ボクシンググローブを作っているメーカーは、国内4社・タイ発4ブランド・欧米6ブランドの大きく3つに分かれます。そして分かれ目は品質ではなく、どこから買えるかです。国内最大手のウイニングは販売代理店を通さないと注文できず、イサミは道場向けの卸窓口を公開し、海外ブランドは自社のB2Bサイトで法人取引を受け付けています。
ジムや企業がまとめて調達しようとしたとき、つまずくのはたいてい価格ではなくこの窓口の違いなんですよね。この記事では14社の公式サイトで確認できた情報だけを使って一覧を作り、プロとアマチュアで違うオンス規定、そして実際に発注するときに見る条件まで整理しました。
ボクシンググローブのメーカーは調達ルートで3つに分かれる

14社を並べて最初に見えてくるのは、製品の違いよりも流通の設計が3通りに分かれていることです。上の図は、公式サイトに書かれている購入・取引の入口をそのまま3つに整理したものです。
国内4社は、同じ日本のメーカーでも入口がまったく違います。ウイニングは「ご注文はすべて販売代理店を通じて承っております」と全ページに明記していて、一般からの直接注文を受けていません。一方でイサミは道場向けの卸申込フォームを公開しており、団体でまとめて買う前提の導線がはじめから用意されています。
タイ発の4ブランドは、製造国が同じでも「どの団体と組んでいるか」で立ち位置が分かれます。Fairtexのように興行団体と公式契約を結んでブランド価値を積み上げているところもあれば、世界各地のエージェント網だけを公開しているところもあります。
欧米6ブランドで見るべきなのは公認マークです。どの競技団体の承認を受けたグローブなのかを製品ページに書いているブランドと、書いていないブランドがはっきり分かれます。用品の流通構造がこうして層に分かれるのはボクシングに限った話ではなく、日本スポーツ業界の8つの課題で整理したとおり、国内スポーツ用品市場全体が抱える論点でもあります。
Q. ボクシンググローブのメーカーは日本国内に何社ありますか?
本記事で公式サイトを確認できた国内メーカーは4社です。ウイニング、イサミ、BODYMAKER、マーシャルワールドジャパンの4社が、自社ブランドのボクシンググローブを継続して展開しています。なおミズノはボクシングのカテゴリーにリングシューズとウエアを掲載していますが、グローブの取扱いは公式サイトでは確認できませんでした。
国内メーカー一覧|4社はグローブの買い方がそれぞれ違う
まずは国内で自社ブランドのグローブを展開している4社です。創業年・本社・購入ルートを並べると、同じ国内メーカーでも法人がアプローチできる入口がまったく違うことが分かります。
| 社名 | 創業・設立 | 本社 | 購入・取引の入口 |
|---|---|---|---|
| 株式会社ウイニング | 1937年5月設立 | 東京都文京区 | 販売代理店経由のみ(直販なし) |
| 株式会社イサミ | 1952年創業 | 東京都渋谷区 | 自社EC+道場向け卸フォーム |
| BODYMAKER株式会社 | 1999年11月11日設立 | 大阪府吹田市 | 自社EC(卸窓口の記載なし) |
| 株式会社マーシャルワールドジャパン | 公式サイトに記載なし | 大阪市中央区 | 自社EC+直営3店舗+施工相談 |
各社公式サイトの会社概要・特定商取引法表示ページの記載にもとづく(2026年9月時点)。
株式会社ウイニング|代理店経由でしか買えない公認メーカー
1937年5月設立、東京都文京区千駄木に本社を置く老舗です。沿革によれば1961年に日本ボクシングコミッションと日本アマチュアボクシング連盟の公認メーカーとなり、1963年には国際アマチュアボクシング協会の公認も取得しています。1964年の東京オリンピックや1974年の世界ヘビー級タイトルマッチで使用された記録も公式サイトに残っています。
製品はカラーオーダーに対応し、MS-200(8オンス)、MS-300(10オンス)、MS-400(12オンス)、MS-500(14オンス)、MS-600(16オンス)とオンス別に型番が分かれます。ひも式とマジックテープ式の両方を用意しています。
法人調達で押さえておきたいのは流通です。公式サイトの全ページに「ご注文はすべて販売代理店を通じて承っております。一般のお客様からの直接注文は受け付けておりません」と明記されています。ジムや学校でまとめて入れる場合も、取扱いのある格闘技用品店を経由することになります。
株式会社イサミ|道場向けの卸フォームを公開している
1952年創業、東京都渋谷区富ヶ谷に本社を構え、埼玉県に久喜工場と加須工場を持ちます。ボクシンググローブは公式ECで37点を展開しています。
主力の「ボクサーグローブ」IBX-13は税込29,700円で、牛革と3層構造のスポンジを使った日本製、納期は3〜4か月と明記されています。製品説明には「試合規定の重さを精密にクリア」とあり、重量管理を製品の価値として前面に出しています。K-1、KNOCK OUT、SHOOTO、RIZINといった団体モデルの供給も行っています。
法人にとって使いやすいのは、道場向けの卸申込フォームが公開されている点です。個別に営業窓口を探さなくても、団体購入の相談を同じ導線から始められます。学校や道場を対象にしたこの卸の作り方は、柔道着メーカーにも共通する国内武道用品の商習慣です。
あわせて読みたい柔道着メーカー15社一覧|全柔連認証の全社と学校・道場の選び方›
BODYMAKER株式会社|価格帯と保証を前に出した自社EC
1999年11月11日設立、大阪府吹田市に本社を置くトレーニング用品メーカーです。グローブはボクシング、パンチング、オープンフィンガーの3分類で約40点を展開しています。
上位モデルのBM-PRO ONEは税込15,000円で8オンスと14オンスを用意し、90日保証が付きます。サムライエッジ プロモデルは税込11,000円で8〜16オンスまで展開しています。素材や製法、公式試合での採用実績は公式サイトの本文には記載がありません。
まとまった本数を練習用に揃えたい場合、この価格帯と保証の組み合わせは現実的な選択肢になります。ただし卸窓口の記載がないため、数量が多いときは問い合わせから条件を確認する必要があります。
株式会社マーシャルワールドジャパン|自社製品と海外ブランドを同時に扱う
大阪市中央区備後町に本社を置き、大阪・博多・札幌に直営店を構えています。会社概要ページが公式サイトに存在しないため、設立年は確認できませんでした。
自社系のグローブはスムーズグローブ、ファンクショングローブ、ベーシック、セーフティスパーリングなど16点で、価格帯は13,200円前後です。あわせてTWINS、WINDY、DONKAIDEEといった海外ブランドも取り扱っています。認定品は空道・硬式空手・少林寺拳法などが中心で、ボクシング関連ではWINDYの試合用グローブを扱っています。
法人向けには、ジム・道場の施工相談とオリジナルアパレル製作の窓口があります。グローブ単品の卸というより、道場の立ち上げごと相談できる相手として使える会社です。
Q. ウイニングのグローブは公式サイトから直接買えますか?
直接は買えません。公式サイトに「ご注文はすべて販売代理店を通じて承っております。一般のお客様からの直接注文は受け付けておりません」と明記されています。購入する場合は、取扱いのある格闘技用品店や、所属ジムが取引している代理店を経由して発注します。
タイ発の4ブランドは団体との公式契約で選ぶ
ムエタイの本場であるタイには、グローブ製造を主力にするブランドが集まっています。判断材料になるのは価格よりも、どの興行団体・スタジアムと公式契約を結んでいるかです。
| ブランド | 拠点 | 公式サイトで確認できる強み | 法人窓口 |
|---|---|---|---|
| Fairtex | タイ・バンコク | ONE Championship公式パートナー | 代理店一覧・営業窓口あり |
| TWINS SPECIAL | タイ・サムットサーコーン県 | 定番型番27品番の展開 | 世界11エージェントを公開 |
| TOP KING | タイ・サムットサーコーン県 | 本革・多層フォームを仕様に明記 | 代理店4社を公開 |
| WINDY | 公式ストアはオランダ法人が運営 | タイでの手作りを表記 | 問い合わせメールのみ |
各ブランド公式サイトの会社紹介・代理店ページの記載にもとづく(2026年9月時点)。
Fairtex|ONE Championshipの公式グローブパートナー
Fairtex Equipment Company Limitedは、公式サイトのブランドストーリーによれば1958年に商標を登録し、ボクシンググローブの製造を始めたのは1994年です。バンコクのトレーニングキャンプを兼ねた拠点から出発し、現在は従業員1,000名超、50か国以上に公式ディストリビューターを持つと記載しています。
採用実績が群を抜いています。ONE Championshipの公式グローブパートナーであり、ムエタイの二大殿堂であるルンピニー、ラジャダムナン両スタジアムの公式機材パートナーでもあります。K-1やWBC Muay Thai、パンクラスへの供給も公式サイトに挙げられています。
製品はBGV1、BGV9、BGV14、BGV16、BGV19、BGV26など型番で細かく分かれ、製造工程はパターン裁断、成形とパディング、縫製、仕上げの4工程をタイ国内で手作業で行うと説明しています。法人は営業窓口のメールアドレスと代理店一覧の両方から入れます。
(参考)Fairtex Brand Story – Fairtex
TWINS SPECIAL|世界11エージェント経由で流通する定番
タイ・サムットサーコーン県に拠点を置くブランドです。公式サイトには沿革ページへのリンクがありますがリンク先が設定されておらず、創業年は確認できませんでした。
グローブは27品番を展開し、定番のベルクロ式BGVL3、レースアップのBGLL1、マイクロファイバー素材のBGVS3、装飾入りのFBGVL4シリーズなどが並びます。製品ページには素材・製法の記載がなく、仕様面での比較は難しいブランドです。
その代わり、正規販売店であることを検索で確認できる仕組みを公式サイト上に設けています。並行輸入品が混ざりやすい価格帯なので、法人でまとめて買うときはこの正規店確認と、世界11エージェントの一覧が実務的な手がかりになります。
(参考)Export Agents – TWINS SPECIAL
TOP KING|素材と構造を製品ページに書いている
TOP KING BOXING CO., LTD.もサムットサーコーン県に拠点を置きます。会社沿革のページがないため創業年は確認できませんでした。
製品はKANOK 2、LAVA、SUPER AIR、WILD TIGER KING、WORLD SERIESなどのラインで構成されます。このうちSUPER AIRは仕様欄に「Material: 100% Genuine Leather」と本革であることを明記し、多層フォームによる衝撃吸収と通気性の強化、8〜18オンスの展開まで書き出しています。
タイ発ブランドの中では、素材と構造を文字で確認できる数少ない一社です。剣道防具の世界でも手縫いか機械縫いかを公表するかどうかで比較のしやすさが変わりますが、その構図は剣道防具のメーカーとよく似ています。代理店は4社が公開されています。
(参考)Distributors – TOP KING BOXING
WINDY|公式ストアの運営主体はオランダ法人
WINDYはタイ発のブランドとして知られていますが、調達の前に運営主体を確認しておく価値があります。現在「Official」を名乗るオンラインストアを運営しているのはオランダ法人のWindy Fight Gear B.V.で、サイト上の表記は「since 1951」です。
製品はCore、Classic、Proline、Elite、Lace-Up、Competition Boxingのラインに分かれ、Proline Leather、Core Microfiberといった素材名が製品名に組み込まれています。サイトのメタ情報には「Handmade in Thailand」と記載があります。
法人向けの専用ページはなく、問い合わせはメールのみです。日本で調達する場合は、マーシャルワールドジャパンのようにWINDYの試合用グローブを扱う国内代理店を経由するほうが手順は短くなります。
欧米6ブランドのグローブは公認マークの有無で分かれる
欧米のブランドは、どの競技団体の承認を受けているかを製品ページに書くところと、書かずにブランド力とアスリート契約で見せるところに分かれます。試合用として使う予定があるなら、ここが最初の足切りになります。
| ブランド | 創業 | 拠点 | 公認団体の表示 |
|---|---|---|---|
| EVERLAST | 1910年 | 米国 | 記載なし |
| Cleto Reyes | 1945年(公式表記) | メキシコ・メキシコシティ | WBC・WBA・IBF・WBO |
| RDX Sports | 1999年 | 英国ベリー | 英国ボクシング管理委員会 |
| Hayabusa | 2006年 | カナダ・キングストン | 記載なし |
| VENUM | 公式サイトに記載なし | 米国オフィスを公開 | UFC公式ラインを展開 |
| adidas Combat Sports | ブランド表記は1949年 | 米国(ライセンシー運営) | World Boxing・USA Boxing |
各ブランド公式サイトのAbout・製品ページの記載にもとづく(2026年9月時点)。「記載なし」は非承認を意味するものではなく、公式サイト上で確認できなかったことを示す。
EVERLAST|1910年創業で100か国以上に展開する
EVERLAST WORLDWIDE INC.は1910年の創業で、公式サイトでは「The Choice of Champions Since 1910」を掲げ、100か国以上での展開を記載しています。本社所在地の記載は見当たりませんでした。
グローブは1910、Elite、MX、Powerlock、Titan、Amateurのラインがあり、試合用と練習用でカテゴリーを分けています。素材・製法や団体採用の記載は公式サイト上では確認できませんでした。
法人にとって整っているのは窓口です。卸売とジム向けの一括導入を受け付けるWholesale & Gym Fittingの申込ページがあり、米国政府調達の認定サプライヤー向け窓口も別に用意されています。
Cleto Reyes|4団体の認可を公式サイトに掲示する手作りメーカー
メキシコシティに拠点を置くIndustria Reyes, S.A. de C.V.のブランドです。会社案内ページには「Desde 1945」、トップページには「desde 1940」と創業年が併記されており、表記はサイト内で揺れています。法人としてのIndustria Reyesの設立は1979年、商標登録は1975年と記載されています。
製品の核は製法です。メキシコ国内の自社施設でメキシコの職人が手作りしていることを明記し、素材には牛革を使うと書いています。ラインはSteel Snake、Black Mamba、Premium Fiberなどがあり、練習用は面ファスナー式と紐式の両方、そのほか試合用とアマチュア用、WBC特別版を展開しています。
認可のページにはWBC、WBA、IBF、WBOのロゴが並び、トップページにはUSA Boxingの表示もあります。EU向けの適合宣言書もPDFで公開しています。試合用として調達するなら、確認のしやすさはこのブランドが最も高い水準です。
(参考)Acerca de nosotros – Cleto Reyes
RDX Sports|製品名に英国公認を書き込んでいる
公式サイトのAboutページによれば、1999年に英国マンチェスター近郊のベリーで始まったブランドです。現在は英国本社のほか、米国テキサス、ドイツ、カナダに拠点を持ちます。
グローブはK1、K2 Mark Pro Fight、L1、L2 Mark Pro、S4 Leather Sparring、T17 Aura Plusなど、用途別にラインが分かれています。注目したいのはC2とC3で、製品名そのものに「BBBofC Approved(英国ボクシング管理委員会公認)Fight Boxing Gloves」と書き込んでいます。
卸は独立したドメインでwholesale専用サイトを運用しており、法人取引の導線が最初から分離されています。まとめて調達する側からすると、一般消費者向けECと同じ窓口に問い合わせを投げるより手順が読みやすい作りです。
Hayabusa|3Dプリント製グローブまで開発する後発ブランド
Hayabusa Fightwear Inc.は2006年創業、カナダ・オンタリオ州キングストンに拠点を置きます。今回の14社では最も新しいブランドです。
グローブはBoxing、Hybrid & MMA、Bag & Training、Sparring、Competition、Kidsに分類されます。技術ラインはT3とS4が中核で、公式サイトには3Dプリントで製造したグローブの開発記事も掲載されています。Floyd MayweatherやMARVELとのコラボレーションも展開しています。
卸は案内ページと申込ページが分かれており、条件を読んでから申し込む流れになっています。後発ながら、製品開発の情報公開と法人導線の両方が整っている一社です。
(参考)About Us – Hayabusa Fightwear
VENUM|UFC公式ラインとカスタム対応を持つ
VENUMは公式サイトにAbout usページがなく、創業年と本社所在地は確認できませんでした。B2Bサイトに米国ニューヨークのオフィス所在地が記載されています。
グローブはElite、Challenger、Contender、Classic、Kontact、Giant、Venum VT、G-Fitなど幅広く、加えてUFC Zenith by VenumのFight Night、Fight Week、Replicaという公式ラインを展開しています。名入れに対応するPersonalized Glovesも用意されています。
法人はvenumb2b.comという専用サイトから取引を申し込みます。チーム名やジム名を入れたグローブを揃えたい場合、このカスタム対応が判断材料になります。
adidas Combat Sports|ライセンシーが運営する格闘技ライン
ここは運営主体の確認が欠かせません。公式サイトには「Double D Combat Sports USA Inc. is an official licensee and distributor of adidas」と明記されており、adidas AG本体ではなくライセンシーが展開する格闘技ラインです。ブランド表記は「SINCE 1949」です。
グローブはadiSPEED 500および501、Tilt 350V、Anderson SilvaやMiguel Berchelt の限定版などを展開しています。「Federation Approved」というカテゴリーを設け、USA Boxing、WKF、World Taekwondoの承認品を分類しており、トップバナーには「World Boxing and USA Boxing Approved」と掲示しています。
卸はBulk OrdersとTeam Gear Programsを受け付けるフォームがあります。学校やチーム単位で同じ見た目に揃えたい場面に向いた作りです。用品メーカーがライセンス契約で事業領域を広げる構図は、登山用品メーカーの記事で整理した業界構造とも重なります。
(参考)Wholesale Form – adidas Combat Sports
オンス規定はプロとアマチュアで別物として扱う
グローブを選ぶ前に確認しておきたいのがオンス規定です。プロとアマチュアで基準が異なり、必要なオンス一覧も変わります。下の表は日本国内の2つの公式ルールを並べたものです。
| 区分 | 定めている団体 | オンス規定 | 試合用の用意 |
|---|---|---|---|
| プロ | 日本ボクシングコミッション | 片方8オンス(227g)または10オンス(283.5g) | 契約ウエイトで決まる |
| アマチュア | 公益社団法人日本ボクシング連盟 | 片手10オンス(284g)または12オンス(339g) | 主催者・開催地が用意する |
日本ボクシングコミッション「基礎知識」および日本ボクシング連盟「競技規則 2026/4/1版」第22条にもとづく。グラム表記は各出典の表記をそのまま記載している。
プロは契約ウエイトでオンスが決まる
日本ボクシングコミッションの公式サイトによれば、男子はミニマム級からスーパー・ライト級(63.50kg)までが片方8オンス(227g)、スーパー・ライト級を超える契約ウエイトは片方10オンス(283.5g)です。女子はアトム級からフェザー級(57.1kg)までが片方8オンス(227g)、フェザー級を超えると片方10オンス(283.5g)になります。
つまりジムとして在庫を持つなら、8オンスと10オンスの2種類が試合用の基本線になります。ウイニングのようにオンス別に型番が分かれているメーカーだと、発注時にこの区分をそのまま伝えられます。
(参考)基礎知識 – 一般財団法人日本ボクシングコミッション
アマチュアは主催者が用意したグローブを使う
公益社団法人日本ボクシング連盟の競技規則2026年4月1日版では、第22条(4)でグローブを片手10オンス(284g)または12オンス(339g)と定め、皮革部分は全体の2分の1より軽く、詰め物は2分の1より重いことまで規定しています。
12オンスが必要なのは、男子シニア・ジュニアのウェルター級からスーパーヘビー級、アンダージュニア中学生の60・64・68・72kg級、同小学生の56kg級などで、それ以外は10オンスです。
運営面で重要なのは第22条(1)(3)です。試合用グローブは主催者または開催地が用意してテクニカルデリゲートが検品することになっており、競技者が所有するグローブの着用は認められていません。学校の部活動で試合用を人数分そろえる必要はなく、そろえるべきは練習用だと読み替えられます。
(参考)競技規則 2026/4/1版 – 公益社団法人日本ボクシング連盟
Q. アマチュアの公式戦では自分のグローブを使えますか?
使えません。日本ボクシング連盟の競技規則では、グローブは主催者または開催地が用意し、テクニカルデリゲートが検品すると定められており、競技者所有のグローブの着用は認められていません。部やジムで購入するのは練習用と割り切り、10オンスと12オンスを人数分そろえておくと公式戦の感覚に近づけられます。
ジムと企業がグローブを調達するときに確認する3つの条件
14社を調べて分かったのは、比較すべき項目がスペックではなく取引条件に寄っているということです。まとめて導入する立場から見て、優先順位の高い順に3つ挙げます。
1 法人向けの窓口が公開されているか
最初に見るのはここです。イサミの道場卸フォーム、Fairtexの営業窓口、EVERLASTのWholesale & Gym Fitting、RDXの専用卸サイト、Hayabusaの卸申込、VENUMのB2Bサイト、adidas Combat SportsのBulk Ordersと、窓口を明示しているところは問い合わせの手間が小さく済みます。
逆にウイニングのように代理店経由のみと決めているメーカーは、まず取扱代理店を探すところから始まります。これは不便というより流通方針なので、代理店を1社押さえてしまえば以降の発注は安定します。
企業の福利厚生としてジムと法人契約を結ぶ場合も、用品の調達ルートを先に決めておくと運用が崩れません。法人契約の設計そのものについては別記事で整理しています。
あわせて読みたいジムの法人契約を伸ばす健康経営提案営業プラン›
2 必要なオンスが1つのラインで揃うか
練習用と試合用でメーカーがばらばらになると、重量感や装着感の違いが選手の感覚に響きます。同じラインで8・10・12・14・16オンスまで通しで揃うかどうかを、製品ページで確認しておくと後が楽です。
ウイニングはMS-200からMS-600までオンス別に型番が並び、TOP KINGのSUPER AIRは8〜18オンスを公表しています。BODYMAKERのサムライエッジ プロモデルは8〜16オンスです。一方で展開オンスが限られるモデルもあるため、まとめ買いの前に必ず確認します。
あわせて保証条件も見ておきます。BODYMAKERのBM-PRO ONEのように90日保証を明示しているモデルは、消耗の早い練習用を大量に入れるときの判断材料になります。
3 納期を先に押さえてあるか
見落としやすいのが納期です。イサミのボクサーグローブIBX-13は公式サイトに納期3〜4か月と明記されています。日本製で試合規定の重さを精密に合わせる以上、短縮できる性質のものではありません。
新規開設や新年度の入会シーズンに合わせて揃えたいなら、逆算して半年前には発注の相談を始める必要があります。海外ブランドの場合は輸送と通関も加わるため、代理店に在庫を持っているかどうかを確認しておくと安全です。
用品の調達計画は施設運営のコスト構造そのものに効いてきます。会員数の変動と在庫回転の関係はフィットネスクラブ経営の課題と解決策でも扱っている論点です。
職場の運動施策にボクシングを入れるなら先に実施率の数字を見る
企業の健康施策としてボクシングフィットネスを検討するとき、まず確認したいのは種目の人気ではなく、会社が場を用意したかどうかで実施率がどれだけ変わるかです。
スポーツ庁が令和8年3月11日に公表した令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によると、20歳以上で週1日以上スポーツを実施している人の割合は51.7%でした。全国の18〜79歳の男女を対象にしたWEBアンケートで、有効回収数は40,000件、調査期間は令和7年11月7日から28日です。
この調査で企業にとって効くのは、勤務先の取組の有無による差です。勤務先に運動・スポーツ活用の取組がある就業者の週1日以上の実施率は71.1%(n=5,313)、取組がない就業者は45.2%(n=19,685)で、25.9ポイントの開きがあります。一方で取組を行っている企業の割合は21.3%にとどまり、「何もしていない」が64.5%を占めます。
同じ調査の「この1年間に実施した種目」で全体1%以上となった30種目に、ボクシングや格闘技は入っていません。つまり種目そのものの裾野は広くないものの、会社が実施の場を用意すること自体に25.9ポイントぶんの効果があるという読み方ができます。種目選定より先に、場をつくる意思決定のほうが結果を左右します。
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受け皿となる施設側の市場も動いています。経済産業省の特定サービス産業動態統計速報(2024年12月)概況では、フィットネスクラブの売上高は24,786百万円で前年同月比プラス1.8%、37か月連続の増加でした。会員数はプラス1.2%、利用者数はプラス2.2%です。ただしこの調査は2024年12月分をもって終了し、2025年1月分以降は総務省の「サービス産業動態統計調査」に統合されているため、最新の数値はそちらで確認する必要があります。
(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果の概要 – スポーツ庁健康スポーツ課
(参考)特定サービス産業動態統計速報(2024年12月)概況 – 経済産業省大臣官房調査統計グループ
Q. 職場の運動施策としてボクシングを取り入れる効果はありますか?
種目単体の効果を示した公的データはありません。ただしスポーツ庁の令和7年度調査では、勤務先に運動・スポーツ活用の取組がある就業者の週1日以上の実施率が71.1%で、取組がない就業者の45.2%を25.9ポイント上回っています。会社が場を用意すること自体が実施率を押し上げているため、種目の選定より先に実施の機会を設計するほうが効果につながります。
まとめ|ボクシンググローブのメーカー14社は買い方で選び分ける
今回確認した14社を、調達する立場から振り返ります。
- メーカーは国内4社・タイ発4ブランド・欧米6ブランドに分かれ、違いが出るのは品質より取引の窓口
- ウイニングは代理店経由のみ、イサミは道場卸フォーム公開と、国内でも入口の作りがまったく違う
- 試合用として使うなら、Cleto ReyesのWBC・WBA・IBF・WBO表示やRDXのBBBofC公認表示のように、公認団体を明示しているブランドが確認しやすい
- オンスはプロが8または10オンス、アマチュアは10または12オンスで、アマチュアの試合用は主催者が用意するため購入対象は練習用に絞れる
- イサミのIBX-13は納期3〜4か月と公表されており、まとめ買いは半年前から逆算する
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