スポーツ保険・資金調達8選|経営者向け実務ガイド

スポーツ団体・クラブ向けの保険と資金調達の制度8つを比較するガイド スポーツビジネス

「大会中に事故が起きたら、うちのクラブは誰が責任を取るのか」。スポーツ団体やクラブの運営責任者なら、一度は考えたことがあるはずです。結論として、スポーツ団体の運営リスクに備えるには「傷害保険」と「法人賠償責任保険」の両方に加入することが最低ラインであり、資金面では公的な助成・融資制度も選択肢に入ります。本記事では、経営者・運営責任者が知っておくべき保険・資金調達の制度8つを比較します。

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スポーツ保険とは|補償の対象が異なる2種類がある

スポーツ保険と一口に言っても、「参加者本人のケガを補償する傷害保険」と「団体・法人が第三者に対して負う損害賠償責任を補償する賠償責任保険」の2種類があり、目的が異なります。両方に加入して初めて、事故発生時の補償が一通りそろう設計になっています。

スポーツ団体向けの傷害保険で最も広く利用されているのが、公益財団法人スポーツ安全協会が運営する「スポーツ安全保険」です。年額800円/人からという低廉な掛金で、4名以上のアマチュア団体が加入でき、傷害保険・賠償責任保険・突然死葬祭費用保険の3つの補償を1つの保険でカバーしています。

Q. スポーツ保険とスポーツ・文化法人責任保険の違いは何ですか?

スポーツ安全保険は参加者本人のケガを補償する傷害保険が中心です。一方、スポーツ・文化法人責任保険は、法人が第三者に対して法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償するもので、傷害保険は付帯していません。両方の加入が推奨されています。

(参考)スポーツ安全保険 – 公益財団法人スポーツ安全協会

スポーツ保険・資金調達8選を比較|補償対象と特徴

国内で公開情報を確認できたスポーツ関連の保険・資金調達の主要な制度・商品は8つのため、確認できた全てを掲載します。まずは一覧で比較します。

名称 種別 対象
スポーツ安全保険 団体傷害保険 4名以上のアマチュア団体
スポーツ・文化法人責任保険 法人賠償責任保険 スポーツ関係の法人
東京海上日動火災保険 幹事保険会社・法人向け 大会運営法人・プロチーム
三井住友海上火災保険 施設費用保険 競技場・娯楽施設運営法人
損保ジャパン 行事参加者向け傷害保険 20人以上のイベント参加者
ミズノスポーツ保険 個人向け保険 CLUB MIZUNO会員
スポーツ振興くじ(toto)助成事業 公的助成金 総合型地域スポーツクラブ等
日本政策金融公庫の創業融資 公的融資 スポーツジム等の開業者

Human Soarが各社・各機関の公式サイトの公開情報をもとに集計(2026年9月時点)。

スポーツ安全保険|年額800円から加入できる団体傷害保険

スポーツ安全保険は、スポーツ少年団やサッカーチーム、草野球チームなど幅広い団体に採用されている傷害保険です。傷害保険・賠償責任保険・突然死葬祭費用保険の3つの補償を1つにまとめており、熱中症や細菌性・ウイルス性食中毒も対象に含まれます。

(参考)スポーツ安全保険 – 公益財団法人スポーツ安全協会

スポーツ・文化法人責任保険|法人の賠償責任リスクに特化

スポーツ・文化法人責任保険は、総合型地域スポーツクラブや競技団体、会員制スポーツクラブなどを運営する法人が加入対象です。サッカー大会中の落雷事故で大会を中断しなかったとして法人が損害賠償責任を負うケースなど、法人固有のリスクをカバーします。傷害保険は付帯していないため、スポーツ安全保険との併用が推奨されています。

(参考)スポーツ・文化法人責任保険 – 公益財団法人スポーツ安全協会

東京海上日動火災保険|大会運営から幹事保険会社まで幅広く関与

東京海上日動火災保険は、スポーツ安全保険の幹事保険会社を務めるほか、1964年の東京オリンピックからマラソン選手の傷害保険や大会運営に関する損害保険を引き受けてきた実績があります。プロ選手が長期離脱した際の年俸・移籍費用等の損失を補償する保険も、国内の企業向け保険として初めて開発しました。

(参考)東京海上日動のスポーツへの取り組み(年表) – 東京海上日動火災保険

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三井住友海上火災保険|施設運営とミズノスポーツ保険の引受を担う

三井住友海上火災保険は、競技場や娯楽施設を運営する法人向けに「レジャー・サービス施設費用保険」を提供しており、被災者への見舞金や広告費用まで補償する点が特徴です。また、後述する「ミズノスポーツ保険」の引受保険会社としても機能しています。

(参考)レジャー・サービス施設費用保険 – 三井住友海上火災保険

損保ジャパン|20人以上のイベント向けWeb完結型保険

損保ジャパンの「レクリエーション傷害保険」は、運動会や地域のクラブ活動などの参加者20人以上のイベントを対象に、WEB上で3ステップで加入できる保険です。開催前日まで申し込みでき、熱中症も自動セットで補償される点が特徴です。

(参考)レクリエーション傷害保険 – 損保ジャパン

ミズノスポーツ保険|CLUB MIZUNO会員専用の個人向け保険

ミズノスポーツ保険は、ミズノの会員組織「CLUB MIZUNO」の会員専用に提供される個人向け保険です。スポーツ中のケガだけでなく、日常生活での賠償事故(例:キャッチボール中に通行人へボールを当ててケガをさせた場合等)まで幅広くカバーし、月々330円からのプランが用意されています。

(参考)ミズノスポーツ保険 – 株式会社ミズノアベール

Q. スポーツ保険の掛金相場はどれくらいですか?

団体向けのスポーツ安全保険は年額800円/人からと低廉です。個人向けのミズノスポーツ保険は月々330円から、損保ジャパンのイベント向け保険は危険度の小さいイベントで1人あたり160円台からが目安です。

資金調達の選択肢|保険だけでなく助成・融資も視野に入れる

スポーツ団体・クラブの経営を安定させるには、事故への備えである保険に加え、運営資金そのものを確保する視点も欠かせません。ここでは公的な助成・融資の代表例を2つ紹介します。

スポーツ振興くじ(toto)助成事業|総合型地域スポーツクラブへの公的助成

独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)は、スポーツくじ(totoやBIG)の収益を財源とする「スポーツ振興くじ助成事業」を実施しています。スポーツ庁によると、助成件数は毎年約2,000件以上にのぼり、総合型地域スポーツクラブの広報強化や新規会員獲得、クラブマネージャー・指導者の人件費確保などに活用されています。この助成金は「まだ収益化できていない事業」への活用が想定されており、収益化した事業は自己資金での運営が求められる点に注意が必要です。

(参考)助成件数は毎年約「2千」以上!日本のスポーツ振興に貢献する「スポーツくじ」 – スポーツ庁 Web広報マガジン

日本政策金融公庫の創業融資|スポーツジム開業時の設備資金に活用

日本政策金融公庫は、スポーツジムやフィットネスクラブの開業時に、内装工事費やトレーニング機材費などの設備資金を対象とした創業融資を提供しています。低金利かつ原則無担保・無保証で利用できる制度のため、開業時に見積書を準備し、資金用途を明確にして申請することが審査通過のポイントとされています。

(参考)事業資金 融資制度を探す – 日本政策金融公庫

Q. スポーツクラブの運営に保険と助成金はどちらを優先すべきですか?

両者は目的が異なるため優先順位ではなく併用が基本です。保険は事故発生時のリスクに備えるもの、助成金・融資は事業運営や設備投資の資金を確保するものとして、それぞれ別の課題に対応します。

加入・申請前に確認すべき2つの注意点

保険や助成金は種類が多く、条件を誤解したまま申し込むとトラブルにつながります。ここでは特に見落とされがちな2つの注意点を解説します。

注意点①傷害保険と賠償責任保険はカバー範囲が異なる

スポーツ安全保険のような傷害保険は「参加者本人のケガ」を補償しますが、法人が第三者に対して負う損害賠償責任は別の保険(スポーツ・文化法人責任保険等)でなければカバーされません。「スポーツ保険に入っているから安心」と考えず、自団体が抱えるリスクの種類を洗い出したうえで、必要な保険を組み合わせる必要があります。

注意点②助成金は「収益化前」の事業が対象という前提を理解する

スポーツ振興くじ助成事業は、まだ収益化できていない事業の運営費を補うことを目的としており、既に収益化して自立した事業運営が可能な団体は対象外とされる場合があります。助成金だけに頼った事業計画を立てると、助成終了後の資金繰りで行き詰まるリスクがあるため、自己財源の確保と並行して活用することが重要です。

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まとめ|保険と資金調達を組み合わせてリスクに備える

スポーツ団体・クラブの経営を守るには、事故に備える保険と、事業を継続させる資金調達の両輪が必要です。自団体の規模・活動内容に応じて、複数の制度を組み合わせて活用することが重要です。

  • 傷害保険(参加者のケガ)と賠償責任保険(法人の責任)は補償対象が異なり、両方の加入が推奨される
  • スポーツ安全保険は年額800円/人から加入できる代表的な団体傷害保険
  • 東京海上日動・三井住友海上・損保ジャパンなど大手損保各社もスポーツ関連の保険商品を展開
  • スポーツ振興くじ助成事業は毎年約2,000件以上が採択される公的助成制度
  • 助成金は「収益化前」の事業が対象という前提を理解し、自己財源の確保と併用する

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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