BIツールやダッシュボードはそろったのに、会議の結論は経験と勘で決まっていませんか。トップスポーツの分析担当と指導者を調べた研究をもとに、会議で決めることから逆算して見る指標を絞り、分析担当の仕事と経営の判断をつなぎます。
対象となるお客さま
- BIツールやデータ基盤を導入した企業の経営者・経営企画の担当者
- 会議資料や分析を作っている分析担当・情報システム部門
- 定例会議を主催している事業部長・管理職
よくあるお悩み
- ダッシュボードは毎月更新されるが、会議ではほとんど開かれない
- 分析担当が作った資料が、何の判断に使われたのか分からない
- 指標が多すぎて、どの数字で決めればよいかが定まらない
課題|データを活用できている日本企業は51.8%にとどまる
データ基盤やBIツールへの投資が進んでも、会議の結論が「これまでの経験では」で決まる。データがそろっていることと、判断に使われていることは別の話です。
総務省の令和5年版情報通信白書では、パーソナルデータ以外のデータを「活用できている」と答えた日本企業は51.8%でした。米国の81.8%、ドイツの80.9%と比べて低い水準です。
困るのは、データが判断に使われないまま、集めて整える手間だけが続くことです。分析担当は資料を作り続け、会議の参加者は使わない数字の説明を聞き続けます。
原因|指標が先に決まり、会議で決めることが後回しになっている
道具や人数だけの問題ではありません。原因は次の3つです。
- 指標から作り始める:取れるデータから画面を作るため、会議で何を決めるかと数字が結び付いていません。
- 分析担当が会議の狙いを知らない:依頼は「売上の推移を出して」だけで、何を決めるための数字かが伝わっていません。
- 数字が動いたときの対応が決まっていない:下がったら何をするかが決まっていないため、数字を見ても議論が経験談に戻ります。
総務省の同じ調査では、パーソナルデータの取り扱いや利活用の課題として、日本企業の22.3%が「データの利活用方法の欠如、費用対効果が不明瞭」を、23.9%が「データを取り扱う(処理・分析等)人材の不足」を挙げました。米国(11.7%、10.4%)やドイツ(12.6%、9.7%)を大きく上回ります。
スポーツ知見|分析は指導者の狙いから始め、ずれは対話で埋める
トップスポーツには、試合や練習のデータを分析して指導者と選手に届ける「パフォーマンス分析」の担当者がいます。この仕事の主な目的は、指導者と選手の判断を助ける情報を出すことだとされています。
英国のオリンピック・パラリンピック競技で、指導者18人と分析担当23人を調べた2022年の研究があります。分析担当の73.9%は、選手や相手の傾向をまとめた資料(プロファイリング)をいつも、またはほとんどの場合に出していました。一方、その量が必要だと答えた指導者は3分の1でした。
指導者は、分析の方向を決めるのは指導の方針に加えて、次の大会、選手の段階、選手との話し合い、シーズンの時期だと答えています。分析担当はこれを十分につかんでいませんでした。研究者はこのずれを両者の対話不足によるものとみて、指導者の狙いを共有すれば、目的に合わせて絞った分析ができると指摘しています。分析担当は全員が、時間の不足を仕事の大きな制約に挙げていました。
ただし、試合と仕事は同じではありません。スポーツは決める人が指導者で、結果も週ごとに出ます。会社の会議は複数の人で決め、結果が出るまで数か月かかります。そのため、会議ごとに「誰が何を決めるか」を先に書き出し、結果より先に動く数字(先行指標)を選びます。
解決策|会議で決めることから逆算して、見る指標を絞る
データ基盤やBIツールは入れ替えません。変えるのは、数字を選ぶ順番と、分析担当が加わる場面です。
- 判断の書き出し:会議ごとに、そこで決めること(予算の配分、採用の可否など)と決める人を書き出す
- 指標の絞り込み:決めることごとに、見る指標を1〜2個に絞る
- 問いの事前共有:何を決めるための数字かを、会議の前に分析担当へ伝える
- 動いたときの対応:指標がどこまで動いたら何をするかを、あらかじめ決めておく
いちばん効くのに後回しにされやすいのが「動いたときの対応」です。下がったときにやることが決まっていれば、数字を見た時点で議論が次の行動に移ります。決まっていないと、数字の説明が終わったあとに議論が経験談へ戻ります。
進め方|1つの会議で試してから、ほかの会議に広げる
最初から全社の指標を見直すと、指標の一覧づくりだけで時間が尽きます。まず経営会議など1つの会議で、判断と指標を結び付けてから広げます。
診断では、直近3か月の会議資料と議事録を一緒に読み、決めたこと・そのとき見た数字・一度も見られなかった資料を洗い出します。設計・試行では、1つの会議で判断と指標の対応表を作って運用します。定着では、ほかの会議へ広げ、四半期ごとに指標を見直します。
期間は目安です。診断だけ、1つの会議だけといった始め方もご提案します。Human Soarは聞き取り・対応表の作成・会議資料の型づくり・見直しの進行を担い、御社には会議資料と議事録の共有と、試す会議の決定をお願いします。
成果物|支援が終わっても社内で回せる4つの仕組み
成果物は、御社の実際の会議と数字をもとに一緒に作ります。ひな形を渡して終わりにはしません。
最初にできるのが「会議の判断一覧」です。会議ごとに、決めることと決める人を並べたもので、会議の目的を見直す材料になります。次に、判断ごとに見る指標・その定義・データの出どころを並べた「判断と指標の対応表」を作ります。分析担当が会議の前に何を用意すればよいかが、この表で決まります。
運用に入ったら、会議の冒頭で見る「1枚の判断資料」の型を使います。指標と、動いたときの対応が1枚にまとまっています。最後に、使われなかった指標を外して新しい判断に合わせて入れ替える「指標の見直し手順」を整え、四半期ごとに社内だけで回せるようにします。
期待できる効果|経営・事業部・分析担当の3つが変わる
経営にとっては、会議で数字を根拠に結論を出せるようになります。事業部の責任者は、何の数字で判断されるかが前もって分かるので、準備の的を絞れます。分析担当は、使われない資料を作る時間が減り、判断に効く分析に時間を回せます。
見る数字は、指標の数やダッシュボードの閲覧数ではなく「会議で決めた議題のうち、指標を根拠に挙げた割合」です。もう1つ「一度も会議で見られなかった指標の数」を見ると、指標が増えすぎていないかが分かります。
Human Soarからのコメント
スポーツの分析担当は、限られた時間の中で、指導者の判断に役立つ分析を届ける仕事です。何を出すかは、データの量ではなく指導者の狙いで決まります。会社のデータ活用も、集めた量ではなく、会議で何を決めるかから始めると変わります。御社の会議に合わせて、見る指標を一緒に絞り込みます。
よくあるご質問
Q. BIツールやデータ基盤を入れ替える必要はありますか?
入れ替えは前提にしません。このプログラムで変えるのは道具ではなく、どの判断にどの数字を使うかの取り決めです。いまの画面や資料の中から、判断に使う指標を選び直すところから始めます。
Q. 専任の分析担当がいない会社でも依頼できますか?
できます。経営企画や経理など、いま会議資料を作っている方を分析担当として進めます。見る指標を絞るので、資料づくりの手間を減らすこともねらいの1つです。
Q. 経験や勘による判断は不要になりますか?
不要にはしません。数字で決めることと、経験で補うことの境目を会議ごとに決めます。指標が動いたときの対応を先に決めておくことで、経験は数字に表れない事情の判断に使えるようになります。
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