デジタルデトックスとスポーツで社員のメンタル回復を促す方法

スポーツを活用したデジタルデトックスで社員のメンタル回復を促すイメージ スポーツウェルビーイング

総務省の調査では、平日の平均インターネット利用時間は181.8分(全年代)に達し、厚生労働省の調査では労働者の68.3%が仕事に関する強い不安・悩み・ストレスを感じています。この2つのデータは無関係ではありません。本記事では、スマホ利用とメンタル不調の関係を一次データで整理したうえで、スポーツを軸にしたデジタルデトックスを健康経営施策として導入する方法を解説します。

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なぜいま企業がデジタルデトックスに注目するのか

「デジタルデトックス」とは、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から意図的に距離を置く時間をつくる取り組みです。個人の習慣としてだけでなく、近年は企業のメンタルヘルス対策・健康経営施策の一環として導入されるケースが増えています。背景には、スマホ利用時間の増加と職場のストレス実態を示す公的データがあります。

総務省調査が示すスマートフォン依存の実態|平日181.8分

総務省情報通信政策研究所の令和6年度調査によると、全年代のインターネット利用時間は平日181.8分、休日183.7分に上ります。10年前と比較して大きく伸びており、通勤・休憩・就寝前などの隙間時間の多くがスマホ利用に置き換わっている実態がうかがえます。

厚労省調査が示す職場のストレス実態|68.3%が強い不安を抱える

厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査(実態調査)では、現在の仕事や職業生活について強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者の割合は68.3%でした。メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は63.2%まで増えていますが、対策の中身は依然としてストレスチェックなど事後対応が中心です。

指標 数値 出典
平日のインターネット利用時間(全年代平均) 181.8分 総務省(令和6年度)
仕事で強い不安・悩み・ストレスを感じる労働者 68.3% 厚生労働省(令和6年)
週1日以上のスポーツ実施率(20歳以上) 52.5% スポーツ庁(令和6年度)
勤務先に運動・スポーツ活用の取組がある場合の実施率 70.1% スポーツ庁(令和6年度)

総務省・厚生労働省・スポーツ庁の各公表データをもとにHuman Soarが再構成。

Q. デジタルデトックスとは何ですか?

スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から意図的に距離を置き、心身を休ませる取り組みです。個人の習慣にとどまらず、近年は企業のメンタルヘルス対策・健康経営施策としても導入が広がっています。

(参考)令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 – 総務省情報通信政策研究所

デジタルデトックスがメンタル回復に効くメカニズム

デジタルデトックスがメンタル回復に寄与するとされる背景には、睡眠と身体活動という2つの経路があります。厚生労働省の指針をもとに、そのメカニズムを整理します。

ブルーライトと体内時計の乱れ|睡眠の質を下げる仕組み

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、座位や臥位で行う行動(座位行動)としてスマートフォンの利用が明示され、余暇のスクリーンタイムを減らすことが推奨事項に含まれています。就寝前のスマホ利用は入眠を妨げる要因になりやすく、睡眠不足は翌日のストレス耐性の低下にもつながります。睡眠の質そのものを高める切り口としては、スリープツーリズムとは?睡眠×旅行で従業員の健康を向上する新施策も参考になります。

座りっぱなし+スマホという二重の不調リスク

同ガイドでは、座位行動の時間が長くなりすぎないよう注意することも成人・高齢者共通の推奨事項として示されています。デスクワークとスマホ利用が重なる時間帯は、身体を動かさない時間の中でも特に長くなりがちです。デジタルデトックスは、この「座りながらスマホ」の時間を、意図的に身体を動かす時間に置き換える手段としても機能します。座位行動そのものを見直したい場合は座りすぎ防止アプリ11選|運動不足解消で健康経営のような具体策も有効です。

Q. デジタルデトックスは睡眠にどう影響しますか?

厚生労働省のガイドラインでは、スマートフォンのブルーライトが体内時計に影響し、就寝前の利用が入眠を妨げるとされています。就寝前にスマホから離れる時間をつくることで、睡眠の質を保ちやすくなります。

(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(概要) – 厚生労働省

スポーツ現場で実践されるデジタルデトックス手法

デジタルデトックスは、スポーツの現場では以前から自然に取り入れられてきた習慣でもあります。競技への集中を目的とした実践方法を、企業の施策設計に応用できる形で紹介します。

合宿・練習中のスマホ預かりで集中環境をつくる

スポーツの合宿や練習では、指導者がスマホの使用時間や場所を区切り、練習中は預ける・機内モードにするといった運用が一般的に行われています。これは競技への集中を高める目的だけでなく、休息時間を確実に休息として使うための工夫でもあります。企業研修でも同様に、運動プログラムの時間帯だけスマホを預かる運用を組み込むことで、同じ効果を再現できます。

運動そのものを「強制的なオフライン時間」として使う

ランニングや球技のようにスマホを持ったまま行いにくい運動は、それ自体が自然なデジタルデトックスの時間になります。スポーツ庁の調査で、勤務先に運動・スポーツを活用した取組がある場合の実施率が70.1%と高い水準になっているのも、運動の機会が用意されることで自発的にオフラインの時間が生まれやすいことの表れといえます。

スポーツを活用した企業のデジタルデトックス施策|3つのパターン

企業が実際にデジタルデトックスを導入する際は、目的や実施頻度によっていくつかのパターンに整理できます。Human Soarが実施しやすさの観点から3つに分類しました。

パターン 内容 実施頻度の目安
合宿・研修型 1〜2泊の運動系研修でスマホ利用時間を限定 年1〜2回
運動時間ルール型 昼休みや終業後の運動プログラム中のみスマホを預ける 週1〜数回
日常代替型 通勤や休憩のスマホ時間の一部をウォーキング等に置き換え 毎日の習慣

スポーツ庁・厚生労働省の公表データをもとに、Human Soarが企業の実施パターンとして独自に分類・整理。

合宿・研修型|非日常でリセットする

年に1〜2回、運動系の合宿・研修と組み合わせて実施するパターンです。日常から離れた環境をつくれるため、デジタルデトックスの効果を最も実感しやすい一方、実施のハードルはやや高くなります。

運動時間ルール型|日常に組み込む

昼休みや終業後の社内運動プログラムの時間帯だけ、スマホを預ける・別室に置くといったルールを設けるパターンです。週1回からでも始めやすく、健康経営施策としての運動機会と組み合わせやすいのが特徴です。

日常代替型|隙間時間を運動に置き換える

通勤や休憩時間のスマホ利用の一部を、ウォーキングや簡単なストレッチに置き換えるパターンです。総務省調査が示す平日181.8分というインターネット利用時間のうち、わずかな時間を運動に振り向けるだけでも、継続的な効果が期待できます。

Q. 個人でも始められるデジタルデトックスの方法はありますか?

はい。通勤や休憩時間のスマホ利用の一部をウォーキングなどの軽い運動に置き換える「日常代替型」であれば、特別な準備なく個人でも始められます。就寝前にスマホを見ない時間をつくることも効果的です。

企業が健康経営施策として導入する3つのステップ

デジタルデトックスを健康経営施策として定着させるには、いきなり大がかりな制度を作るのではなく、段階を踏んで導入することが重要です。

ステップ1|現状把握|利用時間とストレスの可視化

まずは社内アンケートやストレスチェックの結果から、スマホ利用時間や不調の実態を把握します。厚労省調査の68.3%という数値はあくまで全国平均であり、自社の実態が平均より高いのか低いのかを確認することが施策設計の出発点になります。ストレス対応の専門窓口を併用する場合はEAPサービス比較10選|健康経営担当者の選び方も参考になります。

ステップ2|小さく始める|運動と組み合わせた試験導入

いきなり全社員対象にせず、希望者を募って昼休みの運動プログラムなど「運動時間ルール型」から試験的に始めます。強制ではなく選択制にすることで、参加のハードルを下げられます。

ステップ3|定着させる|継続的な運動機会との接続

試験導入の反応を見ながら、対象範囲や頻度を広げていきます。単発イベントで終わらせず、社内の運動機会(部活動制度、社内クラブ活動など)と接続させることで、デジタルデトックスを一過性の施策ではなく習慣として根づかせやすくなります。

(参考)令和6年労働安全衛生調査(実態調査)結果 – 厚生労働省

導入する際の注意点|強制ではなく選べる設計にする

デジタルデトックスを健康経営施策として導入する際に最も注意したいのは、スマホの利用を一律に禁止するような強制的な運用にしないことです。業務上スマホ対応が必須な社員もいるため、対象時間・対象者を限定し、参加を選べる設計にすることが定着の鍵になります。

また、運動プログラムと組み合わせる場合は、体力や運動経験に差があることを前提に、強度を選べるメニューを用意することも欠かせません。

Q. デジタルデトックスを社員に強制してもよいですか?

一律の強制は避けるべきです。業務上スマホ対応が必要な社員もいるため、対象時間・対象者を限定し、参加を選べる設計にすることで、無理なく定着させやすくなります。

まとめ

  • 平日のインターネット利用時間は全年代平均181.8分、労働者の68.3%が仕事に強いストレスを感じている
  • デジタルデトックスは睡眠の質向上と座位行動の是正という2つの経路でメンタル回復に寄与する
  • スポーツの現場では合宿・練習時のスマホ預かりなど、以前から自然にデジタルデトックスが実践されてきた
  • 企業施策は合宿・研修型/運動時間ルール型/日常代替型の3パターンに整理できる
  • 導入は現状把握→試験導入→定着の3ステップで進め、強制ではなく選べる設計にする

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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