河田珠夏が語る夏合宿の疲労回復|箱根駅伝予選への調整法

河田珠夏選手の夏合宿と疲労回復のイメージ スポーツアスリート

2025年度の箱根駅伝予選会(箱根予選)にエントリーされた明治大学・河田珠夏選手は、1年生ながらチームの本選出場を懸けた大一番に名を連ねた。夏合宿で積み上げた負荷をどう疲労回復につなげ、コンディションを整えてきたのか。筆者は本人が語った言葉と、テーパリングに関するスポーツ科学の知見を合わせて、オフシーズンの調整プロセスを追う。

1年生でのエントリーに込めた心境

河田選手は今回の選出について「本選出場に向けて、自分のベースのパフォーマンスを発揮できるように頑張ろうと思います」と語る。1年生ながら選ばれたことへの緊張はあるとしながらも、応援してくれる人たちやチーム、自分自身のために全力を尽くしたいという姿勢を示している。責任の重さを感じながらも、それを前向きな原動力に変えている様子がうかがえる発言だ。

夏合宿で負荷を上げた実感

河田選手は夏合宿を振り返り、「高校の頃に比べて、距離もペースも格段に上がっていました」と話す。最初は練習メニューを見ただけで「こんな練習できるのかな」と不安を覚えたというが、継続するうちに意外とこなせるようになり、自信がついてきたという。

大学生になって練習強度が一段階上がる時期は、多くの新入生ランナーが直面する壁でもある。河田選手の場合は、その負荷に一度で適応しようとするのではなく、練習を積み重ねる過程で少しずつ体を慣らしていったことが、結果的に自信につながったとみられる。「最近はその成果が走りにも表れているように感じ、非常に充実しています」という言葉からも、負荷と回復のサイクルが良い方向に回り始めていることがうかがえる。不安から入った練習メニューを乗り越えたという経験自体が、次のステップである予選への自信の土台になっているといえるだろう。

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疲労が抜けるほど調子が上がる感覚

現在のコンディションについて、河田選手は「夏合宿で追い込んだ成果が走りに現れてきています。疲労が抜けるにつれて調子も上がり、高校の頃にはできなかった練習も余裕を持ってこなせるようになりました」と語っている。負荷をかけた練習期のあとに疲労が抜けていく過程で、走りの余裕や成長を実感している様子がうかがえる。

残りの期間の調整については「疲労を抜くことを第一に、距離を落としながら調整していきます。ケガにも気をつけて、当日に最高のパフォーマンスを出せるように準備したい」と明言している。

テーパリングという考え方

長距離種目では、大会前の2〜3週間ほどの期間に走行距離を通常の半分程度まで落としつつ、練習の強度(質)は落とさずに維持する調整法が知られている。高強度練習を大会直前まで続けると疲労が蓄積して力を発揮しにくくなる一方、距離を落として休養日を増やす期間を設けることで、筋グリコーゲンの回復や、糖と脂肪を燃焼させる酸化酵素の働きが保たれることが確認されている。練習の量を減らしても質を落とさないことがポイントとされており、量と質の両方を落としてしまうと、大会までに積み上げてきた走力そのものが低下しかねないとも指摘されている。河田選手が語る「距離を落としながら疲労を抜く」という調整方針は、この一般的な考え方とも重なるものだ。

(参考)マラソンにおける「テーパリング」とは? 大会で最大限のパフォーマンスを出す方法 – アルペングループ

アクティブレストと睡眠が回復を後押しする

疲労回復の方法としては、あえて軽く体を動かす「アクティブレスト(積極的休養)」も知られている。完全に休むよりも、軽い運動で血行を促し疲労物質の排出を早める方が、血中乳酸濃度の低下も早いとする研究報告がある。距離を落とす調整期間中でも完全に運動をやめるのではなく、軽いジョグなどで体を動かし続けることには、こうした理にかなった側面があるといえる。

睡眠の質と量もパフォーマンスに直結する要素だ。ある大学バスケットボールチームを対象にした研究では、平均睡眠時間を延ばしたところ、フリースローや3ポイントシュートの成功率が向上し、日中の倦怠感や疲労感が低下したと報告されている。河田選手が語る「疲労を抜く」調整も、走行距離の管理だけでなく、睡眠時間の確保と組み合わせることでより効果を発揮すると考えられる。

(参考)トレーナーが語る、最強の疲労回復方法「アクティブレスト」とは – スポーツナビ

(参考)(72)箱根駅伝予選会事前インタビュー④/河田珠夏 – 明大スポーツ新聞部

箱根予選本番へのレース戦略

箱根予選のコースについて河田選手は「17キロ地点あたりの坂が勝負の分かれ目になると聞きました」と話す。試走ではジョグだったため「思ったよりもきつくない印象」だったというが、本番のペースや疲労の状況では感じ方が変わってくるとも語っている。試走と本番とで負荷の感じ方が変わりうるという指摘は、疲労が蓄積した状態でコースを迎えることの難しさを本人がすでに見据えていることを示している。

本番の走り方については「失敗が許されないレースなので、序盤は安全に入って大きな失速を防ぎ、後半5キロでペースを上げていけたら」と明かす。理想のレース展開としては「1キロ3分ちょっとで押して、ラストで上げられるのが理想」としながらも、気温などの状況を見ながら臨機応変に対応したいという柔軟な姿勢も示している。

大学生になって直面した練習強度の壁とどう向き合ったか

高校から大学への環境変化は、多くの新入生ランナーにとって最初の関門になる。河田選手も「最初は練習メニューを見ただけでこんな練習できるのかなと不安でしたが、続けていくうちに意外とこなせるようになり、自信もついてきました」と振り返っており、いきなり結果を求めるのではなく、まずは練習を継続すること自体を目標に据えていたことがうかがえる。

この過程は、テーパリングの考え方における「量と質のバランス」にも通じる。負荷を上げる時期に無理に強度まで求めてしまうと故障のリスクが高まるが、河田選手はまず距離とペースの負荷に体を慣らすことを優先し、そのうえで疲労を抜く調整期間につなげている。この段階的なアプローチが、1年生ながら予選エントリーに選ばれるコンディションづくりを支えたとみられる。

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チームへの思いとチームメイトへの期待

チーム内で期待している選手について尋ねられると、河田選手は上級生の吉川響選手の名を挙げ、「毎年速いタイムで走っているので、今年度もやってくれると思います」と信頼を寄せた。

最後の意気込みでは「出たかったけど出られなかった人、ケガで走れない人など、いろんな思いがある中で自分を選んでいただいたので、責任を持って本選出場に向けて精一杯頑張ります」と語っている。1年生という立場でありながら、チーム全体の思いを背負って走る自覚がにじむ言葉だ。

よくある質問

夏合宿の負荷はどのように上げられたのか

河田選手によると、高校時代に比べて距離もペースも格段に上がったといい、最初は不安を感じつつも継続することで対応できるようになったと語っている。

疲労回復の調整(テーパリング)はどのように行うのか

大会前の2〜3週間ほどで走行距離を落としつつ強度は維持する調整法が知られており、河田選手も予選前は疲労を抜くことを優先して距離を落とすと述べている。

疲労回復には休むこととアクティブレスト、どちらがよいのか

完全休養よりも軽い運動で血行を促すアクティブレストの方が血中乳酸濃度の低下が早いとする研究があり、距離を落とす期間中も軽いジョグなどを取り入れることには理にかなった側面がある。

箱根予選のコースで注意すべき点は

17キロ地点あたりの坂が勝負の分かれ目になるとされ、試走時の印象と本番の疲労状況では感じ方が変わる可能性があるという。

本番のレース展開はどう考えているのか

序盤は安全に入って失速を防ぎ、後半5キロでペースを上げる戦略を軸にしつつ、気温などの状況に応じて臨機応変に対応する方針としている。

まとめ

  • 河田珠夏選手は夏合宿で高校時代を上回る距離・ペースの練習に取り組んだ
  • 負荷をかけたあとに疲労が抜けていく過程で、走りの余裕と成長を実感している
  • テーパリングの考え方では、大会前に距離を落としつつ強度を維持することが疲労回復につながるとされる
  • アクティブレストや十分な睡眠時間の確保も、疲労回復を後押しする要素として知られている
  • 本番は序盤を安全に入り、後半5キロでペースを上げる戦略を描いている
  • チームメイトへの信頼と、出場できない仲間の思いを背負う姿勢が原動力になっている

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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