アスリートの食事メニュー|1日・1週間の献立例と社食への応用

アスリートの食事メニュー、1日と1週間の献立例の解説 スポーツ栄養学

練習のあとに何を食べるか、試合の前日は何を避けるか。アスリートの食事メニューは、種目や練習量で細部が変わるものの、毎日の土台になる型は共通しています。

この記事では、日本スポーツ振興センター(JSC)が示す基本の食事の型をもとに、必要エネルギーの目安、練習日と試合前日の1日の献立例、1週間を簡単に回すコツ、社員食堂への応用までをまとめます。基礎知識から押さえたいときはスポーツ栄養学とは|マクロ栄養素・水分補給・資格もあわせてどうぞ。

アスリートの食事メニューは5つの料理を毎食そろえる型が基本

アスリートの食事の基本、毎食そろえる5つの料理を役割別に分けた図

JSCは、アスリートの食事の基本を「主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物の5つを毎食そろえる」ことだと示しています。この5つがそろえば、必要なエネルギーと栄養素をとれるという考え方です。メニューを考えるときは、まずこの5つの枠を埋めるところから始めます。

主食|からだを動かすエネルギー源

ご飯、パスタ、パン、麺類などの炭水化物が主食です。練習量が多い日ほど量を増やします。ご飯1杯(200g)に含まれる糖質は約75gなので、量の増減を杯数で数えると調整しやすくなります。

主菜|筋肉・骨・血液をつくる

卵、魚、豆腐、肉などのたんぱく質源が主菜です。毎食1品はそろえ、肉だけに偏らないよう魚や卵、大豆製品を日替わりで入れます。

副菜|体調を整える

野菜、きのこ、海藻などのビタミン・ミネラル源が副菜です。1食に2品程度をめやすにすると、品数を意識しやすくなります。

牛乳・乳製品|骨づくりに欠かせない

カルシウムとたんぱく質をとれる牛乳・ヨーグルト・チーズです。毎食に1品足すと、5つの枠がそろいます。

果物|疲労回復とコンディショニング

ビタミンCと炭水化物をとれる果物は、疲労回復やコンディション調整に役立ちます。バナナやみかんなど、皮をむくだけで食べられるものを常備しておくと続けやすくなります。

(参考)アスリートの食事の基本 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター

(参考)スポーツと糖質〜アスリートの基本の食事〜 – 独立行政法人農畜産業振興機構

必要エネルギーの目安|食事摂取基準と主食量の考え方

献立を組む前に、1日にどれくらい食べるかの目安を押さえます。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」には、年代・性別・身体活動レベル別の推定エネルギー必要量が示されています。

年代・性別 身体活動レベル「低い」 「ふつう」 「高い」
18〜29歳 男性 2,250kcal 2,600kcal 3,000kcal
18〜29歳 女性 1,700kcal 1,950kcal 2,250kcal
30〜49歳 男性 2,350kcal 2,750kcal 3,150kcal
30〜49歳 女性 1,750kcal 2,050kcal 2,350kcal

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の参考表「推定エネルギー必要量(kcal/日)」。健康な個人及び集団を想定した基準で、アスリート向けに作られたものではありません。

アスリートは競技や練習量によって、この表の「高い」を上回る場合があります。農畜産業振興機構の解説では、アスリートは1日に必要なエネルギーの6割以上を糖質からとる目安が紹介されています。たとえば1日3,000kcalが必要なら、そのうち1,800kcalを糖質でとる計算で、糖質は450gです。ご飯1杯(200g)の糖質は約75gなので、ご飯に換算すると1日6杯程度に相当します。

これを朝・昼・夕の3食と補食に振り分けると、1回にご飯1〜2杯をとる計算になります。体重や疲労感の変化を見ながら、量を増減してください。

Q. アスリートの1日のカロリーはどれくらいですか

一般の成人でも、18〜29歳の男性で身体活動レベルが「高い」場合は1日約3,000kcalが目安です(食事摂取基準2025年版)。アスリートは種目・体格・練習量で必要量が大きく変わるため、体重や疲労感の変化を見ながら調整し、必要に応じて管理栄養士に相談してください。

(参考)日本人の食事摂取基準 – 厚生労働省

1日の献立例|練習日と試合前日の違い

5つの料理をそろえる型を、実際の1日のメニューに落とし込むとこうなります。練習日は主食を多めにして回復を意識し、試合前日は消化のよさと食べ慣れたものを優先します。

食事 練習日の例 試合前日の例
朝食 ご飯(大盛り)、卵焼き、納豆、具だくさんの味噌汁、ヨーグルトとバナナ ご飯、焼き鮭、卵、味噌汁、果物
昼食 鶏の照り焼き定食(ご飯、野菜の小鉢2品)、牛乳 鶏と野菜のうどん(具は控えめ)、おにぎり、バナナ
補食 おにぎり1〜2個、果物 もちまたはおにぎり、100%果汁
夕食 ご飯、焼き魚、豚汁、ほうれん草のおひたし、冷奴、みかん ご飯(多め)、白身魚の煮つけ、野菜の煮物、味噌汁、ヨーグルト、果物

出典:JSCが示す5つの料理の考え方をもとに、Human Soarが作成した献立例です。個人の体格・競技・アレルギーに合わせた調整は、管理栄養士に確認してください。

試合前日の考え方は、主食を普段より多くして、揚げ物や生もの、食物繊維の多いものは控えめにすることです。脂質や食物繊維は消化に時間がかかり、当日の胃腸の調子に響くことがあります。新しい食材を試さず、食べ慣れたものを選ぶのも大切なポイントです。

Q. 試合前日は何を食べればよいですか

主食を普段より多めにして、脂っこいものや生ものは控えめにするのが基本です。食べ慣れたメニューを選び、新しい食材は試さないのが安全です。胃腸への負担が少ない、うどんやおにぎり、白身魚などが選びやすい組み合わせです。

1週間の献立を簡単に回す|主菜のローテーションと作り置き

毎日メニューをゼロから考えると続きません。主食と汁物は固定し、主菜だけを日替わりにすると、1週間の献立が一気に簡単になります。

曜日 主菜 副菜 汁物・補足
月 鶏むねの照り焼き ブロッコリーとにんじんの蒸し野菜 味噌汁・ヨーグルト
火 鮭の塩焼き ほうれん草のおひたし 豚汁・みかん
水 豚肉の生姜焼き キャベツとトマトのサラダ 味噌汁・牛乳
木 豆腐と卵の炒め物 ひじきの煮物 味噌汁・バナナ
金 サバの味噌煮 きのこのソテー 味噌汁・ヨーグルト
土 親子丼 わかめと胡瓜の酢の物 具だくさんの味噌汁・果物
日 牛肉と野菜の炒め物 かぼちゃの煮物 味噌汁・牛乳

出典:Human Soarが作成した週間献立の例です。実際の量は、前の章の目安を参考に調整してください。

コツは3つあります。主食と汁物を固定すること、主菜を肉・魚・卵と大豆製品で回すこと、副菜を日曜にまとめて作り置きすることです。副菜のストックがあれば、平日は主菜を焼くだけで5つの料理がそろいます。調理の時間がとれない場合は、置き型社食のような仕組みで副菜を補う方法もあります。

あわせて読みたい置き型社食サービス10選|健康経営担当者向け比較›

Q. 簡単に作れるアスリートの食事メニューはありますか

丼ものに具だくさんの味噌汁を合わせる形が簡単です。たとえば、鶏肉と野菜をのせた親子丼にヨーグルトと果物を添えれば、主食・主菜・副菜・乳製品・果物の5つが短時間でそろいます。

社員食堂と企業の栄養サポートに応用する

社員食堂をアスリート対応にするときの確認項目チェックリスト

実業団や企業スポーツ部の栄養管理でも、社員食堂のメニュー設計でも、考え方は同じです。アスリート専用の食堂をゼロから用意しなくても、既存のメニューを5つの料理の枠で見直すだけで、対応の幅は大きく広がります。

たとえば、主食の量を選べるようにするだけで、練習量の違う選手に対応できます。企業が栄養サポートを導入するときの進め方はアスリート式食事管理を企業が導入する方法に、研修の形で取り入れるならスポーツ栄養士の企業研修の内容と効果にまとめています。

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まとめ|アスリートの食事メニューは型を決めれば続けやすい

ここまでの内容を、5つのポイントに絞って振り返ります。

  • アスリートの食事は、主食・主菜・副菜・牛乳乳製品・果物の5つを毎食そろえるのが基本です。
  • 1日のエネルギーの6割以上を糖質でとる目安があり、1日3,000kcalなら糖質450g(ご飯6杯程度)が1つの目安になります。
  • 練習日は主食を多めに、試合前日は消化のよさと食べ慣れたものを優先して献立を組みます。
  • 主食と汁物を固定し、主菜だけを日替わりにすると、1週間の献立は簡単に回せます。
  • 社員食堂や栄養サポートでも、5つの料理の枠でメニューを見直すところから始められます。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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