夜勤明けの職員が休憩も取れないまま日勤に入る。人手が足りない介護現場では、こうした綱渡りのシフトが日常になっています。増員したくても採用が追いつかず、今いる職員の配置を工夫する以外に打てる手がないという声も少なくありません。
結論として、介護現場の人員配置を最適化する近道は、増員よりも先に、スポーツチームが行う「布陣(フォーメーション)」の発想を配置設計に取り入れることです。本記事では、その具体的な設計方法と導入手順、料金モデルを解説します。
プランの概要
本プランは、スポーツチームが選手の特性に応じてポジションを配置する発想を、介護現場の職員配置に応用する仕組みです。
- 職員ごとの得意な業務(身体介助・記録・レクリエーション等)を可視化する
- 時間帯ごとの業務負荷に応じて配置パターンを複数用意する
- 新人・中堅・ベテランの組み合わせを「布陣」として設計する
増員をせずに、今いる職員の組み合わせだけで負荷の偏りを減らせる点が特徴です。
課題解決の流れ

介護現場の人員配置が抱えがちな課題を整理し、原因を特定したうえで解決策につなげる流れを説明します。
現状の課題
介護職員は全国的に不足しており、厚生労働省の推計では2026年度に約240万人の介護職員が必要とされ、2022年度比で約25万人の増員が求められています。現場は増員を待てないまま日々の配置に追われています。
問題の要因
要因は「配置がその日の欠員状況に応じた場当たり的なものになっていること」です。得意分野を考慮せず手が空いた人から割り振るため、負荷が特定の職員に集中しがちです。
解決策
スポーツチームが対戦相手や選手のコンディションに応じて布陣を変えるように、時間帯・業務量に応じた配置パターンをあらかじめ複数用意しておきます。
Q. 増員をしなくても効果はありますか?
効果はあります。本プランは増員ではなく、既存職員の得意分野を活かした組み合わせを設計することで、特定の職員への負荷集中を減らすことを目的としています。
3つの理由でスポーツ布陣論が効く

数ある人員配置の見直し方の中で、なぜスポーツの布陣の発想を使うべきか、3つの理由から説明します。
理由1|得意分野を活かす発想が定着しやすい
「誰が何のポジションが得意か」という布陣の考え方は現場の職員にも直感的に理解されやすく、導入への抵抗が少なくて済みます。
理由2|欠員時の代替パターンを事前に用意できる
複数の布陣パターンを用意しておけば、急な欠員が出た場合でも慌てず近いパターンに切り替えられます。
理由3|なぜ自社がやるべきか
人手不足は業界全体の構造的な課題であり、増員だけに頼る施設は今後さらに厳しくなります。今いる人員の組み合わせを最適化する発想は、どの施設にとっても先送りできない課題です。
プランの具体的な内容
本プランは3つの機能で構成されます。それぞれの内容を表にまとめ、続く見出しで詳しく説明します。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 得意分野の可視化 | 職員ごとの得意な業務を簡易シートで棚卸しする |
| 配置パターンの設計 | 時間帯・業務量に応じた複数の配置パターンを用意する |
| 世代混合の布陣設計 | 新人・中堅・ベテランを組み合わせ、教育と業務を両立させる |
表1:スポーツ布陣論を応用した人員配置プランの3機能
得意分野の可視化
身体介助が得意な人、記録業務が正確な人など、これまで感覚的に把握していた得意分野を簡易シートに書き出すことから始めます。
配置パターンの設計
忙しい時間帯用・落ち着いた時間帯用など、複数パターンを事前に用意しておくことで、その日の状況に応じて素早く切り替えられます。
世代混合の布陣設計
ベテランと新人を組み合わせることで、教育の機会を業務の中に自然に組み込めます。
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導入ロードマップ

導入は3つのフェーズで進めます。全シフトを一気に変えるのではなく、1フロアから試して調整する順番が定着のコツです。
得意分野の棚卸し(2週間)
職員本人にも自分の得意分野を申告してもらうことで、配置への納得感が高まります。
1フロアでの試験運用(1ヶ月)
いきなり全体に導入せず、まず1フロアで試すことで、パターンの不備を小さな範囲で修正できます。
全フロア展開(2ヶ月)
試験運用で得た調整済みパターンを他のフロアにも展開し、施設全体の負荷分散を進めます。
効果・KPIと続行・撤退の判断基準
導入効果は離職率だけでなく、特定職員への負荷集中が減っているかどうかで測ります。
主要KPI
主なKPIは「時間外労働の偏り」「有給取得率」「職員満足度」の3つです。3ヶ月経過時点で偏りが改善しなければ、パターンの設計自体を見直します。
続行・撤退の判断基準
3ヶ月経過しても特定職員への時間外労働の偏りが改善しない場合は、得意分野の棚卸しが実態と合っていない可能性が高く、いったん撤退して棚卸しをやり直すべきです。偏りが2割以上改善していれば、全フロア展開に進める合図です。
Q. 夜勤の配置にも応用できますか?
応用できます。夜勤は人数が限られるため、緊急対応が得意な職員と記録が正確な職員を組み合わせるパターンをあらかじめ用意しておくと効果的です。
料金モデルという選択肢
従来型の外部コンサル導入は買い切り型が一般的でしたが、このプランは継続的な運用調整との相性が良い設計です。
買い切り型の限界
単発の研修で配置の考え方を教えるだけでは、現場の状況変化に合わせてパターンを更新し続けることができません。
新モデルの仕組み
初期の棚卸し・パターン設計は固定報酬とし、継続的な調整支援は月額のサブスク型で提供するハイブリッド型が適しています。
導入時の注意点
得意分野の棚卸しは本人の自己評価に偏りがちなため、現場観察も組み合わせて客観性を持たせることが重要です。
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対象となる組織・読者
本プランが特に効果を発揮する組織を2つのタイプに分けて紹介します。
慢性的な人手不足に悩む介護施設の施設長・管理者
増員を待つ余裕がない施設ほど、既存職員の組み合わせを見直す効果が大きく出ます。
職員の離職防止に取り組む法人本部の人事担当者
特定職員への負荷集中は離職の主要因になりやすく、配置の見直しは離職防止策としても有効です。
期待できる効果
導入によって期待できる効果を、職員・利用者・施設の3つの視点から整理します。
職員|自分の得意分野で力を発揮できる
不得意な業務ばかりを任される状態から解放され、やりがいを感じやすくなります。
利用者|介助の質が安定する
得意分野を活かした配置により、介助の質のばらつきが減ります。
施設|離職率の改善につながる
負荷の偏りが減ることで、特定職員の疲弊による離職を防ぎやすくなります。
Q. 小規模な施設でも導入できますか?
できます。職員数が少ない施設ほど、1人あたりの得意分野を把握しやすく、パターン設計もシンプルに済みます。
まとめ
- 介護職員は構造的に不足しており、増員だけに頼る配置は限界がある
- スポーツの布陣の発想で得意分野を組み合わせる配置設計が有効
- 導入は棚卸し→1フロア試験運用→全フロア展開の3フェーズで進める
- 料金モデルは初期固定報酬+継続サブスク型が適している
まずは1フロアの得意分野の棚卸しから、配置の最適化を始めてみませんか。
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