HYROXとは|経営者に広がる新フィットネスレース

HYROXとは|経営者に広がる新フィットネスレース スポーツビジネス

「今度の出張、ロンドンなら現地のHYROXに出てみようと思って」。ある製造業の経営者が、取引先との会食でそう口にしたのは今年の春だった。マラソンのように何ヶ月も練習計画を組む必要はない。1回のレースは1時間半から2時間で終わり、世界中どの都市で開催されても種目もルールも同じだ。

スキーマシンを1000メートル漕ぎ、そりを押し、ローイングマシンを漕ぎ、100回のウォールボールを打ち込む。ランニングと8種類のファンクショナル種目を交互に繰り返すこの競技は、2017年にドイツで生まれてからわずか数年で、世界85都市以上、年間参加者数130万人規模にまで拡大した。日本でも2025年夏の横浜大会を皮切りに、大会のたびに定員が埋まる状態が続いている。

本記事では、HYROXがなぜ多忙な経営者やビジネスパーソンに支持されているのか、企業のチームビルディングや健康経営にどう活用できるのか、国内の開催状況や参加費用も含めて解説する。

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HYROXとは|ランと8種目のファンクショナル種目を交互に行う新種の耐久レース

HYROXは、1kmのランニングと8種類のファンクショナル種目(ワークアウト種目)を交互に8セット行う、屋内開催の耐久レースだ。2017年にドイツ・ハンブルクで、Christian Toetzke氏とホッケー競技でオリンピック3大会連続金メダルを獲得したMoritz Fürste氏によって創設された。第1回大会の参加者は650人だったが、2025〜26シーズンには85都市以上・30カ国以上で開催され、参加者数は約130万人規模に達する見込みだ。

8種目とROXZONEの仕組み

レースは「1kmラン→種目1→1kmラン→種目2」という形式で、ランと種目を交互に8回繰り返す。種目はスキーエルゴ1000m、そり押し50m、そり引き50m、バーピーブロードジャンプ80m、ローイング1000m、ファーマーズキャリー200m、サンドバッグランジ100m、ウォールボール100回で構成される。種目間の移行エリアは「ROXZONE」と呼ばれ、道具の受け渡しや準備にかかる時間もタイムに含まれるため、種目の切り替えの速さも記録を左右する。

階級別の重量設定

そり押し・そり引き・ファーマーズキャリー・サンドバッグランジで扱う重量は、性別と階級(Open/Pro)によって定められている。代表的な種目の重量は次のとおりだ。

種目 Open Men Open Women Pro Men Pro Women
そり押し(50m) 102kg 62kg 152kg 102kg
そり引き(50m) 78kg 52kg 103kg 78kg
ファーマーズキャリー(200m) 2×24kg 2×16kg 2×32kg 2×24kg
サンドバッグランジ(100m) 20kg 10kg 30kg 20kg

2026年時点の世界記録は、男子プロ部門がAlexander Roncevic選手の51分59秒(2026年4月・ワルシャワ大会)、女子プロ部門がJoanna Wietrzyk選手の54分25秒となっている。

HYROX完全ガイド – Disport World

Q. HYROXは筋トレ経験がなくても参加できますか?

参加できます。重量は階級別に設定されており、Open部門は初心者でも扱いやすい負荷になっています。完走を目標にするランナーから、記録を狙う経験者まで同じ大会に参加できる設計です。

なぜ今経営者やビジネスパーソンに選ばれているのか|3つの理由

HYROXの参加者の約3分の2は30歳以上で、40代・50代の経営者や管理職層の参加も目立つ。理由は主に3つある。

所要時間1.5〜2時間で仕事のスケジュールを圧迫しない

レースの完走にかかる時間は、初心者からエリート層まで含めておおむね1時間半から2時間だ。マラソンのように早朝からの拘束や長期の休暇取得を必要とせず、週末の半日で完結する。仕事のスケジュールに組み込みやすい点が、多忙な経営層に支持される最大の理由になっている。

世界共通フォーマットだから出張先でも挑戦できる

HYROXは種目・重量・距離が世界中の開催都市で統一されている。出張先の都市でたまたま大会が開催されていれば、同じルールで挑戦し、自分の過去のタイムと比較できる。この「どこでも同じ土俵で戦える」という特性は、他のご当地ルールを持つ市民スポーツ大会にはない魅力だ。アスリート経験を持つ経営者のリーダーシップ論でも触れているように、身体を通じた自己管理の実践は経営判断の質にも波及すると考えられている。

個人種目でありながら仲間と挑む一体感がある

HYROXにはSingle(個人)だけでなく、Doubles(2人)、Relay(4人リレー)という参加形式が用意されている。個人の記録に挑みながらも、同僚や友人とチームを組んで挑戦できる柔軟さが、法人・チーム単位での参加を後押ししている。非認知能力の測定方法の観点からも、こうした「仲間と目標を追う体験」は忍耐力やストレス耐性といった資質を可視化する場として注目されつつある。

Q. マラソンとHYROXはどちらが体への負担が大きいですか?

単純な比較は難しいですが、HYROXは1〜2時間で完結するため、マラソンのような長時間の関節・筋肉への負荷は相対的に短く済みます。一方でそり押しなどの高負荷種目が含まれるため、事前の筋力トレーニングが完走の鍵になります。

企業のチームビルディング・健康経営への活用法|リレー形式が鍵

HYROXの参加形式の中でも、4人制のRelay(リレー)は法人・チーム単位での参加に適した設計になっている。1人あたりの負荷が個人参加より小さく、運動習慣に差があるメンバーでもチームとして挑戦しやすいためだ。実際、法人単位でのチームビルディング参加が増加傾向にあると報告されている。

4人制リレー形式が法人参加に向いている理由

Relay形式では、1kmランと8種目をチームメンバーで分担するため、運動経験の浅い社員も無理のない範囲で参加できる。準備段階からチームで練習メニューを共有し、当日は互いの区間を応援し合う。この一連のプロセス自体が、スポーツ体験を使ったチームビルディングの効果測定で指摘されるような「共通の困難を乗り越える体験」を生み出す。

健康経営の文脈でHYROXを導入するときの注意点

職場における運動・スポーツの取り組みは、従業員のパフォーマンスや組織への好影響につながることが調査で示されている。ただし導入にあたっては、まず社内の運動習慣の実態を把握し、無理な強制参加を避けることが重要だ。以下は、Relay形式のイベント参加を健康経営施策として位置づける際の一般的な流れだ。

1

希望者を募る:全社一律ではなく、まず有志を対象に募集をかける
2

数週間の準備期間を設ける:業務時間外の練習を前提とせず、無理のないペースを共有する
3

当日は完走を目的にする:タイムを競うのではなく、チームで完走することをゴールに設定する
4

振り返りの場を設ける:参加後に感想を共有し、次回参加や日常の運動習慣づくりにつなげる

チームビルディング施策として運動イベントを導入する際は、スポーツ流チームビルディングプランのように、目的を「勝敗」ではなく「共通体験の獲得」に置くと、参加への心理的なハードルが下がりやすい。

(参考)職場における運動・スポーツの取組がもたらす影響に関する調査研究(令和7年度) – スポーツ庁

Q. 運動不足の社員でもリレー形式なら参加できますか?

参加できます。リレー形式は1人あたりの走行距離・種目数が個人参加より少なく、区間を分担できるため、運動習慣がない社員でも数週間の準備期間があれば挑戦しやすい設計になっています。

日本国内の開催情報|規模拡大が続く大会スケジュールと参加費用

日本国内でのHYROX開催は2025年夏の横浜大会から本格的に始まり、大会のたびに規模が拡大している。

開催都市 時期 参加者数の目安
横浜 2025年8月 約3,800人
大阪 2026年1月30日〜2月1日 約8,000人超(登録満了)
千葉 2026年8月6日〜9日 約12,000人(国内最大規模)
大阪 2027年1月予定 未定
名古屋 2027年4月予定 未定

参加費用の目安

2026年8月開催の千葉大会を例にすると、参加費用はSingleが24,486円、Doublesが23,260円、Relayが1人あたり18,365円で、いずれもサービス料6.5%が別途かかる。アスリートのソフトスキルを研修に転換する取り組みと同様、HYROXも単なるレース参加にとどまらず、準備期間を通じた自己管理能力の向上という副次的な効果が語られることが多い。

Q. 大会にはどうやってエントリーすればいいですか?

HYROX公式サイトの大会ページから、開催都市・日程・参加形式(Single/Doubles/Relay)を選んでオンラインでエントリーします。人気大会は登録開始から数週間で満了になることが多いため、早めの申し込みが推奨されます。

初めて挑戦する人が押さえておきたい準備と注意点

HYROXは階級によって負荷を選べるとはいえ、そり押しやウォールボールなど高強度の種目が含まれるため、事前の準備が完走の鍵を握る。

トレーニング開始の目安時期

運動習慣がない状態からの挑戦であれば、大会の8〜12週間前を目安に準備を始めたい。ランニングの持久力と、そり押し・ファーマーズキャリーなどの筋力系種目の両方を段階的に鍛える必要があるため、片方だけの練習では本番で足りなくなりやすい。

怪我予防のためのチェックポイント

特に腰や膝に不安がある場合は、そり系種目やランジで負担が集中しやすいため、事前にフォームを確認しておくことが望ましい。持病がある場合や運動を長期間していない場合は、医師に相談したうえで参加を検討すべきだ。

社内でチーム参加を検討する際は、スポーツ研修プログラムの費用相場で紹介しているような外部の運動指導サービスを併用し、準備段階から専門家のサポートを受ける方法もある。

Q. 運動初心者でもHYROXに挑戦できますか?

挑戦できます。Open部門は初心者でも扱える重量設定になっており、8〜12週間ほどの準備期間を確保すれば完走を目指せます。不安がある場合は医師や運動指導者に相談してから始めるとよいでしょう。

まとめ

  • HYROXは1kmランと8種目のファンクショナル種目を交互に行う耐久レースで、2017年のドイツ発祥から世界85都市以上に拡大している
  • 所要時間1.5〜2時間・世界共通フォーマットという特性から、多忙な経営者やビジネスパーソンの参加が増えている
  • 4人制のRelay形式は、運動習慣に差があるメンバーでも参加しやすく、企業のチームビルディングに活用されている
  • 日本国内では2025年の横浜大会以降、大阪・千葉と開催規模が拡大しており、2027年には名古屋開催も予定されている
  • 初挑戦の場合は8〜12週間の準備期間を確保し、持病や既往症がある場合は事前に医師へ相談することが望ましい

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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