横浜DeNAベイスターズ・伊勢大夢投手の栄養管理の核心は、「量を稼ぐ」高校時代の食べ方から、プロ入り後は炭水化物の質と摂取タイミングを選び分ける食べ方へ切り替えた点にある。本記事では、伊勢投手自身の発言をもとに、自炊で栄養管理を続けるための考え方を具体的に解説する。
伊勢大夢がガリガリだった高校時代に体を大きくした食べ方
伊勢投手は現在183cm94kgという体格で活躍しているが、高校入学時点では「身長は高かったんですけれどガリガリだった」と振り返っている。体づくりのきっかけを作ったのは、Honda熊本製作所の硬式野球部で働く父親のサポートだった。
父親が焼いてくれた鶏ささみと米を中心に、中学時代から1日2.5合ほどの米を食べていたという。九州学院高校に進学してからは、朝の丼メシと唐揚げ丼、授業の合間のおにぎり、練習前後のおにぎりと、こまめに時間を決めて食べる方式に切り替え、高3までに20kgほど体重を増やした。
体を大きくするだけでなく、投手として重要な「体のキレ」を落とさないよう、食べる量を増やしながらも短距離ダッシュのトレーニングを欠かさなかった点も見逃せない。量を追いながら動きの質を落とさない工夫が、後のプロでの活躍につながっている。
(参考)アスリートを育む食卓03 伊勢大夢選手は何を食べて育ったか? – Umios(サカナクロス)
栄養講義で学んだバイキング形式での食材選び3つの工夫
プロ入り後、伊勢投手の食事は寮のバイキング形式に変わり、栄養バランスを自分で考えながらメニューと量を調整する必要が生じた。ここで生きているのが、寮生活時代にチーム専属の栄養管理士から受けた「青星塾」という座学だ。
朝は炭水化物とたんぱく質を両方摂る
朝食は白米、味噌汁に加えて卵料理とサラダ、ヨーグルトを添える構成にしている。エネルギー源となる炭水化物と、体の材料になるたんぱく質を両方確保することで、午前中の練習に向けた土台を作る狙いがある。
昼は練習前のエネルギー補給を優先する
昼食はうどんやごはんものなど、練習中のエネルギーになる炭水化物をさっと摂れるメニューに絞っている。ウエイトトレーニングの前後にはプロテインサプリも活用し、消化に時間をかけすぎない工夫をしている。
夜は低脂質のたんぱく源に絞る
夜は「なるべく低脂肪にしたい」という理由から鶏肉中心のメニューを選び、牛肉や豚肉を食べる場合も赤身や脂肪を落とした部位を選んでいる。ごはんが少なくても満足感が出るよう、サラダを多めに添えるのも工夫の一つだ。
Q. 自炊が苦手でもプロ野球選手のような栄養管理はできますか?
完璧な自炊でなくても、食材選びの基準を持つだけで十分効果があります。伊勢投手も「時間があれば魚を焼く」程度から始め、忙しい時期は鶏胸肉や野菜を炒めるだけの簡単調理で栄養バランスを保っています。
伊勢大夢の食事管理が中学時代からプロ入り後でどう変わったか
伊勢投手自身の発言を時期ごとに整理すると、食事の目的が「量で体を大きくする」段階から「質を選んでコントロールする」段階へと明確に移り変わっていることが分かる。次の表は、発言に基づいて食事量・工夫の推移を独自に整理したものだ。
| 時期 | 主な食べ方 | 体重・成果 |
|---|---|---|
| 中学時代 | 父の勧めで米と鶏ささみを中心に量を重視 | 1日約2.5合の米を摂取 |
| 高校時代 | 丼メシ・唐揚げ丼・おにぎりを時間を決めて頻回摂取 | 高3までに約20kg増 |
| プロ入り後(現在) | 栄養講義を経て炭水化物の質・時間帯を選択 | 183cm94kgを維持しながら防御率1.72を記録(2022年) |
表:伊勢大夢選手の発言をもとに筆者が時期別に整理した食事管理の推移
中学時代|目的や量を意識しない食べ方だった時期
中学時代は父親の助言に従い、とにかく米と鶏ささみを食べることが中心だった。栄養素の内訳を意識するというより、体を大きくするための「量」を優先する時期だったといえる。
高校時代|1日複数回の補食で結果を出した時期
九州学院高校では、丼メシ・唐揚げ丼・おにぎりを時間を決めてこまめに食べる方式に切り替えた。空腹を感じてから食べるのではなく、あらかじめ時間を決めて栄養を補給する発想が、高3までの20kg増という結果につながっている。
プロ入り後|炭水化物の質を選ぶ食べ方へ移行した時期
プロ入り後は「食べた分だけ大きくなる」体質の変化も踏まえ、夜は白米を控えて玄米などの腹持ちのいい炭水化物を選ぶようになった。バイキング形式という自由度の高い環境で、自分でメニューを組み立てる力が求められている。
一人暮らしアスリートの自炊ルーティンを支える3ステップ
2021年末に若手選手寮を出て一人暮らしを始めた伊勢投手は、シーズン中の忙しさに合わせて自炊の負荷を調整している。発言を整理すると、次の3つのステップに沿って自炊を続けていることが分かる。

図:伊勢大夢選手の発言をもとに整理した自炊ルーティンの3ステップ
ステップ①|シーズン中は簡単高たんぱくに振り切る
シーズン中は「かんたんに」を最優先し、ささみや鶏胸肉と野菜を炒めるだけの調理で済ませている。凝った料理よりも、継続できる簡単さを優先する発想だ。
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ステップ②|夜は米を控えてサラダで満足感を作る
夜遅い時間の食事では米を食べず、サラダを添えて満足感を出す工夫をしている。同じように一人暮らしで食事管理と向き合う中日・高橋宏斗投手も、栄養士と相談しながら食事の内容を決めており、自炊アスリートに共通する発想といえる。
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ステップ③|オフシーズンの外食・飲酒とのバランスを取る
シーズンオフにはお酒を楽しむこともあるが、シーズン中は「打たれた日くらい」と頻度を絞っている。寮時代の座学で「飲みすぎはダメだが少量なら回復に良い影響が出やすい」と教わったことで、酒との付き合い方の力みが取れたという。
Q. 一人暮らしでの自炊はどのくらいの頻度が理想ですか?
毎食を自炊する必要はありません。伊勢投手もシーズン中は市販のおにぎりやケータリングを活用しつつ、帰宅後の小腹満たしだけ簡単に自炊するという使い分けをしています。継続できる頻度に絞るのが実践のコツです。
栄養の知識は一生モノ|自炊初心者でも真似できる工夫
伊勢投手は「寮時代はしぶしぶ受講した」と振り返る栄養講義について、「その知識は今も毎日活きているので、学んでよかった」と評価している。知識は一度身につければ、自炊での食材選びという日常の判断にそのまま生かせるという点が重要だ。
設楽悠太選手が苦手だった野菜を克服して記録を伸ばした事例や、セカンドキャリアを歩む加藤優選手のように、体づくりの知識は競技を離れた後の生活にも生きてくる。自炊は特別な人だけのものではなく、基準を一つ持つだけで誰でも始められる。
広島・森下暢仁投手が大学時代に築いた栄養バランスと体づくりの工夫も、伊勢投手と同じく「量から質へ」の移行を経験している点で共通する。
Q. お酒はどのくらいなら体づくりに影響しませんか?
量と頻度を絞ることが前提になります。伊勢投手はシーズン中はほとんど飲まず、飲む場合も少量にとどめており、休養日の回復を優先する考え方を採用しています。個人差があるため、体調の変化を見ながら量を調整することが大切です。
伊勢大夢の栄養管理から学べる3つのポイント
- 体づくりの初期は「量」を、体格が整った後は「質と時間帯」を優先する段階的な発想が土台になっている
- バイキング形式のような自由度の高い食環境でも、朝・昼・夜で役割を分けて食材を選べば栄養バランスは保てる
- シーズン中は「かんたんな高たんぱく調理」に振り切り、継続できる自炊の負荷に調整することが長続きの鍵になる
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