泉谷駿介のバイオメカニクス視点|企業の技術改善に活かす発想

泉谷駿介が実践するバイオメカニクス視点の技術改善と企業への応用 スポーツアスリート

男子110mハードル日本記録保持者の泉谷駿介選手は、パリ五輪準決勝敗退の悔しさを「ハードルに突っ込みすぎた」という具体的な技術要因まで言語化し、翌シーズンへ向けて修正を重ねています。本記事ではその技術改善プロセスと、企業の業務改善に応用できる視点を解説します。

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パリ五輪準決勝敗退|泉谷駿介が振り返る「噛み合わなかった」1年

泉谷駿介選手(住友電工)は男子110mハードルの日本記録保持者で、前年のブダペスト世界選手権では5位入賞を果たしていました。パリ五輪ではメダル獲得を目指したものの、準決勝で敗退という結果に終わっています。

本人は「やはり悔しい思いが強かったです。普通に走れば(決勝に)行けたと思うので、“たら・れば”ばかり思い浮かびます」と振り返ります。成長したスピードとハードリングの技術が噛み合わず、ダイヤモンドリーグという難易度の高いレースを中心に臨みながらも、自分らしいレースができないまま本番を迎えたといいます。

五輪後、レースの映像は今も見られていないと明かしています。「あまり悪いことは思い出したくないので」としながらも、「準決勝のレースが終わってからミックスゾーンを通って待機所に戻るまでの失望感は、今でも1日1回は思い出しています」と語っており、悔しさをそのまま次のシーズンへの原動力にしている様子がうかがえます。

(参考)泉谷駿介インタビュー 今でも思い出すパリ五輪準決勝のレース後の景色 – 月刊陸上競技(月陸Online)

Q. 泉谷駿介選手はパリ五輪の結果をどう振り返っていますか?

「普通に走れば決勝に行けた」と悔しさをにじませながら振り返っています。スピードは向上した一方でハードリング技術が噛み合わず、本番で自分らしいレースができなかったことを課題として挙げています。

ディップ動作のズレを言語化する|泉谷駿介の技術修正4ステップ

泉谷選手が振り返る技術的な課題の核心は「ディップ」と呼ばれる、ハードルに向かって上半身を前傾させる動作にあります。本人の発言をもとに、Human Soarではその修正プロセスを4つのステップとして整理しました。

泉谷駿介の技術修正4ステップ図解

図:泉谷駿介選手の発言をもとに整理した、技術修正の4ステップ

①課題の言語化|ハードルに突っ込みすぎる

「ハードルに向かってディップをかけて突っ込む感じを意識していたのですが、ハードルに突っ込みすぎてぶつけてしまいました」。まず本人が言葉にしたのは、動作そのものが本来の狙いよりも大きくなりすぎているという具体的な事実でした。

②原因の分析|スピード向上とディップ動作の不一致

「スピードレベルが上がるとコントロールするのが難しくなる」と分析するとおり、スピードという良い変化が、既存の技術と噛み合わなくなった原因になっていました。「もう少し冷静に当てないようなハードリングができれば良かった」という言葉に、原因の切り分けが表れています。

③用具面での調整|新シューズで重心と腰の位置を変える

今季から契約したナイキのシューズについて、「マックスフライ2はエアもあって反発が強いので特に直線が走りやすいです。横ブレもなくなりました。重心や腰の位置も高くなるのでハードルを越えるのも楽になります」と説明しています。技術そのものだけでなく、用具面からもフォームを支える工夫をしている点がうかがえます。

④次シーズンへの反映|インターバルランを刻む練習

一方で新しいシューズには「推進力がありかなり進むため、ハードル間のインターバルランで詰まってしまうこともあり」という新たな課題も生まれました。本人は「そこは刻む練習をしてさらにうまくまとめていきたい」と、次のステップへの修正方針をすでに言語化しています。

陸上競技の技術を支える科学的支援機関|3つの窓口

泉谷選手のような技術的な自己分析は、選手個人の感覚だけに頼っているわけではありません。日本国内には、陸上競技の動作分析やバイオメカニクスの研究を専門に行う機関がいくつか存在します。

機関・組織 主な支援内容
日本陸上競技連盟 科学委員会 ハードル種目を含むレース分析・バイオメカニクス研究の報告
JISS バイオメカニクスグループ 映像技術を用いた動作分析とフォーム改善支援
体育系大学のバイオメカニクス研究室 学術的な動作解析の研究・論文発表

日本陸上競技連盟・日本スポーツ振興センターの公開情報をもとにHuman Soarが集計・整理(2026年9月時点)。

日本陸上競技連盟 科学委員会が行うレース分析

日本陸連の科学委員会は、フィットネステストやバイオメカニクス活動、科学的トレーニング支援などを行っており、110mハードルを含む種目のレース分析・研究報告を継続的に発表しています。

JISS バイオメカニクスグループが行う動作分析

国立スポーツ科学センター(JISS)のバイオメカニクスグループは、映像技術を用いてフォームの癖を可視化し、選手や指導者へのフィードバックに役立てています。

体育系大学の研究室が行う学術的な動作解析

大学の研究室では、より長期的な視点でのバイオメカニクス研究が行われており、その知見が競技団体の科学委員会などを通じて現場に還元される流れがあります。

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(参考)科学委員会 – 日本陸上競技連盟公式サイト

Q. 陸上競技のバイオメカニクス分析はどのような機関が行っていますか?

日本陸上競技連盟の科学委員会、国立スポーツ科学センター(JISS)のバイオメカニクスグループ、体育系大学の研究室などが、それぞれ異なる立場から動作分析やレース分析を行っています。

新型シューズと走幅跳への挑戦|泉谷駿介が広げる技術的可能性

技術的な反省を重ねる一方で、泉谷選手のスピードは着実に向上しています。100mでは追い風参考ながら10秒14をマークし、ダイヤモンドリーグ転戦でも常に上位で走る安定感を見せました。全日本実業団対抗選手権では1年ぶりに走幅跳へ出場し、8m14の自己新記録をマーク。世界選手権の参加標準記録まであと13cmに迫っています。

もともと高校時代には混成競技(八種競技)や三段跳でも世代トップクラスの実力を誇っていた泉谷選手。「来年はいろいろ挑戦してみたいと思っているんです。110mハードルをメインに考えながら、走幅跳や100mでも挑戦していきたいです」と、複数種目への挑戦に意欲を見せています。「110mハードルの足を引っ張らないようにやっていきたい。そのためには、もっと自分が強くならないといけない」という発言には、専門種目を軸にしながら他種目の強化を相乗効果につなげようとする姿勢が表れています。

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Q. 泉谷駿介選手は来年どのような種目に挑戦する予定ですか?

専門種目の110mハードルを中心に据えながら、走幅跳や100mへの挑戦にも意欲を示しています。全日本実業団対抗選手権の走幅跳では8m14の自己新記録をマークしました。

バイオメカニクス視点の技術改善|企業の業務改善への応用ステップ

泉谷選手の技術修正プロセスには、企業の業務改善にそのまま応用できる考え方が含まれています。ここでは3つのステップに分けて紹介します。

①失敗要因を定量的に言語化する

「ハードルに突っ込みすぎてぶつけてしまいました」というように、泉谷選手は失敗を漠然とした「調子が悪かった」で終わらせず、具体的な動作のズレとして言語化しています。業務改善においても、失敗を感覚的な反省で終わらせず、どの工程のどの数値がずれていたのかまで言語化することが、再発防止の第一歩になります。

②道具・環境要因を切り分けて検証する

シューズという用具の変化がフォームに与える影響を、本人ははっきりと切り分けて説明しています。業務改善でも、人(スキル・意識)の要因と、ツール・環境の要因を混同せずに切り分けて検証することで、的確な改善策を打てるようになります。

③次シーズンへの挑戦領域を広げる仮説を立てる

泉谷選手は専門種目の技術改善と並行して、走幅跳や100mへの挑戦という新しい仮説を立てています。業務改善も、既存の課題解決だけで終わらせず、そこで得た知見を新しい挑戦領域にどう転用できるかまで視野を広げることで、改善のサイクル自体が組織の成長力に変わっていきます。

技術面の言語化はAIコーチングサービスの比較とも接続しやすく、根拠に基づく改善はスポーツ科学の基礎知識動作分析を用いた技術改善の実例を踏まえるとより理解が深まります。

Q. バイオメカニクスに基づく技術改善は、スポーツ経験のない企業の業務改善にも応用できますか?

応用できます。ポイントは「失敗を定量的に言語化する」「要因を切り分ける」「次の挑戦仮説を立てる」という手順であり、これは製造業の品質改善や営業プロセスの見直しなど、業種を問わず活用できる考え方です。

まとめ|泉谷駿介の技術改善プロセスから学ぶポイント

  • 泉谷駿介選手はパリ五輪準決勝敗退の要因を「ディップ動作の噛み合わせ」という具体的な技術課題まで言語化している
  • 技術課題の特定→原因分析→用具面の調整→次シーズンへの反映という4ステップで修正を重ねている
  • 日本陸連科学委員会やJISSバイオメカニクスグループなど、陸上競技の技術を支える科学的支援機関が複数存在する
  • 技術改善と並行して走幅跳や100mへの挑戦にも意欲を示し、専門種目の強化と挑戦領域の拡大を両立させようとしている
  • 企業の業務改善でも「失敗の定量的な言語化」「要因の切り分け」「次の挑戦仮説」という3ステップが応用できる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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