7時間近く寝たはずなのに、朝起きた瞬間から体が重い。午前中の会議では頭がぼんやりして、昼過ぎには眠気と戦っている。週末に昼まで寝ても、月曜の朝にはまた同じだるさが戻ってくる。そんな状態が続いて、自分の眠り方のどこが悪いのか分からなくなっている人も多いのではないでしょうか。
睡眠で疲れが取れない原因は、睡眠時間の不足、睡眠休養感を下げる生活習慣、睡眠時無呼吸症候群などの病気の3つに分けられます。厚生労働省の睡眠ガイド2023は、成人は6時間以上を目安に睡眠時間を確保し、日中の光や運動、寝室の環境を整えることを勧めています。この記事では、原因と対策、受診の目安、サプリやマットレスの選び方の前に知っておきたいこと、企業ができる睡眠の施策を順に整理します。
睡眠で疲れが取れない3つの原因|時間の不足・休養感の低下・病気

睡眠で疲れが取れない原因は、睡眠の量が足りていない、量はあっても質が下がっている、病気が隠れている、の3つに分けて考えると整理できます。厚生労働省の睡眠ガイド2023は、量(睡眠時間)と質(睡眠休養感)の両方を重視しています。
睡眠時間が6時間に届いていない
睡眠ガイド2023は、成人は「6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」ことを推奨し、おおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間としています。一方で、20〜59歳の働く世代では、睡眠時間が6時間未満の人が約35〜50%を占めていると紹介しています(令和元年国民健康・栄養調査)。
働き方の影響も大きく、同じガイドは、1日の労働時間が9時間以上の男性は睡眠時間が6時間未満になるリスクが2.76倍に高まるという調査を紹介しています。疲れが取れないと感じたら、まず睡眠時間そのものが足りているかを確かめます。
(参考)健康づくりのための睡眠ガイド 2023 – 厚生労働省
日中のストレスや生活習慣が睡眠休養感を下げる
睡眠休養感は、寝て休めたという感覚のことで、睡眠の質を表す指標とされています。睡眠ガイド2023は、睡眠不足のほか、仕事などによる日中のストレス、就寝直前の夕食や夜食、朝食を抜くこと、運動不足、慢性の病気が睡眠休養感を下げる要因だとしています。
嗜好品も影響します。ガイドは、眠るためにお酒を飲む寝酒は睡眠の質を悪化させるとし、カフェインは1日400mg(コーヒー700cc程度)を超えないよう、夕方以降は控えるよう勧めています。
(参考)健康づくりのための睡眠ガイド 2023 – 厚生労働省
休日の寝だめでは平日の不足を取り戻せない
週末にまとめて寝れば回復する、と考えがちですが、睡眠ガイド2023は「実際には眠りを「ためる」ことはできません」としています。休日に長く寝てしまうのは、平日の睡眠時間が不足しているサインでもあります。
ガイドが紹介する40〜64歳の調査では、平日に6時間以上眠っている人の1時間程度の寝だめは寿命が縮むリスクを下げていましたが、2時間以上の寝だめが習慣の人ではその効果が見られませんでした。平日の睡眠時間を確保することが先です。
(参考)健康づくりのための睡眠ガイド 2023 – 厚生労働省
Q. 寝ても疲れが取れない原因は何ですか?
主な原因は、睡眠時間の不足、睡眠休養感(寝て休めたという感覚)を下げる生活習慣、病気の3つです。厚生労働省の睡眠ガイド2023は、成人は6時間以上を目安に睡眠時間を確保し、睡眠休養感を高めることを勧めています。日中のストレスや運動不足、就寝直前の食事も睡眠休養感を下げる要因とされています。
働く世代の4人に1人以上が睡眠で休養をとれていない
睡眠で疲れが取れない悩みは、特に働く世代に多く見られます。厚生労働省の令和6年国民健康・栄養調査では、睡眠で休養がとれている人の割合は全体で79.6%でしたが、20〜59歳では73.0%にとどまりました。
| 対象 | 令和6年の値 | 比べる値 |
|---|---|---|
| 20〜59歳 | 睡眠で休養がとれている人 73.0% | 健康日本21(第三次)の目標 75% |
| 40代 | 休養がとれていない人 男性30.0%・女性28.4% | 全体(20歳以上)男性19.7%・女性21.2% |
出典:厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査結果の概要」「健康日本21(第三次)推進のための説明資料(その1)」をもとに作成。40代と全体の「とれていない」は、図の「あまりとれていない」「まったくとれていない」を足した本記事の計算値
20〜59歳は73.0%で国の目標の75%に届いていない
健康日本21(第三次)は、睡眠で休養がとれている人の割合を、20〜59歳で75%、60歳以上で90%にすることを目標にしています。令和6年の20〜59歳の73.0%は、この目標に届いていません。60歳以上は86.1%でした。
令和6年の調査は集計の方法が前年までと異なるため、過去の値と単純には比べられません。それでも、働く世代のおよそ4人に1人以上が睡眠で休養をとれていないことになります。
(参考)令和6年国民健康・栄養調査結果の概要 – 厚生労働省
(参考)健康日本21(第三次)推進のための説明資料(その1) – 厚生労働省
休養がとれていない人は男女とも40代で最も多い
同じ調査の図から「あまりとれていない」と「まったくとれていない」を合わせると、男性は40代が30.0%、女性は40代が28.4%で、どちらも最も高くなりました(本記事の計算値)。仕事と家庭の役割が重なる年代です。
年代ごとの運動の状況とあわせて見ると、働く世代の生活に睡眠と運動の両方の余裕がないことが分かります。運動の実施率の年代別の数字は別の記事で整理しています。
あわせて読みたいスポーツ実施率とは|年齢別の最新値と企業が職場でできること›
(参考)令和6年国民健康・栄養調査結果の概要(睡眠の状況) – 厚生労働省
睡眠で疲れが取れないときの4つの対策

睡眠で疲れが取れないときは、睡眠時間を確保したうえで、日中の光と運動、寝る前の過ごし方、嗜好品の4つを見直します。どれも睡眠ガイド2023が勧めている内容です。
平日に6時間以上の睡眠時間を確保する
最初の対策は、平日の睡眠時間を6時間以上確保することです。寝る時刻を決めるより先に、起きる時刻から逆算して布団に入る時刻を決めると、確保しやすくなります。
長時間労働や、勤務の終わりから次の勤務までの時間が短い働き方は、睡眠時間を削ります。睡眠ガイド2023は、勤務間インターバルが12時間未満の労働者は睡眠休養感が欠けやすく、疲労感が増えるという調査を紹介し、労働時間の管理も重要だとしています。
(参考)健康づくりのための睡眠ガイド 2023 – 厚生労働省
日中に日光を浴びて体を動かす
睡眠ガイド2023は、日中にできるだけ日光を浴びると入眠しやすくなるとし、1,000ルクス以上の光を日中に浴びることの効果を紹介しています。通勤の一部を歩く、昼休みに外に出るといった工夫が使えます。
運動も睡眠を助けます。ガイドは、適度な運動習慣は良質な睡眠の確保に役立つとし、運動習慣がない人は睡眠休養感が低いとしています。夕方や夜の運動は就寝の約2〜4時間前までにし、強すぎる運動は避けます。社内の仲間と走るランニングクルーのような集まりも、運動を続けるきっかけになります。
(参考)健康づくりのための睡眠ガイド 2023 – 厚生労働省
就寝の1〜2時間前に入浴し寝室にスマホを持ち込まない
ガイドは、就寝の約1〜2時間前に入浴して体を温めてから寝ることを勧めています。熱すぎる湯はかえって体を興奮させるため、少しぬるめの湯船にゆっくりつかります。
眠りを促すホルモンのメラトニンは就寝の約2時間前から分泌されるため、寝室にはスマートフォンやタブレットを持ち込まず、暗くして眠ります。夏はエアコンで寝室を涼しく保つことも勧められています。
(参考)健康づくりのための睡眠ガイド 2023 – 厚生労働省
カフェインは1日400mgまでにして寝酒をやめる
カフェインは、1日400mg(コーヒー700cc程度)を超えないようにし、夕方以降は控えます。睡眠ガイド2023によると、日本人のカフェインの半減期は3〜7時間とばらつきがあり、夕方以降にとると夜の睡眠に影響しやすいとされています。
寝つくためのお酒は逆効果です。アルコールは睡眠の後半の質を大きく悪化させるため、疲れが取れない原因になります。喫煙も睡眠の質を悪化させるとガイドは説明しています。
(参考)健康づくりのための睡眠ガイド 2023 – 厚生労働省
Q. 睡眠で疲れが取れないときに運動は役立ちますか?
役立ちます。睡眠ガイド2023は、適度な運動習慣は良質な睡眠の確保に役立つとし、運動習慣がない人は睡眠休養感が低いと説明しています。夕方や夜の運動も就寝の約2〜4時間前までなら有効ですが、強すぎる運動はかえって睡眠を妨げます。
対策を続けても疲れが取れないなら医療機関に相談する

生活を見直しても疲れが取れない状態が続くなら、病気が隠れている可能性があります。睡眠ガイド2023は、睡眠障害が疑われる場合は速やかに医療機関を受診するよう勧めています。
いびきと日中の眠気は睡眠時無呼吸症候群のサイン
日本呼吸器学会は、睡眠時無呼吸症候群の症状として、いびき、夜間の頻尿、日中の眠気や起床時の頭痛などを挙げ、居眠り運転事故や労働災害の原因にもなるとしています。肥満でなくても起こることがあります。
睡眠ガイド2023も、閉塞性睡眠時無呼吸があると生活を改善しても睡眠休養感が得られないことがあるとしています。家族からいびきや呼吸の止まりを指摘されたら、呼吸器内科や睡眠の専門外来に相談します。
寝つけない・気分が沈む状態が続くなら早めに相談する
寝つけない、夜中や早朝に目が覚めて日中に支障が出る状態は、不眠症の可能性があります。睡眠ガイド2023は、不眠症はさまざまな精神疾患の初期症状や併存症として現れることが多いとしています。
国立精神・神経医療研究センターは、うつ病では眠れない、疲れやすいなどの体の症状が現れることがあるとし、自己判断せずに精神科・心療内科やかかりつけ医に相談するよう勧めています。
(参考)うつ病|こころの情報サイト – 国立精神・神経医療研究センター
Q. どんなときに医療機関を受診すべきですか?
生活を見直しても休養感が得られない状態や、日中の強い眠気が続いて生活に影響している場合です。睡眠ガイド2023は、睡眠障害が疑われる場合は速やかに医療機関を受診するよう勧めています。いびきや日中の眠気がある場合は、肥満でなくても睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
睡眠のサプリやマットレスを選ぶ前に知っておきたいこと
疲れが取れないとき、サプリメントや寝具に頼りたくなります。選ぶ前に、それぞれについて公的に分かっていることを押さえておくと、過度な期待をせずに済みます。
機能性表示食品は国が効果を審査していない
消費者庁によると、機能性表示食品は、販売前に消費者庁長官に届け出れば機能性を表示できる制度で、特定保健用食品(トクホ)と異なり、国は審査を行いません。事業者が自らの責任で科学的根拠をもとに表示する仕組みです。
届出の内容は消費者庁のウェブサイトで誰でも確認でき、消費者庁は届出内容を超えた広告をうのみにしないよう注意を呼びかけています。サプリは生活の見直しや治療の代わりにはなりません。
マットレスは硬さなどの公的な推奨がない
睡眠ガイド2023は、静かな環境とリラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながるとしていますが、マットレスの硬さや素材についての推奨は示していません。
寝具は、自分が楽に感じられるかを基準に選び、それでも疲れが取れない場合は、寝具より先に睡眠時間や生活習慣、病気の可能性を見直します。
(参考)健康づくりのための睡眠ガイド 2023 – 厚生労働省
Q. 睡眠のサプリは効果がありますか?
機能性表示食品の中には睡眠に関する機能を表示した商品がありますが、国が効果を審査したものではありません。消費者庁によると、機能性表示食品は販売前に届け出れば機能性を表示できる制度で、特定保健用食品と異なり国は審査を行いません。届出の内容は消費者庁のウェブサイトで確認でき、治療の代わりにはなりません。
企業が従業員の睡眠を支える施策|検査の支援と働き方の見直し
従業員の睡眠の問題は、生産性や労働災害にも関わります。企業ができることは、睡眠の課題を見つける仕組みと、睡眠時間を確保できる働き方を用意することです。
伊藤忠商事は睡眠の課題がある社員に会社負担で検査を提供した
伊藤忠商事は、2023年度の睡眠改善プログラムに参加した736名のうち58.6%が、オンラインのアンケートで「睡眠課題が高い」と判定されたと公表しています。2024年度からは、睡眠時無呼吸症候群の傾向が高い社員に、会社負担での検査を提供しています。
アンケートで課題を見つけ、医療につなげる流れは、ほかの企業でも取り入れられます。同社は、睡眠の質と量が労働生産性の向上に寄与するとして、朝型勤務と組み合わせて睡眠に取り組んでいます。
(参考)人的資本の更なる強化に向けた取組について – 伊藤忠商事
勤務間インターバルと運動の機会で睡眠時間と休養感を支える
健康日本21(第三次)の説明資料は、勤務間インターバル制度について企業の取り組みを広げていく必要があるとしています。勤務の終わりから次の始業までの時間を確保することは、従業員の睡眠時間を守る直接の手段です。
あわせて、運動の機会をつくることも睡眠休養感を支えます。健康診断の問診で運動習慣を把握する方法は健康診断の運動習慣の質問を施策に生かす方法、ウェルビーイング施策全体の設計はウェルビーイングとは?施策が失敗する理由と設計法で解説しています。
あわせて読みたい健康経営とは|認定要件・申請手順とスポーツ施策の入れ方›
(参考)健康日本21(第三次)推進のための説明資料(その1) – 厚生労働省
【PR】睡眠の質を後押ししてくれる、頼れるアイテムたち
ここからは、この記事のテーマである「睡眠の質」にちなんで、編集部が調べたアイテムを紹介します。日々の習慣を整えたうえで、頼れる道具もあわせて取り入れてみてはいかがでしょうか。
DHC ねむリラク 30日分【機能性表示食品】:睡眠の質を高める機能が報告された成分を配合
「ねむリラク」は、ラフマ由来ヒペロシド・イソクエルシトリン、ヒハツ由来ピペリン類を配合した機能性表示食品です。届出表示では、これらの成分に睡眠の質(眠りの深さ・起床時の満足感)を高める機能が報告されています。
実際に使った人からは「朝までぐっすり眠れるよう期待して購入した」「寝つきにくかった娘が飲むと眠りやすくなった」といった声がある一方、「飲み始めてまだ実感がない」という声もあり、感じ方には個人差があるようです。
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DHC ギャバ(GABA) 30日分:ストレスを感じやすい毎日に
「ギャバ(GABA)」は、γ-アミノ酪酸にカルシウムや亜鉛などのミネラルを加えたサプリメントです。ストレス社会でがんばる人のポジティブな毎日をサポートする商品として展開されています。
「更年期で寝つきが悪かったが、就寝前に飲むとリラックスして眠りやすくなった」という声がある一方、「特に変化を感じなかった」という口コミも見られ、こちらも感じ方には個人差があるようです。
DHC バレリアン 30日分:ハーブでゆったりとした時間を
「バレリアン」は、天然バレリアンの根から抽出したエキスにメリッサエキスやDHA・EPAを組み合わせたサプリメントです。ゆったりとしたリラックスタイムをサポートする商品として販売されています。
「眠れない夜に安心感がある」という声がある一方、独特なにおいが苦手という口コミや、「長期間試したが効果を感じられなかった」という声もあるため、まずは少量から試すと安心です。
VENEX(ベネクス) リカバリーウェア レディース 上下セット リフレッシュ:着るだけの休養時間
「VENEX(ベネクス)」は、休養時専用に開発された世界初のリカバリーウェアです。特殊な繊維で体に軽い圧力をかけ、自律神経のバランスを整えることを目指した設計になっています。
「着用した翌朝、首や肩まわりが楽になった」「目覚めのしょぼしょぼ感がなくなった」という声がある一方、「サイズが大きめでシルエットが好みではなかった」「価格がやや高い」という声もあり、購入前にサイズ表の確認をおすすめします。
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まとめ|睡眠で疲れが取れないときは時間・習慣・病気の順に見直す
睡眠で疲れが取れないときは、原因を順に確かめていくと、自分に合った対策が見つかります。この記事の要点を振り返ります。
- 原因は、睡眠時間の不足・睡眠休養感を下げる生活習慣・病気の3つに分けられる
- 成人は6時間以上の睡眠が目安で、休日の寝だめでは平日の不足を取り戻せない
- 日中の光と運動、就寝1〜2時間前の入浴、カフェインと寝酒の見直しが対策になる
- いびきや日中の眠気が続くなら、睡眠時無呼吸症候群などを疑って受診する
- 企業は、検査の支援や勤務間インターバル、運動の機会で従業員の睡眠を支えられる
まずは今週の平日の睡眠時間を記録し、6時間に届いているかを確かめるところから始めてみてください。
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