2025年世界エクイップパワーリフティング選手権66kg級で優勝し、ワールドゲームズ2連覇を果たした佐竹優典。日本人としては19年ぶりの世界一に輝きながらも、本人の口から出るのは意外な言葉だった。「本当に楽しい、この競技に夢中です」。競技を始めて14年、今も「やめるビジョンが浮かばない」というその情熱はどこから来るのか。
陸上部から一転パワーリフティングに出会った高校時代の偶然
佐竹は高校入学時、陸上の投擲種目に興味を持っていた。見学の初日が陸上部に行ったが、翌日はあいにくの雨。屋内競技を見ようと体育館に向かうと、ガシャンという音が気になり見に行ったのがパワーリフティングとの出会いだった。「スクワットやベンチをいきなりマックスでやらされたのが、けっこう楽しくて」と佐竹は振り返る。偶然の雨が、その後14年続く競技人生の入口になった。
謎の自信が生まれた先輩たちのおだてという経験
初日から重量に挑戦させられ、失敗しても先輩たちは「絶対入った方がいい、才能あるよ」とおだてた。「オレ、もしかしたら才能あるのかなみたいな、考えればそこから謎の自信ぬのいたみたいです」と佐竹は言う。この自信は思い込みだけでは終わらなかった。高校では年間100kgほど重量が伸び、高校3年生では18歳以下の世界選手権で世界記録を出して優勝している。周囲からの評価が本人の中で技術的な手応えに変わっていった過程がうかがえる。
なぜ14年続けても飽きないのかという情熱の正体
青山学院大学に進学した佐竹は、阿久津貴史氏が設立したパワーリフティングジムTXPに通い始める。当時頭を占めていたのはワールドゲームズだったが、その大会には長らくクラシック部門がなく、エクイップこそがパワーリフティングだと捉えられていた時代だった。以来、佐竹は全日本選手権エクイップ9連覇、クラシック2回優勝、2025年には世界選手権初優勭という記録を積み重ねてきた。それでも「もし、やめてしまったら、空いた時間をどう過ごしていいかわからない」と語り、「やめるビジョンが浮かばないんです」と続ける。記録更新という結果だけでなく、日々の練習そのものが目的化していることが、長期継続の原動力になっている。
コンディショニングを軸にした思考モデルを構造化する
佐竹の思考には明確な優先順位がある。第一に、高重量そのものより「スピード」を重視すること。スクワット時にはRepOneというギアを使い、しゃがみ込みから立ち上がりまでの時間をゼロコンマ秒単位で計測する。力とスピードの掛け算がパワーになるという理屈を、実際の練習に落とし込んでいる。第二に、コンディショングを最優先に置くこと。「カラダはあるべき状態になっていれば、勝手に重さを持ち上げられる」という考えのもと、スクワット前に50分、後に15分、ベンチプレス後にさらに15分というストレッチを毎回欠かさない。専門家の話や書籍から得た知識を、普段の生活の中で動ける状態づくりに変換している。
阿久津貴史氏やRepOneに見る継続���の環境づくり
佐竹の継続を支えているのは、個人の気合いだけではない。全日本選手権で12連覇を果たした阿久津貴史氏が設立したTXPという専門ジムに所属し、そこで技術を磨いてきた。加えて、RepOneのような測定ギアを取り入れることが、感覚に頼らず数値でコンディションと成長を確認できる環境を整えている。社会人としてTXPに加え自宅近くの24時間ジムにも週4日通い、4週単位で重量を上げていくプログラムを組む。小さなピークを積み量ながら大会という大きなピークに向かう設計は、継続を仕組み化する好例だ。
一般人が情熱を持続させるために応用できる視点
佐竹の思考法は、仕事や趣味を長く続けたいと考える人にも応用できる。重要なのは、結果(記録や成果)だけを目的にせず、日々のプロセスの中に小さな手応えを見つけることだ。「これまでギリギリだった重量が少しずつ楽に挙げられるようになっていく。そんなこともモチベーションになっている」という佐竹の言葉は、継続の燃料が大きな成功体験だけではないことを示している。
また、体調管理を「気合」ではなく「毎回同じ扉順を踏む仕組み」として設計している点も参考になる。ストレッチや準備運動を惰性ではなく必須のルーティンとして組み込むことで、無理なく長期間の負荷に耐えられる状態を保っている。
AIを使って自分の継続パターンを可視化するという新戦略
佐竹がRepOneで挙上スピードを数値化しているように、継続のモチベーションを可視化する手段は今や誰でも使える。例えばNotebookLMに日々の練習記録や仕事の進捗メモを読み込ませ、「どのタイミングでモチベーションが上がった、または下がったかを整理して」と問いかけると、自分では気づきにくい継続パターンが浮かび上がる。
さらにGoogle Fitやスプレッドシートに記録した数値をGemini AI Studioに渡し、「小さな成長が見えている週とそうでない週の違いを分析して」と依頼すれば、佐竹の言う「少しずつ楽に挙げられるようになる」ような手応えを、感覚ではなくデータとして確認できる。結果だけでなく過程の変化を可視化することが、情熱を維持する新しい方法になる。
数字が伸び悩む段階でも面白さを失わない発想
高校時代のように年間100kgも重量が伸びる時期は、佐竹にとってすでに過去のものだ。現在はスクワットで235kgを3レップこなすまでに極限まで近づいており、目に見える伸びしろは以前より小さい。それでも佐竹は「もちろん、辛いと思うことはたまにあるんですが、いつまで経って慽しくて、練習をサボることもない」と語る。伸び幅が小さくなるほど成果が実感しにくくなるのは どんな分野でも起こりうるこだ。佐竹の場合、大きな伸びが見込めない段階に入っても、ゼロコンマ秒単位のスピード計測のように、小さな変化を捉える指標を持ち続けているこが、飽きずに続けられる理由のひとつになっている。
今年中に自身の記録である805kgを更新し、世界記録の820kgに迫ることを目標に掲げている佐竹の姿勢は、伸びしろが小さくなった段階でこそ、目標設定の粒度を細かくすることの重要性を示している。
まとめ
佐竹優典が14年間パワーリフティングを続けられている理由は、突出した精神力ではなく、日々の練習に組み込まれた小さな手応え、コンディションを仕組みとして管理する習慣にある。「やめるビジョンが浮かばない」という言葉の裏には、結果より過程に喜びを見出す構造がある。この考え方は、何かを長く続けたいと願うすべての人にとって、情熱を維持するための具体的な手がかりになる。
よくある質問
佐竹優典はなぜ14年間パワーリフティングを続けられているのですか
記録や結果だけを目的にせず、日々の練習の中で重量が少しずつ楽に挙がるようになる過程そのものに手応えを感じているためです。
佐竹優典が大切にしているコンディショニングとは何ですか
スクワットやベンチプレスの前後に決まった時間のストレッチを組み込み、体があるべき状態で練習できるよう整える習慣す。
佐竹優典はパワーリフティングをどのように始めたのですか
高校時代、陸上部の見学予定だった日が雨で、たまたま体育館でパワーリフティングを見学したことがきっかけです。
この継続の考え方は競技以外にも応用できますか
応用できます。結果だけでなく日々の小さな変化に注目し、コンディション管理を仕組みとして習慣化することが、長期的な継続につながります。
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