結論から言えば、フィギュアスケートの樋口新葉選手が2019年全日本選手権で3年ぶりの表彰台に復活できた理由は、体重管理という体の面と、あきらめない練習というメンタル面の両方に同時に取り組んだことにあります。単なる減量ではなく、心と体を両輪で立て直した点がポイントです。
本記事では、樋口選手の不振期と復活期の変化をたどりながら、企業の人材育成に応用できる視点を解説します。
樋口新葉が体重増加で陥ったスランプ|平昌五輪代表を逃した背景
樋口選手のキャリアを時系列で見ると、不振期から復活までの過程が数字にはっきりと表れています。

図:平昌五輪後の体重増加から2019年全日本選手権での復活までの年表
| 時期 | 状態 | 結果 |
|---|---|---|
| 平昌五輪シーズン | シニア転向後の体重増加・ケガ | 五輪代表を逃す |
| 2019年GPシリーズ前半 | スケートアメリカ・フランス杯とも6位 | 内容には手応えをつかみ始める |
| 2019年全日本選手権 | 体重管理とメンタル練習の両立 | 合計206.61点で3年ぶりの表彰台(総合2位) |
web Sportiva掲載記事(2019年12月24日)をもとに編集部作成。
平昌五輪シーズン|体重増加とケガが重なり五輪代表を逃す
樋口選手はジュニア時代、スピードに乗ったスケーティングとダイナミックなジャンプを武器に、将来有望なホープとして注目を集めていました。ジュニアGPファイナルで日本人女子として5年ぶりに表彰台に立ち、全日本選手権でも中学2年生で表彰台(2004年の浅田真央以来)に立つなど、早くから実績を残していました。
しかし、シニア転向後の平昌五輪シーズンは、大事な試合でのケガも重なり、念願だった五輪代表を逃す結果となりました。不振の一番の原因は、シニア転向後に体が一気に大きくなり、体重増加に苦しんだことにあります。滑り全体にキレがなくなり、ジャンプでも失敗が多くなっていました。
2019年GPシリーズ前半|結果は6位でも内容面での手応え
2019年のGPシリーズ前半、樋口選手はスケートアメリカ・フランス杯とも6位という結果に終わっています。順位だけを見ると低迷が続いているように見えますが、この時期にはすでに演技内容に手応えをつかみ始めていました。
結果としての順位と、内容としての手応えにズレがある状態は、変化の兆しが数字に表れる前の段階だったと考えられます。
2019年全日本選手権|体重管理とメンタル練習の両立で3年ぶりの表彰台へ
樋口選手は全日本選手権に向けて「ジャンプが失敗しても続ける練習、あきらめない、気持ちで折れないような練習をたくさん取り組んできた」と語っています。体重という数値の管理だけでなく、失敗しても続ける精神面の練習を並行して行ったことが、SP4位からフリーで巻き返す復活劇につながりました。
体とメンタルという2つの要素を同時に立て直したことが、単なる減量では得られなかった結果につながったといえます。
Q. 樋口新葉さんの不振の原因は何でしたか?
シニア転向後に体が大きくなり体重増加に苦しんだことが主な原因です。滑りのキレが失われ、ジャンプの失敗も増えました。平昌五輪シーズンにはケガも重なり、五輪代表を逃しています。
(参考)樋口新葉、ダイエット成功で復活。「新しい発見、大事だな」 – web Sportiva(集英社)
3年ぶりの表彰台復帰|数カ月の積み重ねが生んだ結果
2019年全日本選手権で樋口選手はSP4位と出遅れたものの、フリーではほぼ完璧な演技を披露して2位に浮上。合計206.61点、200点超えの高得点で、3年ぶりの表彰台となる総合2位を獲得しました。

SP4位からの巻き返しで見せたフリーの演技
本人は「ここ2、3カ月、全日本に向けて頑張ってきたので、その成果を出せたことはよかった」と振り返っています。ショートプログラムで出遅れても、フリーで巻き返せたのは、直前数カ月の積み重ねが土台になっていたためです。
一発勝負のようなイメージを持たれがちなフィギュアスケートの大会でも、当日のパフォーマンスは直前の期間の準備の質に大きく左右されることが、この結果からうかがえます。
数値化される前の「手応え」を自覚できていたことの意味
この結果は一夜にして生まれたものではなく、GPシリーズ前半での6位という結果の裏で「演技内容には手応えをつかんでいた」段階を経て、数カ月かけて積み上げたものでした。数値としての結果が出る前から、内容面での変化を自覚できていたことが、継続の支えになっています。
結果が伴わない時期にも変化の兆しを自分で認識できていたことが、諦めずに練習を続けられた理由の一つだと考えられます。
Q. 樋口新葉さんはどのように復活を遂げたのですか?
体重管理という体の面と、失敗しても続けるメンタル練習を並行して行いました。GPシリーズ前半で結果が出ない時期にも演技内容の手応えを自覚しており、その数カ月の積み重ねが全日本選手権での復活につながりました。
企業の人材育成への応用|数値化できる指標と気持ちの両輪で見る
樋口選手の復活劇は、企業の人材育成にも重要な視点を与えます。体重という数値の管理だけでは復活は難しく、失敗しても続けるという心理面の練習を並行して行ったことがポイントでした。
業績数値だけでなく姿勢の変化に目を向ける評価設計
社員の不振も、業績数値だけを見て評価するのではなく、日々の取り組み方や姿勢の変化にも目を向けることが重要です。樋口選手のケースのように、数値が低迷している時期にも、内容面での改善が起きている場合があります。
数値だけで評価すると、こうした改善の兆しを見逃し、本人のモチベーションを削いでしまうリスクがあります。
結果が出る前の「手応え」を評価する仕組みづくり
また、結果が出る前の「手応え」の段階を上司や本人が認識できていたことも見逃せません。数値上の結果がまだ出ていない時期にも、プロセスの変化を評価する仕組みがあれば、社員のモチベーション維持につながります。
体調管理から復活した事例は、貧血を克服した大橋悠依選手のケースにも共通しています。
あわせて読みたい大橋悠依の貧血克服食|企業の健康管理担当が学ぶ視点›
継続的な体づくりの視点については原口元気2年で作った壊れない体|健康経営の継続設計もあわせてご覧ください。
Q. 企業が社員の復活を後押しするために参考にできることは何ですか?
業績数値だけでなく、日々の取り組み方や姿勢の変化にも目を向けることです。結果が出る前の「手応え」の段階を評価できる仕組みがあれば、社員のモチベーション維持につながります。
まとめ|樋口新葉の復活劇から学べること
- 樋口新葉選手はシニア転向後の体重増加でスランプに陥り、平昌五輪代表を逃した
- 2019年全日本選手権では体重管理とメンタル面の練習を両輪で行い、3年ぶりの表彰台に復帰した
- 結果が出る前から演技内容の手応えを自覚できていたことが、継続の支えになった
- 企業の人材育成でも、数値評価だけでなくプロセスの変化を見る視点が重要
- 体と心の両輪で立て直すアプローチが、スランプからの復活を後押しする
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