山本拓実が明かす中継ぎ投手の朝のルーティン

山本拓実の試合当日の朝のルーティンを表すアイキャッチ画像 スポーツアスリート

プロ野球の中継ぎ投手は、試合が始まっても自分の出番がいつ来るか分からない。北海道日本ハムファイターズの山本拓実は、そんな不確実性の中で結果を出し続けるために「特別なことはあまりしていない」と言い切る。しかし、朝から夜までの一日を細かく振り返ると、そこには出番の読めない役割だからこそ研ぎ澄まされた、一つひとつの時間に対する意識の高さが見えてくる。

起床時間をあえて崩さないという判断

ナイターゲームの日、山本は朝9時から10時ごろに起きる。試合開始が18時であることを考えると早く感じるが、その理由は週末に多い14時開始のデーゲームにある。デーゲームの日は必然的に朝が早くなるため、ナイターの日も起床時間を大きく変えないようにすることで、体内リズムを崩さないようにしているという。「差をつけすぎないため」という本人の言葉には、日によって生活リズムが乱れがちな仕事だからこそ、意識的に一定を保とうとする姿勢が表れている。

朝食も毎日ほぼ同じメニューだ。親子丼でタンパク質と炭水化物、味噌汁で塩分とミネラル、ヨーグルトと納豆で腸内環境を整える。「このメニューは体のコンディションを安定させるために、あえて同じものを毎日続けています」という発言からは、変化を楽しむことよりも再現性を優先する考え方が読み取れる。

球場に着いてからの体の整え方

球場に到着すると、まず入浴で体を温め、ウエイトルームでストレッチを行う。ウエイトトレーニングはこのタイミングで、筋力の維持向上とウォーミングアップを兼ねる目的で取り入れているという。全体練習では「キャッチボール合わせ」という形でリリーフ投手ごとに準備開始のタイミングが決められ、そこに向けてチューブトレーニングやプライオボールを使った調整を行う。

ブルペンでの傾斜投げに込めた意味

全体練習の最後、山本は必ずブルペンに行き、軽く傾斜で投げてその日の体の感覚を確認するというルーティンを持っている。「平地で投げるのと傾斜で投げるのは微妙に感覚が違うのと、試合の中だと突然の出番となり準備が短くなることもあり得るので、自分のペースで傾斜で投げるバランスを調整する時間を必ず作っています」。この一言には、中継ぎという役割特有の思考が凝縮されている。先発投手のように準備時間が保証されていない以上、いつ短い準備で投げても対応できる状態を、練習の段階から作っておく必要がある。

練習後はランチも基本的に同じ内容を選ぶという。食後はロッカーでリラックスし、気持ちをクールダウンさせてから軽く仮眠を取る。試合前には再び入浴で体を温め、「試合に向けてスイッチを切り替えます」と本人が語るように、オンとオフを意図的に切り替える工夫が随所にある。

いつ来るか分からない出番への備え方

試合中、山本は常に自分の出番に備えてブルペンで待機する。「試合の展開を読みながら、出番が来た時にベストのパフォーマンスが出せるように、その時やるべきことに集中することを心がけています」。この言葉は、結果が読めない状況に対して不安を膨らませるのではなく、今やるべきことに焦点を絞ることで平常心を保とうとする思考を示している。

試合後は登板の有無にかかわらず、体のリカバリーも兼ねてサウナに入ることを欠かさない。「その日の疲れを取るだけでなく、何も考えずに気持ちの整理をする時間でもあります」という発言からは、身体的な回復と心理的な区切りを同じ時間の中で同時に行う工夫がうかがえる。

不確実性の中で再現性を作るという思考モデル

山本の一日を貫いているのは、出番という不確実な要素を前に、コントロールできる部分をできるだけ一定に保とうとする考え方だ。起床時間、朝食のメニュー、ブルペンでの傾斜投げ、試合後のサウナ。これらはいずれも「毎日同じことをする」という一見地味な選択だが、いつ何が起きても対応できる土台を作るための、意図的な再現性の設計といえる。不確実な要素が多い役割だからこそ、コントロール可能な要素を固定するという発想は、リリーフ投手というポジション特有の思考モデルとして整理できる。

中継ぎというポジションだからこそ磨かれた準備の哲学

先発投手であれば登板日と準備の時間がある程度決まっているが、中継ぎ投手は試合展開次第でいつ肩を作るか分からない。山本が「自分のペースで傾斜で投げるバランスを調整する時間を必ず作っています」と語るように、準備の質を落とさないための工夫は、突発的な出番に備える中継ぎというポジションならではの視点だ。決まった型を持ちながらも、実戦では型通りにいかない前提で心構えを持っておく。この二重の準備が、いつ出番が来ても崩れない状態を支えている。

一般の仕事にも応用できる準備の考え方

山本の思考は、いつ声がかかるか分からない仕事や、突発的な対応が求められる職種にも通じる。すべてを完璧にコントロールしようとするのではなく、生活リズムや食事など自分でコントロールできる部分を固定し、変動する部分に集中力を割けるようにしておく。山本が「特別なことはあまりしていないかもしれません」と謙遜しつつも、一つひとつの時間の中で自分の状態を感じ取りながら丁寧に過ごすと語る姿勢は、派手な工夫よりも地道な再現性の積み重ねが安定した結果につながるという考え方の実例になっている。

この考え方は、突発的な依頼や急な会議が入りやすい仕事の進め方にも応用できる。すべての予定を厳密にコントロールすることはできなくても、起床時間や食事、休憩の取り方といった自分自身の土台となる部分をあらかじめ固定しておけば、予定外の対応が入っても崩れにくい状態を保てる。山本が毎日ほぼ同じ生活リズムを守り続けているのは、変化の少ない毎日を望んでいるからではなく、変化が起きたときに揺らがないための備えだと捉えると理解しやすい。

コンディション管理の記録にAIを活用する視点

山本のように毎日のルーティンを固定して体調を安定させる手法は、まず自分の生活パターンを客観的に把握することから始まる。AIチャットツールに毎日の起床時間や食事内容、体調の変化を書き出して記録させ、変化があった日とその前後の生活パターンを比較させる使い方は、感覚だけに頼らずコンディションの傾向を可視化する助けになる。中継ぎ投手のように予測不能な状況で結果を求められる人ほど、コントロールできる部分の記録と振り返りを積み重ねることが、再現性のある準備につながる。

よくある質問

山本拓実はなぜ毎日同じ朝食を食べているのですか

体のコンディションを安定させるために、あえて同じメニューを毎日続けていると本人は語っている。栄養バランスを考えた上での再現性を重視した選択だ。

中継ぎ投手はどのように出番に備えているのですか

山本の場合、全体練習の最後に必ずブルペンで傾斜投げを行い、その日の体の感覚を確認している。突発的な出番でも対応できるよう、自分のペースで調整する時間を確保しているという。

試合後のサウナにはどのような意味がありますか

体のリカバリーだけでなく、何も考えずに気持ちを整理する時間としての役割もあると山本は語っている。登板の有無にかかわらず入ることを習慣にしている。

まとめ

山本拓実の一日から見えてくるのは、出番が読めないという不確実性に対して、コントロールできる生活の要素を意図的に固定するという思考だ。起床時間や食事、ブルペンでの調整といった地道な積み重ねが、いつ来るか分からない出番に対応できる状態を支えている。


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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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