島根スサノオマジックのスポンサー185社|B1で3位の営業利益と、年1000万円の命名権

島根スサノオマジックのスポンサー・パートナーを解説する記事のアイキャッチ画像 スポーツビジネス

島根スサノオマジックのホームアリーナは、2026年9月1日から「バンダイナムコアリーナ松江」になりました。

命名権を取ったのは株式会社バンダイナムコ島根スサノオマジック。クラブの運営会社そのものです。松江市に払う金額は年1,000万円(税別)。この連載で、クラブ側が自分のホームの命名権を買った例は初めてでした。

島根スサノオマジックのスポンサー・パートナーは、6区分・185枠・実数185社

島根スサノオマジックの区分別の掲載枠数

クラブ公式サイトの「パートナー一覧」を2026年9月24日に取得して集計しました。島根スサノオマジックは協賛企業を「パートナー」と呼んでいます。以下、区分名はクラブの表記に合わせます。

2026-27シーズンの区分は6つ。DIAMOND PARTNERS 1、PLATINUM PARTNERS 3、SAPPHIRE PARTNERS 23、GOLD PARTNERS 43、SILVER PARTNERS 69、BRONZE PARTNERS 46。合わせて延べ185枠です。

数え方には手間がかかりました。このページには企業名のテキストが1文字もありません。ロゴ画像が並ぶだけで、alt属性も空。そこで各ロゴのリンク先ドメインと画像ファイル名で判別しています。

リンクがあったのは178枠で、ユニークなドメインは176。画像ファイル名の重複はゼロでした。したがって実数は185社、重複掲載はありません。この連載では、区分をまたぐ重複が川崎フロンターレで10件、ヴァンラーレ八戸で31社ありました。1社1区分が徹底されているのは、ツエーゲン金沢に続いて2例目です。

Q. ドメインが重なっていた1組はどうしたのですか。

BRONZE PARTNERSのなかに、HALEOとPR TIMESのロゴがどちらも同じhaleo.jpにリンクされている箇所がありました。この2社は別の会社なので、統合していません。クラブ側のリンク設定の誤りと見られます。ドメインが同じでも、中身を見ないと判断できないという例です。なお7枠はリンクそのものがありませんでした。

(参考)パートナー一覧 – 島根スサノオマジック 公式サイト

最上位は山陰合同銀行1社。バンダイナムコ3社はBRONZEにいる

区分ごとの枠数と、判別できた顔ぶれです。

島根スサノオマジックの区分別掲載枠と顔ぶれ(2026-27シーズン)
区分 枠数 リンク先から判別できた企業
DIAMOND PARTNERS 1 山陰合同銀行
PLATINUM PARTNERS 3 企業警備保障/島根電工/松江土建
SAPPHIRE PARTNERS 23 出雲村田製作所/山陰中央新報社/島根県民共済/ナカバヤシ/リージョンデザイン・ホールディングス ほか
GOLD PARTNERS 43 県内の建設・製造・サービス業が中心
SILVER PARTNERS 69 同上(最多の区分)
BRONZE PARTNERS 46 バンダイナムコホールディングス/バンダイナムコエンターテインメント/バンダイナムコアミューズメント ほか

出典:島根スサノオマジック「パートナー一覧」(2026年9月24日取得)より筆者集計。企業名はロゴのリンク先ドメインから判別したもので、クラブはページ上に社名を表示していない

最上位のDIAMOND PARTNERSは山陰合同銀行1社だけ。PLATINUM PARTNERSも3社です。上位4枠が独占に近い形になっています。

そして目を引くのがBRONZE PARTNERSの3社です。バンダイナムコホールディングス、バンダイナムコエンターテインメント、バンダイナムコアミューズメント。クラブを運営する会社のグループ企業が、いちばん下の区分に並んでいます。

前の記事の名古屋グランパスでも、スタジアムの命名権を年6,000万円で持つパロマが最下位のCLUB PARTNERに載っていました。掲載区分は支払額の順位を意味しないという例が、ここでも出てきます。

Q. なぜ親会社が最下位の区分なのですか。

クラブは理由を説明していません。ただ、運営会社そのものがバンダイナムコの名を冠している(株式会社バンダイナムコ島根スサノオマジック)ことを考えると、グループとしての支援は協賛枠とは別建てになっていると読むのが自然です。実際、ホームアリーナの命名権も運営会社の名義で取得されています。広告枠としての掲載と、資本・経営としての関与を分けているということでしょう。

(参考)パートナー・スポンサーページ – 島根スサノオマジック 公式サイト

金額は「内容に応じて異なります」。権益は8項目が公開されている

価格は公表されていません。募集ページのFAQに「費用感はどのくらいですか?」という項目があり、答えはこうです。「パートナーシップの内容に応じて異なります。ご予算や目的に合わせて柔軟にご提案いたしますので、まずはお問い合わせください」。

島根スサノオマジックが公開しているパートナー権益
権益 内容
記者会見バナーへのロゴ掲出 記者会見時のバナーにロゴを掲載
試合会場でのパートナー紹介 試合当日に会場内で社名をアナウンス
大型ビジョンでのCM上映 会場の大型ビジョンでCMを放映
ポスターへの社名掲出 シーズン中2回作成する試合告知ポスターに社名を掲出
マッチデープログラムへの社名掲載 試合当日配布のプログラムに社名を掲載
クラブロゴ使用権利 自社の広告・販促物等に利用可。販促目的の使用は別途ロイヤリティが発生
観戦チケットの進呈・優待購入 接待、福利厚生、キャンペーン施策などに活用
パートナー向けイベントへの参加権 パートナー限定イベント。企業間交流とビジネス機会の創出

出典:島根スサノオマジック「パートナー・スポンサーページ」より筆者作成。クラブは「パートナーカテゴリーによって権益内容が異なります」と注記している

販売メニューは4種類。ウェア広告、アリーナ内外広告、ゲームパートナー(冠試合)、サステナブル活動です。クラブは「掲載しているメニューは一例です」としており、個別提案が前提になっています。

もうひとつFAQで目を引いたのが、「シーズン途中からのご参画や、単発での施策実施も可能です」という記載です。年間契約が基本のクラブが多いなかで、入り方の自由度を明示しています。

Q. 協賛金は経費としてどう扱われますか。

国税庁は、不特定多数への宣伝的効果を意図した費用は広告宣伝費、特定の取引先などを接待・供応する費用は交際費等にあたるという区分を示しています。この8項目でいえば、ロゴ掲出・CM上映・ポスター掲出は前者に寄り、観戦チケットの進呈やパートナー向けイベントは後者に近づきます。クラブロゴの販促利用は別途ロイヤリティが発生すると明記されている点も、契約前に確認しておきたいところです。実際の処理は顧問税理士に確認してください。

(参考)パートナー・スポンサーページ – 島根スサノオマジック 公式サイト

(参考)No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分 – 国税庁

活用事例は、従業員数まで公開されている

募集ページには、実際の取り組みが企業名つきで載っています。

クラブが公開しているパートナーの活用事例
企業 規模・業種 取り組み
企業警備保障 約700名/警備業 コラボ防災セットの販売。試合会場とECで展開し、新規顧客獲得と売上拡大
リージョンデザイン・ホールディングス 約800名/医療・介護・福祉を中心とした総合サービス業 「人生100年 だんらんシート」。ホームゲーム全試合で「祖父・祖母×孫」または「60歳以上のペア」を招待
出雲村田製作所 約5,500名/電子部品製造業 「ブーストアップキッズ」。島根県内のミニバスチームを対象にした支援
大根島醸造所 記載なし コラボドリンクの展開

出典:島根スサノオマジック「パートナー・スポンサーページ」より筆者作成

この連載では、活用事例を出しているクラブは名古屋グランパスなど何本かありました。ただし従業員数と業種まで添えているのは島根だけです。

読み手にとっての意味ははっきりしています。約700名の警備会社、約800名の医療・介護グループ、約5,500名の製造業。自社と近い規模の事例が探せるようになっています。

取り組みの中身も、単なるロゴ掲出ではありません。防災セットという商品開発、高齢者と孫の観戦招待、ミニバスチームへの支援。広告枠ではなく企画として設計されているのが共通点です。

Q. 契約前に試合を見ることはできますか。

クラブは「アリーナ視察・試合観戦」の申し込み窓口を用意しています。ユニフォームや会場内外の広告がどう見えるかを実際の試合環境で確認でき、希望に応じてアリーナ内の施策や活用イメージの案内も受けられる、と説明されています。検討段階の企業を会場に呼ぶ動線が、募集ページに組み込まれている形です。

(参考)パートナー・スポンサーページ – 島根スサノオマジック 公式サイト

営業利益3億707万円はB1で3位。販管費はB1平均の67.7%だった

Bリーグが公表している決算を、B1平均と並べます。

島根スサノオマジックの2024年度決算とB1平均
項目 島根スサノオマジック B1平均
営業収入 21億2677万円 20億3326万円
スポンサー収入 8億5915万円 9億8541万円
入場料収入 4億5387万円 4億9373万円
物販収入 1億6088万円 1億6628万円
その他収入 5億3037万円 2億5193万円
トップチーム人件費 8億8884万円 7億7130万円
試合関連経費 3億2086万円 4億668万円
販売費および一般管理費 3億2400万円 4億7836万円
営業利益 3億707万円 3573万円
当期純利益 1億5853万円 4490万円

出典:公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ「B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要」より筆者作成。B1平均は24クラブの平均。金額は万円未満を四捨五入

営業収入21億2677万円はB1平均の104.6%で、24クラブ中9番目。規模としては中位です。

ところが営業利益3億707万円はB1で3番目。千葉ジェッツの4億8826万円、琉球ゴールデンキングスの4億5939万円に次ぐ水準で、B1平均3573万円の8.6倍にあたります。

理由は費用の配分にあります。トップチーム人件費8億8884万円はB1平均の115.2%と平均以上。一方で販売費および一般管理費3億2400万円はB1平均の67.7%、試合関連経費3億2086万円も78.9%にとどまります。チームには平均以上を投じ、それ以外を絞っている構造です。

結果として純資産は4億5238万円。資本金1000万円に対して利益剰余金が4億3891万円積み上がっています。

Q. その他収入5億3037万円は何ですか。

Bリーグの資料は内訳を示していないため、分かりません。ただし金額はB1平均2億5193万円の210.5%で、営業収入の24.9%を占めます。この連載では、その他収入の比率が高いクラブとしてヴァンラーレ八戸(26.4%)、ツエーゲン金沢(21.0%)、信州ブレイブウォリアーズ(31.6%)を見てきました。島根もその系統で、協賛以外の事業が収入を支えていることになります。

(参考)B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要(PDF) – B.LEAGUE

項目別に見ると、突出しているのは「その他収入」だけ

島根スサノオマジックの各項目がB1平均に対して何パーセントか

B1平均を100としたときの位置を並べると、このクラブの形がはっきりします。

収入側はスポンサー87.2%、入場料91.9%、物販96.8%、ユース・スクール77.3%と、どれも平均前後か少し下。配分金だけが108.7%です。そこにその他収入210.5%が乗って、営業収入全体が104.6%になります。

費用側は、トップチーム人件費115.2%に対して販管費67.7%。差は47.5ポイントあります。この連載で比べると、名古屋グランパスは人件費105.6%・販管費126.5%で逆向きでした。

スポンサー依存度は40.4%。B1平均は48.5%ですから、平均より協賛に寄っていません。サンロッカーズ渋谷の72.8%、アルバルク東京の70.3%、シーホース三河の68.9%とは対照的です。

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Q. 協賛を検討する企業にとって、この決算はどう見えますか。

安定している相手です。営業利益はB1で3位、当期純利益1億5853万円、利益剰余金4億3891万円で債務超過からは遠い。スポンサー依存度40.4%は、協賛が止まってもすぐには傾かない水準です。加えて2026-27シーズンからのB.LEAGUE PREMIER参入クラブでもあります。一方で価格は非公表なので、条件は問い合わせて確かめるしかありません。

(参考)B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要(PDF) – B.LEAGUE

スポンサー1社あたりは約464万円

本連載で調べたクラブのスポンサー1社あたり単純平均

スポンサー収入8億5915万円を実数185社で割ると、単純平均で1社あたり約464万円です。

この連載で調べた32クラブのなかでは12番目。アルビレックス新潟の約566万円と京都サンガF.C.の約428万円のあいだに入ります。

特徴は、185社という数の少なさのほうにあります。営業収入がほぼ同じ規模のクラブと比べると、京都サンガF.C.は554社、浦和レッズは517社を載せていました。島根は185社で8億5915万円を集めています。

区分の作りも、それと対応しています。DIAMOND 1、PLATINUM 3、SAPPHIRE 23と上位が絞られ、下位のBRONZEでも46枠。数を広げるより、1社あたりを確保する設計だと読めます。この連載で1社1区分が徹底されていたのも、名簿の管理がしやすい規模だからかもしれません。

Q. 協賛を検討するなら、どこから入れますか。

金額が出ていないので、まずは資料請求か個別相談になります。クラブは「シーズン途中からの参画や、単発での施策実施も可能」と明記しているので、年間契約でなくても相談できます。アリーナ視察・試合観戦の窓口もあり、条件を詰める前に現場を見られます。ウェア広告、アリーナ内外広告、ゲームパートナー、サステナブル活動の4種類のうち、自社の目的に近いものを持ち込むのが早いでしょう。

(参考)B.LEAGUE 2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要(PDF) – B.LEAGUE

ホームアリーナの命名権を、クラブの運営会社が年1,000万円で取った

2026年9月1日から、松江市総合体育館の愛称は「バンダイナムコアリーナ松江」になりました。松江市が契約内容を公表しています。

ネーミングライツパートナー企業は株式会社バンダイナムコ島根スサノオマジック(松江市学園南一丁目2番1号 くにびきメッセ4階)。島根スサノオマジックを運営している会社そのものです。

ネーミングライツ料は10,000,000円(年間、消費税および地方消費税別)。契約期間は令和8年9月1日から令和13年3月31日までで、契約締結日は令和8年7月29日でした。

この連載では、自治体の命名権を取得していたのはいずれも外部の企業でした。メルカリスタジアム(茨城県・年1億5000万円)、サンガスタジアム by KYOCERA(京都府・年1億円)、パロマ瑞穂スポーツパーク(名古屋市・年6000万円)、ロート奈良鴻ノ池パーク(奈良市・年1800万円)。クラブ側が自分のホームの命名権を買ったのは、島根が初めてです。

背景も公表されています。クラブのリリースによれば、バンダイナムコグループはパーパス「Fun for All into the Future」と中長期ビジョン「Connect with Fans」のもと、スポーツを含むエンターテインメントでファンとつながることを目指しており、松江市も「スポーツが松江の存在感を高める」まちづくりを掲げている。両者に共通する“スポーツ”を通じた地域とのつながりを強化する取り組みの一環、という説明です。

松江市がネーミングライツ契約を結んでいる施設は、松江市営陸上競技場ほか4施設、島根総合公園運動広場、そして松江市総合体育館の3件。市の主要なスポーツ施設に、クラブ自身が名前を入れた格好になります。

Q. クラブが自分で命名権を買う意味は何ですか。

クラブは金銭的な狙いを説明していません。ただ構造としては、年1,000万円がクラブの費用として出ていく一方、施設名に親会社のブランドが入ることになります。パートナー企業に命名権を売れば収入になったはずの枠を、自社で押さえた形です。決算のその他収入がB1平均の210.5%あることを考えると、施設まわりの事業を含めて長期に使う判断とも読めますが、ここから先は公表資料からは確認できません。

(参考)松江市総合体育館(ネーミングライツパートナー契約状況) – 松江市

(参考)「松江市総合体育館」のネーミングライツパートナー契約締結 – 島根スサノオマジック

顔ぶれから見えること

最後に、185社の顔ぶれから読めることを3つ書きます。

地銀が単独で最上位にいる

DIAMOND PARTNERSは山陰合同銀行の1社だけ。この連載では、ファジアーノ岡山が地銀3行、徳島ヴォルティスが3行を上位区分に並べていました。島根は1行が最上位を独占している形です。島根県で最大の金融機関という位置づけが、そのまま区分に出ています。

県内メディアはSAPPHIREに1社

山陰中央新報社がSAPPHIRE PARTNERSに入っています。ツエーゲン金沢(北國新聞)や信州ブレイブウォリアーズ(信濃毎日新聞・長野朝日放送・テレビ信州)と比べると、上位に置く地元メディアは絞られていることになります。

全国企業は出雲村田製作所とナカバヤシ

SAPPHIRE PARTNERSには、村田製作所グループの出雲村田製作所(従業員約5,500名)と、文具・製本のナカバヤシが入っています。県内に生産拠点を持つ全国企業が上位に入る構図で、地元の建設・サービス業が中心のGOLD以下とは性格が違います。

Q. 結局、島根スサノオマジックの協賛構造はどう見ればよいですか。

数を広げず、1社あたりを確保するクラブです。6区分・185枠・実数185社で重複ゼロ。1社あたり約464万円は連載32クラブ中12位ですが、同規模の京都サンガF.C.(554社)や浦和レッズ(517社)に比べて社数は3分の1です。価格は非公表で、FAQでも「内容に応じて異なります」。決算は営業利益3億707万円でB1の3位、販管費はB1平均の67.7%。そしてホームアリーナの命名権は、クラブの運営会社が年1,000万円で取得しています。

(参考)パートナー一覧 – 島根スサノオマジック 公式サイト

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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