ヴァンフォーレ甲府のスポンサーは301社です。階層で分けるのではなく、フェンス横断幕、ピッチ看板、担架、エスコートキッズといった掲出場所ごとに42の区分が設けられています。クラブの2025年度の売上高は17億700万円で、スポンサー収入は8億3,200万円。売上が減るなかで協賛だけが戻しました。区分の設計とクラブ側の数字を公式情報で整理しました。
スポンサーは301社、区分は掲出場所ごと

ヴァンフォーレ甲府のスポンサー一覧は、他のクラブと設計が違います。プレミアムやゴールドといった階層ではなく、社名がどこに出るかで区分されています。
掲載企業は301社
2026年9月21日時点で掲載されているロゴを数えると、延べ347件から重複46件を除いて301社でした。区分は42あります。
最も多いのがフェンス横断幕の97社、次いでピッチ看板の73社、コンコースの36社です。この3区分だけで206社と、全体の7割近くを占めます。
1社だけの区分が20以上ある
一方で、1社しか入っていない区分が20以上あります。選手入場ロード、メインスタンドボード、審判ベンチ屋根、チケッティングパートナー、地域パートナー、イベント、HPバナー、フェアプレー、コイントス、ボールパーソンビブス、サポーティングスタッフスポンサー、担架隊ビブス、エスコートキッズ、ボール台、応援定期預金、ユニフォームサプライヤー、ドリンクサプライヤーなどです。
担架、コイントス、エスコートキッズ、砂場保護シートまで枠として販売されています。試合運営のあらゆる場面を細かく切り出して商品にしている、という設計です。
ユニフォームは8社、練習着は12社
最も目立つユニフォームには8社が入っています。練習着はそれより多い12社です。ほかにベンチサイド看板8社、ベンチ前看板6社、バックスタンドバナー5社、メインスタンドバナー5社、メインスタンド最前列バナー5社、ベンチバナー4社、ベンチパネル4社、砂場保護シート4社と、スタジアムの各所が細かく分かれています。
プラチナ、シルバー、ブルー、レッドという色の名前がついた区分もありますが、それぞれ1社から5社と小規模です。PRスポンサーは16社、グルメパートナーは11社、アカデミーは3社です。
クラブによって協賛の設計はまったく違います。FC東京は5階層で89社、富山グラウジーズは6階層で183社ですから、甲府は区分の数も社数も大きく上回ります。
Q. ヴァンフォーレ甲府のスポンサーは何社ですか?
公式サイトのスポンサー一覧に掲載されているロゴを数えると301社です(2026年9月21日時点)。延べ347件から重複46件を除いた数で、階層ではなく掲出場所ごとに42の区分に分かれています。
細かく区切ることの意味
42区分という細かさは、協賛を検討する企業にとって具体的な利点があります。
階層制のクラブでは、上の階層に行くほど金額が上がり、下の階層では得られる権利が限られます。掲出場所ごとの区分なら、自社が出したい場所を選んで、その枠だけを買うという考え方ができます。スタジアムに足を運ぶ人に見せたいのか、テレビに映る場所に出したいのか、子どもに関わる場面に名前を出したいのかで、選ぶ枠が変わります。
たとえばエスコートキッズの枠は、選手と一緒に入場する子どもに関わるものです。担架やボールパーソンビブスは、試合中に必ず画面や視界に入る場面です。コイントスは試合開始前の一瞬ですが、必ず行われる場面でもあります。こうした枠は、大きな広告枠を買えない企業でも選択肢になります。
301社という数は、この細かさがあって成立しています。社名を出す場所を細かく切り出せば、それだけ枠の数が増え、参加できる企業も増えるということです。
Q. 小さな企業でも協賛できますか?
公式サイトに金額表は掲載されていませんが、フェンス横断幕に97社、ピッチ看板に73社、コンコースに36社が入っており、掲出場所ごとに細かく枠が分かれています。具体的な金額はクラブへの問い合わせが必要です。
クラブの決算から見た協賛の重み

相手の収益構造を知っておくと、協賛の位置づけが変わります。Jリーグは全クラブの経営情報を公表しています。
スポンサー収入は8億3,200万円
2025年度の売上高は17億700万円で、うちスポンサー収入が8億3,200万円、入場料収入が2億9,000万円でした。売上高に占めるスポンサー収入の割合は48.7%です。
J2の19クラブと比べると、売上高は11番目、スポンサー収入は10番目、入場料収入は9番目です。J2平均はそれぞれ23億3,400万円、11億9,300万円、3億3,100万円ですから、いずれも平均を下回ります。
売上は減り続けているが協賛は戻した
3年間の推移を見ると動きがはっきりします。売上高は2023年度20億4,000万円、2024年度17億4,800万円、2025年度17億700万円と2年連続で減っています。入場料収入も3億3,800万円、3億1,300万円、2億9,000万円と減少が続いています。
一方でスポンサー収入は8億5,100万円、7億8,000万円、8億3,200万円と推移しており、2024年度に落ち込んだあと2025年度は5,200万円戻しました。売上全体と入場料が減るなかで、協賛だけが増加に転じています。
協賛依存度はJ2平均並み
売上に占める協賛の割合は48.7%で、J2平均の51.1%をやや下回ります。金額は小さいものの、収入構造の形そのものはリーグ平均に近いということです。
クラブ経営の数字の読み方はJリーグとBリーグの決算を並べた資料で扱っています。
Q. ヴァンフォーレ甲府の経営状況はどうですか?
2025年度の売上高は17億700万円で、J2の19クラブ中11番目です。スポンサー収入は8億3,200万円で10番目、売上に占める割合は48.7%です。売上高と入場料収入が2年連続で減るなか、スポンサー収入は前年から5,200万円増えました。
3年間の推移を並べる
売上、協賛、入場料の動きを並べると、協賛だけが違う向きに動いていることが分かります。
| 項目 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 20億4,000万円 | 17億4,800万円 | 17億700万円 |
| スポンサー収入 | 8億5,100万円 | 7億8,000万円 | 8億3,200万円 |
| 入場料収入 | 3億3,800万円 | 3億1,300万円 | 2億9,000万円 |
出典:Jリーグ「2025年度 クラブ経営情報開示資料」(2026年9月21日時点)
売上高と入場料収入は2年連続で減少しました。その間にスポンサー収入は一度落ちてから戻しています。会場に来る人が減るなかで協賛が増えたということは、協賛の判断が観客数だけで行われているわけではないことを示しています。
Q. 売上が減っているクラブに協賛する意味はありますか?
2025年度は売上高と入場料収入が減る一方で、スポンサー収入は前年から5,200万円増えています。協賛企業の判断が観客数だけによるものではないことを示す動きです。判断材料は露出量のほかに、地域との関係や自社の目的によって変わります。
1社あたりの金額から見える構造
8億3,200万円を301社で割ると、1社あたり約276万円になります。
ただしユニフォームの8社が大きな割合を占めていると考えれば、フェンス横断幕97社やコンコース36社の実際の金額はこれよりかなり低いと見るのが自然です。社数が多く1社あたりが小さいのは、細かく区切った設計の必然的な結果です。
この構造は、協賛したい企業にとっては参加しやすさを意味し、クラブにとっては1社が抜けたときの影響が小さいことを意味します。特定の大口に依存しない収入の作り方だと言えます。
従業員の運動機会づくりに取り組む企業を国が認定するスポーツエールカンパニーという制度もあり、社内向けの取り組みとして並行して検討できます。
他のクラブと並べると、1社あたりの水準の幅がわかります。
| クラブ | リーグ | スポンサー収入 | 掲載社数 | 1社あたり(単純平均) |
|---|---|---|---|---|
| FC東京 | J1 | 32億2,300万円 | 89社 | 約3,621万円 |
| 清水エスパルス | J1 | 26億7,200万円 | 303社 | 約882万円 |
| ヴァンフォーレ甲府 | J2 | 8億3,200万円 | 301社 | 約276万円 |
| 富山グラウジーズ | B2 | 3億7,801万円 | 183社 | 約207万円 |
出典:Jリーグ「2025年度 クラブ経営情報開示資料」、B.LEAGUE「2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要」と各クラブ公式サイトの掲載社数から算出。富山のみ集計期が異なる
最も高いFC東京と最も低い富山グラウジーズでは17.5倍の開きがあります。クラブごとの収入規模そのものは、Jリーグ53クラブのスポンサー収入ランキングで比べられます。
Q. 協賛料の目安はいくらですか?
公式サイトに金額表は掲載されていません。2025年度のスポンサー収入8億3,200万円を掲載301社で割ると1社あたり約276万円ですが、ユニフォームなど上位の枠が大きな割合を占めるため、実際の各枠の金額はこれより幅があると考えられます。
県が経営委員会を置き、広告料収入の目標まで公開している
ヴァンフォーレ甲府には、他のクラブにない仕組みがあります。山梨県が「ヴァンフォーレ甲府経営委員会」の広報ページを県の公式サイトで運営し、第39回までの会議記録を公開していることです。
委員会のメンバーは令和8年7月21日現在で6名です。山梨県からスポーツ統括官(代表委員)とスポーツ振興監、山日YBSグループから山梨文化会館の代表取締役常務と経理局長、そして甲府市の企画部長と韮崎市の財務政策課長が入っています。県・地元メディア・2市という構成です。
第39回の委員会は令和8年3月24日に県庁の会議室で開かれ、クラブの代表取締役社長らが出席して2025シーズンの報告を行いました。公開されている内容は次のとおりです。
経営状況は営業収入が約17億735万円、営業損失が約5,678万円、経常損失が約4,665万円、当期純損失が約6,929万円。観客動員はホームゲーム総入場者数159,401人、1試合平均8,390人で前年を上回りました。会員はシーズンシートが4,796口、公式ファンクラブが6,963口です。
協賛を検討する企業にとって重要なのは、2026シーズンの目標として「広告料収入3億6,000万円」が明記されていることです。クラブが次のシーズンにいくら集めようとしているかが、公的な記録として読めます。ただしこの2026シーズンは新シーズン制への移行期にあたる「百年構想リーグ」で、令和8年2月から6月までの期間です。通年の目標ではない点に注意が必要です。
この仕組みができた背景には2001年の経営危機があります。山梨県企画部企画課が2003年に寄稿した「ヴァンフォーレ甲府の再生」によれば、クラブの前身は昭和40年に地元の教員などを中心に結成された甲府サッカークラブで、平成9年2月に県内唯一のプロスポーツチームとして設立されました。当初の資本金は1億円です。
平成9年8月の増資要請を受けて、県が8,000万円、山日YBSグループが追加で7,000万円、甲府市が4,000万円、韮崎市が2,000万円を出資し、資本金は3億3,500万円になりました。このとき県は「今後、追加出資、経営支援のための金銭的給付及び人的支援は行わない」旨の覚書をクラブと取り交わしています。県が出資者でありながら、追加の財政支援には踏み込まないという線引きです。
当時の数字も残っています。広告料収入は平成9年度の6,700万円から平成10年度には3,500万円へ激減しました。2025年度のスポンサー収入8億3,200万円は、この平成10年度の約24倍にあたります。
企業の立場から見ると、この一連の公開情報には実務的な意味があります。クラブの経営が毎年、県と2市と地元メディアで構成される委員会でチェックされ、その記録が誰でも読める形で公開されているということです。協賛先としての透明性は、Jリーグのクラブの中でも際立って高いと言えます。
Q. ヴァンフォーレ甲府の経営は誰がチェックしていますか?
山梨県・甲府市・韮崎市・山日YBSグループの6名で構成される「ヴァンフォーレ甲府経営委員会」です。山梨県が広報ページを運営し、第39回までの会議記録を公開しています。第39回では2025シーズンの営業収入約17億735万円、当期純損失約6,929万円、2026シーズンの広告料収入目標3億6,000万円などが報告されました。
(参考)VFK経営危機(ヴァンフォーレ甲府の再生) – 山梨県
メインスポンサーがいなかったクラブが301社になるまで
最初に断っておくと、ヴァンフォーレ甲府の歴代スポンサー企業を一覧にした公表資料は見当たりません。ユニフォームの胸スポンサーが年ごとにどう変わったかを、一次情報で確認する手段が現時点ではありません。
ただし、協賛の「規模」がどう変わってきたかは、山梨県が公文書として残しています。県の記録から拾えるものを並べます。
| 時期 | 出来事 | 協賛・動員の規模 |
|---|---|---|
| 1965年(昭和40年) | 前身の「甲府クラブ」が誕生 | — |
| 平成9年2月 | 県内唯一のプロスポーツチームとして設立。資本金1億円 | — |
| 平成9年度 | 広告料収入 6,700万円 | |
| 平成10年度 | 広告料収入 3,500万円 | |
| 平成13年12月 | 県企画部企画課が「メインスポンサーのいないヴァンフォーレ」と記す | 平均観客3,130人/クラブサポーター5,588人 |
| 平成18年3月 | J1参戦 | — |
| 2025年度 | スポンサー掲載301社 | スポンサー収入 8億3,200万円/平均入場者8,390人 |
出典:山梨県「VFK経営危機(ヴァンフォーレ甲府の再生)」「VFK経営危機(ヴァンフォーレ甲府、激動の1年を振り返って)」「第39回ヴァンフォーレ甲府経営委員会」、Jリーグ「2025年度 クラブ経営情報開示資料」をもとに作成
いちばん重い記述は平成13年12月のものです。山梨県企画部企画課が書いた文章に、「メインスポンサーのいないヴァンフォーレは、県民一人ひとりが支えるしかないのです」という一文があります。当時のクラブには、胸に社名を出す主力スポンサーがいませんでした。
同じ文章には、その年の平均観客動員数が3,130人、クラブサポーター数が5,588人と記されています。存続のための署名が集められ、1,000万円を超えるカンパが寄せられた年でもありました。
2025年度と並べると差がはっきりします。スポンサーは301社、スポンサー収入は8億3,200万円。平均入場者は8,390人で、2001年の約2.7倍です。広告料収入で見れば、平成10年度の3,500万円から約24倍になっています。
この推移は、協賛を検討する企業にとって2つの読み方ができます。ひとつは、大口のメインスポンサーがいない状態から積み上げてきたクラブなので、小口の協賛を受け入れる設計が最初から組み込まれているということ。42区分・301社という細かい区切りは、この歴史の延長線上にあります。
もうひとつは、県と2市が出資者として関わり続けてきた経緯があるため、クラブと地域の距離が近いということです。県外の企業が全国的な露出を求めて協賛する相手というより、山梨県内で関係を作りたい企業に向いた構造だと言えます。
Q. ヴァンフォーレ甲府の歴代スポンサーはどこですか?
歴代のスポンサー企業を一覧にした公表資料は見当たりません。ただし山梨県の記録から協賛規模の推移は追えます。広告料収入は平成9年度が6,700万円、平成10年度が3,500万円で、平成13年12月には県が「メインスポンサーのいないヴァンフォーレ」と記しています。2025年度は301社で8億3,200万円です。
(参考)VFK経営危機(ヴァンフォーレ甲府、激動の1年を振り返って) – 山梨県
まとめ
- スポンサーは301社:延べ347件から重複46件を除いた実数。調べた3クラブで最多
- 区分は42、階層制ではない:社名をどこに出すかで分かれている
- 最多はフェンス横断幕97社:ピッチ看板73社、コンコース36社と続く
- 担架やコイントスまで枠になっている:1社だけの区分が20以上ある
- スポンサー収入は8億3,200万円:J2の19クラブ中10番目
- 売上は減っても協賛は戻した:2025年度は前年から5,200万円増
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