デスクワークの座りすぎ対策|運動生理学の研究で座る時間を区切る

デスクワークの座りすぎ対策|運動生理学の研究で座る時間を区切る ソリューション
SOLUTION|健康経営 × 業務改善

午後になると、デスクワークのまま何時間も立たずに過ごしていませんか。運動生理学の研究では、座りっぱなしを短い活動で区切ると、食後の血糖値やインスリンの上がり方が抑えられることが分かっています。この知見をもとに、座る時間を区切るタイミングを業務の流れに組み込みます。

健康経営座りすぎ対策業務改善ヘルスケア

このプログラムについて相談する

対象となるお客さま

  • 健康経営を進める人事・総務・健康推進の担当者
  • デスクワーク中心の部署を持つ企業の経営者・事業責任者
  • 社員の健康リスクに向き合う産業保健スタッフ

よくあるお悩み

  • 昼食後も、会議と作業で何時間も座ったまま過ごしている
  • 「こまめに立とう」と呼びかけても、業務に追われて立てない
  • 座りすぎ対策に、昇降式デスクを入れる予算はない
ISSUE

課題|平日に8時間以上座る人が、男性で38%、女性で33%いる

座位ブレイク設計プログラム|平日に8時間以上座る人の割合と、座りっぱなしが続く1日の流れ

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、平成25年の国民健康・栄養調査をもとに、平日1日の座っている時間が合計8時間以上と答えた人が男性で38%、女性で33%いたと紹介しています。世界20か国を比べた研究でも、日本人の座っている時間は長いほうだと報告されています。

同じガイドは、身体を動かさないことと長く座ることが、2型糖尿病などの健康リスクを高めるだけでなく、腰痛や肩こり、頭痛につながりやすく、労働生産性にも影響する可能性があると書いています。座りすぎは個人の生活習慣の話にとどまらず、職場の働き方の話でもあります。

(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(令和6年1月) – 厚生労働省

CAUSE

原因|座る時間を区切るきっかけが、業務の中にない

座位ブレイク設計プログラム|座りっぱなしが続く3つの原因と、厚生労働省ガイドの推奨

社員の意識が低いから座り続けるわけではありません。原因は、仕事の組み立て方にあります。

  • 仕事が座ったまま終わる:資料作り、オンライン会議、チャットでの相談まで、席を立たずに済む仕事が増えています。
  • 昼食の後も同じ姿勢が続く:午後いちばんに長い会議や集中作業を入れると、食後の時間をまるごと座って過ごすことになります。
  • 立つことが個人任せになっている:呼びかけだけでは、忙しい人ほど立てません。

厚生労働省のガイドも、働く時間に活動的に過ごすのは個人の努力だけでは難しく、職場で共通の認識がなければ「仕事をさぼっている」と受け取られかねないと指摘しています。そのうえで成人には、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することを推奨しています。

(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(令和6年1月) – 厚生労働省

SPORTS INSIGHT

スポーツ知見|運動生理学では、座りっぱなしを短い活動で区切ると食後の血糖値の上昇が抑えられる

座位ブレイク設計プログラム|座位を短い活動で区切った研究のメタ分析の結果と、職場との違い

運動生理学は、体を動かしたときに体の中で何が起きるかを調べる学問で、アスリートのトレーニングを組み立てる土台にもなっています。この分野では、長く座り続けることそのものも研究の対象です。

英国キングストン大学のLohらは、スポーツ医学の学術誌『Sports Medicine』(2020年)で、座りっぱなしを短い活動で区切った場合と座り続けた場合を比べた42件の研究を系統的レビューし、37件をメタ分析(複数の研究の結果を統合する方法)しました。対象は18歳以上の成人で、健康な人と、血糖値などに不安がある人を含みます。区切った場合は、食後の血糖値・インスリン・中性脂肪の上がり方がいずれも抑えられました。効果の大きさは、血糖値とインスリンで「中程度」、中性脂肪は小さめでした。体格指数(BMI)が高い人ほど、血糖値が抑えられる幅が大きい傾向もありました。

区切り方として多く調べられていたのは、軽い〜中くらいの強さの歩行です。たとえば15分または30分ごとに1.5分歩く、といった方法が使われています。厚生労働省のガイドはこのレビューを根拠に、長時間座り続けるのを、例えば30分ごとにできるだけ頻繁に区切ることが、食後血糖値などのリスクを下げるうえで重要だとしています。世界保健機関(WHO)も2020年のガイドラインで、座位行動(座ったり横になったりして過ごす時間)についての推奨を初めて示しました。

一方で、集中力や記憶などへの効果ははっきりしていません。国立台湾師範大学のChuehらが『BMJ Open』(2022年)で18〜80歳の168人を対象にした7件の研究をまとめたところ、良い効果が見られたのは3件で、結果は分かれていました。

(参考)Effects of Interrupting Prolonged Sitting with Physical Activity Breaks on Blood Glucose, Insulin and Triacylglycerol Measures: A Systematic Review and Meta-analysis(Sports Medicine, 2020) – Loh R, et al.

(参考)Acute effect of breaking up prolonged sitting on cognition: a systematic review(BMJ Open, 2022) – Chueh TY, et al.

(参考)WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour(2020年11月) – World Health Organization

ただし、試合と仕事は同じではありません。運動生理学の知見はトレーニングの現場で磨かれてきましたが、このレビューの対象は競技選手ではなく一般の成人です。また多くは実験室で、決められた食事と時間割のもと、数時間から2日ほど調べたもので、日本の会社員が実際の職場で確かめた結果ではありません。職場では、会議や来客で決めた時刻に立てない日もあります。そこで、区切る時刻を時計で決めるのではなく、会議の切れ目や作業の区切りに結びつけ、自社の部署で取り組む前と後の座っている時間を測って効果を確かめます。国内でも、明治安田厚生事業団の研究で、オフィスワーカー172人が1日数回・合計10分ほど体を動かす休憩を取り入れたところ、1年後の勤務中の座っている時間が24分減ったと報告されています(2025年、Scandinavian Journal of Work, Environment & Health)。

(参考)職場の座りすぎ対策に“1日数回、計10分のアクティブブレイク”(2025年5月) – 公益財団法人 明治安田厚生事業団

SOLUTION

解決策|区切る頻度・長さ・時間帯・きっかけの4つを決める

座位ブレイク設計プログラム|座る時間を区切る4つの決まりと、職場での例

座る時間を減らすために、運動の時間を新しく作る必要はありません。研究で調べられてきた区切り方を、そのまま業務の決まりに置き換えます。

  • 頻度:30分を目安に、座りっぱなしを区切る
  • 長さと強さ:1回1.5〜3分ほど、軽く歩く程度の動きにする。息が上がる運動にはしない
  • 時間帯:昼食後の時間帯を優先する。午後いちばんの長い会議を避け、立って進める打ち合わせや、席を離れる作業を入れる
  • きっかけ:会議の切れ目、電話、資料の受け取りなど、業務の動きに立つ・歩くを結びつける

いちばん大事なのは、4つめのきっかけです。「30分たったら立つ」と時計で決めても、忙しい日ほど守れません。会議は30分で一度区切って立ち上がる、電話は立って受ける、のように業務の手順に組み込むと、意識しなくても座る時間が区切られます。

APPROACH

進め方|1つの部署で座っている時間を測り、区切り方を決めてから広げる

座位ブレイク設計プログラム|診断・設計と試行・定着の3つのフェーズで、やること・役割分担・期間の目安

座り方は部署の仕事によって大きく違います。全社一律のルールにする前に、1つの部署で「いつ、どれくらい続けて座っているか」を測ります。

診断では、1週間の業務記録をもとに、30分以上続けて座っている時間帯と、区切りに使える業務の切れ目を洗い出します。設計・試行では、4つの決まりを1つの部署の業務に当てはめ、3か月試して座っている時間の変化を確かめます。定着では、ほかの部署に合わせて区切り方を調整し、毎月のレビューで見直します。

期間は目安です。診断だけ、1つの部署だけといった始め方もご提案します。Human Soarは記録の様式づくり・集計・区切りのルールと手順の文書化・月次レビューの進行を担い、御社には試す部署の決定と、業務記録への協力をお願いします。

OUTPUT

成果物|支援が終わっても社内で回せる4つの仕組み

座位ブレイク設計プログラム|プロジェクトの4つの成果物と活用場面

成果物は、どれも御社の実際の業務をもとに作ります。一般的な体操のひな形を渡して終わりにはしません。

最初にできるのが「座位時間の診断シート」です。部署ごとに、30分以上続けて座っている時間帯と、その時間にしている業務をまとめたもので、どこから区切るかを経営や部署長と話し合うときに使います。次に、診断をもとに「座位ブレイクのルール」を作ります。区切る頻度・長さ・時間帯を部署ごとに決め、管理職が会議や仕事の段取りを組むときの基準にします。

運用に入ったら、「業務に組み込む動きのメニュー表」を使います。会議の切れ目、電話、資料の受け取りなど、業務ごとにどう立ち、どう歩くかを一覧にしたもので、新しく来た人もその日から同じ動きができます。最後に、座っている時間の記録をもとにルールを見直す「月次レビューの運用手順」まで整えるので、支援が終わった後も社内で回し続けられます。

VALUE

期待できる効果|経営・管理職・社員の3つが変わる

座位ブレイク設計プログラム|経営・管理職・社員の3つの効果と、座る時間の区切り方を見直す時期かを確かめるセルフチェック

経営にとっては、座りすぎという見えにくい健康リスクを、部署ごとの数字で追えるようになります。管理職は、昼食後の会議の置き方や仕事の段取りを、根拠のある決まりで組めます。社員は、仕事の流れの中で自然に立つ機会が増え、自分の意志だけに頼らずに座る時間を区切れます。

見る数字は「30分以上続けて座った回数(1日あたり)」です。研究が示しているのは、座る時間の合計だけでなく、続けて座る時間を区切ることの効果だからです。あわせて「勤務中の座っている時間の合計」を見ると、区切りが形だけになっていないかが分かります。スライド下のセルフチェックで2つ以上当てはまれば、座る時間の区切り方を見直す時期です。

COMMENT

Human Soarからのコメント

運動生理学は、体をどう動かせば体がどう応えるかを、数字で確かめてきた学問です。その研究が示しているのは、長い運動を1回するより先に、座りっぱなしを短く区切ることにも意味がある、ということでした。社員に努力を求めるのではなく、仕事の流れの中に立つ理由を置く。御社の業務に合わせて、その区切り方を一緒に作ります。

FAQ

よくあるご質問

Q. 昇降式デスクを導入しないと、座りすぎ対策はできませんか?

導入しなくても取り組めます。このプログラムは、会議の切れ目や電話など、業務の動きに立つ・歩くを結びつける方法で、新しい家具を前提にしていません。国内でも、1日数回・合計10分ほど体を動かす休憩で、勤務中の座っている時間が減ったという研究があります。

Q. 座る時間を区切ると、午後の集中力は上がりますか?

集中力が上がるとまでは言えません。座りっぱなしを区切ったときの集中力や記憶への効果は、研究によって結果が分かれています。研究ではっきりしているのは食後の血糖値やインスリンの上がり方が抑えられることなので、このプログラムでは健康リスクを下げることを目的にしています。

Q. 持病のある社員や、立つのが難しい社員はどうすればよいですか?

無理に立つ必要はありません。厚生労働省のガイドも、立つのが難しい人はじっとしている時間が長くなりすぎないよう、少しでも体を動かすことを勧めています。座ったまま足を動かすなどの方法を用意し、持病のある方は産業医や主治医と相談したうえで取り組みます。

元気な社員が、いちばんのマーケティングになる。

社員のウェルビーイングを高め、
その元気が自然と外に伝わる仕組みをつくります。

インナーマーケティングを知る →

About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました