健康経営とは|認定要件・申請手順とスポーツ施策の入れ方

健康経営とは認定要件と申請手順、スポーツ施策の入れ方の解説 スポーツウェルビーイング

健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。経済産業省は、従業員への健康投資が活力と生産性の向上につながり、業績や株価の向上が期待できるとしています。

制度の面では、優れた取り組みを行う法人を認定する健康経営優良法人があり、2026年の認定は大規模法人部門3,765法人、中小規模法人部門23,085法人でした。この記事では、定義、認定の数字、認定要件の読み方、申請の流れ、スポーツ施策の位置づけを、中小企業の経営者と推進担当者の目線で整理します。

健康経営とは|従業員の健康を経営課題として戦略的に実践すること

健康経営は、福利厚生として健康診断や運動の機会を用意するだけの取り組みとは違い、従業員の健康を経営課題として位置づけます。企業の理念に基づいて従業員の健康に投資し、活力と生産性の向上、組織の活性化、業績や株価の向上につなげることが目的です。

国の顕彰制度は2つあります。健康経営銘柄は2014年度、健康経営優良法人認定制度は2016年度に始まりました。対象と目的が異なるため、次の表で違いを整理します。

制度 対象 目的 開始
健康経営銘柄 東京証券取引所の上場会社 長期的な企業価値の向上を重視する投資家に、健康経営に優れた企業を紹介する 2014年度
健康経営優良法人 大規模法人部門と中小規模法人部門の法人 従業員や求職者、関係企業から、戦略的に取り組む法人として評価される環境をつくる 2016年度

出典:ACTION!健康経営ポータルサイトの内容をもとに、Human Soarが整理しました。

取り組みの進め方は、法令遵守とリスクマネジメントを前提に、経営理念・方針、組織体制、制度・施策の実行、評価・改善の4段階で整理されています。まず経営トップが方針を示し、体制をつくり、施策を実行し、その効果を確かめて改善するという一巡を回す形です。

背景にある考え方は、ウェルビーイングを企業の経営資源として捉える視点と重なります。全体像はウェルビーイングとは?施策が失敗する理由と設計法で詳しく解説しています。

(参考)健康経営とは – ACTION!健康経営

Q. 健康経営と健康経営優良法人は何が違いますか

健康経営は、従業員の健康管理を経営的な視点で考えて戦略的に実践する取り組みそのものを指します。健康経営優良法人は、その取り組みが優れた法人を国の制度として認定し、見える化する仕組みです。取り組みを行うだけなら認定は不要で、認定は取り組みを社外に示すための手段です。

認定法人は1年で3,654法人増|2026年の数字で見る広がり

健康経営優良法人2026の認定法人は、大規模法人部門と中小規模法人部門を合わせて26,850法人でした。2025年の23,196法人から3,654法人、約15.8%増えています。

部門 2025年 2026年 増加数 増加率
大規模法人部門 3,400法人 3,765法人 365法人 約10.7%
中小規模法人部門 19,796法人 23,085法人 3,289法人 約16.6%
合計 23,196法人 26,850法人 3,654法人 約15.8%

出典:経済産業省の発表(2025年・2026年)の認定法人数をもとに、Human Soarが増加数と増加率を算出しました。合計は両部門の単純な合算です。

増加数の約9割は、中小規模法人部門が占めています。認定は大企業だけの制度ではなく、中小企業が採用や取引先への信頼を高める手段として、広く使われ始めていることが読み取れます。上位の層として、大規模法人部門にはホワイト500、中小規模法人部門にはブライト500とネクストブライト1000があります。

認定を取ることで得られる効果は、採用、融資、受注などの面から整理できます。具体的な内容は健康経営優良法人認定のメリット|採用・融資・受注効果にまとめています。

(参考)「健康経営優良法人2026」認定法人が決定しました – 経済産業省

(参考)「健康経営優良法人2025」認定法人が決定しました – 経済産業省

認定要件の読み方|必須項目と選択項目の組み合わせ方

中小規模法人部門の認定要件は、必ず満たす必須項目と、一定数を選んで満たす選択項目で構成されます。2027年度の要件では、必須が6項目、選択は3つのグループに分かれ、グループごとに必要な数が決まっています。

区分 項目 満たす数
必須 健康宣言の社内外への発信と経営者自身の健診受診 すべて必須
必須 健康づくり担当者の設置 すべて必須
必須 40歳以上の従業員の健診データの提供 すべて必須
必須 受動喫煙対策 すべて必須
必須 健康経営の取り組みに対する評価・改善 すべて必須
必須 定期健診・ストレスチェックの実施、法令違反がないこと等 すべて必須
選択:健康課題の把握 定期健診の受診率、受診勧奨、50人未満事業場のストレスチェックの3項目 3項目のうち2項目以上
選択:土台づくり 教育機会、ワークライフバランス、育児・介護の両立、コミュニケーション促進、私病の復職・両立支援、女性の健康、高年齢従業員への対応の7項目 7項目のうち2項目以上
選択:具体的対策 保健指導、食生活、運動機会の増進、長時間労働の予防、心の健康、感染症予防、喫煙率低下の7項目 7項目のうち4項目以上

出典:健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件をもとに、Human Soarが整理しました。細かな評価基準は年度や部門で変わるため、申請前に最新の要件を確認してください。

選択項目は合計17項目のうち8項目以上を満たす設計です。つまり、すべてを完璧にそろえる必要はなく、自社がすでに行っている取り組みを棚卸しすれば、必要な数に近づくことが多い構成になっています。

健診データの活用では、保険者と企業が連携して取り組むコラボヘルスが重視されています。厚生労働省は、データヘルスと健康経営を「車の両輪」として整理しており、加入している健康保険組合や協会けんぽと一緒に進める視点が欠かせません。

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件 – ACTION!健康経営

(参考)コラボヘルスとは – 厚生労働省

申請手順と期限|中小規模法人部門は事前準備から3段階

健康経営優良法人の中小規模法人部門の申請の流れ(事前準備、申請、審査・認定)を示した段階図

2027年度の中小規模法人部門の申請は、事前準備、申請、審査・認定の3段階で進みます。申請期間は2026年8月17日から10月16日17時までで、2026年10月時点ではすでに締め切りが近い時期です。

申請の前に、健康宣言事業への参加が必須条件になっています。申請の費用は1件15,000円(税込16,500円)です。大規模法人部門は、調査票への回答期間が2026年8月17日から10月9日17時まででした。

認定法人の発表は、2027年3月ごろが予定されています。2027年度の見直しとしては、健康経営銘柄Premier(10社以上を選定)の新設や、ブライト500の申請法人へのフィードバックシート公表が示されています。

今年度の申請に間に合わない場合も、準備が無駄になることはありません。経営トップの宣言、担当者の設置、健診データの把握は、次の年度の申請にそのまま使えます。

(参考)「健康経営優良法人2027」の申請受付等を開始します – 経済産業省

(参考)中小規模法人部門の申請 – ACTION!健康経営

Q. 健康経営優良法人の中小規模法人部門に申請する費用はいくらですか

2027年度の申請では、1件につき15,000円(税込16,500円)です。申請の前に、健康宣言事業への参加が必須条件になっています。申請の方法や費用は年度で変わる場合があるため、申請前にポータルサイトで最新の内容を確認してください。

スポーツ施策の位置づけ|運動機会の増進を認定要件にどう結びつけるか

認定要件の選択項目には、運動機会の増進に向けた取り組みが含まれます。具体的対策の7項目のうち4項目以上を満たす必要があるため、運動は選択肢のひとつです。必須ではありませんが、従業員が参加しやすい取り組みとして選ぶ企業は多いと考えられます。

スポーツを活用した施策は、次の表のように、認定要件の項目と結びつけて整理できます。これはHuman Soarによる整理案であり、認定の可否は各項目の評価基準を満たすかで決まります。

施策の例 結びつく要件の項目 進め方の目安
社内の運動イベント、歩数や運動習慣の取り組み 具体的対策:運動機会の増進 参加率や実施回数を記録して、翌年度の見直しに使う
部活動や同好会、社内対抗戦 土台づくり:コミュニケーションの促進 部署をまたぐ交流の場として設計する
スポーツ体験を取り入れた研修 土台づくり:教育機会 研修の目的と効果の確認方法を先に決める

出典:健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件の項目名に、Human Soarが施策の例を対応づけました。項目の評価基準の詳細は、年度ごとの要件で確認してください。

スポーツ庁の制度であるスポーツエールカンパニーは、従業員のスポーツ実施を促進する企業を認定する制度で、健康経営の運動施策とあわせて検討できます。認定の状況はスポーツエールカンパニー認定1635団体の全数調査で、申請方法はスポーツエールカンパニー2027の認定基準・申請方法・メリットで解説しています。

実際に健康経営でスポーツを活用した企業の取り組みは健康経営にスポーツを活用した企業事例10選で、スポーツとウェルビーイングの関係はスポーツウェルビーイングとは?データから読み解く企業・個人の実践設計で詳しく紹介しています。

あわせて読みたいスポーツ研修で新入社員を育成する方法2026年版|企業事例付き›あわせて読みたい人的資本投資とは?スポーツを活かした事例と効果を出す戦略›

Q. 健康経営は何から始めればよいですか

最初の一歩は、経営トップが健康経営に取り組むと決めて、社内外に発信することです。そのうえで健康づくりの担当者を置き、従業員の健診データから自社の課題を把握します。施策は課題に合わせて、運動、食生活、心の健康などから選びます。

まとめ|健康経営は経営トップの宣言と自社の棚卸しから始める

ここまでの内容を、5つのポイントに絞って振り返ります。

  • 健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。顕彰制度は、健康経営銘柄が2014年度、健康経営優良法人が2016年度に始まりました。
  • 2026年の健康経営優良法人は26,850法人で、前年から3,654法人、約15.8%増えました。増加の約9割は中小規模法人部門です。
  • 中小規模法人部門の認定要件は、必須6項目に加えて、選択項目を17項目のうち8項目以上満たす設計です。
  • 2027年度の中小規模法人部門の申請は2026年10月16日17時までで、事前に健康宣言事業への参加が必要です。費用は1件15,000円(税込16,500円)です。
  • 運動機会の増進は選択項目のひとつです。スポーツ施策は、自社の取り組みの棚卸しの中で位置づけを決めてください。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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