釣具業界の主要企業は、シマノやグローブライド(ダイワ)のように自転車・ゴルフ用品も手がける総合メーカーと、がまかつやジャッカルのような釣具専業メーカー、海外ブランドの日本法人という3つの顔ぶれに分かれます。本記事では各社の公式サイトの情報をもとに10社を比較し、業界の構造を整理します。
- 釣具業界の全体像|遊漁者670万人と小売市場2千億円台の構造
- 釣具業界を代表する10社|メーカーから輸入代理店まで
- シマノ|自転車部品と並ぶ二本柱として釣具を展開する上場メーカー
- グローブライド(ダイワ)|釣具・ゴルフ・テニスを束ねる総合スポーツ用品メーカー
- がまかつ|西脇市発、世界70カ国に展開する釣り針の老舗
- デュエル|ルアー・エギ・釣り糸を軸にする福岡発の総合メーカー
- ジャッカル|琵琶湖発、シマノとの業務提携で海外展開を加速したルアーメーカー
- エバーグリーンインターナショナル|大阪の釣具問屋を親会社に持つルアーメーカー
- メジャークラフト|コストパフォーマンスの高いロッドで支持を広げる中堅メーカー
- オーナーばり|自社一貫生産にこだわる釣り針の専業メーカー
- ヤマリア|イカ釣り用品「ヤマシタ」とルアー「マリア」を展開する老舗
- ピュア・フィッシング・ジャパン|アブガルシアなど海外ブランドを扱う輸入代理店
- 釣具業界の企業構造を3つに分類する|系列・専業・輸入代理店
- 釣具業界のビジネスモデルと収益構造|製造・卸・小売の利益の流れ
- 隣接業界との関係|スポーツ用品メーカー・小売との重なり
- 釣具業界の最新動向|越境EC・電動リール・初心者市場の広がり
- まとめ|釣具業界の企業構造を振り返る
釣具業界の全体像|遊漁者670万人と小売市場2千億円台の構造
釣具と聞くと個人の趣味用品というイメージが強いかもしれませんが、業界としては製造・卸・小売が分業する、他のスポーツ用品業界と同じ構造を持っています。上流にはロッド(竿)・リール・ルアー・釣り針などを企画開発するメーカーがあり、その下に卸売業者、さらに専門店・量販店・ECという小売の層が続きます。
シマノやグローブライドのような釣具上場企業を筆頭に、水産庁が令和3年にまとめた資料によると、釣りを行う遊漁者数は平成20年以降減少傾向にあり、近年は670万人前後で推移しています。一方で、釣り用品の小売市場規模は平成23年以降増加傾向に転じ、近年は2千億円台を維持しています。釣り人口が減っても市場規模が保たれているのは、ルアーフィッシングや電動リールなど単価の高い製品への支出が伸びていることが背景にあります。
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釣具業界は、日本スポーツ業界全体が抱える構造的な課題とも無縁ではありません。用具の販売だけに頼るビジネスモデルは市場が縮小すると影響を受けやすく、後述するように大手各社は自転車・ゴルフといった他競技への多角化や、海外市場への輸出で収益源を分散させています。
釣具業界を代表する10社|メーカーから輸入代理店まで
ここでは、公式サイトで事業内容を確認できた国内主要10社を掲載します。選定条件は「釣具の企画・製造・販売を主要事業とし、公式サイトで会社概要が確認できる企業」です。上位のシマノ・グローブライド(ダイワ)は事業規模・知名度の面で突出しているため事業内容まで踏み込み、残りは会社の特徴を中心に紹介します。
| 企業名 | 主な事業 | 本社所在地 | 創業・設立 |
|---|---|---|---|
| シマノ | 釣具・自転車部品等の開発製造販売 | 大阪府堺市 | 1921年 |
| グローブライド(ダイワ) | 釣用品・ゴルフ・テニス用品等の製造販売 | 東京都東久留米市 | 1958年 |
| がまかつ | 釣り竿・釣り鈎・フィッシングウェアの製造販売 | 大阪府大阪市 | 1968年 |
| デュエル | ルアー・エギ・釣り糸の製造販売 | 福岡県福岡市 | 1967年 |
| ジャッカル | ルアーフィッシング用品の企画・開発・製造・販売 | 滋賀県大津市 | 1999年 |
| エバーグリーンインターナショナル | 釣用品・レジャー用品の企画製造 | 大阪府大阪市 | 1988年 |
| メジャークラフト | 釣具関連商品の製造販売 | 大阪府大阪市 | 2002年 |
| オーナーばり | つり鈎・釣具の製造・販売 | 兵庫県西脇市 | 1968年 |
| ヤマリア | 釣具漁具の製造販売 | 神奈川県横須賀市 | 1941年 |
| ピュア・フィッシング・ジャパン(アブガルシア) | アブガルシア等釣用品の企画・製造・輸入・国内販売 | 東京都江東区 | 1998年 |
出典:各社公式サイト(2026年9月確認)
シマノ|自転車部品と並ぶ二本柱として釣具を展開する上場メーカー
シマノは1921年創業、堺市に本社を置く東証プライム上場企業です。自転車部品を主力事業としながら、釣具・ロウイング関連用品の開発・製造・販売を手がけており、2025年12月時点で連結従業員数は10,242人、連結子会社は49社にのぼります。釣り専用サイト「SHIMANO FISHING」でリール・ロッド・ルアーを展開し、世界各地に製造・販売拠点を持つ点が強みです。
グローブライド(ダイワ)|釣具・ゴルフ・テニスを束ねる総合スポーツ用品メーカー
グローブライドは1958年設立(登記上は1945年)、東京都東久留米市に本社を置く東証プライム上場企業です。「ダイワ」ブランドで釣用品を、「ONOFF」「フォーティーン」でゴルフ用品を、「Prince」でテニス用品を展開する総合スポーツ用品メーカーで、2026年3月期の連結従業員数は7,365名です。海外にも米州・欧州・アジアオセアニアに製造・販売拠点を持ち、釣具事業単体でも世界規模の展開をしています。
がまかつ|西脇市発、世界70カ国に展開する釣り針の老舗
がまかつは1955年に兵庫県西脇市で創業し、現在は本社機能をシンガポールに置く「GAMAKATSU PTE LTD」が展開するブランドです。釣り竿・釣り鈎・フィッシングウェアの製造販売を主軸に、グループ従業員は1,000人規模です。地場産業である鈎(はり)の製造技術を基盤に海外展開を進めており、熱心なファンは「がまラー」と呼ばれています。
デュエル|ルアー・エギ・釣り糸を軸にする福岡発の総合メーカー
デュエルは1967年に佐賀県武雄市で創業し、現在は福岡市博多区に本社を置く釣具の総合メーカーです。国内向けの「デュエル(DUEL)」ブランドに加え、イカ釣り製品や海外向けルアーを扱う「ヨーヅリ(YO-ZURI)」など複数ブランドを展開し、佐賀県武雄市の工場で製造を続けています。
ジャッカル|琵琶湖発、シマノとの業務提携で海外展開を加速したルアーメーカー
ジャッカルは1999年に滋賀県大津市で設立された、ルアーフィッシング用品に特化したメーカーです。2010年にシマノと業務提携を結んだことを契機に、アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリア・中国など海外展開を広げてきました。2018年には滋賀県竜王町に自社工場を開設し、製造体制も強化しています。
エバーグリーンインターナショナル|大阪の釣具問屋を親会社に持つルアーメーカー
エバーグリーンインターナショナルは1988年創業、大阪市西区に本社を置く釣用品・レジャー用品の企画製造会社です。大阪の大手総合釣り具問屋である中央漁具株式会社を関連会社に持ち、卸売と製造の両面から業界を支えています。バス釣り用ロッド・ルアーを中心に、トラウト・ソルトウォーター向け製品も展開しています。
(参考)エバーグリーンインターナショナル 公式サイト(会社概要)
メジャークラフト|コストパフォーマンスの高いロッドで支持を広げる中堅メーカー
メジャークラフトは2002年、大阪市中央区で設立された釣具関連商品の製造販売会社です。バス・シーバス・エギング・ショアジギングなど幅広い釣法に対応するロッド・ルアーを展開し、価格帯を抑えつつ性能を確保した製品でエントリー層からの支持を集めています。
オーナーばり|自社一貫生産にこだわる釣り針の専業メーカー
オーナーばりは1968年に兵庫県西脇市で設立された、つり鈎・釣具の製造販売会社です。自社窯による一貫生産で釣り鈎を製造し、鈎・仕掛け・ウエアなど1万点を超える製品を展開しています。アメリカをはじめ世界約70カ国に販売網を持ち、地場産業である鈎づくりの技術を軸にグローバル展開を進めてきました。
ヤマリア|イカ釣り用品「ヤマシタ」とルアー「マリア」を展開する老舗
ヤマリアは1941年創業、神奈川県横須賀市に本社を置く釣具漁具の製造販売会社です。イカ釣りで世界トップクラスの「ヤマシタ」ブランドと、ソルトルアーフィッシングの「マリア」ブランドを展開し、エギング用ルアー「エギ王」シリーズは日本最大級のイカ釣りコミュニティを持つほどの人気を集めています。
ピュア・フィッシング・ジャパン|アブガルシアなど海外ブランドを扱う輸入代理店
ピュア・フィッシング・ジャパンは1998年設立、東京都江東区に本社を置く企業で、スウェーデン発の「アブガルシア」をはじめ、バークレイ・ペン・ハーディなど海外ブランドの釣用品を企画・製造・輸入し、国内販売を担っています。国内メーカーとは異なり、海外本社のブランド戦略を日本市場に橋渡しする役割を持つ点が特徴です。
(参考)ピュア・フィッシング・ジャパン 公式サイト(会社概要)
Q. 釣具業界で最も規模が大きい企業はどこですか?
売上・従業員数の規模では東証プライム上場のシマノとグローブライド(ダイワ)が突出しており、業界の売上ランキングを見てもこの2社が上位に並びます。両社とも釣具以外に自転車・ゴルフ・テニス用品などを手がける総合メーカーで、連結従業員数はそれぞれ1万人規模、7千人規模です。
Q. 釣具メーカーは何種類くらいの企業がありますか?
国内だけでロッド・リール・ルアー・釣り針・釣り糸など専門分野ごとに数十社が存在します。本記事では公式サイトで事業内容を確認できた主要10社を紹介していますが、これは業界の一部に過ぎません。
釣具業界の企業構造を3つに分類する|系列・専業・輸入代理店
10社の顔ぶれを見ると、釣具業界の企業は「総合スポーツ用品メーカーの一事業」「釣具専業の国内メーカー」「海外ブランドの輸入代理店」という3つの立ち位置に整理できます。どの立ち位置かによって、収益源の分散度合いや海外展開の進め方が異なります。
出典:各社公式サイトの事業内容・沿革をもとに分類(2026年9月確認)
系列大手|自転車・ゴルフも手がける総合スポーツ用品メーカー
シマノとグローブライド(ダイワ)は、釣具事業単体でも国内最大級の規模を持ちながら、自転車部品やゴルフ・テニス用品といった他競技の事業も並行して展開しています。1つの競技・カテゴリーの市場縮小が経営全体に与える影響を抑えられる点が、この立ち位置の強みです。両社とも東証プライム市場に上場しており、有価証券報告書等で経営状況を開示しています。
専業メーカー|釣具一筋で製品開発を続ける国内企業
がまかつ・デュエル・ジャッカル・エバーグリーン・メジャークラフト・オーナーばり・ヤマリアの7社は、釣具の企画・製造・販売に特化した専業メーカーです。ルアー、釣り針、ロッドなど得意分野を絞り込み、釣法ごとに深く作り込んだ製品でファンを獲得している点が共通しています。創業から数十年を経た老舗が多く、地場産業としての技術継承も特徴です。
輸入代理店|海外ブランドを日本市場につなぐ企業
ピュア・フィッシング・ジャパンのように、海外の釣具ブランドを企画・輸入し、日本市場向けに販売する企業も業界の一角を占めています。ブランドの世界戦略と、日本の釣り場・魚種に合わせたローカライズの両方を担う点が、国内専業メーカーとは異なる役割です。
Q. 海外の釣具ブランドはどうやって日本で販売されていますか?
多くの場合、日本法人や輸入代理店を経由して販売されます。例えばスウェーデン発の「アブガルシア」は、ピュア・フィッシング・ジャパンが企画・輸入・国内販売を担っており、海外ブランドが直接日本の小売店と取引するケースは限られます。
釣具業界のビジネスモデルと収益構造|製造・卸・小売の利益の流れ
釣具業界の収益は、メーカーが製造した製品を卸売業者が専門店・量販店・ECに届け、最終的に消費者に販売されるという多段階の流通構造から生まれています。メーカーは自社ブランドの企画・開発力で利益率を確保し、卸・小売は品揃えと店舗・EC運営のノウハウで収益を上げる構図です。
近年は、メーカーが自社ECサイトで消費者に直接販売するD2C(Direct to Consumer)の動きも広がっています。ジャッカルやメジャークラフトのように自社オンラインショップを運営する企業が増えており、卸を介さない分、利益率を高めやすい一方で、既存の小売店との関係維持も課題になります。輸出も収益源の1つで、グローブライドは米州・欧州・アジアオセアニアに販売子会社を持ち、海外売上の比率を高めています。
Q. 釣具メーカーはなぜ自社ECサイトを強化しているのですか?
卸売業者を介さずに消費者へ直接販売することで、利益率を高められるためです。加えて、購入者の反応や販売データを直接得られるため、新製品開発のスピードを上げやすいというメリットもあります。
隣接業界との関係|スポーツ用品メーカー・小売との重なり
釣具業界は、単独で完結する業界ではなく、スポーツ用品業界全体と接点を持っています。シマノやグローブライドのように自転車・ゴルフ用品も手がける企業がある一方、小売の現場では釣具専門店だけでなく、総合スポーツ用品を扱う量販店やホームセンターも釣具を取り扱っています。
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また、釣り具の卸売・製造という観点では、原材料となる繊維・樹脂を扱う素材メーカーとの取引もあり、ロッドのカーボン素材などはスポーツ用品全般の素材産業と重なる部分があります。業界内で完結せず、周辺産業との結びつきを意識することが、釣具業界を理解するうえで欠かせません。
釣具業界の最新動向|越境EC・電動リール・初心者市場の広がり
釣り人口自体は減少傾向にある一方で、業界の中身は変化を続けています。1つ目は越境ECの広がりで、海外の釣り愛好者向けに日本製ロッドやリールを直接販売する動きが増えています。2つ目は電動リールやセンサー付きロッドといった技術製品の広がりで、こうした製品開発の動きは国内のスポーツテック企業の取り組みとも重なる部分があります。
3つ目は初心者・ファミリー層の取り込みです。SNSや動画を通じた情報発信で、これまで釣りに縁のなかった層への訴求が進んでおり、メーカー各社は入門者向けの軽量ロッドやセット商品を強化しています。販売チャネルの面でも、スポーツ用品業界全体のEC販売チャネル戦略と同様に、自社EC・モール出店・実店舗を組み合わせるオムニチャネル化が進んでいます。
Q. 釣具業界で今後市場が伸びる分野はどこですか?
電動リールやセンサー付きロッドなどの高付加価値製品と、越境ECによる海外販売の2分野が伸びやすいと考えられます。国内の釣り人口自体は減少傾向にあるため、単価の高い製品と海外市場への展開が成長のカギになります。
まとめ|釣具業界の企業構造を振り返る
- 釣具業界は製造(メーカー)・卸・小売という多段階の流通構造を持ち、遊漁者数は減少傾向でも小売市場規模は2千億円台を維持している
- 企業は「総合スポーツ用品メーカーの一事業(シマノ、グローブライド)」「釣具専業の国内メーカー(がまかつ、デュエル、ジャッカルなど)」「海外ブランドの輸入代理店(ピュア・フィッシング・ジャパン)」の3つに整理できる
- 収益源は国内販売だけでなく、D2C(自社EC直販)や海外輸出にも広がっている
- 釣具業界はスポーツ用品業界全体、特に小売・素材産業と接点を持っている
- 今後は電動リールなどの高付加価値製品、越境EC、初心者・ファミリー層の取り込みが成長のポイントになる
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