スケートボードのブランドは、デッキを企画するブランド、トラックやウィールを作るパーツメーカー、輸入と小売と滑る場所を担う事業者の3層に分かれています。一覧を見るときにこの層を分けておくと、自社が話すべき相手がすぐ絞れます。
この記事では、2026年9月24日時点で公式サイトの内容を確認できた国内外12社を一覧にまとめ、各社がどの層で稼いでいるのかを整理します。あわせて、スポーツ庁の資料で確認できる日本市場の輪郭と、協賛や施設活用でスケートボードに関わるときの入り口も扱います。
スケートボードのブランドは3層で動いている|企画・製造・流通

スケートボード業界がほかのスポーツ用品と違うのは、ブランド名と製造者が一致しないことです。デッキに刷られているのはグラフィックとブランド名で、板そのものは専門の木工工場が請け負っているケースが少なくありません。だからこそ、数人のチームでもブランドを立ち上げられます。
一方で、トラックやウィールといったパーツは金型や配合のノウハウが必要で、専業メーカーに集約されています。そして日本では、この2つを仕入れて読者に届ける役目を、輸入代理店と専門店、さらにスケートパークの運営会社が担っています。
デッキブランドはグラフィックとライダー契約で戦っている
デッキの形状そのものはブランド間で大きく変わりません。そのため各ブランドは、アートワークと、誰が乗っているかという2点で差をつけます。契約ライダーの滑りを収めた映像作品がそのままブランドの広告になるため、映像制作を内製しているブランドも多いのが特徴です。
企業がコラボレーションを検討するときも、交渉相手はデザインと映像を握るこの層になります。ロゴを載せて終わりではなく、誰が滑る映像に載るのかまで含めて条件を詰めることになります。
パーツは専業メーカーが強く、複数ブランドを束ねる会社もある
トラック、ウィール、ベアリング、グリップテープは、それぞれ専業のメーカーが強い領域です。米国のNHS社のように、デッキのサンタクルーズに加えてトラックのインディペンデント、ウィールのOJ、グリップテープのモブグリップまで、1社で10前後のブランドを抱える例もあります。
つまり「ブランドの数」と「会社の数」は一致しません。一覧を作るときは、どこまでが同じ資本かを押さえておくと、交渉の窓口を間違えずに済みます。
日本では輸入・小売・場づくりが1社に集まりやすい
日本側の事情はもう少し複雑です。海外ブランドを仕入れる輸入機能、店頭で売る小売機能、滑る場所を用意するパーク運営が、同じ会社の中に同居していることが多いからです。スケートボードは滑る場所がなければ道具が売れないため、売り場と練習場所をセットで抱える形が合理的になります。
スポーツ庁のアーバンスポーツツーリズム研究会も、活動場所の確保を普及の前提として位置づけており、場をつくる事業者の存在が業界の要になっていることが読み取れます。
Q. スケートボードのブランドとメーカーは何が違うのですか?
ブランドはデッキのグラフィックとライダー契約を担い、板やパーツの製造は別会社が担うことが多い点が違います。サンタクルーズを持つNHS社のようにトラックやウィールまで自社ブランドで抱える会社もありますが、デッキ1枚の企画だけで独立しているブランドも珍しくありません。
(参考)アーバンスポーツツーリズム推進に向けた論点整理 – スポーツ庁
スケートボードブランド一覧|海外発の主要6社
まず海外発の6社です。いずれも日本国内の専門店で流通しており、2026年9月24日時点で公式サイトの内容を確認しました。選定は、公式サイトにアクセスでき、デッキまたはスケートボード関連事業の内容を自社で明示していることを条件にしています。
| ブランド(運営会社) | 本拠 | 創業・設立 | 主な守備範囲 |
|---|---|---|---|
| サンタクルーズ(NHS, Inc.) | 米カリフォルニア州サンタクルーズ | 1973年 | デッキ+トラック・ウィール等の複数ブランド |
| パウエル・ペラルタ(Skate One Corp.) | 米カリフォルニア州ベンチュラ | 1976年から事業 | デッキ・ウィール・ベアリングを自社製造 |
| エレメント(Boardriders) | 米国 | 1992年 | デッキ+アパレル。大手グループ傘下 |
| ガール(Crailtap) | 米ロサンゼルス | 30年以上の歴史 | デッキ・映像作品 |
| ベイカー(Baker Boys Distribution) | 米ノースハリウッド | 2007年に流通会社を設立 | デッキ+自社流通 |
| ゼロ(Zero Skateboards) | 米国 | プロライダーが創設 | デッキ中心 |
出典:各社公式サイト(2026年9月24日に内容を確認)。創業・設立の表記は公式サイトの記載にもとづく。
サンタクルーズ(NHS, Inc.)|1社で10前後のブランドを抱える複合体
1973年にカリフォルニア州サンタクルーズで3人のサーファーが立ち上げた会社です。公式サイトでは、サンタクルーズのほかインディペンデント、クリーチャー、OJ、リクタ、モブグリップ、クラックス、ブロンソン、スライムボールズ、ブレットを自社ブランドとして掲げています。
デッキからパーツ、グリップテープまで一通りそろうため、小売側は1社との取引で棚を埋められます。上の3層で言えば、企画と製造の両方を押さえている珍しいタイプです。
パウエル・ペラルタ(Skate One Corp.)|自社工場を持つ数少ないブランド
公式サイトによると1976年からスケートボード製品の製造と流通を手がけており、デッキ、ウィール、ベアリング、トラック、ハードウェアまでを扱っています。ボーンズのベアリングやミニロゴも同じ会社のブランドです。
企画だけを切り出すブランドが多いなかで、製造機能を自前で持っている点がこの会社の特徴になります。
エレメント(Boardriders)|大手グループの一員として動くブランド
1992年にジョニー・シレレフ氏が立ち上げたブランドで、現在はクイックシルバーやビラボンなどを擁するボードライダーズのブランド群に入っています。ブランドストーリーのページでは、スケートカルチャーと自然をつなぐという立ち位置が説明されています。
グループ入りしているぶん、アパレルや販路の面では独立系より厚い体制を持ちます。資本関係が一覧の見え方を変える典型例です。
(参考)Element Story – Boardriders
ガール(Crailtap)|映像作品でブランドを育ててきた例
公式サイトでは30年以上の歴史をうたっており、チョコレートなどの姉妹ブランドとともにクレイルタップというグループの下で運営されています。映像作品の制作を続けてきたことで知られ、サイト内にも映像のコーナーが置かれています。
ベイカー(Baker Boys Distribution)|ライダーが流通まで手がける形
プロライダーたちが2007年に立ち上げた流通会社ベイカーボーイズが、ベイカーのほかデスウィッシュやシェイクジャントといった関連ブランドを扱っています。ブランドとディストリビューターを同じ人たちが運営している形です。
ゼロ(Zero Skateboards)|プロライダー主導の独立ブランド
プロスケーターのジェイミー・トーマス氏が立ち上げたブランドで、公式サイトでも本人のページが置かれています。デッキを軸にした構成で、上の3層で言えば企画の層に特化したタイプです。
Q. 海外のスケートボードブランドは日本でも買えますか?
国内の輸入代理店やスケートボード専門店を通じて流通しているため、多くは日本でも入手できます。ただし取扱の有無はショップごとに違うので、法人でまとまった数を調達する場合は、ブランド本国のサイトではなく国内の取扱店に在庫と納期を確認するのが確実です。
スケートボードメーカー一覧|国内発の6社
次に国内発の6社です。デッキブランドだけでなく、輸入・小売・パーク運営を担う事業者も同じ表に入れています。日本ではこの3つが近い距離にあり、ブランドだけを並べても市場の姿が見えないためです。
| 社名・ブランド | 拠点 | 創業・設立 | 主な守備範囲 |
|---|---|---|---|
| 株式会社ムラサキスポーツ | 東京都台東区 | 1973年設立 | 小売・輸入・パーク運営・イベント |
| カリフォルニアストリート | 東京都渋谷区代官山 | 1988年創業 | 専門小売・EC |
| EVISEN SKATEBOARDS | 東京 | 2011年発足 | 国内発のデッキブランド |
| TIGHTBOOTH PRODUCTION | 大阪(旗艦店) | 2005年 | デッキ+アパレル |
| LESQUE skateboards | 日本 | 公式サイトに記載なし | 軽量設計のデッキ |
| Graffer | 茨城県土浦市 | 公式サイトに記載なし | 室内パーク・スクール・ショップ |
出典:各社公式サイト(2026年9月24日に内容を確認)。記載のない項目は推測せず「記載なし」とした。
株式会社ムラサキスポーツ|小売から場づくりまで一気通貫
公式サイトの会社概要によれば、1973年設立、資本金5,000万円、従業員2,036人(2026年3月31日現在)、年商380億円(2026年3月期)の規模です。スケートボード用品の販売は1977年に始めており、業界のなかでも歴史が長い会社にあたります。
事業内容はアクションスポーツ用品の企画・輸入・販売に加えて、イベント・大会・スクールの企画運営まで含まれます。2021年には茨城県笠間市にムラサキパークかさまを開き、東京オリンピックでは契約ライダーの堀米雄斗選手と西矢椛選手が金メダル、中山楓奈選手が銅メダルを獲得しました。
カリフォルニアストリート|1988年創業の専門店が持つ品ぞろえ
渋谷区代官山のスケートボード専門店で、公式サイトでは1988年創業、デッキ・トラック・ウィール・シューズ・アパレルなど常時3,000点以上を扱うと説明しています。海外ブランドの国内での窓口として機能している存在です。
法人がまとまった数を調達する場合、ブランド本国ではなくこうした専門店が実際の交渉相手になります。
EVISEN SKATEBOARDS|和のグラフィックで海外にも届いたブランド
公式サイトによると2011年、東京を拠点にディレクターの南勝巳氏の主導で発足しました。日本古来の伝統や文化を取り入れたグラフィックが特徴で、東京だけでなく大阪や仙台のコミュニティともつながりながら、海外にも展開しています。
デッキのほかアパレルラインも厚く、企画の層に立つ国内ブランドの代表格といえます。
(参考)ABOUT – Evisen Skateboards
TIGHTBOOTH PRODUCTION|2005年創業でアパレル比率が高い
公式サイトに2005年創業と明記されており、大阪市淀川区に旗艦店を構えています。サイトの商品カテゴリーを見るとスケートボードのほかアウター、シャツ、パンツなどアパレルの点数が多く、衣料側の売上比率が高い構成になっていることがわかります。
LESQUE skateboards|軽さに振り切ったデッキ設計
公式サイトでは、軽く強くしなやかというライト設計を前面に出し、身長や靴のサイズからデッキサイズを選べるツールを公開しています。国内のプロライダーをチームに抱え、コラボレーションデッキも継続的に出しています。
Graffer|滑る場所と教える人をセットで用意する事業者
茨城県土浦市の全天候型室内スケートパークで、スクール、一般滑走、ショップ、ギャラリー、イベントを1か所にまとめています。初心者が手ぶらで来られる体制を整えている点が、用品販売だけの事業者との違いです。
雨天でも稼働できる屋内型は、地域の受け皿として企業や自治体が連携しやすい相手でもあります。
Q. 選手名から調べたいときは、どの一覧を見ればよいですか?
競技団体が公開している選手一覧が出発点になります。スケートボード日本人一覧のように選手名で探す場合は、一般社団法人日本スケートボード協会が公開しているAJSA公認プロスケートボーダーの一覧が、氏名と所属を確認できる一次情報にあたります。
公式サイトが消えたブランドがある|一覧を更新する3つの手順
ブランド一覧を扱ううえで避けて通れないのが、掲載したブランドがすでに動いていないことがある点です。2026年9月24日に、国内のまとめ記事で名前の挙がることが多い3ブランドの公式ドメインへ実際にアクセスしたところ、2件は接続そのものができず、1件は「Store unavailable」と表示されました。
スケートボードは流通会社の統廃合が起きやすく、ブランドが残っていても販売の窓口が消えることがあります。一覧を使うときは、次の3つの手順で生存を確かめるのが安全です。
手順①|公式ドメインに実際にアクセスする
検索結果の見出しだけを見て判断しないことが出発点です。ドメインが失効している場合でも、まとめ記事や通販サイトの在庫ページは検索結果に残り続けます。ブラウザで開いて、トップページが表示されるかどうかを目で確かめます。
手順②|親会社・ディストリビューターをたどる
ブランドのサイトが落ちていても、親会社や流通会社のサイトが生きていれば取り扱いは続いていることがあります。逆に、流通会社ごと事業を畳んでいれば、そのグループのブランドはまとめて入手できなくなります。ブランド単体ではなく、資本の単位で確認するほうが早く結論が出ます。
手順③|国内の取扱店の在庫で確かめる
最終的に調達できるかどうかは、国内の専門店に在庫があるかで決まります。海外ブランドの本国サイトが生きていても、国内に輸入されていなければ納期は読めません。同じ確認は釣具業界の企業10社を整理した記事でも触れた輸入代理店の構造とほぼ同じで、用品系の業種に共通する見方です。
あわせて読みたい釣具業界の企業10社|メーカー・輸入代理店を比較›
Q. ブランド一覧はどのくらいの頻度で見直せばよいですか?
半年に1回は公式サイトの到達確認をおすすめします。スケートボードのブランドは流通会社の統廃合で入れ替わりが起きやすく、実際に2026年9月24日の確認では、よく名前の挙がる3ブランドの公式ドメインが接続できないか販売停止の表示になっていました。
日本のスケートボード市場の輪郭|愛好者約400万人・競技人口約2,000人
ブランドの話の前提として、日本市場の大きさを押さえておきます。スポーツ庁のアーバンスポーツツーリズム研究会がまとめた論点整理には、委員として日本スケートボード協会の理事が参加しており、そこでスケートボード人口は10代前半から30代を中心に約400万人、競技人口は約2,000人と説明されています。2021年3月時点の資料である点は差し引いて読む必要があります。
愛好者と競技人口の差が、そのまま用品市場の形になる
約400万人と約2,000人という差は、この業界が競技ではなく日常の遊びで成り立っていることを示しています。大会の賞金や競技団体の予算ではなく、デッキとパーツが売れ続けることが収益の中心になります。
ブランドが映像とグラフィックに投資するのも、買い手が競技者ではなく愛好者だからです。市場全体の伸び方を業界横断で見るなら、スポーツ業界の市場規模をまとめた記事もあわせて読むと位置づけがつかめます。
パークは全国で約200か所、9割超が場所不足を課題に挙げた
同じ資料では、日本国内のスケートパークは約200近くとされ、研究会が実施したアンケート(回答578人)では、活動の課題として「実施できる場所・専用施設が少ない」を挙げた人が93.0%にのぼりました。道具は買えても滑る場所が足りない、という構造がはっきり出ています。
この不足は、遊休地や遊休施設を持つ企業・自治体にとっては入り口にもなります。研究会でも、未利用施設の活用が施設整備の現実的な選択肢として挙げられていました。
受け皿の規模は1社の事業規模から推し量れる
同じ資料で紹介されたムラサキスポーツの発表によれば、当時の店舗は全国144か所、契約ライダー397人のうちスケートボードが最多の115人、イベントは年間800ほどを開催していました。1社でこの規模を抱えているのが、日本のスケートボード流通の実情です。
用品の売り場と滑る場所と大会が同じ事業者に集まっている構図は、業界全体の課題ともつながっています。
あわせて読みたい【2026最新】日本スポーツ業界の8つの課題|15兆円市場へのDXと構造改革›
(参考)アーバンスポーツツーリズム推進に向けた論点整理 – スポーツ庁
企業がスケートボードと接点を持つ3つの入り口|協賛・施設・体験
最後に、用品を売る立場でない企業がこの業界と関わるときの入り口を3つに整理します。いずれも上の3層のどこに話を持っていくかで、相手も条件も変わります。
入り口①|大会・ライダーへの協賛
交渉相手はブランドか大会主催者になります。ロゴ掲出だけで終わらせず、映像作品やSNSでの露出まで含めて条件を決めるのがこの競技の通例です。若年層との接点をつくりたい場合に選ばれやすい入り口で、用品を扱わない業種でも成立します。
入り口②|遊休地・遊休施設のパーク転用
相手はパーク運営会社や設計を手がける事業者です。場所が足りないという課題が業界側にあるため、土地や建物を持っている企業は交渉に入りやすい立場にあります。騒音や安全の管理は避けて通れないので、運営を任せられる相手かどうかが判断の分かれ目になります。
用品の調達を伴う検討では、ゴルフバッグ企業を系統別に比較した記事と同じく、メーカー系か専業系かで見積もりの出方が変わる点にも注意してください。
入り口③|社員向けの体験プログラム
スクールを持つパーク運営会社が相手です。用具のレンタルと指導者がそろっているため、社員が手ぶらで参加できます。年齢や運動経験の差が出にくい一方、転倒のリスクはあるので、保険と装備の条件を事前にそろえておく必要があります。
競技としての技術面に興味が向いた場合は、トップ選手の練習の組み立て方を扱った記事が参考になります。
あわせて読みたい西矢椛のスケートボードトレーニング|東京五輪金メダリストの体幹と習得法›
まとめ|スケートボードブランド一覧の読み解き方
ここまでの要点を振り返ります。
- スケートボードは、企画するブランド・パーツを作るメーカー・輸入と小売と場を担う事業者の3層で動いている
- 海外発6社と国内発6社の計12社を、2026年9月24日時点の公式サイトで確認して一覧にした
- ブランドの数と会社の数は一致しない。NHS社のように1社で10前後のブランドを抱える例がある
- 一覧に載っているブランドでも公式サイトが落ちていることがある。公式ドメイン・親会社・国内在庫の3手順で確かめる
- 日本の愛好者は約400万人、競技人口は約2,000人。滑る場所の不足が業界最大の課題で、そこが企業の入り口にもなる
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