リスキリングが進まない理由と配置の手順|スポーツの競技転向を応用

リスキリングが進まない理由と配置の手順|スポーツの競技転向を応用 ソリューション
SOLUTION|人材配置 × スポーツのタレント発掘

リスキリングの研修は受けたのに、学んだ人に任せる仕事がない。競技を移る選手を見いだすスポーツの仕組みをもとに、必要な役割の一覧、本人の経験との照合、小さな試行案件、配置と評価の手順を整え、学びを配置につなげます。

リスキリング人材配置人材育成人的資本

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対象となるお客さま

  • リスキリングの研修を始めたが、配置につながらない人事・人材開発の担当者
  • 新しい事業やDXに必要な人を、社内から確保したい経営者・事業責任者
  • 学んだ社員を受け入れたいが、誰が何をできるか分からない部門長

よくあるお悩み

  • 受講率は上がったのに、担当業務は変わらない
  • 学んだ人を異動させて、うまくいかなかったときが不安
  • どの部門にどの役割が足りないのか、一覧がない
ISSUE

課題|研修は役立っても、希望の異動につながった人は1.1%

リスキリング人材配置プログラム|学んだ成果が配置に届かない流れと、能力開発基本調査の数字

リスキリングは、新しい仕事や役割に必要なスキルを身につける取り組みです。ところが、研修を終えても任せる仕事が変わらなければ、学んだことを試す場がありません。受講の記録は残っても、組織の配置は前と同じままです。

厚生労働省の令和7年度「能力開発基本調査」では、能力開発の成果を処遇に反映している事業所は72.8%でした。反映の内容を正社員について見ると、賃金の引上げが87.6%、昇進・昇格が52.6%で、成果を活かせる部署・担当への異動・配置転換は36.8%です。

働く人の側でも、2024年度に受けたOFF-JT(仕事を離れて受ける研修)が役に立ったとした人は96.0%でした。ただ、役に立った内容を正社員について見ると、「現在の仕事の幅が広がった」の50.1%に対し、「希望する部署・担当への異動・配置転換につながった」は1.1%です。これは研修全般の数字で、異動を目的としない研修も含みます。リスキリングだけの数字ではありませんが、学びと配置の距離は読み取れます。

(参考)令和7年度「能力開発基本調査」の結果 – 厚生労働省

CAUSE

原因|必要な役割と本人の経験を照らし合わせる仕組みがない

リスキリング人材配置プログラム|配置につながらない3つの原因と、人材育成の問題点の割合

本人の意欲や研修の質だけの問題ではありません。配置につながらないときは、次の3つを確かめます。

  • 必要な役割が決まっていない:どの部門にどんな役割が要るのかを示さないまま学び始めると、受講そのものが目的になります。
  • 本人の経験が見えない:いまの担当以外の経験や学んだ内容が、受け入れる部門に伝わりません。
  • 試す機会がない:異動させるか今のままかの二択では、本人にも部門にも負担が大きく、判断が先送りになります。

「進まない理由」としてよく挙がるのは、学ぶ前の壁です。同じ調査で、人材育成に何らかの問題があるとする事業所は80.1%でした。内訳は「指導する人材が不足している」が59.5%、「人材を育成しても辞めてしまう」が51.6%、「人材育成を行う時間がない」が45.5%です。こうした壁を越えても、学んだ後の出口が決まっていなければ、配置の問題は残ります。

(参考)令和7年度「能力開発基本調査」の結果 – 厚生労働省

SPORTS INSIGHT

スポーツ知見|J-STARは受け入れ側の基準と本人の同意で選手と競技を結ぶ

リスキリング人材配置プログラム|J-STARプロジェクトの4段階と、職場に置き換えたときの形

ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STAR)は、日本スポーツ振興センター(JSC)が主催する発掘事業です。中央競技団体(各競技を統括する団体)が、将来オリンピックで活躍する可能性のある選手を見いだします。2026年度のオリンピック競技の実施要項と公式ページでは、次の順に進みます。

  • 登録:参加を希望する人が、競技歴や新体力テストの記録を専用のシステムに登録し、スカウトを希望すると設定します。
  • データ選考:競技団体が、個人情報を伏せたデータを自らの選考基準と比べます。通過した人に開示を求め、本人が可否を答えます。
  • 発掘プログラム:本人が参加の意思を答えたあと、競技特性に応じた測定、競技の体験、面談などで、意欲と競技適性の可能性を評価します。複数の競技団体のプログラムに並行して参加できます。
  • 競技団体のプログラム:競技団体が定めた基準を満たした人が参加し、団体の目的に沿った内容と期間で検証を受けます。

注目したいのは、事務局が人を振り分けるのではない点です。受け入れる競技団体が基準を持って選び、本人が段階ごとに答えます。いまの競技とは別の競技に出会う機会にもなると、公式ページは説明しています。

(参考)令和8年度ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(オリンピック競技)実施要項 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター

(参考)J-STARプロジェクト オリンピック競技 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター

競技を移ること(タレント・トランスファー)の研究も、受け入れる環境の大切さを示しています。Green らの系統的レビュー(Frontiers in Sports and Active Living、2024年)は12本の論文を整理し、競技が似ていることだけでは説明できない移行があるとしました。環境の要因は11本、心理面の要因は10本で取り上げられ、指導者の理解不足や、周りの選手に受け入れられないことが壁になる例も挙げています。対象は選手や指導者などで、論文は少なく、理論を用いたものは2本にとどまります。

(参考)Game changer—talent transfer pathways in sport: a systematic review(2024年) – Frontiers in Sports and Active Living

ただし、試合と仕事は同じではありません。J-STARの入口は、走る・跳ぶといった測定値で比べられる身体能力が中心ですが、仕事の適性は数字だけでは測りにくいものです。そこで小さな案件を実際に担当し、成果物と本人の手応えで確かめます。また、企業の配置は雇用契約や就業規則と関わるので、応募制と同じには扱えません。そのため試行は本人の同意を前提にし、配置の決定とは分けて進めます。

SOLUTION

解決策|役割を先に示し、照合して、小さな案件で試してから配置する

リスキリング人材配置プログラム|必要な役割の一覧、経験との照合、試行案件、配置の判断の4つの手順

新しい研修を増やす前に、学んだ後の出口を作ります。手順は次の4つです。

  • 役割を示す:受け入れる部門が、必要な役割と仕事の内容、見る基準を一覧にします。人事が一方的に決めません。
  • 経験と照合する:本人が経験と学んだ内容を登録し、希望の有無を選びます。部門は最初、氏名を伏せた内容で見ます。人数が少なく伏せても分かる職場では、この段階を省き、本人の希望確認から始めます。
  • 小さな案件で試す:今の担当を続けたまま、期間と関わる時間を決めて案件を担当します。受け入れ部門には相談役を置きます。
  • 配置を判断する:成果物、本人の手応え、部門の評価を合わせて、配置する、もう一度試す、学び直す、今の担当に戻る、から選びます。今の担当に戻ることを不利に扱わないと、先に決めておきます。

配置を変えるときは、雇用契約で定めた業務の変更の範囲を確かめます。2024年4月から、労働条件の明示事項に就業場所と業務の変更の範囲が加わりました。個別の判断は、社会保険労務士や弁護士にご確認ください。

(参考)2024年4月から労働条件明示のルールが変わります – 厚生労働省

APPROACH

進め方|受け入れ部門を1つ決め、試行を重ねてから全社に広げる

リスキリング人材配置プログラム|診断・設計と試行・定着の3つのフェーズで、やること・役割分担・期間の目安

全社の役割を一度に書き出そうとすると、一覧を作るだけで止まりやすくなります。まず人が必要な部門を1つ決め、そこに絞って進めます。

診断では、研修の受講者と現在の配置、部門が必要としている役割を確かめます。設計・試行では、役割の一覧と照合シートを作り、試行案件を実際に動かします。定着では、配置と評価の手順を人事の年間予定に組み込み、ほかの部門へ広げます。

期間は目安です。診断だけ、1部門だけといった始め方もご提案します。Human Soarは様式の用意、聞き取り、試行案件の設計、手順の文書化を担い、御社には受け入れ部門と相談役の決定、対象者への説明、配置の判断をお願いします。

OUTPUT

成果物|支援が終わっても社内で回せる4つの仕組み

リスキリング人材配置プログラム|プロジェクトの4つの成果物と、使う時期・使う人

成果物は、ひな形を渡して終わりにはしません。どれも御社の部門と実際の案件をもとに、一緒に作ります。

最初にできるのが「必要な役割の一覧」です。受け入れ部門の責任者が、事業計画を見直すときに役割と基準を書き直します。次に、本人が記入して人事がまとめる「経験・スキル照合シート」を作ります。研修を終えた時点で更新すると、受け入れ部門が候補者を探せるようになります。

受け入れ部門と本人が使うのが「試行案件の設計書」です。期間、関わる時間、相談役、見る点を案件ごとに書きます。最後に、人事と部門長が使う「配置と評価の手順書」を整え、試行の後の選択肢と、処遇への反映の進め方を定めます。担当者が替わっても、同じ流れで判断できます。

VALUE

期待できる効果|経営・部門・人事・本人の4つが変わる

リスキリング人材配置プログラム|4つの立場ごとの効果と、見る数字

経営にとっては、新しい事業に必要な役割を社内のどこまで埋められるかが見えるようになり、採用と育成の判断材料が増えます。受け入れ部門は、配置の前に本人の仕事ぶりを確かめられます。人事は、受講者数だけでなく配置まで追えるようになります。本人は、今の担当を続けながら新しい仕事を試せます。

見る数字は「研修を終えた人のうち、試行案件に参加した人の割合」です。もう1つ「試行の後に、新しい役割へ配置された人の割合」を見ると、学びが配置に届いているかが分かります。配置の人数だけを目標にすると無理な異動につながるので、同意と評価の手順を守ったうえで見ます。スライド下のセルフチェックで2つ以上当てはまれば、学んだ後の出口を見直す時期です。

COMMENT

Human Soarからのコメント

学びと配置を結ぶ難しさは、学ぶ人の努力とは別のところにあります。受け入れる側が求める役割を言葉にし、本人が納得して試せる道を作ることです。競技を移る選手を見いだす仕組みには、そのための順番が表れています。御社の実際の案件を使いながら、学んだ人が力を試せる流れを一緒に作ります。

FAQ

よくあるご質問

Q. リスキリングが進まない理由は何ですか?

厚生労働省の令和7年度の調査で多かった人材育成の問題は、指導する人材の不足、育成しても辞めてしまうこと、育成の時間がないことです。これらに加えて、学んだ後に任せる仕事が決まっていないと、配置には結びつきません。そのため、このプログラムでは必要な役割を先に決めます。

Q. 本人が異動を望まない場合はどうしますか?

望まない人を試行案件に入れることはしません。希望の確認と情報の開示、試行への参加は、それぞれ本人の同意を取ってから進めます。雇用契約で定めた業務の変更の範囲や就業規則に関わる個別の判断は、社会保険労務士や弁護士にご確認ください。

Q. 数字で測りにくい仕事の適性は、どう判断しますか?

小さな試行案件の成果物と、本人の手応え、受け入れ部門の評価の3つで判断します。あらかじめ見る点を決めておくことで、担当者の印象だけで決まることを減らします。1回で決めきれないときは、案件を変えてもう一度試します。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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