バンビシャス奈良の協賛メニューで、金額が書かれているのは1つだけでした。
応援電柱広告。年間広告料金は2,750円×12か月で33,000円(税込)。この連載で見てきた協賛のなかで、いちばん安い入口です。
一方で、ホームアリーナの愛称は2026年4月に変わりました。新しい命名権者は年1,800万円を払っています。そしてその企業は、クラブのトップパートナーでもありました。
バンビシャス奈良のスポンサー・パートナーは、12区分・延べ288枠・実数278社

クラブ公式サイトの「チームパートナー」ページを2026年9月24日に取得して集計しました。バンビシャス奈良は協賛企業を「パートナー」と呼んでいます。以下、区分名はクラブの表記に合わせます。
2026-27シーズンの区分は12。トップパートナー1、ダイヤモンドパートナー1、プラチナパートナー6、ゴールドパートナー7、シルバーパートナー52、パートナー46、サポートカンパニー159、アカデミーパートナー5、ウォッチサプライヤー1、メディアパートナー8、リーガルパートナー1、メディカルパートナー1。合わせて延べ288枠です。
法人格と全角半角の表記ゆれを揃え、リンク先ドメインまで照合すると、9社が複数の区分に載っていました。ロート製薬(トップ+アカデミー)、阪奈中央病院(プラチナ+アカデミー+メディカル)、丸産業、ヒラノテクシード、近鉄ケーブルネットワーク、ルノータスなどです。したがって実数は278社になります。
近い名前の判定では、3組を1社にまとめました。AYUMOとAYUMO(全角と半角)、けいはんなドローンテックと株式会社ナラテック(同じドメイン)、そして地域情報誌「ぱーぷる」と発行元の株式会社エヌ・アイ・プランニング。
Q. 同じドメインでも別の会社だった例はありますか。
3組ありました。「HERO・なかい食堂」と近鉄ケーブルネットワークは、前者がケーブル会社のユーザーページを使っていただけ。「ホテル尾花」と奈良県も、どちらもnara.jpのサブドメインというだけです。「イタリアン&カフェ へぐりこもれびガーデン」と「松江自動車販売 二輪事業部」も、同じホスティングサービスのサブドメインでした。ドメインが同じでも中身を見ないと判断できないという例です。
トップパートナーはロート製薬。奈良県もシルバーパートナーに入っている
区分ごとの枠数と顔ぶれです。
| 区分 | 枠数 | 掲載企業 |
|---|---|---|
| トップパートナー | 1 | ロート製薬 |
| ダイヤモンドパートナー | 1 | 大和ハウス |
| プラチナパートナー | 6 | AYUMO/栄運輸工業/スクアドラ/奈良自動車学校/阪奈中央病院/丸産業 |
| ゴールドパートナー | 7 | 上柿鉄工建設/鍜治田工務店/車王/東洋アルミニウム/トヨタユナイテッド奈良/奈良中央三菱自動車販売 ほか |
| シルバーパートナー | 52 | 奈良県/近鉄ケーブルネットワーク/エヌ・アイ・プランニング/ヒラノテクシード ほか |
| パートナー | 46 | ルノータス ほか |
| サポートカンパニー | 159 | ナラテック/ホテル尾花/HERO・なかい食堂 ほか県内の中小企業・店舗 |
| アカデミー/ウォッチ/メディア/リーガル/メディカル | 16 | ロート製薬/ルノータス/ぱーぷる/阪奈中央病院 ほか |
出典:バンビシャス奈良「チームパートナー」(2026年9月24日取得)より筆者集計
いちばん上の区分にいるのはロート製薬1社だけ。2番目のダイヤモンドパートナーも大和ハウス1社です。上位2区分が1社ずつという形は、この連載で初めて見ました。
もうひとつ目を引くのが、シルバーパートナーに奈良県が入っていることです。この連載では、自治体はホームタウン協定や包括連携協定の枠で扱われ、協賛区分には入らないのが普通でした。奈良県はクラブの広告区分に並んでいるので、そのまま1社として数えています。
残りは県内の企業が中心です。ゴールドには建設・自動車販売・製造が並び、サポートカンパニー159枠には飲食店、クリニック、工務店、士業事務所といった小規模な事業者が集まります。
Q. 上位区分が1社ずつというのは、集まっていないということですか。
そうとは限りません。区分の作り方の問題でもあります。トップとダイヤモンドを「1社限定」の独占枠として設計していれば、1社なのが正常です。ただしクラブは区分ごとの条件も金額も公表していないため、独占枠なのか、枠が埋まっていないのかは判断できません。掲載枠の総数288は決して少なくなく、サポートカンパニー159枠が裾野を支えています。
公開されている金額は「電柱広告の年33,000円」だけ
パートナー区分の価格は公表されていません。代わりに、金額が全部書かれているメニューがひとつあります。
| 項目 | 突出タイプ | 巻付タイプ |
|---|---|---|
| 看板製作料金(2面表示) | 27,500円 | 23,100円 |
| 年間広告料金 | 33,000円(2,750円×12か月) | 33,000円(2,750円×12か月) |
| 初年度の合計 | 60,500円 | 56,100円 |
| 2年目以降 | 33,000円 | 33,000円 |
| サイズ | 450mm×1100mm | 330mm×1500mm |
出典:バンビシャス奈良「応援電柱広告」より筆者作成。施工・申請は株式会社電電広告が担当。初年度の合計は看板製作料金と年間広告料金の単純合計
年間の広告料は33,000円。初年度は看板の製作費が加わって60,500円か56,100円で、2年目からは33,000円だけになります。
この連載で見てきた協賛の入口は、京都サンガと信州ブレイブウォリアーズが10万円、ツエーゲン金沢が後援会3万円(法人パートナーは30万円から)でした。年33,000円は、そのどれよりも低いことになります。
デザインも決まっています。クラブのマスコット「シカッチェ」のポーズが7パターン、応援フレーズが3パターン(「GO! GO! Bambitious!!」「バンビシャス奈良を応援しています。」「ならでんアリーナに応援に行こう!」)から選べます。電柱広告の売上の一部がクラブの運営資金になる仕組みです。
注意点も明記されています。契約期間は1年で、途中解約しても広告料金の返金はありません。また「シカッチェ」を使ったデザインは他の広告物には使えず、解約しても看板は譲渡されません。
Q. 協賛金は経費としてどう扱われますか。
国税庁は、不特定多数への宣伝的効果を意図した費用は広告宣伝費、特定の取引先などを接待・供応する費用は交際費等にあたるという区分を示しています。電柱広告は不特定多数が通る公道に社名を出すもので、接待の要素がありません。判断はしやすいメニューといえます。実際の処理は顧問税理士に確認してください。
(参考)No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分 – 国税庁
協賛金を払わない協賛もある
もうひとつ、お金を出さない形のメニューがあります。
| メニュー | 負担 | 内容 |
|---|---|---|
| チームパートナー(12区分) | 非公表 | ユニフォームや看板への企業名掲出。問い合わせ・資料請求から |
| 応援電柱広告 | 年33,000円 | 売上の一部がクラブの運営資金に。施工は電電広告 |
| 応援自販機オーナー | 設置費用の負担なし | 場所を提供するだけ。売上金からクラブへの支援金を引いた額がオーナーに毎月支払われる |
出典:バンビシャス奈良「パートナー募集」「応援電柱広告」「応援自販機オーナー募集」より筆者作成
応援自販機はキリンビバレッジとのコラボ企画です。設置費用の負担はなく、場所を提供するだけ。商品の補充や空き缶の回収は業者が行い、月々の売上金からクラブへの支援金を差し引いた額がオーナーに支払われます。
対象は新規設置か、キリン社以外の自販機からの切り替え。設置場所は奈良県内に限らず全国各地で可能です。ただし売上基準に応じて設置できない場合があり、キリンビバレッジの営業担当がロケーションを確認したうえで決まります。
この連載では京都サンガにも「サンガ応援自販機」がありました。京都は設置者に売上の約10%が手数料として入り、電気代(月3,000円から5,000円程度)を負担する形。奈良は電気代の記載がなく、支援金を差し引いた額を受け取る書き方になっています。条件の細かさは京都のほうが具体的です。
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Q. 結局、いくらから協賛できるのですか。
金額が公開されているのは電柱広告だけで、年33,000円(初年度は看板代を加えて56,100円または60,500円)です。自販機は設置場所を出せば持ち出しゼロ。チームパートナーの12区分は非公表で、問い合わせか資料請求になります。「まず小さく関わる」入口は用意されている一方、掲出を厚くしたい場合の価格はクラブに聞くしかありません。
(参考)応援自販機オーナー募集 – バンビシャス奈良 公式サイト
営業収入4億1526万円はB2で13位。ただしユースは黒字だった
Bリーグが公表している決算を、B2平均と並べます。
| 項目 | バンビシャス奈良 | B2平均 |
|---|---|---|
| 営業収入 | 4億1526万円 | 8億9925万円 |
| スポンサー収入 | 1億9369万円 | 5億1814万円 |
| 入場料収入 | 9539万円 | 1億3224万円 |
| 物販収入 | 3026万円 | 5932万円 |
| ユース・スクール関連収入 | 4696万円 | 3508万円 |
| ユース・スクール関連経費 | 2491万円 | 2950万円 |
| トップチーム人件費 | 1億3705万円 | 3億2775万円 |
| 販売費および一般管理費 | 1億1861万円 | 2億7073万円 |
| 営業利益 | ▲3501万円 | ▲1564万円 |
| 当期純利益 | ▲2805万円 | ▲2229万円 |
出典:公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ「B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要」より筆者作成。B2平均は14クラブの平均。金額は万円未満を四捨五入
営業収入4億1526万円はB2平均の46.2%で、14クラブ中13番目。スポンサー収入1億9369万円も平均の37.4%にとどまります。
そのなかで1項目だけ平均を上回っているのがユース・スクール関連収入4696万円(平均の133.9%)です。しかも関連経費は2491万円なので、差し引き2205万円のプラス。B2平均は収入3508万円・経費2950万円で+559万円ですから、その約4倍にあたります。B2では神戸ストークスの+3836万円に次ぐ2位でした。
この連載では、ツエーゲン金沢も信州ブレイブウォリアーズもアカデミーが4100万円の持ち出しでした。育成部門が稼いでいるクラブという点は、奈良の特徴です。
Q. 財務の余裕はどのくらいありますか。
薄いです。純資産は611万円。資本金8850万円と資本剰余金等1億1025万円に対して、利益剰余金が▲1億9264万円まで積み上がっています。今期も営業損失▲3501万円、当期純損失▲2805万円。流動資産1億669万円に対して流動負債5810万円なので、当面の支払いに困る状態ではありませんが、債務超過までの距離は大きくありません。
(参考)B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要(PDF) – B.LEAGUE
B2の14クラブで、営業収入は下から2番目

B2の14クラブを営業収入の順に並べると、バンビシャス奈良は13番目です。
トップの信州ブレイブウォリアーズ14億3157万円に対して、奈良は4億1526万円。同じB2のなかで3.4倍の開きがあります。下には青森ワッツの3億7135万円があるだけです。
もっとも、赤字幅で見ると位置が変わります。営業損失▲3501万円は14クラブ中9番目で、アルティーリ千葉の▲1億2678万円、山形ワイヴァンズの▲9000万円、愛媛オレンジバイキングスの▲4663万円、青森ワッツの▲4281万円、鹿児島レブナイズの▲4212万円よりは小さい。規模が小さいぶん、損失も小さく収まっている形です。
費用の内訳を見ても、トップチーム人件費1億3705万円はB2平均の41.8%、販管費1億1861万円は43.8%。収入も費用も、そろってB2平均の半分以下という構造になっています。
Q. スポンサーへの依存度はどのくらいですか。
スポンサー収入1億9369万円が営業収入に占める割合は46.6%です。B2で低いほうから4番目で、愛媛オレンジバイキングスの79.4%、福井ブローウィンズの73.7%、ライジングゼファーフクオカの73.5%とは対照的。入場料9539万円(平均の72.1%)とユース・スクール4696万円が、その分を埋めています。協賛だけに寄りかかってはいない収入構造です。
(参考)B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要(PDF) – B.LEAGUE
スポンサー1社あたりは約70万円

スポンサー収入1億9369万円を実数278社で割ると、単純平均で1社あたり約70万円です。
この連載で調べた31クラブのなかでは、下から3番目。高知ユナイテッドSCの約48万円、鳥取キングスの約69万円に次ぐ低さで、カマタマーレ讃岐の約72万円とほぼ並びます。
1位のFC東京は約3,621万円ですから、その52分の1。同じ「スポンサー1社」でも、クラブによってこれだけ意味が違います。
ただしこの数字は、低いことが悪いという話ではありません。1社あたりが小さいほど、少額から参加できる裾野が広いということでもあります。実際に奈良は278社を集めていて、これは営業収入が3倍以上ある信州ブレイブウォリアーズの215社(年間パートナー)を上回ります。年33,000円の電柱広告という入口があることも、この数字と対応しています。
Q. 協賛を検討するなら、どこから入れますか。
金額が分かっているのは電柱広告で、年33,000円(初年度は56,100円か60,500円)。奈良県内の公道に社名を出す形です。自社の敷地に置ける場所があるなら、応援自販機は負担ゼロで始められます。試合会場での掲出やユニフォームへの掲載を考える場合は、12区分のチームパートナーへの問い合わせになります。いずれも窓口はpartner@bambitious.jpか郡山事務所です。
(参考)B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要(PDF) – B.LEAGUE
ホームアリーナの名前が2026年4月に変わった。年1,800万円、10年契約
クラブの電柱広告ページには、応援フレーズのひとつとして「ならでんアリーナに応援に行こう!」という選択肢が載っています(2026年9月24日時点)。ただしこの名前は、もう使われていません。
奈良市の発表によれば、奈良市鴻ノ池運動公園のネーミングライツ・スポンサーがロート製薬株式会社に決まり、2026年4月1日から愛称が変わりました。
公園全体の愛称は「ロート奈良鴻ノ池パーク」。契約期間は令和8年4月1日から令和18年3月31日までの10年間で、ネーミングライツ料は18,000,000円(年額・税込)です。
この契約では公園内の11施設すべてに愛称が付きます。奈良市鴻ノ池陸上競技場が「ロートフィールド奈良」、奈良市中央体育館が「ロートアリーナ奈良」、奈良市鴻ノ池球場が「ロートスタジアム奈良」、以下テニスコート、第二体育館、武道場、第二武道場、弓道場、相撲場、スケートボードパーク、ランニングステーションと続きます。
そしてここが重要です。ロート製薬は、バンビシャス奈良のトップパートナー。しかも12区分のなかで、トップパートナーはこの1社だけです。クラブの最上位スポンサーが、ホームアリーナを含む市営11施設の命名権を年1,800万円・10年で取得したことになります。
奈良市がネーミングライツを導入している施設は、2026年5月28日時点でこの1件だけ。この連載の自治体命名権では、メルカリスタジアム(茨城県・年1億5000万円)、サンガスタジアム by KYOCERA(京都府・年1億円)、パロマ瑞穂スポーツパーク(名古屋市・年6000万円)に続く水準で、1施設あたりに直すと年約164万円という計算になります。
Q. もうひとつのホーム、橿原の体育館はどうなっていますか。
奈良県立橿原公苑第1体育館は「ジェイテクトアリーナ奈良」です。命名権者は株式会社ジェイテクトで、奈良県の発表によれば契約は令和8年4月1日から令和9年3月31日まで更新されています。ただし契約金額は公表されていません。バンビシャス奈良は奈良市、橿原市、大和郡山市などを中心に県内各地で試合を行っており、複数の会場を使うクラブです。
(参考)【お知らせ】鴻ノ池運動公園ネーミングライツスポンサー決定 – 奈良市
顔ぶれから見えること
最後に、278社の顔ぶれから読めることを3つ書きます。
上位2区分は県外の大手
トップパートナーのロート製薬は大阪市、ダイヤモンドパートナーの大和ハウスも大阪市に本社があります。上位2枠が県外企業で、3番目のプラチナパートナーから奈良の企業が入ってくる構成です。この連載では、ファジアーノ岡山やツエーゲン金沢のように地元の金融機関・新聞社が最上位に並ぶクラブが多く、奈良は例外的でした。
自動車関連が上位に3社
ゴールドパートナー7社のうち、車王、トヨタユナイテッド奈良、奈良中央三菱自動車販売の3社が自動車販売です。プラチナにも奈良自動車学校が入っています。製造業の看板企業が少ないぶん、地域の販売・サービス業が上位を担っている形です。
医療機関が3区分に登場する
医療法人和幸会阪奈中央病院は、プラチナパートナー・アカデミーパートナー・メディカルパートナーの3つの区分に載っています。288枠のなかで3区分に名前があるのはこの1社だけ。クラブのメディカル面を担いながら、協賛としても上位に入っているという関係が読み取れます。
Q. 結局、バンビシャス奈良の協賛構造はどう見ればよいですか。
小さく広く集めるクラブです。12区分・延べ288枠・実数278社。1社あたりは約70万円で連載の下から3番目ですが、社数そのものは営業収入が3倍以上ある信州ブレイブウォリアーズを上回ります。入口は年33,000円の電柱広告と、負担ゼロの応援自販機。区分の価格は非公表です。決算は営業収入がB2で13位、純資産611万円と余裕は薄い一方、ユース・スクールは2205万円の黒字でB2の2位。そしてホームアリーナの名前は、トップパートナーのロート製薬が年1,800万円・10年で取得しています。
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