「規定の体重に収めないと馬に乗れないので、最も注意しているのは体重管理です」。JRA女性騎手の藤田菜七子は、筋肉で体重が増えることすら不利になるという特殊な条件のなかで、独自の体づくりを続けてきた。デサントとのインタビューで語られた具体的なトレーニング内容と生活習慣から、騎手という職業ならではの体づくりの工夫を読み解く。
騎手という職業特有の体づくり
騎手には減量や筋力トレーニングという一般的なアスリート像とは異なる難しさがある。馬をコントロールするだけの筋力や体力は必要だが、筋肉量が増えて体重が増加すると、それがそのままハンデになってしまう。この二律背反のなかでバランスを取ることが、藤田のトレーニングの出発点になっている。
トレーニング方法の工夫
藤田はトレーナーにメニューを組んでもらい、バランス感覚や瞬発力を中心に鍛えている。「騎乗時に必要となる筋肉もお伝えしてトレーニングを組んでもらっている」ことから、体幹のトレーニングが多めに組み込まれているという。さらに、馬に速く走ってもらうための脚や腕の力に加え、背筋も意識的に鍛えている。
朝の調教など限られた時間しか馬に乗れないことを補うため、トレーニング用の木馬を使ってレースの最後の直線で追う動作を強化する練習も行っている。不安定な場所でのトレーニングとしてバランスボールも活用しており、こうした種目の選び方自体が騎手ならではの発想だ。
(参考)藤田菜七子騎手インタビュー ジョッキーならではのトレーニング方法やウェア選びのこだわりとは? – デサント
ウェア選びとコンディション
体重を増やさないための食事管理では、競馬学校時代に学んだジョッキー向けの栄養学をもとに高タンパク・低脂質の食事を心掛けているという。無理な我慢はせず、食べすぎた翌日に調整する形でバランスを取っている。体重は競馬学校時代から毎日測定し、増減の感覚を数値として把握していることも特徴だ。
リカバリー面では睡眠を特に重視し、朝3時から4時に起床する生活に合わせて夜10時には就寝する。レースの合間には競馬場のマッサージで体をケアし、複数レースを走り続けるための疲労対策も欠かさない。
日々の意識
体重・睡眠・栄養という3つの要素を毎日淡々と管理し続けることが、藤田の体づくりの核心にある。「体重管理はジョッキーの生命線ですし、何年も続けている習慣なので、今はストレスなく体重管理ができています」という言葉には、特別な減量法よりも継続の力が現れている。別競技の選手の生活習慣と比べても、日々のルーティン化がコンディション維持の鍵になっている点は共通する。
騎手のコンディション管理を自分の生活に取り入れる3ステップ
特殊な職業のノウハウに見えても、応用できる要素は多い。体重や体調を管理したい人向けに、藤田の実践から抽出できるステップを整理する。
1. 毎日同じタイミングで体重を測る
藤田は競馬学校時代から体重を毎日記録し続けている。同じ時間帯に測定することで、食事量と体重変化の関係を自分の中で把握できるようになる。
2. 体幹とバランス感覚を中心に鍛える
筋肉量を増やしすぎたくない場合でも、体幹やバランス感覚のトレーニングは負荷をコントロールしやすい。他のアスリートの平日ルーティンを参考に、無理のない頻度で継続できるメニューを組むとよい。
3. 就寝時間を固定して回復を最優先する
藤田は早朝の調教に合わせて夜10時就寝を徹底している。生活リズムを固定することが、日々のコンディションのばらつきを抑える最も基本的な方法だ。
よくある質問
Q. 筋肉量を増やさずに筋力を維持するにはどうすればよいですか
藤田はインナーマッスルや体幹を意識したトレーニングを中心に組んでいる。高負荷の筋トレよりも、バランス感覚や瞬発力を鍛える種目を優先するのが一つの方法だ。
Q. 体重管理をストレスなく続けるコツはありますか
藤田は「食べすぎには注意しているが、無理して我慢することもしない」と語る。翌日の食事量で調整するという柔軟な運用が、長期的な継続につながっている。
Q. 早朝の仕事と回復の両立はどう考えればよいですか
就寝時間を固定し、レースやトレーニングの合間にマッサージなどのケアを組み込むことが有効だ。回復を後回しにしないスケジュール設計が重要になる。
まとめ
- 藤田菜七子は筋肉量が増えることも不利になるという特殊な条件下で体重管理を最優先している
- トレーニングは体幹・バランス感覚・瞬発力を中心に組み、木馬やバランスボールなど騎手特有の種目を活用している
- 高タンパク・低脂質の食事と毎日の体重測定で、無理のない体重管理を継続している
- 早朝勤務に合わせた就寝時間の固定とレース間のマッサージで、疲労をためない工夫をしている
- 特殊な職業のノウハウでも、体重測定の習慣化や体幹トレーニングは一般の生活にも応用できる
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