走り始めて数キロで膝の外側がずきっとする。階段を下りるたびにお皿のまわりが重い。ランニングの膝の痛みは、走る習慣がついた頃に出てきやすい悩みです。
結論から言うと、ランニングの膝の痛みは「どこが痛むか」で原因の見当がつき、「いつ痛むか」で治し方が決まります。運動のあとだけ痛む段階なら量を落として続けられますが、常に痛むなら走るのをやめて整形外科を受診する段階です。
この記事では、痛む場所ごとの状態、原因、重症度別の治し方と病院に行く目安、ストレッチと筋トレの回数、サポーターとテーピングの根拠を、学会の資料と査読論文で確かめながら整理します。社内のランニング部や歩数イベントを運営する立場で押さえたい予防の設計も、後半でまとめました。なお、この記事は診断の代わりにはなりません。
ランニングの膝の痛みは場所で原因の見当がつく
膝の痛みは、前面・お皿の上下・外側・内側のどこに出るかで、考えられる状態が変わります。日本スポーツ整形外科学会の資料「膝の慢性障害」と海外の診療ガイドラインをもとに、場所と状態の対応を一覧にしました。
| 痛む場所 | 考えられる状態 | 起こり方 |
|---|---|---|
| 膝の前面・お皿の裏やまわり | 膝蓋大腿部痛(しつがいだいたいぶつう) | しゃがむ・階段・長く座る・走るなど、脚に体重がかかる動作で痛みが強まる |
| お皿のすぐ上・すぐ下 | ジャンパー膝(大腿四頭筋腱付着部炎・膝蓋靱帯炎) | 腱や靱帯が骨につく部分に力が集中し、小さな損傷が起きる |
| 膝の外側 | 腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん) | 膝の曲げ伸ばしで靱帯と骨がこすれ、炎症が起きる |
| 膝の内側(すねの骨の上あたり) | 鵞足炎(がそくえん) | 腱が骨につく部分に力が集中し、小さな損傷が起きる |
出典:日本スポーツ整形外科学会「スポーツ損傷シリーズ 10.膝の慢性障害」(位置は同資料の図による)、Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy「Patellofemoral Pain」(2019年)をもとに作成
学会の資料は、こうした痛みを「ランニングやジャンプを長時間繰り返しおこなうこと」で生じる使い過ぎ症候群と説明しています。転んだりひねったりした覚えがないのに痛むなら、まずこの4つを手がかりにしてください。
膝の前面やお皿のまわりが痛むなら膝蓋大腿部痛
ランナーの膝の痛みでいちばん多いのは、外側ではなく前面です。2020年6月までの研究を集めた系統的レビューでは、ランナーの障害のうち有病割合が最も高かったのが膝蓋大腿部痛症候群で16.7%、腸脛靱帯症候群は7.9%でした。
カナダのスポーツ医学施設を受診したランナー2,002件の記録を調べた研究でも、最多は膝蓋大腿部痛症候群で、腸脛靱帯の障害が2番目です。ただしこれは受診した人の集計で、ランナー全体の発生率ではありません。
米国の理学療法の診療ガイドライン(2019年)は、この痛みを「膝の前面、お皿の裏やまわりに、境界のはっきりしない痛みが徐々に出る」状態と定義しています。しゃがむ、長く座る、階段を上り下りするといった動作で強まるのが特徴です。
お皿の上下が痛むならジャンパー膝
お皿のすぐ上か下が痛む場合は、ジャンパー膝が候補になります。日本スポーツ整形外科学会の資料は、お皿の上の「大腿四頭筋腱付着部炎」と、お皿の下の「膝蓋靱帯炎」の両方をジャンパー膝として挙げています。
どちらも、太ももの筋肉の力が腱や靱帯を通じて骨に伝わる部分です。同資料は、こうした付着部に「筋肉のはたらきによるストレスが集中しやすく、組織の小さな損傷が生じます」と説明しています。名前はジャンプ競技に由来しますが、資料は発症のきっかけにランニングも含めています。
(参考)スポーツ損傷シリーズ 10.膝の慢性障害 – 日本スポーツ整形外科学会
膝の外側が痛むなら腸脛靱帯炎
膝の外側の痛みでは、腸脛靱帯炎がまず疑われます。ランナーを対象にした系統的レビュー(2012年)は、腸脛靱帯症候群を「ランナーの膝の外側で最も多い障害」とし、発生率を5〜14%と推定しています。
腸脛靱帯は太ももの外側を通る長い靱帯です。日本スポーツ整形外科学会の資料は、靱帯が骨のすぐ上を通る場所では、膝の曲げ伸ばしによって靱帯と骨の摩擦が生じ、炎症の原因になると説明しています。
原因については、同じレビューが「根拠は限定的または矛盾している」と書いています。お尻の横の筋力不足が主な原因かどうかも、はっきりしていません。
(参考)Iliotibial band syndrome in runners: a systematic review(2012年) – Sports Medicine
膝の内側が痛むなら鵞足炎
膝の内側、すねの骨の上あたりが痛む場合は鵞足炎が候補です。日本スポーツ整形外科学会の資料では、ジャンパー膝と同じく、腱が骨につく部分にストレスが集中して起きる小さな損傷に分類されています。
内側の痛みは、鵞足炎以外の状態でも起こります。たとえば日本整形外科学会は、変形性膝関節症の主な症状を「膝の痛みと水がたまること」とし、初期は立ち上がりや歩きはじめに痛むと説明しています。場所だけで決めつけず、長引くときは受診して確かめてください。
(参考)「変形性膝関節症」症状・病気をしらべる – 日本整形外科学会
Q. ランニングで膝の痛みが出る原因は何ですか?
ランニングやジャンプを長時間くり返すことによる使いすぎが原因です。日本スポーツ整形外科学会の資料は、筋力不足や柔軟性不足といった本人側の要因と、オーバートレーニングや不適切な靴といった練習・環境側の要因を挙げています。痛む場所によって、膝蓋大腿部痛・ジャンパー膝・腸脛靱帯炎・鵞足炎などに分かれます。
膝の痛みの原因は本人側と練習環境側に分かれる

膝の痛みの原因は、走りすぎだけではありません。日本スポーツ整形外科学会の資料は発生要因を「選手自身の問題」と「練習、環境の問題」の2つに分けており、対策もこの2方向で考えると整理しやすくなります。
本人側の原因は筋力と柔軟性の不足
本人側の要因として資料が挙げているのは、筋力不足、筋力のアンバランス、からだの柔軟性不足、アライメント不良(過度のO脚、X脚など)です。成長期では、骨の成長と筋の伸びとのアンバランスも加わります。
デスクワーク中心の生活から走り始めた人は、心肺機能より先に脚が悲鳴を上げることがあります。息は上がらないのに膝が痛むなら、走る量より先に、支える側の準備を見直す合図です。座りっぱなしの影響はデスクワークの運動不足対策でも取り上げています。
練習と環境側の原因は走行距離と靴と路面
練習・環境側の要因は、オーバートレーニング、体力や技術に合わない練習、不適切な靴、硬すぎたり軟らかすぎたりする練習場です。日本臨床スポーツ医学会の提言は、ランニング障害は走行距離が長くなるほど高率になるとし、中高年ランナーには月間走行距離を200km以内に止めることを勧めています。
同じ提言は、靴は走行距離500kmを目処に交換すること、道路は路肩に向かって傾いているので同じ側だけ走らないことも挙げています。2002年の提言なので、近年の厚底シューズを前提にした数字ではない点は頭に置いてください。
一方で、よく聞く「距離は週10%ずつ増やす」という目安には、はっきりした裏づけがありません。初心者ランナー532人を対象にした無作為化比較試験(2008年)では、10%ルールに沿った13週間のプログラムと標準の8週間のプログラムで、障害の発生率は20.8%と20.3%でほぼ同じでした。数字を守ることより、痛みの出方を見て量を調整するほうが実際的です。
(参考)スポーツ損傷シリーズ 10.膝の慢性障害 – 日本スポーツ整形外科学会
(参考)骨・関節のランニング障害に対しての提言 – 日本臨床スポーツ医学会
膝の痛みの治し方は重症度で決める

治し方は、痛みが「いつ出るか」で決まります。日本スポーツ整形外科学会の資料は重症度を4段階に分けていて、運動のあとだけ痛む軽症と、途中と後で痛むが支障のない中等症なら、悪化させない調整をしながら続けられるとしています。
運動後だけ痛む段階は量を落としてストレッチとアイシング
軽症と中等症の段階で資料が勧めているのは、スポーツの前の十分なストレッチングと、スポーツの後の15分ほどのアイシングです。貼り薬や塗り薬も効果があることが多い、と書かれています。
あわせて、走る量そのものを見直します。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、翌日の生活に支障が出るような疲れが生じるときは強度や量が過剰で、まず休養をとり、次回から控えめにする調整が必要だとしています。休むことを後退と捉えない考え方は戦略的リカバリーの記事にまとめています。
(参考)スポーツ損傷シリーズ 10.膝の慢性障害 – 日本スポーツ整形外科学会
常に痛む段階は走るのをやめて病院の整形外科へ
常に痛み、走りに支障が出ているなら重症の段階です。資料が「続けられる」としているのは軽症と中等症までなので、ここからは走るのをやめて病院で診てもらう段階になります。
かかる先は整形外科です。日本整形外科学会は、整形外科を「運動器の疾患を扱う診療科」と説明し、診察とX線(レントゲン)やMRIなどの検査をもとに診断して、投薬・注射・リハビリテーションなどで治療するとしています。
接骨院(整骨院)との違いも同学会が説明しています。柔道整復師の業務範囲は外傷による捻挫や打撲への施術と骨折・脱臼の応急処置で、慢性の疾患は取り扱えません。使いすぎで長引く膝の痛みは、まず整形外科で原因を確かめるのが順番です。
治らない痛みやひっかかりは早めに受診する
休んでも治らない痛みは、早めに受診してください。米国の診療ガイドラインは、膝蓋大腿部痛について「再発したり、何年も続いたりすることがある」と書いています。様子を見続けるほど、走れない期間が延びるおそれがあります。
使いすぎ以外の状態が隠れていることもあります。日本スポーツ整形外科学会の資料によると、半月板を損傷すると膝の曲げ伸ばしで痛みやひっかかりを自覚し、ひどい場合は膝に水がたまったり、膝を動かせなくなるロッキングが起きたりします。こうした症状があるなら、場所別の見当より受診が先です。
何週間休んだら受診、という期間の目安は、公表された学会や公的機関の資料では確認できませんでした。期間ではなく、常に痛む・ひっかかる・水がたまるといった症状で判断してください。
(参考)スポーツ損傷シリーズ 33.半月板損傷 – 日本スポーツ整形外科学会
(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 – 厚生労働省
Q. ランニングの膝の痛みが治らないときは病院の何科に行けばよいですか?
整形外科です。日本整形外科学会は、整形外科を運動器の疾患を扱う診療科と説明しており、X線やMRIなどの検査をもとに診断します。常に痛む、膝がひっかかる、水がたまるといった症状があるときは、走るのをやめて早めに受診してください。
ストレッチと筋トレは学会資料の回数を目安に続ける
ストレッチと筋トレは、日本スポーツ整形外科学会が回数まで示している方法を目安にするのが確実です。同学会の資料「下肢障害予防運動」は、運動の前後に筋肉を柔らかくするストレッチと、バランス能力を高める筋力トレーニングを行うよう勧めています。
ストレッチは太もも前とお尻と太もも裏を20〜30秒
同資料が示す静的ストレッチは、太もも前、お尻・背中、ふくらはぎ・太もも裏の3種類です。各メニュー20〜30秒を2〜3回、毎日行うのが目安で、息を吐きながら反動をつけず、痛みが出ないように行います。
注意点が1つあります。運動前にストレッチをすると筋肉がゆるんで力が入りにくくなることがあるため、資料は「改めてウォームアップを」と書いています。膝の慢性障害の資料では、内転筋・大腿四頭筋・腸脛靱帯のストレッチングも図で示されています。
ただし、ストレッチだけでけがを防げるとは確認されていません。コクランの系統的レビュー(2011年)は、6試験・5,130人のデータから、ストレッチが下肢の軟部組織のけがを減らす根拠は見つからなかったと結論しています。ストレッチは「やれば安心」ではなく、走る量の調整や筋トレと組み合わせるものと考えてください。
あわせて読みたいビジネスの集中力を高めるストレッチの習慣|疲労回復とパフォーマンス向上›
(参考)スポーツ損傷シリーズ 29.下肢障害予防運動 – 日本スポーツ整形外科学会
筋トレは股関節と膝を週3日
筋トレは、各メニュー8回を3セット、週3日程度を数週間続けるのが同資料の目安です。紹介されているのは、脚を前後に開いて股関節と膝を90度に曲げて体を支える種目と、横向きで肘とかかとをついて体をまっすぐ持ち上げる種目の2つです。
どちらも「腰を反らさない」「膝を内側に倒さない」といった姿勢の注意がついています。回数をこなすより、正しい姿勢で息を止めずに行うことが優先です。
海外の研究も、膝だけでなく股関節を一緒に鍛える方向を支持しています。コクランのレビュー(2015年)は、膝蓋大腿部痛に対する運動療法が痛みを減らす可能性を示し、股関節と膝の運動の組み合わせは膝だけの運動より有効かもしれないとしています。根拠の質は「非常に低い」とされているので、効果を言い切れる段階ではありません。
Q. 膝の痛みがあるときにストレッチや筋トレをしてもよいですか?
痛みが出ない範囲で行います。日本スポーツ整形外科学会の資料は、静的ストレッチを各20〜30秒で2〜3回、筋力トレーニングを各8回3セット・週3日程度とし、痛みが出ないように行うよう求めています。常に痛む段階では、先に整形外科を受診してください。
サポーターとテーピングは補助にとどめ運動療法を軸にする
サポーターやテーピングで膝の痛みが治る、と言える根拠は確認されていません。効果を調べた研究はあるものの結果は限定的で、軸に置くべきは前の章の運動療法です。
膝サポーター(装具)については、コクランのレビュー(2015年)が、膝蓋大腿部痛で運動プログラムを行っている成人では、装具を使っても3か月未満の痛みは減らず、機能も改善しなかったとまとめています。根拠の質は「非常に低い」という評価です。
テーピングも同様です。お皿のテーピングを調べたコクランのレビュー(2012年)は、現時点の根拠は質が低く、効果について結論を出すには不十分としています。2018年の国際的な合意声明も、テーピングやブレースの使用は「不確実」と位置づけました。
同じ合意声明が推奨しているのは、運動療法(とくに股関節と膝の運動の組み合わせ)と、足底装具(インソール)です。なお、これらの研究の対象は膝の前面の痛みで、腸脛靱帯炎や鵞足炎でサポーターやテーピングの効果を確かめたレビューは見当たりませんでした。
つまり「効かない」と決まったわけでも、「効く」と示されたわけでもありません。着けると走りやすい人が補助として使うのはかまいませんが、着けたから走ってよい、という判断の材料にはしないでください。
Q. サポーターやテーピングでランニングの膝の痛みは治りますか?
治ると言える根拠は確認されていません。コクランのレビューは、膝サポーターは短期の痛みや機能を改善しなかった、テーピングは効果の結論を出すには根拠が不十分としています。国際的な合意声明が推奨しているのは運動療法とインソールです。
従業員にランニングを勧める企業は膝の痛みの予防を設計に入れる
社内でランニングや歩数イベントを勧めるなら、膝の痛みの予防を最初から設計に入れてください。スポーツ庁の令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」では、勤務先で運動・スポーツを活用した取組がある就業者の週1日以上の実施率は71.1%で、取組がない場合より25.9ポイント高い結果でした。職場の後押しは、それだけ人を動かします。
同じ調査で、この1年間にランニング(ジョギング)・マラソン・駅伝を実施した人は全体の10.7%(男性16.5%、女性5.1%)でした。取組を実施している勤務先は21.3%で、希望する人の32.1%とは10.8ポイントの開きがあります。これから始める会社が多いぶん、走り始めの人の膝を守る仕組みが要ります。厚生労働省のガイドをもとに、施策へ入れる安全の設計を3つにまとめました。
| 場面 | 施策に入れること | もとにした記述 |
|---|---|---|
| 始める前 | 骨・関節・筋肉の状態を確認する項目を参加申込に入れる | 運動開始前の健康チェックシートの項目 |
| 始めた直後 | 低強度・短い時間のメニューを用意し、筋トレを組み合わせる | 整形外科的な問題がある場合の工夫 |
| 痛みが出たとき | 中止の基準と受診先の案内を事前に配る | 運動中に中止すべき症状 |
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(令和6年1月)の「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」をもとに作成
開始前に骨と関節の状態を確認する
参加の申込時に、膝や腰の状態をたずねる項目を1つ入れます。厚生労働省のガイドの「運動開始前の健康チェックシート」には、運動で悪化しそうな骨・関節・軟部組織(筋肉・靱帯・腱)の問題があるかを確認する項目があります。
該当した人を参加させない、という使い方ではありません。ガイドは、運動で悪化する膝痛などがある場合の工夫として「あらかじめ医師に相談してから始める」を挙げています。相談してから参加する道筋を、案内文に書いておくのが実務です。運動施策そのものの選び方はウェルビーイング施策の設計法で整理しています。
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低強度で短い時間から始める
初回から距離を競わせない設計にします。ガイドが挙げる工夫は、低強度・短い時間から始めること、痛む箇所に負荷がかからない運動を選ぶこと、筋力トレーニングやバランス運動を加えることです。
歩数や距離のランキングだけで運営すると、走り慣れていない人ほど急に量を増やします。ウォーキングでの参加枠や、週あたりの上限を決めた部門を用意すると、膝に不安のある人も入りやすくなります。ガイドは、肥満の人は運動で運動器の障害が起こりやすいことにも注意を促しています。
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強い痛みが出たら中止して受診につなぐ
中止の基準を、始める前に全員へ配ります。ガイドは、運動中に自覚したら直ちに中止すべき症状として、胸痛や動悸、めまいと並べて「関節や筋肉の強い痛み」を挙げています。
スポーツ庁の調査では、実施率の高い種目は一人で行う人が9割前後を占めます。一人で走っていると、痛みを我慢して続けても周りは気づけません。「常に痛むなら整形外科へ」という一文と、産業保健スタッフの連絡先を案内に載せておくと、判断を本人任せにせずに済みます。
(参考)令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」 の結果を公表します – スポーツ庁
(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 – 厚生労働省
【PR】ランニングの膝の負担を減らすためのサポートアイテム
ここからは、記事で挙げてきた「膝まわりを支える」「股関節を鍛える」「足元を整える」という3つの軸に沿って、実際に手に入るアイテムを紹介します。筆者が普段から愛用しているものというより、この記事のテーマに合わせて選んだ関連商品です。良い評価だけでなく、購入者が挙げている不満点もあわせて載せました。
膝サポーター:走行中に膝の上下を薄く押さえる
ザムストの「FILMISTA KNEE」は、ヒザの上下を圧迫しながら、ランナー向けに薄さと軽さを追求したサポーターです。伸縮性の違う2種類のウレタンフィルムを圧着したF.S.テクノロジーを採用し、2つのストラップでヒザの上下にかかる負担を軽減する設計になっています。
シューズを履いたまま2ステップで着脱でき、圧迫力を自分で調整できるのが、テーピングとの大きな違いです。サイズはヒザ下の太さで選ぶため、購入前に一度メジャーで測っておくことをおすすめします。
購入者の声
ザムスト公式ショップのレビュー(30件・平均4.57)には「何これ薄っ!と不安だったが、装着していることを忘れてしまいそうになるくらい存在感を消している」「靴を履いていても取り付けるのが簡単で安定性もいい。暑くもない」といった声が並びます。日焼け跡が気にならない幅なので夏場も使いやすい、という感想もありました。
一方で「固定感は今ひとつ。強く固定しようと締め付けると走りづらくなる」(★3)、「マジックテープが弱いと感じます」(★3)といった評価もあります。サイズについては「膝周りを測って購入したつもりだったがキツキツだった」「長時間つけていると少し緩んでくる」という声が複数あり、選び方が難しい商品であることは踏まえておいたほうがよさそうです。
ザムスト(ZAMST)膝用サポーター FILMISTA KNEE 左右兼用(スーパースポーツゼビオオンラインストア)を見る
着圧タイツ:テーピングの考え方を応用して股関節と膝を支える
ワコールの「CW-X エキスパートクールモデルロング」は、テーピングの原理をスポーツタイツに応用し、股関節と膝をサポートする設計のインナーです。着地の際の膝への衝撃をやわらげ、体の軸をブレにくくすることを狙った構造になっています。
クールモデルはメッシュを使って熱やムレを逃がす仕様で、暑い時期に長い距離を走る人向けです。ロング丈なので日焼け対策にもなります。
購入者の声
着用者からは「薄手で涼しいけれど、キチッと膝を保護してくれて、適度な締め付け感で動きやすい」といった評価があり、ふくらはぎの故障を経験した人やテニスプレーヤーからも膝のサポート力を評価する声が出ています。
ただし膝下の圧迫が強く、試着せずに買うとサイズ選びで苦労したという声もあります。メーカー自身も「メッシュ部分から肌が透けて見えやすいので、1枚ばきの場合はスポーツ用アンダーウェアとの併用をおすすめします」と明記しています。価格も13,200円と、気軽に試せる金額ではありません。
CW-X エキスパートクールモデルロング(着圧インナー/株式会社ルネサンス 公式オンラインショップ)を見る
インソール:足のアーチを支えて着地の条件を整える
シダスの「ラン3D センス」は、ランニング用に設計された立体形状のインソールです。足裏の感覚を残しながら、3Dフレキシブルサポートでアーチを支える構造で、接地のたびに足がねじれるような動きが出やすい人の足元を整える選択肢になります。
サイズはSSからXLまでの5展開で、22.0cmから29.5cmまで対応しています。シューズを買い替えるより手軽に、足元の条件を変えられるのが利点です。
購入者の声
楽天の正規代理店商品のレビュー(8件・平均4.88)には「反発感もあり、長距離でも使用したが次の日の疲労感はあんまり感じなかった」「ヒールが不安定で困っていたが、本品の装着でかなり改善した」という声があります。「比較的薄いので、ランニングシューズに入れても違和感がない」という感想もありました。
一方でレビューは8件と少なく、評価が固まっているとは言えません。複数の投稿が「履いている靴との相性もある」「好みの問題ではありますが」と前置きしており、合う・合わないが分かれる商品です。中敷きとしては6,600円と安くはないので、可能なら店頭で足に合わせてから選ぶのが無難です。
シダス(sidas)インソール ラン3D センス 3177081(スーパースポーツゼビオオンラインストア)を見る
ミニバンド:走らない日にお尻まわりを鍛える
SKLZの「ミニバンド」は、ライト・ミディアム・ヘビーの3本がセットになったトレーニングバンドです。横方向の動きのエクササイズや臀部の活性化に向いており、この記事で挙げた「お尻の横の筋肉を使えるようにしておく」という課題に直接使えます。
バンド円周は約48cm、幅は約5cm。場所を取らず、走らない日の10分に組み込みやすいのが実際的な利点です。
購入者の声
購入者からは「チューブの中では丈夫なほうです。黒チューブは特に強度があり、男性向きだと思います」「こちらの商品を4回目購入しています。強度がとても良いです」といった、耐久性と負荷設定を評価する声が出ています。
ただし国内のレビューは6件と少なく、総合評価が算出されるだけの件数に達していません。★1の評価も1件あります。またゴム製品である以上は消耗品で、繰り返し購入しているレビューがあること自体が、使い続ければ交換が必要になることを示しています。負荷は3段階で固定なので、慣れてくると物足りなくなる可能性もあります。
SKLZ ミニバンド(株式会社ルネサンス 公式オンラインショップ)を見る
グルコサミン:ひざの曲げ伸ばしに関する機能性表示食品
DHCの「グルコサミン 2000 30日分」は、機能性関与成分グルコサミン塩酸塩を1日摂取目安量あたり2,000mg配合した機能性表示食品です(届出番号 I313)。
届出表示は「本品にはグルコサミン塩酸塩が含まれます。グルコサミン塩酸塩にはひざ関節の曲げ伸ばし(動きのスムーズさ)をサポートし、ひざの違和感を軽減することが報告されています」というもので、医薬品ではありません。痛みを治療するものではなく、練習量やケアの見直しと並行して考える位置づけです。
購入者の声
公式サイトのレビューには「登山をしますが長時間歩くと下山の際に膝に刺さるような痛みがあり、とても辛かった。飲んでから痛むことが少なく軽くなりました」(54歳・秋田県)、「毎週ソフトテニスをしていますが、後の痛みも和らいで、今ではアイシングをすれば痛みも殆ど無く過ごせています」(54歳・広島県)といった、運動習慣のある人の声が寄せられています。
一方で「一度に6粒も飲むのは負担なので、朝と就寝前で分けています」という声や、「はっきりした変化は感じられなくても良い方向に向かっている様な」という、効果を実感しきれていない感想もあります。1日6粒という目安量は人によって続けにくさにつながります。原材料にアレルギー物質が含まれる場合があるため、食物アレルギーのある方は表示を確認してください。薬を服用中・通院中の方、妊娠中の方は医師に相談のうえお召し上がりください。
DHC グルコサミン 2000 30日分【機能性表示食品】を見る
まとめ
ランニングの膝の痛みは、場所で原因の見当をつけ、痛むタイミングで行動を決めます。要点を振り返ります。
- 前面は膝蓋大腿部痛、お皿の上下はジャンパー膝、外側は腸脛靱帯炎、内側は鵞足炎が候補になる
- 運動後だけ痛む段階は量を落として続けられる。常に痛むなら走るのをやめて整形外科へ
- ひっかかり・水がたまる・治らない痛みは、場所別の見当より受診が先
- ストレッチは各20〜30秒を2〜3回、筋トレは各8回3セットを週3日程度が学会資料の目安
- サポーターとテーピングは補助。軸は運動療法と走る量の調整
まずは今日、自分の痛みが「運動後だけ」か「常に」かを確かめてください。社内でランニングを勧める立場なら、次の案内文に中止の基準と受診先の一文を足すところから始められます。
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