健康経営の参加率を上げる方法|健康心理学の行動変容ステージを活用

健康経営の参加率を上げる方法|健康心理学の行動変容ステージを活用 ソリューション
SOLUTION|健康経営 × 組織開発

ウォーキングイベントや運動セミナーを開いても、参加するのは毎回同じ顔ぶれになっていませんか。運動を始めて続けるまでの道のりを段階に分けて調べてきた健康心理学の研究をもとに、社員の段階を測り、段階ごとに違う施策を割り当てる形に組み直します。

健康経営行動変容ウェルビーイング人的資本

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対象となるお客さま

  • 健康経営を進める人事・総務・健康管理の担当者
  • 健康施策の効果を経営に説明する立場の経営企画・役員
  • 健康保険組合と協力して施策を企画している企業

よくあるお悩み

  • ウォーキングイベントの参加者がいつも同じ人に偏る
  • イベントが終わると、運動する人が元に戻ってしまう
  • 参加率のほかに、施策の効果を示す数字がない
ISSUE

課題|定期的に運動している人は半数に満たず、健康施策への参加が伸び悩む

段階別健康施策設計プログラム|運動の実施状況と今後の予定の内訳と、勤務先の取り組みの有無による運動実施率の違い

健康経営に取り組む企業でよく聞く悩みが、従業員の参加です。株式会社リンクアンドコミュニケーションが健康経営セミナーの参加者604名に聞いたアンケート(2021年5月〜2022年2月)では、健康経営の困りごとで最も多かったのが「従業員の参加促進」でした。ウォーキングイベントを開いても、健康に関心のない従業員は参加しないという声が寄せられています。

運動の実態からも、この悩みの大きさが分かります。スポーツ庁の令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(20歳以上・38,066名)では、定期的に運動・スポーツをしている人は45.4%でした。32.0%は運動をしているものの定期的ではなく、22.6%はこの1年間に運動をしていません。

同じ調査で、勤務先に運動・スポーツを活用した取り組みがある就業者の週1日以上の実施率は71.1%、取り組みがない就業者は45.2%でした。取り組みと運動の多さには関係が見られますが、どちらが原因かはこの調査からは分かりません。取り組みを用意するだけでなく、運動していない人まで届く形にできているかが問われます。

(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果の概要 – スポーツ庁

(参考)健康経営に関するWebセミナー参加者アンケートの結果(2022年3月) – 株式会社リンクアンドコミュニケーション(日本の人事部 掲載)

CAUSE

原因|施策が1種類で、すでに運動している人に合わせて作られている

段階別健康施策設計プログラム|健康施策に参加しない・続かない3つの原因と、運動を増やせない理由の上位3つ

社員の意識が低いわけではありません。原因は、施策の作り方にあります。

  • 施策が1種類しかない:歩数を競うイベントは、すでに歩いている人ほど参加しやすく、運動していない人には参加の理由がありません。
  • 良い点より負担が先に立つ:忙しい人や運動が面倒な人にとって、参加の手間が良い点を上回ります。
  • イベントが終わると何も残らない:記録も目標も期間中だけなので、終わると元の生活に戻ります。

スポーツ庁の同じ調査では、運動の頻度が減った、またはこれ以上増やせない理由として「仕事が忙しいから」が26.5%、「面倒くさいから」が22.8%、「体力が衰えたから」が15.2%でした。忙しさと面倒さは、イベントの告知を増やしても変わりません。施策の側を、運動していない人の事情に合わせる必要があります。

(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果の概要 – スポーツ庁

SPORTS INSIGHT

スポーツ知見|健康心理学では、運動を始めて続けるまでを5つの段階で捉える

段階別健康施策設計プログラム|行動変容ステージの5つの段階と、研究と職場の違い

運動やスポーツを始めて続けるまでの心の動きは、健康心理学で長く研究されてきました。よく使われるのが、プロチャスカとディクレメンテが1983年に示した「トランスセオレティカルモデル(行動変容ステージモデル)」です。人は「無関心期(6か月以内に始めるつもりがない)」「関心期」「準備期」「実行期(始めて6か月未満)」「維持期(6か月以上続いている)」の段階を通って行動を変えていく、と考えます。

英国ラフバラー大学のマーシャルとビドルは、このモデルを運動に当てはめた71本の報告(91の対象者集団)をメタ分析し、2001年に学術誌『Annals of Behavioral Medicine』で発表しました。段階によって運動量、運動を続ける自信(自己効力感)、運動の良い点と負担の感じ方が違うことが確かめられています。段階ごとに、効く働きかけが違うということです。

何をすれば行動が変わるかについては、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのミッチーらが2009年に学術誌『Health Psychology』で、成人を対象にした運動と食生活の介入の評価122件(44,747名)を分析しています。自分の行動を記録する「セルフモニタリング」に、目標と現状のずれを点検する技法を1つ以上組み合わせた介入は、効果量(効果の大きさを表す値)が0.42で、ほかの介入の0.26を上回りました。

(参考)The transtheoretical model of behavior change: a meta-analysis of applications to physical activity and exercise(Annals of Behavioral Medicine, 2001) – Marshall SJ, Biddle SJ

(参考)Effective techniques in healthy eating and physical activity interventions: a meta-regression(Health Psychology, 2009) – Michie S, et al.

ただし、試合と仕事は同じではありません。ここで挙げた研究は、運動に取り組む一般の成人などを対象にしたもので、会社員だけを調べたものではありません。また、マーシャルとビドルは、段階がはっきり分かれたものなのか、ひと続きの変化を区切ったものなのかはまだ確かめられないとしています。そのため、段階は社員を分類して評価するためではなく、施策を割り当てるための目安として使い、半年ごとに測り直して効果を確かめます。

SOLUTION

解決策|社員の段階を測り、段階ごとに4つの施策を割り当てる

段階別健康施策設計プログラム|段階ごとに割り当てる4つの施策と、向いている段階

全員に同じイベントを案内するのをやめ、社員の段階に合わせて施策を分けます。最初に5問ほどの短い設問で、運動の今の状況と今後の予定を聞きます。

  • 情報提供型:無関心期の人に。健診の結果や自分の仕事の悩みと運動を結び付けた情報を届け、参加は求めない
  • 試行型:関心期の人に。1回だけ・短時間で終わる体験の機会を業務時間内に用意する
  • 記録・目標型:準備期と実行期の人に。歩数や運動の記録をつけ、本人が決めた小さな目標と月に1回見比べる
  • 運営参加型:維持期の人に。イベントの企画や声かけの役を任せ、続ける理由を増やす

中心は記録・目標型です。研究で効果が大きかったのは、記録をつけることと、目標と見比べることを組み合わせた形でした。イベントの期間が終わっても記録と月1回の見比べを続けることで、「終わると元に戻る」を防ぎます。

APPROACH

進め方|段階の調査から始め、1つの部署で3か月試す

段階別健康施策設計プログラム|診断・設計と試行・定着の3つのフェーズで、やること・役割分担・期間の目安

最初から全社で施策を入れ替えると、どの施策が効いたのかが分からなくなります。まず今の施策と社員の段階を調べ、1つの部署で段階別の施策を試してから広げます。

診断では、今ある健康施策を棚卸しし、どの段階の人に向いた施策かを整理します。あわせて段階の設問を実施し、部署ごとの分布を出します。設計・試行では、1つの部署で4つの施策を割り当て、3か月後に段階を測り直します。定着ではほかの部署に広げ、半年ごとの段階調査を社内で回せるようにします。

期間は目安です。診断だけ、1つの部署だけといった始め方もご提案します。Human Soarは設問と様式の用意・集計・施策の割り当て案・月次レビューの進行を担い、御社には施策の一覧の共有と試す部署の決定、健康保険組合との調整をお願いします。

OUTPUT

成果物|支援が終わっても社内で回せる4つの仕組み

段階別健康施策設計プログラム|プロジェクトの4つの成果物と活用場面

成果物は、ひな形を渡して終わりにはしません。どれも御社の社員の段階と、今ある施策をもとに一緒に作ります。

最初にできるのが「段階チェック票」です。運動の状況と今後の予定を5問ほどで聞くもので、人事が半年ごとに配り、部署ごとの段階の分布を出すときに使います。次に、段階ごとにどの施策を案内するかを決めた「施策の割り当て表」を作ります。健康施策の担当者が、イベントの案内先や内容を決めるときに迷わないようにします。

運用に入ったら、社員が「記録シート」に歩数や運動を記録し、自分で決めた目標と月に1回見比べます。最後に、段階の移り変わりを半年ごとに集計する「効果測定表と月次レビュー手順」を整えるので、支援が終わった後も社内だけで施策を見直し続けられます。

VALUE

期待できる効果|参加率ではなく「段階が進んだ人の割合」で効果を示せる

段階別健康施策設計プログラム|参加率だけを見る場合と段階の進み方を見る場合の違いと、施策を見直す時期かを確かめるセルフチェック

経営にとっては、健康施策の効果を「何人来たか」ではなく「何人が次の段階に進んだか」で説明できるようになります。人事・健康管理の担当者は、段階ごとに施策を分けるので、案内しても響かない層に同じ告知を繰り返さずに済みます。社員は、自分の状況に合った無理のない施策だけを案内されます。

見る数字は、半年ごとの「段階が1つ以上進んだ社員の割合」です。もう1つ「イベントの3か月後も記録を続けている人の割合」を見ると、施策が期間中だけで終わっていないかが分かります。スライド下のセルフチェックで2つ以上当てはまれば、健康施策の組み立てを見直す時期です。

COMMENT

Human Soarからのコメント

運動を続けている人と、まだ始めるつもりがない人では、必要な働きかけがまったく違います。健康心理学の研究は、そのことを数多くのデータで示してきました。同じイベントの告知を増やすより、社員がいまどの段階にいるかを知り、段階に合った施策を届けることを、御社の施策と社員に合わせて一緒に進めます。

FAQ

よくあるご質問

Q. 参加を義務にしたほうが、参加率は早く上がりませんか?

参加の数は上がりますが、続くとは限りません。無関心期の人に参加だけを求めても、運動を続ける理由は生まれにくいためです。このプログラムでは、無関心期の人には参加を求めず、情報提供から始めて段階を1つ進めることを目標にします。

Q. すでに健康アプリを導入していますが、使えますか?

使えます。アプリの歩数や記録の機能は、記録・目標型の施策にそのまま活かせます。足りないことが多いのは、段階に合わせた案内の分け方と、目標と見比べる月1回の場です。今のアプリを前提に、割り当て表とレビュー手順を作ります。

Q. 社員が少ない会社でも取り組めますか?

取り組めます。段階チェック票は5問ほどで、紙でも配れます。人数が少ない場合は部署ごとではなく会社全体で段階の分布を出し、4つの施策のうち人数の多い段階から始めます。

元気な社員が、いちばんのマーケティングになる。

社員のウェルビーイングを高め、
その元気が自然と外に伝わる仕組みをつくります。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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