スポーツ栄養学の本を選ぶときは、読む目的を先に決めると迷いません。この記事では、出版社や学会のページで書名・価格・ページ数を確認できた11冊を、体系書、入門・実践書、ジュニア・食事づくりの3グループに分けて比較します。
11冊の価格の中央値は2,200円で、1ページあたりの価格の中央値は約10.3円でした。部活動や実業団の指導者、企業で栄養サポートを担当する方が、最初の1冊と次の1冊を決められるように、選ぶ基準から整理します。
スポーツ栄養学のおすすめ本の選び方|4つの基準で11冊を整理
スポーツ栄養学の本は、同じ書名でも想定する読者と深さが大きく違います。本記事では、次の4つの基準で、11冊をグループに分けました。
| 基準 | 確認すること | この記事での分け方 |
|---|---|---|
| 想定する読者 | 専門家向けか、指導者・保護者向けか、選手本人向けか | 体系書/入門・実践書/ジュニア・食事づくり |
| 根拠の示し方 | 研究データを軸にするか、現場の指導経験を軸にするか | 監修や編者の立場、章立てから判断 |
| 実践のしやすさ | レシピ、献立、目的別の食事計画があるか | レシピや食事計画の有無 |
| 価格とページ数 | 1冊の価格と、1ページあたりの価格 | 1ページあたりの価格を算出 |
出典:Human Soarによる整理です。表の分け方は、各書籍の出版社ページの内容紹介と目次をもとにしています。
なお、スポーツ栄養学の全体像を先に確認したい場合は、スポーツ栄養学とは|マクロ栄養素・水分補給・資格を解説が参考になります。
(参考)スポーツ栄養学・栄養サポート等の関連書籍 – 日本スポーツ栄養協会
(参考)スポーツ栄養に関連する書籍・出版物の紹介 – 日本スポーツ栄養学会
Q. スポーツ栄養学の最初の1冊は何を選べばよいですか
指導の現場で使うなら、食事の基本から試合前の計画までをまとめた入門書が向いています。この記事の表では、1ページあたり約9円と手頃で、ジュニアから成人まで対象にした『最新改訂版 アスリートのためのスポーツ栄養学』が候補になります。根拠を深く確認したい場合は、体系書から選んでください。
11冊の比較表|価格とページ数から1ページあたりの価格を算出
| 書名 | 出版社 | 発行年月 | 価格(税込) | ページ数 | 1ページあたり |
|---|---|---|---|---|---|
| スポーツ栄養学(ルイーズ・バーク編著) | 大修館書店 | 2023年9月 | 9,570円 | 546 | 約17.5円 |
| スポーツ栄養学 第2版(寺田新) | 東京大学出版会 | 2024年10月 | 3,740円 | 464 | 約8.1円 |
| エッセンシャル スポーツ栄養学(日本スポーツ栄養学会監修) | 市村出版 | 2020年3月 | 3,080円 | 292 | 約10.5円 |
| アスリートの栄養アセスメント(田口素子・石津達野編) | 第一出版 | 2024年9月 | 3,080円 | 184 | 約16.7円 |
| 最新改訂版 アスリートのためのスポーツ栄養学(柳沢香絵監修) | Gakken | 2021年7月 | 1,760円 | 192 | 約9.2円 |
| スポーツ栄養学がわかる(杉浦克己) | 大修館書店 | 2021年10月 | 2,420円 | 288 | 約8.4円 |
| 理論と実践 スポーツ栄養学(鈴木志保子) | 日本文芸社 | 2018年7月 | 2,200円 | 224 | 約9.8円 |
| 基礎から学ぶ!スポーツ栄養学(鈴木志保子) | ベースボール・マガジン社 | 2008年5月 | 1,760円 | 192 | 約9.2円 |
| 女子栄養大学のスポーツ栄養教室(上西一弘) | 女子栄養大学出版部 | 2020年3月 | 1,430円 | 96 | 約14.9円 |
| 10代スポーツ選手の栄養と食事(川端理香) | 大泉書店 | 2009年7月 | 1,980円 | 160 | 約12.4円 |
| アスリートとスポーツ愛好家のためのレシピ(鈴木志保子監修) | 食品産業新聞社 | 2018年12月 | 2,200円 | 214 | 約10.3円 |
出典:各出版社・学会のページに掲載された書名、発行年月、価格、ページ数をもとに、Human Soarが1ページあたりの価格を算出しました。価格は確認時点の表示で、改定される場合があります。『基礎から学ぶ!スポーツ栄養学』と『理論と実践 スポーツ栄養学』、『アスリートとスポーツ愛好家のためのレシピ』は、日本スポーツ栄養協会のページに掲載された情報です。
1ページあたりの価格が最も低いのは『スポーツ栄養学 第2版』の約8.1円で、464ページの専門書にもかかわらず入門書並みの水準でした。最も高いのは、546ページで9,570円の『スポーツ栄養学』(約17.5円)で、国立スポーツ科学センターが監修する大型の翻訳書です。
数値の古さにも注意が必要です。厚生労働省の日本人の食事摂取基準は5年ごとに改定され、2025年版の使用期間は令和7年度から令和11年度です。2008年発行の本のように発行から年数がたった本は、基準の数値を最新版と照らして使ってください。
価格だけで見ると、1,430円の『女子栄養大学のスポーツ栄養教室』が最も手に取りやすい一冊ですが、96ページと薄いため、1ページあたりでは約14.9円です。ページ数の違いを踏まえて、読む目的に合う深さかを確認してください。
体系書・専門書4冊|根拠を確認したい指導者と担当者向け
体系書は、研究に基づく知識を幅広くまとめた本です。指導方針の根拠を確認したいときや、公認スポーツ栄養士を目指す方の学習に向いています。
スポーツ栄養学(ルイーズ・バーク編著)|国際的な標準書の日本語版
世界的な権威であるルイーズ・バーク博士が編著した『Clinical Sports Nutrition』第5版の日本語訳です。大修館書店は「スポーツ栄養学のバイブル」と位置づけています。基礎編で生理学、食事評価、体格評価を扱い、応用編でたんぱく質、減量、摂食障害、水分補給、リカバリーなどを網羅しています。3部構成で546ページあり、通読よりも調べ物の辞書として使う本です。
スポーツ栄養学 第2版(寺田新)|細胞・分子レベルから食事の役割を解説
運動選手のパフォーマンス向上と健康維持における食事の役割を、細胞や分子のレベルから解説した本です。第2版では、初版にはなかった微量栄養素やビタミン・ミネラルの情報を加え、腸内細菌と運動の関係なども新しい項目に加わりました。「なぜその食事がよいのか」を理屈で確認したい人に向いています。
エッセンシャル スポーツ栄養学|公認スポーツ栄養士の新カリキュラムに対応
日本スポーツ栄養学会が監修し、髙田和子さん、海老久美子さん、木村典代さんが編集した本です。出版社は、アスリート自身が望ましい食生活を送れるよう支援することを重視し、公認スポーツ栄養士養成の新しいカリキュラムに基づいて構成したと紹介しています。図127点、表93点を収めた292ページです。
アスリートの栄養アセスメント|選手の栄養状態を評価する方法を整理
早稲田大学の田口素子さんと石津達野さんが編集した、2024年9月発行の本です。パフォーマンス向上を目指して栄養アセスメントの知識を整理し、見開きで完結する構成で、図表や写真が多く載っています。184ページと、体系書のなかでは薄めです。選手の食事を評価する場面を担当する方に向いています。
あわせて読みたいスポーツ栄養士の企業研修|内容と効果を解説›
Q. 古い発行年のスポーツ栄養学の本は使えますか
基礎の考え方は長く使えますが、数値は改定されます。厚生労働省の日本人の食事摂取基準は5年ごとに改定され、最新の2025年版の使用期間は令和7年度から令和11年度の5年間です。この記事で最も古い本は2008年発行なので、数値の部分は最新の基準と照らし合わせて確認してください。
入門・実践書5冊|指導の現場で最初に手に取る本
入門・実践書は、栄養素の基本から試合前の食事計画までを、短い時間で読める形にまとめた本です。部活動やチームの指導で、最初に読む1冊を探している方に向いています。
最新改訂版 アスリートのためのスポーツ栄養学|ジュニアから成人まで
柳沢香絵さん監修で、ジュニアから成人まで対象にした本です。栄養素の基本、強いからだをつくる食事、試合に向けた食事計画、目的別の食事計画、食品の栄養素データ集の6パートで構成されます。刊行時点の日本食品標準成分表と日本人の食事摂取基準の最新データに対応した、192ページで1,760円の一冊です。
スポーツ栄養学がわかる(杉浦克己)|現場の経験と科学的な視点を両立
杉浦克己さんが、多くのアスリートを支えてきた経験と科学的な視点を合わせて解説した本です。試合前の食事、減量、けがからの回復、チームスポーツ、サプリメントのほか、ジュニア・女性・高齢者への栄養指導、食品表示、遺伝子ドーピングまで扱います。1ページあたり約8.4円で、幅広いテーマを288ページで読めます。
理論と実践 スポーツ栄養学と基礎から学ぶ!スポーツ栄養学(鈴木志保子)
日本スポーツ栄養協会の関連書籍として掲載されている、鈴木志保子さんの2冊です。『理論と実践 スポーツ栄養学』は2018年発行の224ページ、『基礎から学ぶ!スポーツ栄養学』は2008年発行の192ページで、日本スポーツ栄養学会は後者を初学者向けの基礎解説と紹介しています。後者は発行から年数がたつため、食事摂取基準の数値は最新のものと照らし合わせてください。
女子栄養大学のスポーツ栄養教室(上西一弘)|目的別と競技タイプ別に解説
上西一弘さんのセミナーを書籍化した本で、筋力強化から疲労回復までの6つの目的別と、4つの競技タイプ別に解説しています。乳製品、納豆、レバーを使ったレシピとQ&Aも載る96ページで、1,430円と11冊のなかで最も安い本です。まず全体をざっと確認したい人に向いています。
(参考)最新改訂版 アスリートのためのスポーツ栄養学 – Gakken
(参考)女子栄養大学のスポーツ栄養教室 – 女子栄養大学出版部
ジュニア・食事づくりの2冊|成長期の選手と家庭の食事を支える本
ジュニア世代の指導や、チームで食事を提供する場面では、理論書よりも、場面別の食事例やレシピが載った本が役立ちます。
10代スポーツ選手の栄養と食事(川端理香)|成長期の注意点と場面別の食事
大泉書店から2009年7月に発行された160ページの本です。成長期の注意点、けがや減量中の食事、試合前の食事など、場面と競技の違いに応じた栄養と食事を扱っています。発行から年数がたつため、数値は最新の基準で確認しながら使ってください。
アスリートとスポーツ愛好家のためのレシピ(鈴木志保子監修)|公認スポーツ栄養士のレシピ集
日本スポーツ栄養協会の協力で、鈴木志保子さんが監修した214ページのレシピ集です。同協会は公認スポーツ栄養士による実践的なレシピ集と紹介しています。選手に食事を出す側が、毎日の献立に落とし込むときの参考になります。
Q. スポーツ栄養学の本を読むだけで現場で指導できますか
本は知識を得る手段で、個々の選手への指導は、体格や競技、目標に合わせた個別の設計が必要です。選手の食事を継続して支える場合は、公認スポーツ栄養士など専門家への相談も検討してください。国立スポーツ科学センターの栄養相談室でも、公認スポーツ栄養士・管理栄養士がアスリートの栄養相談を行っています。
目的別の選び方|最初の1冊を決める流れ

最初の1冊は、読む目的から逆算すると選びやすくなります。根拠や研究データを確認したいなら体系書、指導の基礎を学びたいなら入門・実践書、毎日の食事を整えたいならジュニア・食事づくりの本から選んでください。
指導の現場で迷ったら、『最新改訂版 アスリートのためのスポーツ栄養学』のような、食事の基本から試合前の計画までを1冊でまとめた入門書から始め、必要になった分野だけ専門書で確認する順番が無理なく進められます。
企業で従業員の栄養サポートを担当する場合は、スポーツ選手向けの知識を、一般の働く人の食事管理にどう移すかを考える必要があります。企業での導入の進め方はアスリート式食事管理を企業が導入する方法で、栄養管理アプリの選び方はスポーツ栄養管理アプリ比較|チーム導入の選び方4軸で解説しています。
あわせて読みたいタンパク質摂取タイミングで整える健康経営のリカバリー戦略›
まとめ|スポーツ栄養学の本は目的と深さで選ぶ
ここまでの内容を、5つのポイントに絞って振り返ります。
- 確認できた11冊の価格の中央値は2,200円、1ページあたりの価格の中央値は約10.3円です。
- 根拠を確認したいときは、『スポーツ栄養学』(バーク)、『スポーツ栄養学 第2版』(寺田)などの体系書を辞書的に使います。
- 指導の最初の1冊は、食事の基本から試合前の計画までまとまった入門・実践書が向いています。
- ジュニアの指導や献立づくりでは、場面別の食事例やレシピが載った本が役立ちます。
- 発行年が古い本は、食事摂取基準などの数値を最新の基準で確認してから使ってください。
FREE DOCUMENT
関連する資料を無料でダウンロード
ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ
お問い合わせはこちら →




コメント