- 自転車・モビリティ業界とは|製品からシェアリングまで広がる裾野
- 経産省統計で見る自転車市場30年の推移|生産減少と電動化のねじれ
- Human Soarが整理する自転車・モビリティ業界の4つの事業モデル
- 自転車・モビリティ業界の主要11社徹底比較
- シマノ|世界の自転車部品市場を支えるコンポーネントの雄
- ブリヂストンサイクル|国内シェア上位の総合自転車メーカー
- パナソニック サイクルテック|電動アシスト自転車のパイオニア
- ヤマハ発動機|世界初の電動アシスト自転車PASを生んだ技術力
- ジャイアントジャパン|世界最大級ブランドの日本法人
- 株式会社あさひ|全国500店舗超のサイクルベースあさひ
- OGKカブト|自転車・バイク用ヘルメット専業メーカー
- OpenStreet|HELLO CYCLINGを展開するシェアサイクル最大手
- ドコモ・バイクシェア|自治体連携で広がる公共シェアサイクル
- Luup|電動マイクロモビリティで「駅前化」を目指す
- WHILL|近距離パーソナルモビリティで移動をアップデート
- 自転車・モビリティ業界にスポーツビジネスとして参入する3つの視点
- まとめ|自転車・モビリティ業界は「所有」から「利用」へ再編される
自転車・モビリティ業界とは|製品からシェアリングまで広がる裾野
自転車・モビリティ業界と聞くと、多くの人は「自転車販売店」や「自転車メーカー」をイメージすると思います。しかし実際には、シマノのような部品メーカーから、パナソニックやヤマハ発動機が手がける電動アシスト自転車、さらにはOpenStreetの「HELLO CYCLING」やLuupの電動キックボードといったシェアリングサービスまで、事業モデルの幅がとても広い業界です。
近年は「所有する乗り物」から「必要なときだけ使う移動手段」へと利用スタイルが変化しており、シェアサイクルや電動マイクロモビリティの分野に新規参入する企業も増えています。健康経営やスポーツウェルビーイングといった切り口からこの業界に関心を持つビジネスパーソンも少なくありません。
この記事では、経済産業省の統計データをもとに市場の推移を整理したうえで、自転車・モビリティ業界の主要企業11社を、事業モデル別に比較しながら紹介します。あわせて、スポーツビジネスとしてこの業界に参入する視点についても解説します。
経産省統計で見る自転車市場30年の推移|生産減少と電動化のねじれ
自転車・モビリティ業界の実態を捉えるうえで欠かせないのが、経済産業省が2026年7月10日に公表した分析レポートです。経済産業省 経済解析室は、経済産業省「生産動態統計」・財務省「貿易統計」・一般財団法人自転車産業振興協会「自転車POS販売統計」を横断的に用いて、自転車市場の需給動向を解説しています。
Human Soarでは、このレポートに掲載された生データをもとに、20年間の変化率を算出しました。単純に「台数が減った」「金額が増えた」という事実だけでなく、年平均でどの程度のペースで変化しているのかを見ると、この業界の構造がより立体的に見えてきます。
| 指標 | 起点 | 2025年 | Human Soarによる変化率算出 |
|---|---|---|---|
| 国内生産台数(経済産業省 生産動態統計) | 2005年 193万台 | 69万台 | 約64%減(年平均CAGR約-5.0%) |
| 自転車市場規模(国内生産額+輸入額) | 2005年 889億円 | 1,327億円 | 約1.5倍(年平均CAGR約+2.0%) |
経済産業省「手軽な移動手段 ~ 自転車 ~」(2026年7月10日公表)の生産動態統計・貿易統計をもとに、Human Soarが年平均変化率(CAGR)を算出。
国内生産台数は20年で64%減少した|輸入依存も同時に縮小
経済産業省の生産動態統計によると、自転車の国内生産台数は2005年の193万台から2025年には69万台まで減少しました。Human Soarの算出では、この20年間の年平均減少率(CAGR)はおよそ-5.0%にあたります。
供給を支えてきた輸入自転車も、財務省の貿易統計では2007年の960万台から2025年は414万台まで減っており、国内生産・輸入の両方が縮小傾向にあることがわかります。経済産業省は、自転車を通勤・通学手段として使う15〜19歳人口が2000年の749万人から2020年には562万人へと187万人減少したことを、需要縮小の一因として挙げています。こうした日本スポーツ業界が抱える構造的な課題とも重なる部分があります。
市場規模は電動アシスト車の牽引で1.5倍に拡大した
台数が減る一方で、市場規模(国内生産額+輸入額)は2005年の889億円から2025年には1,327億円へと拡大しています。Human Soarの算出では、この変化は年平均CAGRでおよそ+2.0%にあたり、台数の減少トレンドとは逆方向に動いています。
背景にあるのが電動アシスト自転車の存在感です。一般財団法人自転車産業振興協会の「自転車POS販売統計」(2025年)によれば、電動アシスト車の販売台数シェアは16%にとどまる一方、単価の高さから金額シェアでは42%を占めています。単価の高い電動アシスト車が、この業界の収益構造を実質的に支えている状態です。
Q. 自転車の国内市場は縮小していますか?
台数ベースでは縮小していますが、金額ベースでは拡大しています。経済産業省の統計では、国内生産台数は2005年から2025年で約64%減った一方、市場規模(生産額+輸入額)は約1.5倍に拡大しました。単価の高い電動アシスト自転車の伸びが、金額ベースの市場を押し上げています。
Human Soarが整理する自転車・モビリティ業界の4つの事業モデル
自転車・モビリティ業界は、単一の事業モデルでは語れません。Human Soarでは、この記事で取り上げる企業の事業内容を確認したうえで、「完成車・パーツメーカー」「小売専門店」「シェアリング・マイクロモビリティ」「福祉・パーソナルモビリティ」という4つの事業モデルに整理しました。
どの事業モデルに属するかによって、収益構造も、企業がこの業界に参入する際の切り口も大きく異なります。次の表は、4つの事業モデルの特徴と、この記事で紹介する主な該当企業をまとめたものです。
| 事業モデル | 収益の特徴 | 主な該当企業(本記事掲載) |
|---|---|---|
| 完成車・パーツメーカー | 製品の製造・卸売による売上 | シマノ、ブリヂストンサイクル、パナソニック サイクルテック、ヤマハ発動機、ジャイアントジャパン、OGKカブト |
| 小売専門店 | 店舗・EC経由の販売とアフターサービス | 株式会社あさひ |
| シェアリング・マイクロモビリティ | 利用課金・自治体等からの委託収入 | OpenStreet(HELLO CYCLING)、ドコモ・バイクシェア、Luup |
| 福祉・パーソナルモビリティ | 販売・レンタル・介護保険活用 | WHILL |
本記事で取り上げる11社の公式サイト掲載情報をもとに、Human Soarが4つの事業モデルへ分類。
完成車・パーツメーカーは技術力で市場をリードする
シマノやブリヂストンサイクル、パナソニック サイクルテックのような完成車・パーツメーカーは、自転車という製品そのものを設計・製造して収益を得る、業界で最も歴史の長い事業モデルです。電動アシスト自転車のように単価の高い製品を開発できるかどうかが、収益力を左右します。
経済産業省の統計が示すとおり、国内生産台数そのものは減少傾向にあるため、各社は電動化や海外展開、コンポーネント単位での高付加価値化によって収益を維持しようとしています。
小売専門店は店舗網とアフターサービスで差別化する
株式会社あさひのような小売専門店は、自社で製品を作るのではなく、複数メーカーの製品を仕入れて販売し、整備・修理などのアフターサービスで顧客との関係を継続させる事業モデルです。店舗網の規模がそのまま集客力になるため、全国展開できるかどうかが競争力を左右します。
シェアリング・マイクロモビリティは利用課金と自治体連携で成長する
OpenStreetの「HELLO CYCLING」やドコモ・バイクシェア、Luupのようなシェアリング事業者は、車両を所有せず利用させることで課金を得る事業モデルです。自治体や鉄道会社、不動産会社と連携してポート(乗り場)を広げることが、事業拡大の鍵になります。こうした施設連携による収益モデルは、スタジアムビジネスの収益化モデルにも通じる発想です。
福祉・パーソナルモビリティは介護保険制度との接続が特徴的
WHILLのような福祉・パーソナルモビリティ企業は、電動車椅子規格の製品を、購入だけでなく介護保険制度を使ったレンタルという形でも提供している点が特徴です。高齢化が進む日本では、移動を諦めていた人の行動範囲を広げるという価値提案が成立しています。
Q. 自転車業界のビジネスモデルにはどんな種類がありますか?
Human Soarでは「完成車・パーツメーカー」「小売専門店」「シェアリング・マイクロモビリティ」「福祉・パーソナルモビリティ」の4つに整理しています。どのモデルに属するかで、収益源も参入のハードルも異なります。
自転車・モビリティ業界の主要11社徹底比較
ここでは、前の章で整理した4つの事業モデルから、日本国内で自転車・モビリティ関連事業を展開しており、公式サイトで会社概要や事業内容を確認できた11社を選び、比較します。
次の表は、11社の事業タイプ・本社所在地・設立年を一覧にしたものです。上位の完成車・パーツメーカー4社は事業モデルや強みまで詳しく紹介し、残り7社は要点にしぼって紹介します。
| 社名 | 事業タイプ | 本社 | 設立 |
|---|---|---|---|
| シマノ | 完成車・パーツメーカー | 大阪府堺市 | 1921年 |
| ブリヂストンサイクル | 完成車・パーツメーカー | 埼玉県上尾市 | 1949年 |
| パナソニック サイクルテック | 完成車・パーツメーカー | 大阪府柏原市 | 1952年 |
| ヤマハ発動機(PAS事業) | 完成車・パーツメーカー | 静岡県磐田市 | 1993年(PAS発売) |
| ジャイアントジャパン | 完成車・パーツメーカー | 神奈川県川崎市 | 1989年 |
| OGKカブト | 完成車・パーツメーカー | 大阪府東大阪市 | 1982年 |
| 株式会社あさひ | 小売専門店 | 大阪市都島区 | 1975年 |
| OpenStreet(HELLO CYCLING) | シェアリング・マイクロモビリティ | 東京都港区 | 2016年 |
| ドコモ・バイクシェア | シェアリング・マイクロモビリティ | 東京都港区 | 2015年 |
| Luup | シェアリング・マイクロモビリティ | 東京都品川区 | 2018年 |
| WHILL | 福祉・パーソナルモビリティ | 東京都品川区 | 2012年 |
各社公式サイトの会社概要ページ(2026年9月時点)をもとにHuman Soarが作成。
シマノ|世界の自転車部品市場を支えるコンポーネントの雄
シマノは1921年(大正10年)創業、大阪府堺市に本社を置く自転車・釣具メーカーです。自転車事業では「バイシクルコンポーネンツ」と呼ばれる変速機・ブレーキ・駆動系パーツを世界中の自転車メーカーに供給しており、ロードバイク向けの最上位グレード「DURA-ACE」から日常用自転車向けの部品まで、幅広いラインアップを展開しています。
完成車を作らずパーツに特化することで、世界中の自転車ブランドに部品を供給できる立場を築いている点が強みです。電子デバイスと融合した変速システムなど技術開発への投資を続けており、自転車業界における事実上の標準規格を握る存在になっています。
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ブリヂストンサイクル|国内シェア上位の総合自転車メーカー
ブリヂストンサイクルは1949年(昭和24年)10月3日設立、埼玉県上尾市に本社を置く総合自転車メーカーです。ブリヂストンタイヤ株式会社(現・株式会社ブリヂストン)から分離独立した、ブリヂストングループ最初の主要関係会社という成り立ちを持ちます。従業員647名、資本金18億7千万円(2025年12月末時点)の規模で、通学・通勤向けから子ども乗せ電動アシスト車、スポーツ向けまで幅広い製品を製造販売しています。
街の自転車屋さんとの取引網に加え、スポーツ向けブランド「アンカー」の専門店展開など、用途別にブランドを使い分けている点が特徴です。電動アシスト自転車のバッテリーに5年保証を付けるなど、長期利用を前提としたアフターサービス体制も強みにしています。
パナソニック サイクルテック|電動アシスト自転車のパイオニア
パナソニック サイクルテックは1952年(昭和27年)4月27日設立、大阪府柏原市に本社を置く、パナソニック ホールディングスグループの自転車専業メーカーです。従業員568名(2024年4月1日時点)で、一般自転車に加えて電動アシスト自転車・電動アシスト三輪車、輸出向けの電動ユニットを製造販売しています。
子どもの送り迎え向け「ギュット」シリーズや通学向け「ティモ」シリーズ、スポーツ電動アシストの「XEALT」シリーズなど、用途別のブランド展開が特徴です。電動アシスト自転車の分野で長年蓄積してきたバッテリー・モーター制御技術を、家庭用から業務用途まで幅広く応用しています。
ヤマハ発動機|世界初の電動アシスト自転車PASを生んだ技術力
ヤマハ発動機は、1993年に世界で初めて電動アシスト自転車「PAS(パス)」を発売した企業です。生産拠点はヤマハモーターエレクトロニクス株式会社(静岡県周智郡森町)で、ドライブユニットの累計生産台数は2019年時点で500万台を突破しています。
2015年には趣味性の高いスポーツ電動アシスト自転車ブランド「YPJ」を立ち上げ、通勤・通学用途にとどまらないラインアップ拡充を進めています。2014年開発の「GREEN CORE」に基づく次世代ドライブユニットのように、軽量・コンパクト・高性能を軸にした技術開発を続けている点が強みです。
(参考)事業領域:電動アシスト自転車 – ヤマハ発動機株式会社
ジャイアントジャパン|世界最大級ブランドの日本法人
ジャイアントジャパンは1989年2月設立、神奈川県川崎市に本社を置く、台湾のGIANT(1972年設立)の日本法人です。資本金2億円、従業員110名(2023年12月末時点)で、台湾・中国・オランダなどに生産拠点を持つ世界最大規模の自転車メーカーの製品を、日本全国の専門店や自社ブランドショップ「ジャイアントストア」で展開しています。
(参考)GIANT JAPAN 会社概要 – 株式会社ジャイアント
株式会社あさひ|全国500店舗超のサイクルベースあさひ
株式会社あさひは1949年創業、1975年5月設立、大阪市都島区に本社を置く自転車小売企業です。資本金20億6,135万円、従業員1,826名(2026年2月20日時点)で、「サイクルベースあさひ」の名称で全国500店舗以上を展開する製造小売業者です。自転車本体の販売だけでなく、整備・修理などの付帯サービスも収益源にしています。
OGKカブト|自転車・バイク用ヘルメット専業メーカー
OGKカブトは1982年(昭和57年)9月設立、大阪府東大阪市に本社を置くヘルメット専業メーカーです。前身の大阪グリップ化工株式会社(現・オージーケー技研株式会社)から用品事業部が独立する形で誕生し、資本金2,000万円、社員129名(2024年7月時点)の規模で、オートバイ用・自転車用の幼児から大人向けまで幅広いヘルメットを製造販売しています。経済産業省主催の「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」を2年連続で受賞しています。
OpenStreet|HELLO CYCLINGを展開するシェアサイクル最大手
OpenStreetは2016年11月設立、東京都港区に本社を置くシェアモビリティ企業です。資本金1億円で、ソフトバンクやJR東日本、東急など幅広い業種の企業から出資を受けています。シェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」は、2025年12月時点で全国29都道府県・約250市区町村に13,000カ所を超えるステーションを展開し、登録利用者数は500万人を突破しています。
ドコモ・バイクシェア|自治体連携で広がる公共シェアサイクル
ドコモ・バイクシェアは2015年2月2日設立、東京都港区に本社を置く、NTTドコモが85.0%を出資するシェアサイクル運営企業です。資本金7.5億円で、東京23区を中心に横浜・大阪・仙台・広島など全国30以上のエリアで自治体と連携したコミュニティサイクル事業を展開しています。自社でシステムを提供するだけでなく、地方自治体向けのコンサルティング業務も手がけています。
Luup|電動マイクロモビリティで「駅前化」を目指す
Luupは2018年7月30日設立、東京都品川区に本社を置く企業です。電動キックボードや電動アシスト自転車をシェアリングする「LUUP」を2020年5月に東京で開始し、2026年3月時点では東京・大阪・横浜・京都・名古屋・福岡・札幌など全国13都市に展開しています。「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」というミッションを掲げ、電動・小型・一人乗りのモビリティを包括的に扱う交通インフラを目指しています。
WHILL|近距離パーソナルモビリティで移動をアップデート
WHILLは2012年創業、東京都品川区に本社を置く企業です。免許不要の近距離モビリティ(電動車椅子規格)「WHILL」の開発・販売に加え、施設内での貸し出しサービス「WHILLモビリティサービス」を展開しており、約30の国と地域で製品・サービスを提供しています。購入だけでなく介護保険制度を使ったレンタルにも対応しており、「移動を諦めない」という価値提案が特徴です。
Q. シェアサイクル事業は自治体でなくても導入できますか?
可能です。OpenStreetの「HELLO CYCLING」やドコモ・バイクシェアは、自治体だけでなく民間施設・不動産事業者ともポート設置の連携をしています。工事なし・初期費用0円で導入できるプランを用意している事業者もあります。
自転車・モビリティ業界にスポーツビジネスとして参入する3つの視点
自転車・モビリティ業界は、単に「自転車を作る・売る」だけの業界ではなく、健康経営や地域振興、サステナビリティといった企業の経営課題と接続しやすい業界でもあります。ここでは、スポーツビジネスの文脈でこの業界に参入・連携する際に押さえておきたい3つの視点を紹介します。
①健康経営・スポーツウェルビーイングとの接続
自転車通勤やサイクリングは、運動習慣を無理なく生活に組み込める手段として、健康経営施策との相性が良いテーマです。電動アシスト自転車やシェアサイクルは坂道や距離の負担を減らせるため、運動が苦手な社員でも導入のハードルが低いという利点があります。フィットネスクラブ経営の課題と同様、継続利用をどう促すかが成果を左右します。
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②地域インフラ・自治体連携という切り口
ドコモ・バイクシェアやOpenStreetの事例が示すように、シェアサイクル事業は自治体や鉄道会社との連携によって広域展開しています。観光地におけるレンタルサイクルの活用は、スポーツツーリズムの文脈でも地域活性化の手段として位置づけられています。
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自治体との協定や実証実験からスタートし、段階的にエリアを広げていく進め方は、単独で全国展開するよりも初期投資を抑えられる参入パターンとして参考になります。
③サステナビリティ・脱炭素の追い風
自転車やシェアサイクルは、自動車と比べて移動時のCO2排出量が少なく、カーボンニュートラルへの貢献策として自治体・企業の双方から注目されています。ドコモ・バイクシェアはNTTドコモの「2030カーボンニュートラル宣言」に賛同する形でサービスを位置づけており、環境目標と事業活動を結びつける事例になっています。
Q. 自転車・モビリティ業界への参入は自治体との協定が必須ですか?
必須ではありません。株式会社あさひやジャイアントジャパンのような小売・完成車メーカーは、自治体連携なしに店舗・EC販売のみで事業展開しています。ただしシェアサイクル・マイクロモビリティ事業は、ポート設置の許認可の関係で自治体・施設との連携が実務上重要になります。
まとめ|自転車・モビリティ業界は「所有」から「利用」へ再編される
自転車・モビリティ業界は、完成車・パーツメーカーの技術力、小売専門店の店舗網、シェアリング事業者の利用課金モデル、そして福祉領域のパーソナルモビリティという、性格の異なる4つの事業モデルが併存する業界です。この記事のポイントを振り返ります。
- 国内の自転車生産台数は2005〜2025年で約64%減少した一方、市場規模は電動アシスト車の牽引で約1.5倍に拡大している
- Human Soarでは業界を「完成車・パーツメーカー」「小売専門店」「シェアリング・マイクロモビリティ」「福祉・パーソナルモビリティ」の4モデルに整理した
- シマノ・ブリヂストンサイクル・パナソニック サイクルテック・ヤマハ発動機は、電動化・高付加価値化で収益力を維持している
- OpenStreet・ドコモ・バイクシェア・Luupは自治体・鉄道会社との連携でシェアサイクル網を拡大している
- 健康経営・地域インフラ・サステナビリティは、この業界とスポーツビジネスが交差する主要な切り口である
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