「モンテディオ山形 スポンサー」で検索すると、候補に「撤退」「解消」という語が並びます。実際に公表されている事実を当事者の発表で確認すると、性質のまったく違う2つの出来事が同じ言葉でまとめられていることがわかります。
そして決算を見ると、モンテディオ山形のスポンサー収入は3年連続で増えています。この記事では、パートナー192社の内訳、公表されている2件の事実、そして決算の数字を、クラブと企業の公式発表とJリーグの開示資料で整理します。
パートナーは3区分で実数192社

公式サイトのパートナー一覧には3つの区分があります。ロゴを数えると延べ198枠、うち6社が2つの区分に重ねて掲載されているため、実数は192社です(2026年9月時点)。
内訳はオフィシャルパートナーが160社、サプライヤー・パートナーが25社、SDGsパートナーが13社です。重複している6社は、東北電化工業、メイコー、ダイユー、ヘルストロン、SHIBUYA、山形代表で、いずれもオフィシャルパートナーと他の区分の両方に載っています。
同じ区分の中で同じ社名が2回出てくるケースはありませんでした。重複はすべて区分をまたいだものです。
社数で見ると、ヴァンフォーレ甲府の301社より少なく、富山グラウジーズの183社とほぼ同じ水準です。
Q. モンテディオ山形のスポンサーは何社ですか?
公式サイトのパートナー一覧を数えると、延べ198枠から重複6社を除いて192社です(2026年9月時点)。オフィシャルパートナー160社、サプライヤー・パートナー25社、SDGsパートナー13社という構成です。
「SDGsパートナー」という区分がある
3つの区分のうち、他のクラブであまり見ないのがSDGsパートナーです。13社が掲載されています。
多くのクラブは、金額の階層(プレミアム・ゴールドなど)か、掲出場所(ユニフォーム・看板など)で区分を作ります。山形の3区分は、これとは軸が違います。オフィシャルパートナーが一般的な協賛、サプライヤー・パートナーが物品やサービスの提供、SDGsパートナーがテーマでの参加、という分け方です。
企業の立場からは、自社の取り組みに近い入口を選べるということになります。広告としての露出を求めるならオフィシャルパートナー、自社製品を使ってもらう形ならサプライヤー、環境や地域課題の文脈で関わるならSDGsパートナーという整理です。
重複している6社は、この複数の入口を同時に使っている企業です。物品を提供しながら広告も出す、という組み合わせが実際に成立しています。
Q. SDGsパートナーとはどんな区分ですか?
モンテディオ山形のパートナー一覧にある3区分のひとつで、13社が掲載されています。金額の階層や掲出場所ではなく、テーマで参加する形の区分です。オフィシャルパートナーと重ねて掲載されている企業もあります。
「撤退」と検索される2つの出来事

検索候補に出てくる「撤退」「解消」について、公表されている事実を確認します。当事者が自ら発表しているものは2件あり、どちらも内容が異なります。
1件目は2025年1月11日、株式会社クリエイト礼文によるユニフォームスポンサー契約の終了です。2件目は2025年10月29日、クラブによる株式会社SCOグループとの株式譲渡協議と役員関係に関する発表です。
この2件は、一方はスポンサーシップの話、もう一方は資本と役員の話です。「スポンサー撤退」という一語でまとめると、実態を取り違えます。次の2つの節で、それぞれの発表内容をそのまま見ます。
なお検索候補には「噂」という語も出ますが、当事者が発表していない内容についてはこの記事では扱いません。
Q. モンテディオ山形のスポンサーは撤退したのですか?
公表されている事実は2件あり、性質が異なります。ユニフォームスポンサーの契約終了を発表した企業は、同じ発表の中で「これまでと変わらずスポンサーとしてクラブをサポートし続ける」と明記しています。もう1件は株式譲渡協議と役員関係の話で、スポンサーシップの話ではありません。
(参考)役員関係解消などに関するお知らせ – モンテディオ山形
ユニフォーム掲出の終了は「スポンサー終了」ではなかった
株式会社クリエイト礼文は2025年1月11日、自社サイトで「モンテディオ山形のユニフォームスポンサー終了について」と題した発表を行いました。
内容は、2019年10月から続けてきたユニフォームスポンサーとしての契約が終了し、ユニフォームへのロゴ掲出が終了するというものです。5シーズンにわたる支援でした。
ただし同じ発表の中で、同社はこう書いています。「しかし、これまでと変わらずスポンサーとしてクラブをサポートし続けることをお約束いたします」。つまり終了したのはユニフォームへのロゴ掲出であって、スポンサーとしての関係ではありません。
発表にはさらに、クラブが連続してJ1昇格プレーオフに進出した際に一翼を担えたこと、新型コロナウイルス禍でもクラブが前を向き続けた姿勢に感銘を受けたことが書かれています。
「ユニフォームスポンサー終了」という見出しだけを読むと撤退に見えますが、本文では継続が明言されています。協賛の情報を調べるとき、見出しと本文で内容が変わる典型的な例です。
Q. ユニフォームスポンサーが終わるとスポンサーではなくなるのですか?
必ずしもそうではありません。クリエイト礼文の場合、ユニフォームへのロゴ掲出は終了しましたが、同社は発表の中でスポンサーとしての支援を継続すると明記しています。ユニフォーム掲出は協賛メニューのひとつであり、契約全体とは別のものです。
(参考)モンテディオ山形のユニフォームスポンサー終了について – 株式会社クリエイト礼文
SCOグループの件はスポンサーシップの話ではない
もう1件は、クラブ自身が2025年10月29日に発表した「役員関係解消などに関するお知らせ」です。
発表によれば、株式会社モンテディオ山形は株式会社SCOグループと協議のうえ、同社が保有するクラブ株式の譲渡に向けた協議を進めることに合意しました。あわせてSCOグループ代表から社外取締役辞任の申し出があり、クラブが受理して取締役会に報告しています。
さらに、株式会社モンテディオフットボールパークが推進する新スタジアム建設および運営を中心とした事業について、両社で協議のうえ支援解消の合意に至ったことも報告されています。
クラブは同じ発表の中で、在任期間を通じてクラブビジョンへの理解と、地域スポーツ振興や新スタジアム構想の推進に多大な尽力を得たとして謝意を示しています。
ここで動いているのは株式(資本)と役員(ガバナンス)、そして新スタジアム事業です。パートナー一覧に載るスポンサーシップとは別の階層の話になります。協賛を検討する企業が気にすべき情報とは、性質が違います。
Q. SCOグループとの関係解消でクラブの協賛は減るのですか?
クラブの発表は株式譲渡に向けた協議、社外取締役の辞任、新スタジアム事業の支援解消について述べたもので、パートナー一覧に掲載されるスポンサーシップの増減には言及していません。決算上のスポンサー収入は次の節のとおり増加が続いています。
(参考)役員関係解消などに関するお知らせ – モンテディオ山形
決算ではスポンサー収入が3年連続で増えている
では実際の金額はどう動いているのか。Jリーグが公開している経営情報開示資料で確認します。
| 項目 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 25億円 | 26億1,200万円 | 31億5,400万円 |
| スポンサー収入 | 9億4,000万円 | 10億5,300万円 | 12億2,200万円 |
| 入場料収入 | 2億7,900万円 | 3億6,600万円 | 3億7,300万円 |
出典:Jリーグ「2025年度 クラブ経営情報開示資料」
スポンサー収入は9億4,000万円、10億5,300万円、12億2,200万円と3年連続で増えています。2025年度の前年比は1億6,900万円の増加です。
2025年はユニフォームスポンサーの契約終了が発表された年ですが、協賛の総額は減るどころか増えています。1社が抜けた分を他で補っている、あるいはそれ以上に積み増していることになります。
J2の開示19クラブの中で、山形のスポンサー収入は7番目です。売上高に占める協賛の割合は38.7%で、J2全体の51.1%より低くなっています。入場料など他の収入も伸びているためです。
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Q. モンテディオ山形のスポンサー収入はいくらですか?
2025年度は12億2,200万円で、前年から1億6,900万円増えています。2023年度9億4,000万円、2024年度10億5,300万円と3年連続の増加です。J2の開示19クラブの中では7番目にあたります。
新スタジアムが新しい掲出面になる
山形で協賛を検討するとき、外せないのが新スタジアムです。運営主体として2024年5月31日に株式会社モンテディオフットボールパークが設立され、建設はすでに進行中です。公式サイトでは2026年8月に基礎コンクリートの施工、9月に骨組みが立ち上がる様子が公開されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 株式会社モンテディオフットボールパーク |
| 設立日 | 2024年5月31日 |
| 資本金 | 1億円 |
| 代表者 | 代表取締役社長 相田健太郎(株式会社モンテディオ山形 代表取締役社長) |
| 株主 | 株式会社エスコン/株式会社モンテディオ山形/Sol Levante Sports株式会社/NECキャピタルソリューション株式会社/株式会社JTB |
| 事業内容(抜粋) | スタジアム施設等の企画・運営・興行/各種催し物等のための施設の管理及び賃貸、施設内の広告販売及び放送放映に関する業務/施設内における飲食物等の販売 |
出典:株式会社モンテディオフットボールパーク 公式サイト「会社概要」
スタジアムの規模と公的な位置づけも、山形県が公開している事業概要で確認できます。申請者は「山形県天童市、山形県」で、地方経済の創生を分野とする事業として採択されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | (仮称)モンテディオ山形新スタジアム |
| 所在地 | 天童市大字荒谷地内 |
| 収容人数 | 約15,000人 |
| 面積 | 建築面積 約13,000㎡/延べ面積 約25,000㎡ |
| 構造 | 鉄骨造・鉄筋コンクリート造 |
| 期間中の総事業費 | 41億3,150万円(うち令和7年度分 4億2,200万円) |
| 事業計画期間 | 令和7年度〜令和11年度 |
出典:山形県「事業概要【モンテディオ山形新スタジアム建設事業】」
実施体制も明記されています。山形県が民間事業者へ補助金を交付し進捗を管理、天童市が連携市町村として関わり、建設そのものは民間事業者が行うという分担です。天童市は周辺道路の拡幅と下水道敷設も担います。
県が挙げている目的は3つです。新スタジアム建設により観光消費の県全体への波及を図り経済の好循環を目指すこと、日常的に集う新たな交流の場として街の賑わいを醸成すること、特に若者にとって魅力ある施設を整備して市内・県内の人口減少抑制につなげること。
収容約15,000人という規模は、協賛を検討する企業にとって掲出面の大きさの目安になります。現在のスタジアムとは別に、県と市が関与する新しい器ができるということです。
企業にとって重要なのは、事業内容に「施設内の広告販売」が明記されていることです。新スタジアムが完成すれば、現在のパートナー一覧とは別に、新しい掲出面が生まれることになります。
前の節で触れたSCOグループの発表は、この新スタジアム事業への支援解消についてのものでした。ただし会社の株主にはエスコン、NECキャピタルソリューション、JTBなどが並んでおり、事業そのものは継続しています。2026年4月にはJリーグの降雪エリア施設整備助成制度で助成決定を受けたことも公表されています。
会社は設立の背景を「たった20日間しか稼働しない単なるスポーツ施設としての役割ではなく、山形県が直面している様々な課題を解決する」場所を目指すと説明しています。稼働日数の少なさという課題を前提に置いた設計です。
Q. モンテディオ山形の新スタジアムはどうなっていますか?
株式会社モンテディオフットボールパーク(2024年5月31日設立、資本金1億円)が運営主体で、建設が進行中です。株主はエスコン、モンテディオ山形、Sol Levante Sports、NECキャピタルソリューション、JTBの5社。事業内容に施設内の広告販売が含まれています。
10万円から参加できる「CLUB2160」がある
新スタジアムには、通常の協賛メニューとは別の参加枠が用意されています。「CLUB2160」です。
ピッチ上を2,160区画に分け、1区画ずつ参加者を募る仕組みで、区画権利は1口10万円です。運営会社は「芝生の所有ではなく、スタジアムの『創り手』になる権利」と説明しています。公式サイトの掲載時点では2,160区画のうち245区画の申込が入っています。
会員特典は3つ公表されています。建設中のスタジアムへの特別ツアー招待、会員限定オリジナルウェアの年1回プレゼント、限定シリアルナンバー入りの会員証です。
企業の立場から見ると、10万円という単位は、通常の協賛では届かない規模の会社でも参加できる入口です。1社あたり約636万円というスポンサーの平均と比べると、桁が2つ違います。少額でクラブとの関係を作り、実績を見てから協賛に進むという順序も取れます。
会社側の狙いも明確で、「サッカー場は維持コストが高く、年間を通じて十分に活用できないことから、稼働日数が限られてしまうという課題」を逆手に取り、スタジアムを多くの人に開かれた場所へ変えるための仕組みだと説明しています。
Q. 少額からモンテディオ山形に関われますか?
新スタジアムの「CLUB2160」であれば、区画権利が1口10万円です。2,160区画限定で、建設中スタジアムへの特別ツアー招待、限定ウェア、シリアルナンバー入り会員証といった特典が公表されています。
(参考)CLUB2160|新スタジアムの創り手になる権利 – 株式会社モンテディオフットボールパーク
1社あたりの協賛額はいくらか
公式サイトに金額表は掲載されていません。決算から逆算すると目安がつかめます。
2025年度のスポンサー収入12億2,200万円を実数192社で割ると、1社あたり約636万円です。ただしこれは単純平均で、上位の数社が総額の大きな部分を占めていると考えるのが自然です。
| クラブ | リーグ | スポンサー収入 | 掲載社数 | 1社あたり(単純平均) |
|---|---|---|---|---|
| FC東京 | J1 | 32億2,300万円 | 89社 | 約3,621万円 |
| 清水エスパルス | J1 | 26億7,200万円 | 303社 | 約882万円 |
| モンテディオ山形 | J2 | 12億2,200万円 | 192社 | 約636万円 |
| ヴァンフォーレ甲府 | J2 | 8億3,200万円 | 301社 | 約276万円 |
| 富山グラウジーズ | B2 | 3億7,801万円 | 183社 | 約207万円 |
出典:Jリーグ「2025年度 クラブ経営情報開示資料」、B.LEAGUE「2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要」と各クラブ公式サイトの掲載社数から算出。富山のみ集計期が異なる
他のクラブと並べると、山形は清水エスパルスとヴァンフォーレ甲府の中間にあたります。社数を広げつつ、1社あたりも一定の水準を保っている形です。
クラブごとの収入規模そのものは、Jリーグ53クラブのスポンサー収入ランキングで比べられます。
Q. モンテディオ山形の協賛料はいくらですか?
公式サイトに金額表は掲載されていません。2025年度のスポンサー収入12億2,200万円を実数192社で割ると1社あたり約636万円ですが、これは単純平均です。上位の区分が総額の大きな部分を占めるため、実際の各枠の金額には幅があると考えられます。
山形で協賛を検討するときに見る順序

ここまでの内容を、検討の手順に落とします。
1つめは、3つの区分のどれで入るかを決めることです。広告としての露出ならオフィシャルパートナー、自社製品やサービスの提供ならサプライヤー・パートナー、環境や地域課題の文脈ならSDGsパートナー。重複掲載の6社のように、複数を組み合わせることもできます。
2つめは、報道や検索候補ではなく当事者の発表を読むことです。この記事で見たとおり、「ユニフォームスポンサー終了」という見出しの発表には「スポンサーとしてサポートし続ける」と書かれており、資本の話とスポンサーシップの話は別でした。クラブの経営状況を判断材料にするなら、クラブと相手企業の公式発表、そしてJリーグの開示資料を直接見るのが確実です。
3つめは、金額の水準を決算から逆算することです。1社あたり約636万円という目安に対し、自社の予算がどの位置になるかで、期待できる扱いが変わります。
協賛の設計はクラブごとに大きく違います。清水エスパルスのように入口を目的別に3つに分けているクラブもあり、同じ「スポンサー」でも条件は同じではありません。
Q. 協賛先の経営状況はどこで確認できますか?
Jリーグが毎年公開している「クラブ経営情報開示資料」に、全クラブの売上高・スポンサー収入・入場料収入が掲載されています。クラブ個別の出来事については、クラブと相手企業それぞれの公式発表を確認するのが確実です。
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