出社回帰で一体感が戻らない企業へ|スポーツチームに学ぶ結束づくり

出社回帰で一体感が戻らない企業へ|スポーツチームに学ぶ結束づくり ソリューション
SOLUTION|組織開発 × 働き方

出社日を増やしたのに、チームのまとまりが戻らない。そんな企業に向けて、スポーツチームがシーズンを通して行う「チーム目標づくり」の研究をもとに、出社日を全員で目標を決めて確かめる日に変え、部署をまたいだ協働を続けられる仕組みをつくります。

出社回帰ハイブリッドワーク組織開発部門間連携

このプログラムについて相談する

対象となるお客さま

  • 出社日を増やしたが、効果を説明できずにいる経営者・人事責任者
  • 在宅と出社を組み合わせて働くチームを率いる管理職
  • 部署をまたいだ連携の弱さに悩む組織開発の担当者

よくあるお悩み

  • 出社しても、各自がパソコンに向かってオンライン会議をしているだけ
  • 懇親会や社員旅行をしても、翌週には元の雰囲気に戻る
  • 「何のために出社するのか」と社員に聞かれて、うまく答えられない
ISSUE

課題|出社日が増えても、気軽に相談できる関係が戻らない

出社日協働設計プログラム|出社回帰で起きていることと、テレワークで不便な点の上位

出社日を増やして席に人が戻っても、相談や部署をまたいだ協働が自然に増えるとは限りません。出社日が「同じ部屋で、それぞれがオンライン会議に出る日」になっていると、通勤の負担だけが増え、社員は出社の意味を感じにくくなります。

やりとりの不足は、コロナ禍の一時的な問題ではありません。内閣府が2023年3月に行った調査で、就業者に「テレワークで不便な点」を聞いたところ、最も多かったのは「社内での気軽な相談・報告が困難」の36.0%でした。2020年5〜6月の調査(34.5%)から3年たっても減っていません。次いで「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」が30.2%です。

一方で、在宅で働く人がいなくなったわけでもありません。国土交通省の令和7年度テレワーク人口実態調査では、雇用型就業者のうちテレワークをしたことがある人の割合は全国で25.2%で、前年度から0.6ポイント増えました。多くの職場では、出社と在宅を組み合わせる働き方が続きます。限られた出社日に何をするかを決めることが、まとまりを取り戻す出発点になります。

(参考)第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査 – 内閣府 政策統括官(経済社会システム担当)

(参考)テレワーク実施率、安定基調で推移~令和7年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~ – 国土交通省 都市局 都市環境課

CAUSE

原因|出社日にチームで取り組む目標がなく、部署間のつながりも細ったまま

出社日協働設計プログラム|出社してもまとまりが戻らない3つの原因と、リモートワークが部署間のつながりに与えた影響

社員の意欲が下がったからではありません。原因は次の3つです。

  • 出社日の目的が決まっていない:出社の曜日だけが決まり、その日にチームで何をするかが決まっていないため、在宅の日と同じ仕事の進め方になります。
  • 部署をまたぐつながりが細ったまま:在宅中心の時期に、同じ部署の中だけでやりとりする形が定着し、出社しても相談の相手が変わりません。
  • 一度きりの場に頼っている:懇親会や社員旅行は、その場では盛り上がっても、翌週からの仕事の進め方を変える仕掛けがないため、元の状態に戻ります。

2つ目の原因には研究の裏付けがあります。米国のマイクロソフト社員61,182人について、2020年前半6か月のメール・予定表・チャット・通話などの記録を分析した研究では、全社で在宅勤務に切り替えたことで、社員の協働のつながりが固定化・分断され、離れた部署どうしをつなぐ関係が減りました。あわせて、同時に話すやりとりが減り、メールやチャットのように時間差で行うやりとりが増えています。研究チームは、こうした変化が組織の中で新しい情報を得たり共有したりすることを難しくしうると指摘しています。

(参考)The effects of remote work on collaboration among information workers(Nature Human Behaviour, 2022) – Yang, L. ほか

SPORTS INSIGHT

スポーツ知見|スポーツチームの結束は、シーズンを通したチーム目標づくりで高まる

出社日協働設計プログラム|スポーツ心理学のチームの結束の4つの観点と、チームビルディングの研究結果

スポーツ心理学では、チームのまとまり(結束)を、「チームの目標や課題でのまとまり」と「人間関係でのまとまり」に分け、さらに「一人ひとりがチームに引かれる気持ち」と「チーム全体としての一体感」に分けた4つの観点でとらえます。キャロンらが示したこの枠組みは、チームビルディング(チームの結束を高める取り組み)の効果を測るときの基準として使われています。

カナダのマギル大学の研究チームは、女子高校バスケットボール8チーム(86人)を、シーズンを通してチーム目標を決めて取り組むチームと、そうでないチームに無作為に分けて比べました。シーズン開始時には両者の結束の感じ方に差はありませんでしたが、シーズン終了時には、チーム目標に取り組んだチームのほうが結束を高く感じていました。

複数の研究をまとめた分析(メタ分析)でも、同じ傾向が見られます。スポーツチームのチームビルディングの研究17件をまとめた分析では、取り組み全体の効果の大きさ(効果量)が0.427で、目標設定だけを行った取り組みは0.714と大きくなりました。2024年に15件の研究をまとめた分析では、取り組みの期間が2〜20週間の場合と20週間以上の場合に、結束を高める効果が確かめられました。2週間未満の取り組みは対象が1件の研究しかなく、効果は統計的に確かめられていません。

(参考)A season-long team-building intervention: examining the effect of team goal setting on cohesion(Journal of Sport & Exercise Psychology, 2008) – Senécal, J. ほか

(参考)Team Building Interventions in Sport: A Meta-Analysis – Martin, L. J., Carron, A. V., Burke, S. M.

(参考)Analyzing the impact of team-building interventions on team cohesion in sports teams: a meta-analysis study(Frontiers in Psychology, 2024) – Kwon, S. H.

ただし、試合と仕事は同じではありません。スポーツチームはほぼ毎日そろって練習し、勝利という共通の目標がはっきりしています。職場は出社日が週に数日で、部署ごとに目標も違います。また、2024年の分析では大学や高校のチームで効果が確かめられた一方、プロのチームでは統計的に確かめられておらず、効果の大きさは対象によって変わります。そのため、職場では2週間を1つの区切りにして出社日に目標を確かめ、部署をまたぐ小さな共通の目標を別に用意します。効果は思い込みで判断せず、4つの観点の短いアンケートで、始める前と後を比べます。

SOLUTION

解決策|出社日を、チームで目標を決めて進み具合を確かめる日にする

出社日協働設計プログラム|出社日を協働の日に変える3つの要素

出社の日数を増やすことも、懇親の場を増やすことも前提にしません。いまの出社日の使い方を、次の3つの点から作り直します。

  • 出社日に決めること・確かめることを固定する:2週間ごとのチーム目標を出社日に全員で決め、次の出社日に進み具合を確かめる。個人作業やオンライン会議は在宅の日に回す
  • 部署をまたぐ共通の目標を置く:2〜3の部署で1つの改善テーマを持ち、出社日に一緒に作業する時間をとる
  • 2週間を1つの区切りにして続ける:一度きりの場で終わらせず、四半期を通して同じ流れをくり返す

いちばん大事なのは3つ目です。懇親会や合宿を否定するものではありませんが、それだけでは翌週からの仕事の進め方が変わりません。出社日ごとに目標を決めて確かめる流れを続けることで、チームで取り組む仕事そのものが、まとまりをつくる場になります。

APPROACH

進め方|2〜3チームで試してから、出社の決まりとして全社に広げる

出社日協働設計プログラム|診断・設計と試行・定着の3つのフェーズで、やること・役割分担・期間の目安

出社の決まりを全社で一度に変えると、部署ごとの仕事の違いに合わないまま形だけになりがちです。まず2〜3のチームで試し、進め方を直してから広げます。

診断では、出社日の予定表をもとに、出社日に何に時間を使っているかを一緒に整理します。あわせて、結束の4つの観点で作った短いアンケートと、部署をまたぐ相談の流れの聞き取りで、いまの状態を確かめます。設計・試行では、2〜3のチームで出社日の使い方とチーム目標の決め方を決め、3か月続けます。定着では他の部署にも広げ、四半期ごとにアンケートで変化を確かめる流れを社内で回せるようにします。

期間は目安です。診断だけ、1部署だけといった始め方もご提案します。Human Soarは診断の設計と集計、出社日の進め方の設計、最初の数回の進行を担い、御社には出社日の予定の共有、試すチームの決定、アンケートへの協力の呼びかけをお願いします。

OUTPUT

成果物|出社日の使い方を決めて続けるための4つの道具

出社日協働設計プログラム|4つの成果物を使う時期と、誰が使うか

成果物は、ひな形を渡して終わりにはしません。どれも御社の出社の決まりと、実際の仕事をもとに一緒に作ります。

最初に作るのが「出社日の使い方ルール」です。出社日に全員でやること、在宅の日に回すことを1枚にまとめたもので、管理職が出社日の予定を組むときの基準になります。次に「チーム目標シート」を作ります。2週間ごとの目標と、次の出社日に確かめる進み具合を書く欄だけの簡単なもので、出社日の最初の時間にチーム全員で使います。

部署をまたぐ取り組みには「部署横断テーマの進め方」を用意します。テーマの選び方、参加する部署の組み方、出社日に一緒に作業する時間のとり方をまとめた手順書です。最後に、結束の4つの観点で作った「チームの結束アンケートと見直し手順」を整えます。人事が四半期ごとに集計し、結果をもとに出社日の使い方を直す流れを、支援が終わった後も社内で回せるようにします。

VALUE

期待できる効果|出社する理由を、社員が自分の言葉で説明できるようになる

出社日協働設計プログラム|出社日の使い方のこれまでとこれからと、立場ごとの変化

経営にとっては、出社の目的を「チームで目標を決めて確かめる日」と具体的に説明できるようになります。管理職は、出社日に何をするかを毎回考えなくてよくなり、チームの進み具合を同じ場で確かめられます。社員にとっては、通勤してまで集まる理由がはっきりし、部署の外に相談できる相手が増えます。人事は、結束の変化をアンケートの数字で追えるようになります。

見る数字は、出社率ではなく「結束アンケートのうち、チームの目標でのまとまりの点数」です。出社の日数が同じでも、この点数が上がっていれば、出社日が機能しています。もう1つ「部署をまたいだ相談の件数」を見ると、つながりが部署の外に広がっているかが分かります。

COMMENT

Human Soarからのコメント

スポーツチームのまとまりは、一度の合宿ではなく、シーズンを通して目標を決め、確かめ続けるなかで育ちます。職場も同じで、出社日を増やすより先に、出社日に何をするかを決めることが大切です。御社の出社日の予定表から、全員がそろう時間の使い方を一緒に決めます。

FAQ

よくあるご質問

Q. 社員旅行や合宿では、まとまりは戻りませんか?

一度きりの場だけでは、翌週からの仕事の進め方が変わらないため、効果が続きにくいと考えています。スポーツチームの研究でも、結束を高める効果が確かめられたのは2週間以上続けた取り組みでした。合宿を行う場合は、その前後の出社日にチーム目標を決めて確かめる流れを組み込むことをご提案します。

Q. 出社が週1日程度の会社でも使えますか?

使えます。むしろ出社日が限られる会社ほど、その日の使い方を決める意味があります。週1日の出社でも、2週間に2回の出社日で目標を決めて確かめれば、同じ流れを回せます。

Q. 懇親会や雑談の時間は、もう要らないのですか?

要らないわけではありません。研究では、人間関係のまとまりにもチームビルディングの効果が見られています。ただ、全員がそろう出社日の中心には仕事の目標を置き、懇親や雑談はその前後に添える形をおすすめしています。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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