スポーツ法務8選|経営者が知るガバナンス対応

スポーツ法務・ガバナンス・アンチドーピングに対応する機関と法律事務所8つの比較ガイド スポーツビジネス

「選手のSNS炎上に、うちのクラブはどう対応すればいいのか」。スポーツ関連企業や競技団体の経営者から、そんな相談が増えています。結論として、スポーツ法務は労働法・知的財産法・コンプライアンスなど複数の法律に加え、業界特有の仲裁制度への理解が必要な専門領域であり、一般的な顧問弁護士だけではカバーしきれません。本記事では、スポーツ法務・ガバナンス・アンチドーピングに対応する機関・法律事務所8つを比較します。

SELF CHECK

その疲れは、
どこから来ているのか

12の質問で、いま自分に効いている負荷を「量とペース/裁量/人間関係/回復」の4つに切り分けます。約2分・登録不要、回答は保存されません。

セルフチェックをする ▶

スポーツ法務とは|一般の法務と何が違うのか

スポーツ法務とは、選手・チーム・競技団体・スポーツ関連企業が関わる契約、事故対応、ハラスメント、アンチドーピング、ガバナンスなどの法的問題を専門的に扱う分野です。労働法や知的財産関連法規(著作権法・商標法)、経済法(独占禁止法・不正競争防止法)に加え、刑事分野の知識も求められる複合領域とされています。

一般の法律問題と異なるのは、裁判所での解決になじまない紛争が多い点です。代表選手選考やドーピング規則違反による資格停止処分などをめぐる紛争は、法律上の争いとは言い切れないものも多く、迅速な解決が求められることから、専門の仲裁機関が設けられています。

Q. スポーツ仲裁とは何ですか?

スポーツをめぐる争いを公正・適正かつ迅速に解決するための紛争解決手続きです。日本スポーツ仲裁機構(JSAA)は2003年に設立され、法務大臣の認証を受けた紛争解決事業者として、代表選考や資格停止処分などの紛争を扱っています。

(参考)ドーピング仲裁ガイド – 公益財団法人日本スポーツ仲裁機構

スポーツ法務・ガバナンス対応8選を比較|公的機関から専門事務所まで

国内でスポーツ法務・ガバナンス・アンチドーピングに専門対応していることを公式サイトで確認できた機関・法律事務所は8つのため、確認できた全てを掲載します。

名称 種別 得意領域
日本スポーツ仲裁機構(JSAA) 公的機関 スポーツ仲裁・調停
日本アンチ・ドーピング機構(JADA) 公的機関 アンチドーピング規程・検査
レイ法律事務所 法律事務所 誹謗中傷・ハラスメント対応
賢誠総合法律事務所 法律事務所 プロ選手のマネジメント契約
法律事務所創衛 法律事務所 競技団体規則・アンチドーピング規則
弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所 法律事務所 アンチドーピング規則制定・国際仲裁
のぞみ総合法律事務所 法律事務所 スポーツ団体ガバナンスコード対応
弁護士法人プロテクトスタンス 法律事務所 選手個人の顧問契約・セカンドキャリア

Human Soarが各機関・法律事務所の公式サイトの公開情報をもとに集計(2026年9月時点)。

日本スポーツ仲裁機構(JSAA)|2003年設立の公的紛争解決機関

公益財団法人日本スポーツ仲裁機構(JSAA)は、スポーツをめぐる紛争を裁判所によらず公正・迅速に解決するため2003年に設立されました。法務省の厳格な基準をクリアし法務大臣の認証を受けた「認証紛争解決事業者」であり、JOC・日本スポーツ協会・日本パラスポーツ協会などの拠出金で運営されています。

(参考)ドーピング仲裁ガイド – 公益財団法人日本スポーツ仲裁機構

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)|国内のドーピング検査・規程整備を担う

公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は、国内のアンチドーピング活動の中核を担う機関です。世界アンチ・ドーピング規程の改定に応じた国内規程の見直しや、禁止表国際基準の日本語版公開など、競技団体・選手が遵守すべきルール整備の情報発信を継続的に行っています。

(参考)日本アンチ・ドーピング機構 – JADA公式サイト

レイ法律事務所|誹謗中傷・ハラスメント対応に強み

レイ法律事務所は、選手・指導者へのSNS上の誹謗中傷対策や、スポーツハラスメントに関する第三者委員会での代理人経験を豊富に持つ法律事務所です。日本サッカー協会(JFA)のS級コーチ養成講習会で「スポーツインテグリティ」の講師を3年連続で務めるなど、予防的な研修にも力を入れています。

(参考)スポーツの法律問題に強い弁護士 – レイ法律事務所

あわせて読みたい人的資本投資とは?スポーツを活かした事例と効果を出す戦略

賢誠総合法律事務所|プロスポーツ選手のマネジメント契約に特化

賢誠総合法律事務所は、プロスポーツ選手やスポーツマネジメント会社からの依頼を中心に、マネジメント契約の作成・確認、海外移籍に関するエージェント業務、スポーツ事故への対応などを扱う専門サイトを運営しています。日本スポーツ仲裁機構における調停・仲裁対応の実務にも精通しています。

(参考)スポーツ法務相談サイト – 賢誠総合法律事務所

法律事務所創衛|競技団体規則・アンチドーピング規則に精通

法律事務所創衛は、競技団体の規則やアンチ・ドーピング規則、スポーツ仲裁の仕組みなど、通常の法律とは異なる専門知識が必要な領域に対応するリーガルサービスを提供しています。スポーツ界で日々生じる新しい課題に対応する姿勢を打ち出している点が特徴です。

(参考)スポーツ法務 – 法律事務所創衛

弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所|アンチドーピング規則制定に関与する先駆者

弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所は、日本国内のアンチドーピング規制の枠組み(ルール作り)の段階から積極的に関与し、競技団体の聴聞・審問パネルの一員としてドーピング行為の有無や制裁措置を決定する役割を担ってきた先駆的な法律事務所です。海外のスポーツ団体を当事者とする国際仲裁での英語対応の実績も持っています。

(参考)アンチ・ドーピング/スポーツ – 弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所

のぞみ総合法律事務所|スポーツ団体ガバナンスコード対応が強み

のぞみ総合法律事務所は、スポーツ団体ガバナンスコードへの対応支援や、各種規程(倫理規程・利益相反管理規程・財産管理規程等)の整備、外部役員への就任まで幅広く手がける法律事務所です。暴力・ハラスメント・薬物事案などの不正調査やコンプライアンス研修の実施実績も豊富です。

(参考)スポーツ – のぞみ総合法律事務所

弁護士法人プロテクトスタンス|選手個人の顧問契約とセカンドキャリア支援

弁護士法人プロテクトスタンスは、プロスポーツ選手個人やチーム経営者向けに、年俸交渉・スポンサー契約・肖像権対応に加え、セカンドキャリアに関する法的アドバイスまで提供している法律事務所です。全国9拠点を展開し、初回相談30分無料、月額7.7万円からの顧問契約という料金体系を明示している点が特徴です。

(参考)スポーツ法務 – 弁護士法人プロテクトスタンス

Q. スポーツ団体ガバナンスコードとは何ですか?

スポーツ庁が中央競技団体向けに策定した組織運営の指針で、外部理事の登用や理事の任期制限、コンプライアンス委員会の設置などを求めています。対応の遅れは競技団体の信頼低下や助成金への影響につながる場合があります。

スポーツ法務を依頼する2つの視点|専門性と対応領域の広さ

8つの機関・法律事務所を横断すると、依頼先を選ぶ際に確認すべき視点が見えてきます。ここでは特に重要な2つを整理します。

視点①アンチドーピングは規則制定段階から関与している事務所を選ぶ

アンチドーピング分野は、瓜生・糸賀法律事務所のようにルール作りの段階から関与している事務所と、個別の相談対応のみを行う事務所とで、対応できる深さに差が出やすい領域です。競技団体が規則を新設・改定する場面では、制定実務に関与した経験のある事務所を選ぶことが望ましいといえます。

視点②予防(研修・ガイドライン整備)まで対応できるかを確認する

レイ法律事務所やのぞみ総合法律事務所のように、事後対応だけでなく指導者・選手向けのハラスメント研修やガバナンスコード対応まで手がける事務所は、問題が起きる前の予防策を一緒に設計できる点で価値が高いといえます。トラブル発生時の対応力だけでなく、平時の研修・規程整備の実績も確認しておくとよいでしょう。

あわせて読みたいスポーツ保険・資金調達8選|経営者向け実務ガイド

Q. スポーツ法務を依頼する際の費用相場はどれくらいですか?

法律事務所によって幅がありますが、初回相談は30分無料〜1時間1万円台が一つの目安です。顧問契約は月額7万円台からという事例もあり、着手金・報酬金は案件の内容によって個別見積もりになるのが一般的です。

ドーピング疑義が生じた場合の対応フロー|初動を誤らないために

ドーピング検査で陽性反応が出た場合、選手個人だけでなく所属チームや競技団体の対応も問われます。ここでは初動対応で押さえておきたい2つのポイントを整理します。

検査結果通知後は聴聞・審問パネルの手続きを確認する

陽性反応の通知を受けた場合、競技団体が定めるアンチ・ドーピング規則に基づき、聴聞・審問パネルでドーピング行為の有無や制裁内容が審査されます。瓜生・糸賀法律事務所のように、このパネルの一員を務めた経験を持つ事務所であれば、手続きの流れを踏まえた的確な対応が期待できます。

不服がある場合はスポーツ仲裁への申立てを検討する

審査結果に不服がある場合、JSAAのスポーツ仲裁規則に基づく仲裁を申し立てることができます。仲裁は迅速な解決を目的としており、裁判よりも短期間で判断が得られる点が特徴です。申立てを検討する段階から、仲裁実務に詳しい弁護士に相談しておくとスムーズです。

まとめ|スポーツ法務は公的機関と専門事務所の使い分けが鍵

スポーツ法務は、仲裁・アンチドーピングを担う公的機関と、契約・ハラスメント・ガバナンスに対応する専門法律事務所の役割が異なります。自団体が直面している課題に応じて、適切な相談先を組み合わせることが重要です。

  • スポーツ仲裁機構(JSAA)は2003年設立、法務大臣認証の公的紛争解決機関
  • スポーツ法務は労働法・知的財産法・経済法など複数の法律にまたがる複合領域
  • アンチドーピング分野は規則制定段階から関与する事務所を選ぶと対応の深さに差が出る
  • のぞみ総合法律事務所などはスポーツ団体ガバナンスコード対応に強みを持つ
  • 事後対応だけでなく、研修・規程整備という予防策まで対応できるかも選定基準になる

ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ

お問い合わせはこちら →
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました