女性社員の食事支援は、やせと鉄不足を手がかりに考えます。令和6年の調査で20〜30代女性のやせは16.6%、20〜40代女性の鉄の平均摂取量は6.3〜6.6mgで、月経がある人の推奨量10.0〜10.5mgより少ない水準でした。女性アスリートの栄養の知見を参考に、選べる食事を増やす形で支えます。
健康セミナーでは「食べすぎに注意」という話が多いのに、若手の女性社員からは疲れやすい、朝食を抜いてしまうという声が聞こえる。一律の案内では届かない人がいるのではと感じたことはないでしょうか。
この記事では、公的統計で女性の食生活を確かめ、女性アスリートの栄養の知見から学べること、職場の食事で補う方法、案内で気をつける点を整理します。
20〜30代女性のやせは16.6%で減らす案内だけでは合わない
厚生労働省の令和6年の国民健康・栄養調査で、20〜30代女性のやせ(BMI18.5未満)の割合は16.6%でした。やせている人に「食べすぎに注意」と伝えても、役に立ちません。
野菜を1日350g以上とれている30代女性は11.8%で、同じ年代の男性の20.7%より低くなっています。量を減らす案内より、足りないものを足す案内のほうが、多くの人に合います。全体の傾向は働く世代の食生活の統計で整理しています。
(参考)令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要 – 厚生労働省
Q. 若い女性のやせはどのくらいいますか?
令和6年の国民健康・栄養調査で、20〜30代女性のBMI18.5未満の割合は16.6%でした。職場の健康の案内では、減らす話だけにせず、必要な量をとる視点も入れてください。
鉄の平均摂取量は月経がある人の推奨量を下回っている
鉄は酸素を運ぶヘモグロビンの材料です。不足すると貧血になり、疲労感などが出ることがあります。令和6年の調査の平均と、食事摂取基準(2025年版)の推奨量を並べると、次のようになります。差は本記事の計算です。
| 年代(女性) | 平均摂取量 | 推奨量(月経あり) | 差 |
|---|---|---|---|
| 20〜29歳 | 6.3mg | 10.0mg | −3.7mg |
| 30〜39歳 | 6.3mg | 10.5mg | −4.2mg |
| 40〜49歳 | 6.6mg | 10.5mg | −3.9mg |
出典:厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」表5、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会の報告書の表をもとに本記事で作成しました。月経のない人の推奨量は別です。
平均が推奨量を下回っていても、全員が不足しているとは言えません。調査には月経の有無の区分がなく、貧血の診断にも使えません。疲れやすさが続く人には、受診を勧めます。
(参考)令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要 – 厚生労働省
(参考)「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会の報告書 – 厚生労働省
(参考)気をつけたい栄養素 ~鉄~ – JSC/HPSC Female Sport ナビ
Q. 女性の鉄はどのくらい必要ですか?
食事摂取基準(2025年版)の推奨量は、月経がある18〜29歳で1日10.0mg、30〜49歳で10.5mgです。令和6年の調査の平均は20〜40代で6.3〜6.6mgでした。必要量は個人で違うので、症状がある人は医療機関に相談してください。
女性アスリートの栄養の知見は食べる量を確保する大切さを示す

スポーツの現場では、女性アスリートの健康課題として「利用可能エネルギー不足」が知られています。運動量に見合った食事がとれていない状態で、日本スポーツ振興センターの情報では、無月経や骨がもろくなるリスクが挙げられています。
対策として、3食を決まった時間に食べること、特定の食品を避けないことが挙げられ、運動量が変わらなければ1日300〜600kcalの追加も示されています。これは選手向けの数字なので、会社員にそのまま当てはめません。学べるのは、減らせばよいわけではないという考え方です。
(参考)利用可能エネルギー不足の改善法 – JSC/HPSC Female Sport ナビ
鉄はビタミンCと組み合わせて案内する
同じ情報サイトは、鉄を多く含む食品として、赤身の肉や魚、あさり、納豆、小松菜などを挙げ、ビタミンCを含む食品と一緒にとることを勧めています。緑黄色野菜やかんきつ類、いちごなどです。
(参考)気をつけたい栄養素 ~鉄~ – JSC/HPSC Female Sport ナビ
朝食を抜く人には手軽な選択肢を用意する
朝食が大切とされていても、時間がない人もいます。職場に着いてから食べられるヨーグルトやおにぎりを選べるようにすると、抜く日を減らす助けになるかもしれません。これは本記事の提案です。
あわせて読みたい仕事中の間食のおすすめ|スポーツの補食に学ぶ選び方と量›
Q. 女性社員に鉄分のサプリを勧めてもよいですか?
会社が一律に勧めることは避けてください。必要量は人によって違い、とりすぎの心配もあります。まず食事の選択肢を増やし、貧血の症状がある人には医療機関の受診を勧めます。
職場の食事では副菜と乳製品と主菜を選びやすくする
置き型社食や弁当を選ぶときに、鉄やカルシウムをとりやすい品があるかを見ます。職場で選びやすい例を挙げます。組み合わせは本記事の提案で、栄養成分は商品の表示で確かめます。
| 足したいもの | 職場で選びやすい例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 鉄 | 魚や肉の主菜、大豆製品、青菜の副菜 | 表示を確かめる |
| ビタミンC | 果物、緑黄色野菜の副菜 | 冷蔵の棚が要る |
| カルシウム | ヨーグルト、牛乳、チーズ | 乳のアレルギーに配慮 |
| エネルギー | おにぎり、パン | 無理に減らさない |
出典:日本スポーツ振興センターの情報をもとに本記事で整理しました。
野菜や果物を足す棚はオフィスで野菜、組み合わせの選び方は健康弁当の記事が参考になります。
(参考)気をつけたい栄養素 ~鉄~ – JSC/HPSC Female Sport ナビ
案内では体型や月経の話を個人に向けない

厚生労働省は令和8年10月、労働者の健康保持増進の指針に関する公示を出し、月経に伴う症状や更年期の症状など女性の健康課題についても、検診や治療との両立の支援を明確にしました。一方で、上司が個人の体型や月経に触れると、ハラスメントになるおそれがあります。
案内は全員向けの情報として出し、相談先を添えます。産業医や保健師がいれば窓口にします。女性だけに食事の話を押しつけず、男性を含めた制度として作ります。流れは本記事の提案です。社員の健康施策の全体はウェルビーイングの施策の考え方で説明しています。
あわせて読みたい社員の健康管理で企業がすべきこと|義務とスポーツ施策の進め方›
(参考)「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に関する公示(令和8年10月19日) – 厚生労働省
Q. 女性の健康の取り組みとして会社は何ができますか?
検診を受けやすくする、相談先を伝える、食事の選択肢を増やすといった方法があります。個人の体型や月経には触れず、全員向けの情報として案内してください。厚生労働省の指針も女性の健康課題に触れています。
女性社員の食事支援の要点
- 20〜30代女性のやせは16.6%で、減らす案内だけでは合わない
- 鉄の平均摂取量は月経がある人の推奨量を下回っている
- 女性アスリートの知見は食べる量の確保の大切さを示す
- 職場では副菜、乳製品、主菜を選びやすくする
- 案内は全員向けにして、個人の体型には触れない
まずは今ある社食や自販機に、果物や乳製品や青菜の副菜があるかを確かめてみてください。
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