | あり | なし |
| Bリーグワッペン | 鎖骨に付く | 付かない |
| 生地 | パンチ(穴あき)加工で通気性・速乾性が高い | 耐久性重視の厚手 |
| 価格 | ホーム・ネーム&ナンバーなしで2万4200円(税込) | オーセンティックより安価 |
出典:福井ブローウィンズ「2026-27ユニフォーム特設ページ」より筆者作成
ユニフォーム広告の価値を考えるとき、試合中継や会場での露出だけを見がちです。しかしファンが着て街を歩くレプリカには、スポンサーのロゴが入りません。掲出の母数は「選手が着る枚数+オーセンティックを買った人」であって、レプリカの購入者は含まないことになります。
これは福井に限った話ではなく、バスケットボールのユニフォーム販売では一般的な区分です。ただしクラブによって扱いが違うので、ユニフォーム広告を検討するなら、レプリカにロゴが入るかどうかは確認しておく価値があります。
Q. どちらが多く売れるのですか。
販売数は公表されていません。分かるのは、オーセンティックのホーム(ネーム&ナンバーなし)が2万4200円で、レプリカのほうが安価だということだけです。価格差から考えればレプリカのほうが数は出そうですが、根拠のある数字ではありません。
(参考)2026-27 ユニフォーム特設ページ – 福井ブローウィンズ
福井県は、パートナーであると同時に県の制度でも支援している
福井県はDIAMOND PARTNERとして一覧に載っています。それとは別に、県は「ふくい県民応援チーム」という制度を持っていて、福井ブローウィンズはその指定チームの1つです。
県の公表資料によれば、指定されているのは福井ブローウィンズ、福井永平寺ブルーサンダー、福井ユナイテッドFC、福井丸岡RUCK、ヴェルコスタ福井、福井工業大学男子ホッケー部の6チーム。プロ化を目指すチームや全国規模のトップリーグで活躍する県内チームが対象です。
県が行う支援はふるさと納税の活用で、個人版と企業版の両方が対象になっています。寄附は指定チームの強化・育成、広報活動に充てられると書かれています。
つまり福井県は、協賛企業としてクラブに直接お金を出す一方で、県外からの寄附をクラブへ流す導管にもなっているということです。企業から見ると、協賛のほかに企業版ふるさと納税という入口があることになります。この二段構えは、連載で見てきたなかでも珍しい形でした。
Q. 企業版ふるさと納税と協賛は、どちらが有利ですか。
目的が違うので比べるものではありません。協賛は広告・権利の対価として掲出や特典を受け取る取引で、企業版ふるさと納税は自治体への寄附です。税務上の扱いも別で、後者は地方創生応援税制の要件に沿った寄附になります。どちらを選ぶかは、露出が欲しいのか寄附として扱いたいのかで決まります。制度の要件は県の案内と顧問税理士で確認してください。
(参考)福井ブローウィンズ – 福井県スポーツ情報ポータルサイト
設立4年のクラブが、ここまで来た
最後に、このクラブの短い歴史を整理しておきます。
2022年5月設立、運営会社は株式会社福井ブローウィンズ
クラブ概要によれば、運営会社は株式会社福井ブローウィンズ。設立は2022年5月で、所在地は福井県福井市栂野町第15号1番地2、代表取締役は湯本眞士氏です。福井県初のプロバスケットボールクラブとして立ち上がりました。
クラブのビジョンは「福井をもっとにぎやかな場所にするべく、福井の人々の背中を押す存在となる」。スローガンは「ともに巻き起こそう、とてつもない旋風を。」で、クラブ名の「BLOWINDS」も風に由来しています。
ホームアリーナは3つに分かれている
福井県スポーツ情報ポータルサイトによれば、ホームアリーナはセーレン・ドリームアリーナ(福井県営体育館)、福井市体育館、越前市アイシンスポーツアリーナの3つです。1つの本拠地に固定されていないぶん、県内の広い範囲で試合が行われることになります。
興味深いのは、県営体育館の命名権を持つセーレン株式会社が、クラブのパートナー一覧には入っていないことです。会場の名前と、クラブの協賛企業が別々に決まっている形になります。
2026-27シーズンはB.ONE北地区
Bリーグは2026-27シーズンから新しいリーグ構造へ移行しました。福井ブローウィンズが戦うのはB.ONE北地区です。設立から4年で、リーグの2部カテゴリーに位置しています。
スポンサーの側から見ると、ここがひとつの判断材料になります。協賛の価値は露出の量で決まり、露出はカテゴリーと集客に左右されます。スポンサー収入がすでにB2で1位だということは、上のカテゴリーを前提に評価されている面があるとも読めます。今後どこまで上がるのかは、協賛を検討する企業にとっても関心事でしょう。
Q. いま協賛を検討するなら、何から見ればよいですか。
金額が非公開なので、まずは問い合わせになります。そのうえで確認しておきたいのは3つです。ユニフォームに載るのはPLATINUMとDIAMONDだけであること、レプリカにはロゴが入らないこと、そして試合が3会場に分かれていること。どの会場の何試合で露出するのかは、金額を比べる前に押さえておく項目です。
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