人的資本開示の指標に悩む企業へ|Bリーグに学ぶ比べられる開示

人的資本開示の指標に悩む企業へ|Bリーグに学ぶ比べられる開示 ソリューション
SOLUTION|人的資本 × 経営戦略

人的資本開示の指標が、毎年なんとなく選ばれていませんか。Bリーグが全クラブの決算を同じ様式で毎年公開している考え方で、経営戦略から逆算した指標と、その定義・目標を決め、毎年並べて説明できる開示の仕組みをつくります。

人的資本開示人材戦略エンゲージメント組織開発

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対象となるお客さま

  • 有価証券報告書で人材戦略と人的資本の指標を説明する上場企業の人事・IR担当者
  • 人的資本の指標と経営計画のつながりを示したい経営企画の担当者
  • エンゲージメント調査の結果を開示や施策に生かしきれていない人事責任者

よくあるお悩み

  • どの指標を開示すればよいのか、毎年の作業のたびに迷う
  • 調査の設問や集計の方法が年によって変わり、前年と比べられない
  • 数字は並べたが、経営戦略とどうつながるのかを説明できない
ISSUE

課題|人材戦略を、経営戦略とつなげて数字で説明する時期に入った

人的資本指標設計プログラム|有価証券報告書で新たに求められる開示事項と、投資家が人的資本投資を重視する割合

金融庁は2026年2月20日に開示府令を改正し、有価証券報告書で新たに3つの事項の開示を求めることにしました。連結ベースの企業戦略と関連付けた人材戦略、それを踏まえた従業員給与等の決定方針、提出会社の従業員の平均給与の対前年比増減率です。2026年3月31日以後に終了する事業年度の報告書から適用されます。

読み手の関心も高まっています。2026年3月に改訂された「人的資本可視化指針」によると、投資家86社を対象とした調査で、中長期的な投資・財務戦略において人的資本投資を特に重視すべきと考える投資家は6割以上でした。投資家は、人材戦略が企業価値の向上につながる筋道と、その進み具合を知りたいと考えています。

つまり、指標を並べるだけでは足りません。なぜその指標なのか、目標に対してどこまで進んだのかを、毎年同じ物差しで示す必要があります。

(参考)「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」等の公布及びパブリックコメントの結果について – 金融庁

(参考)人的資本可視化指針(改訂版)(令和8年3月23日) – 内閣官房 日本成長戦略本部事務局

CAUSE

原因|指標を先に選び、定義と目標を決めていない

人的資本指標設計プログラム|人的資本の指標が説明に使えない3つの原因と、投資家が独自の指標に求める情報

担当者の努力が足りないわけではありません。原因は次の3つです。

  • 指標から選んでいる:開示例の一覧から指標を選ぶため、経営戦略のどの目標を支える数字なのかが説明できません。
  • 定義が書かれていない:対象者、算定方法、調査の設問が文書になっていないため、担当者や調査会社が変わると数字の意味が変わります。
  • 目標と時間軸がない:実績だけを載せていて、いつまでにどこを目指すのかが書かれていないため、進み具合を判断できません。

人的資本可視化指針は、自社独自の指標を使う場合、指標の定義、算定方法、算定に用いたインプットの開示が期待されているとしています。投資家からはさらに、その開示を重要と考える理由、人材戦略とのつながり、時系列で比較できる実績、当期の財務諸表の数値との関連の開示も期待されています。

同じ指針の別紙では、従業員エンゲージメントスコアについて、時系列の開示と将来の目標値の開示が人材戦略の有効性を見るうえで有用だという海外投資家の意見を紹介しています。設問や算定方法が企業ごとに違えば、他社との単純な比較はできません。だからこそ、自社の中で同じ定義を続けることが前提になります。

(参考)人的資本可視化指針(改訂版)(令和8年3月23日) – 内閣官房 日本成長戦略本部事務局

(参考)戦略に焦点をあてた人的資本開示~投資家の期待に応えるための考え方の整理~(人的資本可視化指針(改訂版)別紙) – 内閣官房 日本成長戦略本部事務局

SPORTS INSIGHT

スポーツ知見|Bリーグは全クラブの決算を統一様式で毎年公開する

人的資本指標設計プログラム|Bリーグのクラブ決算概要発表の目的と、統一様式・推移・人件費の比率の示し方

男子プロバスケットボールのBリーグ(B.LEAGUE)は、毎年「クラブ決算概要」を発表しています。2025年10月14日に発表した2024-25シーズン(2024年度)の資料では、目的として、情報を積極的に開示してスポーツ界全体の発展に役立てること、クラブの透明性を高めてステークホルダーからの信頼を向上させること、他クラブの状況を把握してクラブ経営の改善に利用することの3つを挙げています。

見せ方にも決まりがあります。表示項目はリーグの統一様式で、クラブの決算書の勘定科目と異なることがあると明記しています。営業収入は入場料収入・スポンサー収入・その他に、営業費用はトップチーム人件費・その他に分けられ、直近4シーズンの推移と昨対比が並びます。B1クラブでは、営業収入に対するトップチーム人件費の割合が38.1%(前期39.8%)と示されています。人への投資を、売上との比率で毎年追っているわけです。

この数値は、新しいリーグ構造「B.革新」のライセンスと入会審査の判定材料にもなります。そのため資料では、今後は10月末までに開かれるライセンス判定理事会より前に発表する予定としています。共通の物差しで並べ、比べ、判断に使う。人的資本開示に足りないのは、この流れです。

(参考)2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要発表資料(2025年10月14日) – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

ただし、試合と仕事は同じではありません。クラブの決算は会計のルールで数字が決まり、リーグが様式をそろえます。人的資本の指標は、エンゲージメントのように調査で測るものが多く、どの指標を選ぶかも各社に任されています。そのため、指標ごとに定義・対象・算定方法を自社で文書にし、少なくとも数年は変えない約束を先に決めます。

SOLUTION

解決策|経営目標から逆算した指標を、定義を固定して毎年並べる

人的資本指標設計プログラム|比べられる人的資本開示をつくる4つの要素と、それぞれで決めること

新しい指標を増やすのではなく、いま集めている数字を、経営戦略とのつながりと定義の面から整え直します。

  • 戦略とのつながり:中期経営計画の目標から、必要な人材の姿、人材戦略、指標の順に1本の線でつなぐ
  • 指標の定義:指標ごとに定義・対象者・算定方法・調査の設問を書き、変えるときの手順も決める
  • 2種類の指標:従業員数・離職率・労務費総額のような他社と比べられる指標と、自社の戦略の進み具合を示す独自の指標を組み合わせる
  • 推移と目標:毎年同じ様式の表に実績を並べ、経営計画と同じ時間軸で目標を置く

いちばん大事なのは2つ目の定義です。エンゲージメント調査の設問を毎年少しずつ直していると、スコアが上がっても下がっても、施策の効果なのか設問の変化なのかが分かりません。変える必要があるときは、変えた年に新旧両方の数字を示し、つながりを説明します。

APPROACH

進め方|1つの事業部で指標を試してから、全社の開示に広げる

人的資本指標設計プログラム|診断・設計と試行・定着の3つのフェーズで、やること・役割分担・期間の目安

最初から全社の指標を決めると、現場の実態と合わないまま数字だけが集まりがちです。まず1つの事業部で指標と定義を使ってみて、集計の手間や数字の動き方を確かめてから広げます。

診断では、直近の開示資料と社内で集めている人事データ、経営計画を一緒に読み、指標ごとに戦略とのつながりと定義の有無を確かめます。設計・試行では、1つの事業部で指標と定義書、推移表を作り、6か月ほど四半期ごとに集計して数字の動きを確かめます。定着では全社に広げ、有価証券報告書と統合報告書の作成日程に合わせた年次の更新手順を社内で回せるようにします。

期間は目安です。診断だけ、指標の定義書づくりだけといった始め方もご提案します。Human Soarは開示資料と人事データの読み解き、指標と定義の文書化、年次の見直し会議の進行を担います。御社には人事データと経営計画の共有、試す事業部の決定、人事・IR・経営企画の担当者の参加をお願いします。

OUTPUT

成果物|指標を選び、測り、並べ、見直すための4つの道具

人的資本指標設計プログラム|4つの成果物のつながりと、いつ誰が使うか

成果物は、ひな形を渡して終わりにはしません。どれも御社の経営計画と人事データをもとに、一緒に作ります。

最初にできるのが「人材戦略のつながり図」です。経営計画の目標から、必要な人材の姿、人材戦略、指標までを1枚にまとめたもので、取締役会や投資家との対話で、なぜこの指標なのかを説明する資料になります。次に、指標ごとの定義・対象者・算定方法・調査の設問を書いた「人的資本指標の定義書」を作ります。人事データを集計する担当者は、毎年この定義書どおりに数字を出します。

あわせて、実績と目標を毎年同じ様式で並べる「指標の推移表」を整えます。前年との差と目標との差がひと目で分かり、開示文の下書きにそのまま使えます。最後に、数字が目標から外れたときに原因と対応を書き、指標や定義を見直す「年次の更新手順」をまとめます。支援が終わった後も、人事・IR・経営企画だけで回せるようにします。

VALUE

期待できる効果|毎年同じ物差しで、人材戦略の進み具合を語れる

人的資本指標設計プログラム|戦略とのつながりと定義の固定で見た人的資本開示の4つの状態と、立場ごとの変化

経営にとっては、人材戦略が経営目標のどこに効いているかを、数字の推移で説明できるようになります。人事・IRの担当者は、毎年どの指標を載せるかで迷わず、定義書どおりに集計して前年と比べるだけになります。経営企画は、事業計画と人材の数字を同じ時間軸で見られます。社員にとっても、エンゲージメント調査の結果がどう使われているかが分かりやすくなります。

見る数字は、開示した指標の数ではなく「定義を変えずに3年以上並べられている指標の数」です。もう1つ「目標値と期限を持つ指標の割合」を見ると、実績の報告から、進み具合の説明へ移れているかが分かります。

COMMENT

Human Soarからのコメント

Bリーグは、クラブごとに事情が違っても、同じ様式で決算を並べることで、比べて学び、判断に使える仕組みを作りました。人的資本開示も、指標の多さより、同じ物差しで毎年続けられるかで価値が決まります。御社の経営計画から逆算して、続けられる指標と定義を一緒に決めます。

FAQ

よくあるご質問

Q. エンゲージメント調査の設問を見直したいのですが、前年と比べられなくなりませんか?

見直すこと自体は問題ありません。変えた年は新旧の設問で両方の数字を取り、つながりを説明できる形にします。どの設問を残し、どれを変えるかを定義書に書いておくことで、翌年以降も同じ物差しで比べられます。

Q. 人的資本の指標はいくつ開示すればよいですか?

数を先に決める必要はありません。経営計画の目標から逆算して、人材戦略の進み具合を示せる指標に絞ります。そのうえで、従業員数や離職率のように他社と比べられる指標を組み合わせます。

Q. 有価証券報告書をまだ提出していない会社でも依頼できますか?

できます。上場準備中の会社や、統合報告書・採用サイトで人材戦略を伝えたい会社でも、指標と定義を先に決めておく意味は同じです。最初の年から同じ物差しで数字を集めておけば、後から推移で説明できます。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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