EAPサービス比較10選|健康経営担当者の選び方

EAPサービス10選を比較する記事のアイキャッチ画像 スポーツ心理学

従業員から「メンタルの不調を誰に相談すればいいか分からない」という声が増えている一方、人事担当者だけで抱えきれる範囲には限界があります。EAP(従業員支援プログラム)を導入すれば、社外の専門カウンセラーに匿名で相談できる窓口を、健康経営やスポーツ・運動施策と並行して整備できます。本記事では、公式サイトで機能を確認できたEAPサービス10製品を比較し、自社の体制に合う選び方を解説します。

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  1. EAPとは何か|企業のメンタルヘルス対策で注目される理由
  2. 運動によるセルフケアとEAPの専門支援は役割が違う|スポーツ施策との組み合わせ方
  3. EAPサービス10社の比較一覧|提供企業・機能・対応言語で見る全体像
    1. 1. ピースマインド|1998年創業
    2. 2. ジャパンEAPシステムズ(JES)|1993年設立、日本で最初に設立されたEAP専門機関
    3. 3. Spring Health|AIが従業員の状態に応じてセルフケア・コーチング・専門医療までマッチングするEAP+プラットフォーム
    4. 4. Lyra Health|世界1,700万人が利用するワークフォースメンタルヘルスの大手
    5. 5. Modern Health|コーチングから臨床的セラピーまでを1つのプラットフォームでつなぐ「Adaptive Care Model」
    6. 6. Unmind|180カ国・50言語以上に対応するグローバル型メンタルヘルスプラットフォーム
    7. 7. Headspace Care(旧Ginger)|瞑想アプリのHeadspaceとEAPサービスのGingerが統合
    8. 8. Wysa|AIチャットボットによる24時間セルフケア支援
    9. 9. Talkspace|メッセージ・音声・ビデオで完結するオンラインセラピー
    10. 10. BetterUp|4,000人超のICF認定コーチによる行動変容型コーチング
  4. EAPを一次予防・二次予防・三次予防で分類する|自社に必要な支援段階の見極め方
  5. 健康経営スポーツ施策にEAPを組み込む具体的な導入手順
    1. 現状の課題を数字で把握する
    2. 自社規模に合うサービスを選定する
    3. 効果を継続的に測定する
  6. EAP導入企業の効果データで見る活用の広がり
  7. まとめ

EAPとは何か|企業のメンタルヘルス対策で注目される理由

EAP(Employee Assistance Program)とは、企業が外部機関と契約し、従業員がメンタルヘルスやキャリアの悩みを匿名で相談できる窓口を提供する仕組みです。カウンセリングにとどまらず、必要に応じて医療機関や産業医への橋渡しも担います。

厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査(実態調査)によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.2%、そのうちストレスチェックを実施している事業所は65.3%でした。事業所規模別に見ると、労働者数50人以上の事業所では89.8%と高い実施率である一方、10〜29人の事業所では58.1%にとどまっており、規模が小さいほど体制整備が遅れている実態がうかがえます。

Human Soarでは、企業のスポーツ・運動施策とメンタルヘルスの関係をスポーツ心理学の理論・実践ガイドで継続的に取り上げていますが、運動によるセルフケアだけでは対応しきれない専門領域を補うのがEAPの役割です。ストレスチェックの義務範囲拡大が議論される中、健康経営の一環としてEAPを検討する企業は今後も増えると見られます。

Q. EAPサービスとはどのようなものですか?

EAP(Employee Assistance Program)とは、企業が契約した外部機関を通じて、従業員がメンタルヘルスやキャリアの悩みを匿名で相談できる仕組みです。カウンセリングだけでなく、専門の医療機関や産業医への橋渡しも担います。近年はストレスチェックの実施義務拡大の流れと合わせて、健康経営の一環で導入する企業が増えています。

(参考)令和6年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要(事業所調査) – 厚生労働省

運動によるセルフケアとEAPの専門支援は役割が違う|スポーツ施策との組み合わせ方

企業のスポーツ・運動施策とEAPは、どちらもメンタルヘルスに関わりますが、担う役割は異なります。運動施策は気分転換や習慣化を通じた「一次的なセルフケア」に強く、EAPは専門家による個別相談や休職・復職支援など「運動だけでは届かない領域」を補います。

運動・スポーツ施策とEAPサービスの役割の重なりを示すベン図

実際に、職場でのうつ病予防にスポーツ活動が有効であるという産業保健分野のエビデンスも報告されています。ただし運動習慣づくりだけで不調がすべて防げるわけではなく、深刻化する前に専門家へつなぐ導線としてEAPを併設しておくことが重要です。詳しくは職場のうつ病予防にスポーツ活動が有効な理由でも解説しています。

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EAPサービス10社の比較一覧|提供企業・機能・対応言語で見る全体像

本記事では、公式サイトで事業内容・機能を確認できた国内外のEAPサービスのうち、直近の導入実績や資料公表があるものを中心に10製品を選定しました。上位のサービスは事業モデルや強みまで踏み込み、残りは要点を絞って紹介します。

製品名 提供企業・提供元 主な機能・特徴 対応プラットフォーム
ピースマインド ピースマインド株式会社(日本) 1998年創業。国内EAPのパイオニアで、対面・電話・オンラインの相談網とハラスメント対策研修を提供 電話/対面/オンライン
ジャパンEAPシステムズ(JES) 株式会社ジャパンEAPシステムズ(日本) 1993年設立、日本で最初に設立されたEAP専門機関。カウンセリングとストレスチェックを一体で提供 電話/オンライン/対面
Spring Health Spring Health, Inc.(米国) AIが従業員の状態に応じてセルフケア・コーチング・専門医療までマッチングするEAP+プラットフォーム Web/アプリ
Lyra Health Lyra Health, Inc.(米国) 世界1,700万人が利用するワークフォースメンタルヘルスの大手。AIによる提供者マッチングが強み Web/アプリ
Modern Health Modern Health, Inc.(米国) コーチングから臨床的セラピーまでを1つのプラットフォームでつなぐ「Adaptive Care Model」 Web/アプリ
Unmind Unmind Ltd.(英国) 180カ国・50言語以上に対応するグローバル型メンタルヘルスプラットフォーム。AIエージェントを搭載 Web/アプリ
Headspace Care(旧Ginger) Headspace Health, Inc.(米国) 瞑想アプリのHeadspaceとEAPサービスのGingerが統合。セルフケアから臨床ケアまで階層的に提供 アプリ
Wysa Wysa Inc.(英国/インド) AIチャットボットによる24時間セルフケア支援。臨床的に効果が確認された対話設計 アプリ
Talkspace Talkspace, Inc.(米国) メッセージ・音声・ビデオで完結するオンラインセラピー。利用者数1,000万人超 アプリ/Web
BetterUp BetterUp, Inc.(米国) 4,000人超のICF認定コーチによる行動変容型コーチング。750社以上の企業が導入 Web/アプリ

各社公式サイトの記載内容をもとに作成(確認時点の情報)

1. ピースマインド|1998年創業

ピースマインド株式会社は1998年に創業した、日本・アジア地域におけるEAPサービスのパイオニア企業です。公式サイトによると、社員一人ひとりへのカウンセリングに加え、管理職向けのラインケア研修やハラスメント対策まで一体で提供している点が特徴です。

相談チャネルは電話・対面・オンラインを備えており、全国に拠点を持つ企業でも導入しやすい体制になっています。国内企業のメンタルヘルス対策として長年の実績があるため、初めてEAPを導入する企業の比較対象として検討しやすいサービスです。

(参考)ピースマインド 公式サイト

2. ジャパンEAPシステムズ(JES)|1993年設立、日本で最初に設立されたEAP専門機関

ジャパンEAPシステムズ(JES)は1993年に設立された、日本で最初のEAP専門機関です。公式サイトでは、カウンセリングサービスに加えてストレスチェックの実施代行や管理職向けの相談窓口も紹介されており、法改正で対応が求められるストレスチェック業務とEAPを一体で任せられる点が特徴です。

国内で30年以上の運用実績があるため、比較検討の際に実績年数を重視する企業にとって有力な選択肢になります。

(参考)ジャパンEAPシステムズ(JES) 公式サイト

3. Spring Health|AIが従業員の状態に応じてセルフケア・コーチング・専門医療までマッチングするEAP+プラットフォーム

Spring Healthは、AIを使って従業員一人ひとりに合ったケアの種類(セルフガイドツール・コーチング・セラピー・薬物療法・危機対応など)を提案する米国発のプラットフォームです。公式サイトによると、Microsoft・Target・Pfizerなど幅広い企業が導入しており、170を超える国と地域で利用可能な体制を整えています。

EAP+という名称のとおり、従来型のEAPにAIによる個別最適化を組み合わせている点が他社との違いです。

(参考)Spring Health 公式サイト

4. Lyra Health|世界1,700万人が利用するワークフォースメンタルヘルスの大手

Lyra Healthは、公式サイトで「世界のワークフォースメンタルヘルスをリードする」と位置づけている米国企業で、世界で1,700万人以上が利用できる体制を持つと紹介されています。AIを活用した提供者マッチングにより、従業員の状況に合ったセラピストやコーチに素早くつなぐ仕組みが特徴です。

大手グローバル企業の導入実績が豊富で、多拠点・多国籍の従業員を抱える企業がEAPを一本化したい場合の候補になります。

(参考)Lyra Health 公式サイト

5. Modern Health|コーチングから臨床的セラピーまでを1つのプラットフォームでつなぐ「Adaptive Care Model」

Modern Healthは、公式サイトで従業員向けに「Adaptive Care Model」という考え方を打ち出しており、コーチから臨床医まで、必要な支援の強度に応じてシームレスに接続する設計になっています。人事・総務部門向けのハブ機能(Modern Health Central)も提供し、施策の可視化を支援しています。

(参考)Modern Health 公式サイト

6. Unmind|180カ国・50言語以上に対応するグローバル型メンタルヘルスプラットフォーム

Unmindは英国発のプラットフォームで、公式サイトによると180カ国・50以上の言語に対応する認定実践者ネットワークを持ちます。Diageo、Uber、Major League Baseballなど多国籍企業が導入しており、近年はAIを活用したメンタルヘルスエージェント機能も追加されています。

(参考)Unmind 公式サイト

7. Headspace Care(旧Ginger)|瞑想アプリのHeadspaceとEAPサービスのGingerが統合

Headspace Careは、瞑想アプリとして知られるHeadspaceと、EAP大手だったGingerが2023年に統合して生まれたサービスです(旧称Ginger)。公式サイトでは、瞑想・マインドフルネスによる日常的なセルフケアから、コーチング、臨床的なカウンセリングまでを1つのアプリで段階的に利用できる設計が紹介されています。名称変更の経緯があるため、資料やシステム連携時は現行名称「Headspace Care」で確認するのが安全です。

(参考)Headspace Care(旧Ginger) 公式サイト

8. Wysa|AIチャットボットによる24時間セルフケア支援

WysaはAIチャットボットとの対話を通じてセルフケアを行うアプリで、公式サイトによるとNHS Innovation Acceleratorの採用実績があります。認知行動療法(CBT)などの手法を取り入れた200以上のセルフケアツールを備え、人手を介さず24時間いつでも利用できる点が他のEAPサービスと異なります。深刻な症状には非対応である点も公式サイトに明記されています。

(参考)Wysa 公式サイト

9. Talkspace|メッセージ・音声・ビデオで完結するオンラインセラピー

Talkspaceは、免許を持つセラピストとテキスト・音声・ビデオでやり取りできるオンラインセラピーサービスです。公式サイトによると、健康保険・EAP・雇用主経由など複数の支払い方法に対応しており、企業がEAPの一環として契約するケースも紹介されています。

(参考)Talkspace 公式サイト

10. BetterUp|4,000人超のICF認定コーチによる行動変容型コーチング

BetterUpは、メンタルヘルスの治療というよりも、行動科学に基づく「コーチング」を軸にしたサービスです。公式サイトによると、4,000人を超えるICF(国際コーチング連盟)認定コーチが在籍し、経営層向け・管理職向け・現場向けにプログラムを分けて提供しています。EAPというより人材開発寄りの位置づけですが、ストレスマネジメントやレジリエンス強化のプログラムを持つため、本記事では比較対象に含めています。

(参考)BetterUp 公式サイト

EAPを一次予防・二次予防・三次予防で分類する|自社に必要な支援段階の見極め方

EAPサービスは、対応する「予防段階」で大きく3つに分類できます。全社員向けのセルフケアで不調の芽を摘む一次予防、専門カウンセラーへの相談で深刻化を防ぐ二次予防、休職者の治療・復職支援を行う三次予防です。

EAPサービスを一次予防・二次予防・三次予防の3段階に分類した図解

Wysa・Unmindのようなアプリ型サービスは一次予防に強く、ピースマインド・ジャパンEAPシステムズのような相談窓口型は二次予防を主軸にしています。Lyra Health・Spring Healthのように専門医療機関へのマッチング機能を持つサービスは、三次予防まで一気通貫でカバーできる点が強みです。自社にどの段階の支援が不足しているかを整理してから製品を選ぶと、重複投資を避けられます。セルフケアアプリの比較は心のコンディションを整える瞑想アプリ11選でも詳しく紹介しています。

Q. EAPと社内のスポーツ・運動施策はどちらを優先すべきですか?

優先順位ではなく役割分担で考えます。運動・スポーツ施策は全社員の気分転換や習慣化を通じた一次的なセルフケアに向き、EAPは専門的なカウンセリングや休職者支援など、運動だけでは対応しきれない領域を補います。両方を組み合わせることで、予防から復職支援まで切れ目のない支援体制になります。

Q. EAPサービスは中小企業でも導入できますか?

多くのEAPサービスは従業員規模に応じた料金プランを用意しており、中小企業でも導入可能です。国内サービスのピースマインドやジャパンEAPシステムズは中小企業向けの相談窓口プランを持ち、海外サービスも従業員数に応じた契約形態を選べます。

健康経営スポーツ施策にEAPを組み込む具体的な導入手順

EAPは契約して終わりではなく、既存のスポーツ・健康経営施策と接続してはじめて効果を発揮します。ここでは、導入時に押さえておきたい3つの実務ステップを紹介します。

現状の課題を数字で把握する

ストレスチェックの高ストレス者比率や休職率、運動施策の参加率など、既存データを洗い出します。数値化しておくことで、どの予防段階(一次・二次・三次)のEAPが不足しているかが見えやすくなります。

自社規模に合うサービスを選定する

従業員数・拠点数・対応言語の要否に応じてサービスを絞り込みます。中小規模であれば国内サービスの相談窓口プラン、多拠点・多国籍企業であればLyra HealthやUnmindのようなグローバル対応サービスが候補になります。

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効果を継続的に測定する

導入後は利用率・相談件数などの匿名化データを定期的に確認し、運動施策の参加率と合わせて健康経営のKPIとして人事部門で共有します。単発の導入で終わらせず、半期・年次で見直す運用にすることが定着の鍵になります。

EAP導入企業の効果データで見る活用の広がり

EAPの効果を測る際は、自社のストレスチェック実施状況を業界水準と比較することが出発点になります。厚生労働省の調査では、事業所規模によってストレスチェックの実施率に大きな差があることが分かっています。

事業所規模別のストレスチェック実施率を示す棒グラフ

50人以上の事業所では89.8%と高い実施率である一方、30〜49人の事業所では57.8%にとどまっており、中小規模の企業ほどEAPのような外部サービスを活用して体制を補う余地が大きいといえます。効果測定の具体的な指標づくりはメンタルヘルス施策の効果測定方法|人事のKPIと評価フレームで詳しく解説しています。

Q. EAPサービスの効果はどう測定すればよいですか?

利用率・相談件数・従業員満足度に加え、ストレスチェックの結果推移や休職率の変化を継続的に追跡します。契約先のEAPサービスから匿名化された利用データレポートを受け取れる場合が多く、健康経営のKPIとして人事部門に共有するのが一般的です。

(参考)令和6年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要(事業所調査) – 厚生労働省

まとめ

EAPサービスは、企業のスポーツ・運動施策だけでは補いきれない専門的なメンタルヘルス支援を担う仕組みです。最後に本記事の要点を振り返ります。

  • EAPは外部の専門機関が従業員の相談を匿名で受け付ける仕組みで、健康経営の一環として導入が広がっている
  • 運動・スポーツ施策とEAPは役割が異なり、両方を組み合わせることで予防から復職支援まで対応できる
  • 公式サイトで確認できた国内外10製品を比較すると、国内2社・海外8社と幅広い選択肢がある
  • EAPは一次予防・二次予防・三次予防のどの段階を担うかで分類でき、自社の不足領域から選ぶと選定しやすい
  • 導入後は利用率やストレスチェックの結果推移を継続的に確認し、健康経営のKPIとして共有することが定着の鍵になる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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