川崎フロンターレのスポンサー404社|サポートカンパニー287社と決算欄が2つある理由

川崎フロンターレのスポンサー404社と6区分414枠 スポーツビジネス

川崎フロンターレのパートナー一覧を数えていて、最後のブロックで止まりました。サポートカンパニーが287社。あ行からわ行まで、社名のテキストがずらりと並んでいます。

上のロゴ掲載区分と合わせると延べ414枠、実数404社。そしてJリーグの決算一覧を開くと、川崎フロンターレの欄が2つありました。

川崎フロンターレのスポンサー・パートナーは、6区分・延べ414枠・実数404社

川崎フロンターレの区分別の掲載数

クラブ公式サイトの「パートナー一覧」を2026年9月24日に取得して集計しました。川崎フロンターレは協賛企業を「パートナー」と呼んでおり、サイト内に「スポンサー」という区分はありません。以下、区分名はクラブの表記に合わせます。区分は6つです。

OFFICIAL TOP PARTNERS 8、OFFICIAL PARTNERS 49、CLUB PARTNERS 63、ASIAN REGIONAL PARTNERS 2、協賛カンパニー 5、SUPPORT COMPANIES 287。合計で延べ414枠になります。

上の4区分(計122枠)はロゴ画像での掲載、協賛カンパニー5社とサポートカンパニー287社は社名テキストでの掲載です。292社がテキスト掲載、つまり全体の7割がこちらに入っています。

法人格の表記ゆれを揃えて重ねると、重複は10件でした。ウエインズトヨタ神奈川、帝国通信工業、アルファシステムズ、ディアスタッフ、東京エレクトロンデバイス、セレモニア、東京書房、早川製作所、ひまわり調剤薬局、Yu Visionの10社が、上位区分とサポートカンパニーの両方に載っています。除くと実数404社です。

この連載でこれまで多かったのは徳島ヴォルティスの797社、浦和レッズの517社。404社はそれに次ぐ3番目になります。

Q. サポートカンパニー287社も協賛に数えてよいのですか。

この記事では数えています。クラブは「川崎フロンターレの活動に共感し、ご協賛いただくサポートカンパニー」と説明し、パートナー一覧の中に並べているからです。ただし性格は違うので、延べ414枠のうち287社はサポートカンパニーだと明示しました。50音順のテキストで全社が公開されているため、機械的に数えることも検索することもできます。

(参考)パートナー一覧 – 川崎フロンターレ

(参考)サポートカンパニー – 川崎フロンターレ

最上位8社の筆頭は富士通。スタジアムの名前も富士通だった

OFFICIAL TOP PARTNERSの顔ぶれです。

川崎フロンターレのOFFICIAL TOP PARTNERS 8社(2026年9月24日時点)
企業 業種の系統
富士通 ITサービス(クラブの母体)
エフサステクノロジーズ ITインフラ(富士通系)
Anker Japan 充電・音響機器
SMBC日興証券 証券
PwCコンサルティング コンサルティング
GA technologies(RENOSY) 不動産テック
プーマ ジャパン スポーツ用品(サプライヤー)
エバラ食品工業 食品

出典:川崎フロンターレ「パートナー一覧」より筆者作成

8社のうち2社が富士通系です。富士通本体と、富士通のITインフラ事業を担うエフサステクノロジーズ。川崎フロンターレの前身が富士通サッカー部であることを踏まえると、母体が最上位に2枠を持っている形になります。

そしてホームスタジアムの名前も富士通です。等々力陸上競技場の愛称は「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」。川崎市の発表によればネーミングライツ料は年額2,000万円、契約期間は令和6年2月1日から令和11年3月31日までの約5年間です。この点は後で詳しく見ます。

残る6社は全国・グローバル企業です。ASIAN REGIONAL PARTNERSにはMitutoyo(ミツトヨ)とエケッツインターナショナルの2社が入っており、アジア向けの区分を別に持っているのはこの連載では初めて見ました。

Q. 川崎の地元企業はどこに入っていますか。

中位以下です。OFFICIAL PARTNERSに川崎信用金庫、イッツ・コミュニケーションズ、アルファシステムズ。CLUB PARTNERSとサポートカンパニーには川崎・武蔵小杉周辺の中小企業や医院、士業事務所が多数並びます。上位は全国企業、下位に地元企業という並びで、これは鹿島アントラーズや浦和レッズと共通の形です。

(参考)パートナー一覧 – 川崎フロンターレ

協賛の金額は、資料請求をしないと分からない

「川崎フロンターレ スポンサー 金額」で調べる人が多いので、確認できたことを書きます。

サイト上に金額の記載はありません。ただし他のクラブとは違う形になっています。川崎フロンターレはスポンサーシップの提案資料そのものをPDFで用意しているのです。

「パートナーシップ」のページには全30ページの資料が、「サポートカンパニー」のページには全11ページの資料が置かれています。どちらもページ単位でも分割ダウンロードできる作りです。

ただしダウンロードには「お客様情報の入力」が必要とされています。入力から28日間ダウンロードできる、という案内です。つまり金額は資料の中にある可能性が高いものの、企業名や連絡先を渡さないと見られないということになります。

この連載では、浦和レッズが「年間500万円〜」「年間24万円〜」とページ上に明記していました。ファジアーノ岡山は年5万円から、徳島ヴォルティスは年5万5000円(税込)から。一方で鹿島アントラーズ、ヴァンラーレ八戸、高知ユナイテッドSC、テゲバジャーロ宮崎、ブラウブリッツ秋田は非公開でした。川崎フロンターレはその中間で、資料は整備されているが入口に情報入力が置かれている形です。

Q. 協賛金は経費としてどう扱われますか。

国税庁は、不特定多数への宣伝的効果を意図した費用は広告宣伝費、特定の取引先などを接待・供応する費用は交際費等にあたるという区分を示しています。クラブは「ユニフォームからWebサイトまで」と掲出型の権益を打ち出しているので前者に寄りますが、観戦チケットやホスピタリティが含まれる場合は後者に近づきます。資料に何がいくらで含まれるかが書かれているはずなので、取り寄せて項目単位で確認するのが確実です。実際の処理は顧問税理士に相談してください。

(参考)パートナーシップ – 川崎フロンターレ

(参考)No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分 – 国税庁

決算は売上100億6900万円。当期純利益4億3100万円の黒字

決算の主な項目をJ1平均と並べます。

川崎フロンターレの2025年度決算(2026年1月期)とJ1平均
項目 川崎フロンターレ J1平均
売上高 100億6900万円 64億9200万円
スポンサー収入 37億6500万円 26億7900万円
入場料収入 14億6900万円 12億900万円
物販収入 13億8300万円 6億5000万円
Jリーグ配分金 4億2900万円 4億2600万円
移籍補償金等収入 11億8600万円 4億4300万円
その他収入 16億100万円 8億2800万円
トップチーム人件費 28億6800万円 23億500万円
販売費および一般管理費 30億円 15億1600万円
営業利益 4億9900万円 1億1200万円
当期純利益 4億3100万円 1500万円

出典:公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2025年度 J1 クラブ決算一覧」より筆者作成。対象期間は2025年2月から2026年1月。J1平均は同資料の平均欄。金額は万円未満を四捨五入

売上高100億6900万円はJ1平均の155.1%。物販収入13億8300万円はJ1平均6億5000万円の212.8%、移籍補償金等収入11億8600万円は4億4300万円の267.7%です。

そして黒字です。営業利益4億9900万円、当期純利益4億3100万円。前回までに見た鹿島アントラーズ(当期純損失▲1億5200万円)、浦和レッズ(▲1億円)とは対照的に、J1の上位クラブで利益を出している形になります。J1平均の当期純利益が1500万円ですから、その28.7倍です。

費用も大きいことは同じです。トップチーム人件費28億6800万円はJ1平均の124.4%、販管費30億円は197.9%。それでも収入がそれを上回りました。

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Q. 移籍補償金等収入11億8600万円は大きいですね。

J1平均4億4300万円の267.7%です。選手の移籍で得た収入で、売上高の11.8%を占めます。一方で移籍関連費用も9億3100万円計上されているので、差し引きの純額は2億5500万円。選手の出入りが大きいクラブだということは読み取れますが、内訳は公表されていないためどの移籍がいくらかは分かりません。

(参考)2025年度 J1 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

決算一覧に、川崎フロンターレの欄が2つある

Jリーグの決算一覧を開いて気づいたことがあります。川崎フロンターレの列が2つ並んでいるのです。

開示されている2期分の数字
項目 2026年1月期(通期) 2026年3月期
売上高 100億6900万円 13億8200万円
スポンサー収入 37億6500万円 3億5900万円
営業利益 4億9900万円 ▲1億5600万円
当期純利益 4億3100万円 ▲9800万円
資本金 3億4900万円 3億4900万円
利益剰余金 20億5300万円 19億5500万円
純資産 24億3300万円 23億3500万円

出典:公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2025年度 J1 クラブ決算一覧」より筆者作成。資本金と資本剰余金等が両期で同額、利益剰余金と純資産の差が2026年3月期の当期純損失と一致することから、同一法人の連続する2期分と判断した

2つの列は資本金3億4900万円が同額で、資本剰余金等も同額。そして利益剰余金の差9800万円が、2026年3月期の当期純損失と一致します(20億5300万円-9800万円=19億5500万円)。同じ会社の連続する2期分です。

つまり決算期を1月から3月に変えたため、2026年2月から3月までの2か月が変則決算として併記されていると読めます。売上13億8200万円は通期100億6900万円の13.7%で、2か月分としては妥当な規模です。

この2か月が赤字(当期純損失▲9800万円)なのは、シーズンの端境期だからだと考えられます。2月から3月はリーグ戦が始まったばかりで、スポンサー収入3億5900万円に対して人件費などの固定費がかかります。ただしクラブは理由を公表していないので、これは推測です。

Q. なぜこれが協賛の話に関係するのですか。

スポンサー収入の数字を読むときに、どちらの期を見ているかで3億5900万円と37億6500万円のどちらかになるからです。10倍以上違います。この記事では通期の2026年1月期を基準にしています。Jリーグの資料は2つの列に同じ「川崎F」というラベルを付けているだけなので、注意しないと2か月分の数字を年間の数字として読んでしまいます。

(参考)2025年度 J1 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

収入の内訳を見ると、協賛依存度は37.4%

川崎フロンターレとJ1平均の収入内訳の比較

スポンサー収入37億6500万円を売上高100億6900万円で割ると37.4%。J1平均の41.3%より低い数字です。

売上の構成は、協賛37.4%、その他16.0%、入場料14.6%、物販13.7%、移籍補償金等11.8%、配分金4.3%、アカデミー2.3%。協賛以外で6割以上を稼いでいることになります。

この連載では、テゲバジャーロ宮崎が71.1%、徳島ヴォルティスが61.0%と協賛に大きく傾いたクラブを見てきました。川崎フロンターレは浦和レッズの37.1%とほぼ同水準で、J1の上位クラブは協賛依存度が低いという傾向が3クラブ続けて確認できました。鹿島アントラーズも40.7%でした。

図を見ると、J1平均を大きく上回るのは物販、移籍補償金等、その他の3項目です。逆に配分金はJ1平均とほぼ同額で、ここは順位と連動する項目なので差が出にくい部分です。

Q. 依存度が低いほうが協賛先としては安心ですか。

その観点では有利です。協賛が売上の4割に届かないクラブは、1社が抜けたときの影響が相対的に小さい。加えて川崎フロンターレは当期純利益4億3100万円の黒字で、純資産24億3300万円、利益剰余金も20億5300万円のプラスです。連載で見てきたJ1クラブのなかでは、財務の余裕がいちばん分かりやすいクラブでした。

(参考)2025年度 J1 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

スポンサー1社あたりは約932万円。ロゴ枠だけなら約3086万円

本連載で調べたクラブのスポンサー1社あたり単純平均

スポンサー収入37億6500万円を実数404社で割ると、単純平均で1社あたり約932万円です。

この連載で調べた26クラブのなかでは5番目。FC東京の約3621万円、ガンバ大阪の約1750万円、鹿島アントラーズの約1705万円、ヴィッセル神戸の約1559万円に次ぎ、浦和レッズの約811万円より少し上になります。

ロゴ掲載の4区分122枠だけで割ると1枠あたり約3086万円。サポートカンパニー287社を含めるかどうかで3.3倍変わります。鹿島アントラーズでは2.6倍、浦和レッズでは4.9倍の開きがありました。J1の上位クラブはどこも、少数の大口と多数の小口という二層構造になっています。

ただし金額が公開されていないので、各区分の実勢は分かりません。932万円も3086万円も、全体の重心を示す数字として読んでください。

Q. 協賛を検討するなら、どこから始めればよいですか。

まず資料を取り寄せることになります。パートナーシップ(全30ページ)とサポートカンパニー(全11ページ)の2種類があり、どちらもクラブのサイトからダウンロード申請ができます。予算規模が小さい場合はサポートカンパニーの資料から見るのが順序でしょう。287社が加入しているので、中小企業でも入れる価格帯だと考えられます。

(参考)サポートカンパニー – 川崎フロンターレ

スタジアムの命名権は年2,000万円。ただし期限に条件が付いている

ホームスタジアムは等々力陸上競技場、愛称は「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」です。川崎市が金額まで公表しています。

本連載で確認した自治体のスタジアム・アリーナ命名権(年額)
愛称(自治体) パートナー 年額
メルカリスタジアム(茨城県) メルカリ 1億5000万円
デンカビッグスワンスタジアム(新潟県) デンカ 4730万円
ベスト電器スタジアム(福岡市) ヤマダデンキ 3600万円
JFE晴れの国スタジアム(岡山県) JFEスチール 3000万円
YSアリーナ八戸(八戸市) 吉田産業 2200万円
Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu(川崎市) 富士通 2000万円
ソユースタジアム(秋田市) ソユー 385万円
埼玉スタジアム2002(埼玉県) 未導入 —

出典:各自治体の公表資料より筆者作成。税の取り扱いは施設により異なる。本連載で確認した主なものを抜粋

川崎市の発表によれば、契約期間は令和6年2月1日から令和11年3月31日までの約5年間。ネーミングライツパートナーは富士通株式会社(川崎市中原区)です。

注目したいのは、契約に付いた条件です。「等々力緑地再編整備事業により契約期間内に本施設の解体等を開始する場合は、工事開始日の前日までとする」と明記されています。つまり再開発でスタジアムが解体されれば、契約はそこで終わるという設計です。

連載でここまで見てきた命名権のなかで、解体を前提にした期限条件が付いているのは初めてでした。協賛を検討する企業にとっては、施設の将来計画も確認材料になるという例です。

Q. 富士通は何重にクラブと関わっているのですか。

確認できる範囲で3つです。OFFICIAL TOP PARTNERSの1社であること、グループのエフサステクノロジーズも同じ区分に入っていること、そしてスタジアムの命名権を年2,000万円で持っていること。連載ではファジアーノ岡山のJFEスチール、ヴァンラーレ八戸のプライフーズ、ブラウブリッツ秋田のソユー、鹿島アントラーズのメルカリが同じ構図でしたが、グループ2社が最上位に並ぶ形は富士通だけでした。

(参考)「等々力陸上競技場」の愛称が「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」に決まりました! – 川崎市

顔ぶれから見えること

最後に、404社の顔ぶれから読めることを3つ書きます。

サポートカンパニー287社は50音順のテキストで全社公開

あ行からわ行まで、社名がテキストで並んでいます。ロゴ画像ではないので検索でき、機械的に数えることもできます。この連載では社名のalt属性が入っていないクラブが多く、鹿島アントラーズは名寄せをリンク先ドメインに頼るしかありませんでした。川崎フロンターレと浦和レッズの一覧は、検証しやすさという点で最も親切な作りです。

アジア向けの区分を持っている

ASIAN REGIONAL PARTNERSという区分に、Mitutoyoとエケッツインターナショナルの2社。アジア地域に限定した協賛枠を別立てにしているクラブは、この連載では川崎フロンターレだけでした。Jリーグのアジア戦略と連動した枠だと思われますが、権益の内容は公開されていません。

中小企業と医療・士業が裾野を支えている

サポートカンパニーには、川崎・武蔵小杉周辺の建設業、製造業、調剤薬局、診療所、特許事務所、税理士事務所などが並びます。287社という数は、川崎市域の事業者をどれだけ広く巻き込めたかの結果だと読めます。CLUB PARTNERS 63社にも地元の中堅企業が多く入っています。

Q. 結局、川崎フロンターレの協賛構造はどう見ればよいですか。

上に富士通系2社を含む8社、その下にロゴ掲載114枠、いちばん下にテキスト掲載292社という3層です。実数404社で連載3番目の規模。決算は売上100億6900万円で当期純利益4億3100万円の黒字、協賛依存度は37.4%と低め。スタジアム名は富士通が年2,000万円で持っていますが、再開発で解体が始まれば契約は終わる条件付きです。金額は資料請求で分かる設計なので、検討するならまず資料を取り寄せることになります。

(参考)パートナー一覧 – 川崎フロンターレ

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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