吉村真晴の卓球はなぜ30代で伸びる|企業が学ぶ武器の磨き方

吉村真晴の卓球はなぜ30代で伸びるのか|企業が学ぶ武器の磨き方 スポーツアスリート

ベテラン社員の経験を、どうやって次の成果につなげるか。評価面談のたびに「この人の強みは何で、あと何年伸びるのか」と言葉に詰まる場面は、多くの職場にあると思います。

吉村真晴選手は、2016年リオデジャネイロ五輪の卓球男子団体で銀メダル、2017年の世界卓球で混合ダブルス金メダルを取った選手です。1993年8月3日生まれ(2026年10月時点で33歳)の現在もSCOグループに所属し、Tリーグの琉球アスティーダで現役を続けています。

2026年は国際大会で優勝と準優勝を1回ずつ記録し、世界ランキングは4月の84位から第40週の44位まで上がりました。支えているのは、回転が読みにくい「アップダウンサーブ」という1つの武器です。この記事では、吉村真晴選手の卓球の現在・成績・サーブを公表情報で整理し、企業がベテラン人材を見るときの視点に置き換えます。

吉村真晴の現在はSCOグループ所属|Tリーグは琉球アスティーダ

吉村真晴選手の卓球世界ランキングが2026年に84位から44位へ上がった流れの図

吉村真晴選手の現在の所属はSCOグループで、国内のTリーグでは琉球アスティーダの選手として2026-2027シーズンに登録されています。一般社団法人Tリーグが2026年6月18日付の登録完了選手として発表しました。

琉球アスティーダとは2025年5月26日に契約更新が発表されていて、そのときの発表では「引き続きキャプテン」と紹介されています。2026-2027シーズンもキャプテンを務めるかどうかは、公表された情報では確認できませんでした。

国際大会の成績は、2026年に入って上向いています。4月12日のWTTコンテンダー太原では男子シングルスの決勝に進み、中国の温瑞博選手にゲームカウント2-4で敗れて準優勝でした。テレビ東京はこの結果を「コンテンダーで自身初の準V」と伝えています。当時の世界ランキングは84位、年齢は32歳です。

その後、WTTフィーダー イスタンブールで優勝し、2026年第21週の世界ランキングで11ランクアップの40位に上がりました。第40週のランキングでは44位です。同じ週の日本男子は松島輝空選手が3位、張本智和選手が4位で、吉村選手は30代でこの集団に続いています。

(参考)2026-2027シーズン 登録完了選手(2026年6月18日付) – 一般社団法人Tリーグ

(参考)32歳ベテラン吉村真晴 コンテンダーで自身初の準V【卓球 WTT太原】 – テレ東卓球NEWS – テレビ東京

(参考)卓球男子世界ランキング(2026年第21週) – SPREAD

(参考)卓球男子世界ランキング(2026年第40週) – SPREAD

Q. 吉村真晴選手は現在どこに所属していますか?

所属はSCOグループです。Tリーグでは琉球アスティーダの選手として2026-2027シーズンに登録されています(一般社団法人Tリーグ、2026年6月18日付の発表)。

吉村真晴の卓球の成績は3つの時期に分けると流れがつかめる

吉村真晴選手の主な成績は、高校生で日本一になった2012年、五輪と世界卓球でメダルを重ねた2015〜2019年、30歳前後からシングルスでも結果を出した2023〜2026年の3つの時期に分かれます。本人の成績だけを、公表されている戦績と当時の報道から時系列に並べました。

時期 主な成績 当時の年齢
2012年 全日本選手権 男子シングルス優勝(1月) 18歳
2015〜2019年 世界卓球 混合ダブルス 銀(2015年)・金(2017年)・銀(2019年)/リオデジャネイロ五輪 男子団体 銀(2016年) 21〜25歳
2023〜2026年 世界卓球アジア予選会でシングルス代表枠(2023年)/WTTフィーダー ハヴィジョフ優勝(2024年)/世界卓球 混合ダブルス 銀(2025年)/WTTコンテンダー太原 準優勝・WTTフィーダー イスタンブール優勝(2026年) 29〜32歳

吉村真晴選手の主な成績(2012〜2026年)。年齢は生年月日(1993年8月3日)から計算。出典:テレビ東京「世界卓球2025」選手ページ、テレ東卓球NEWS、デイリースポーツ、日本オリンピック委員会、SPREADの各公表情報をもとに作成

2012年|高校生で全日本選手権を制した

最初の大きな成績は、2012年1月の全日本選手権 男子シングルス優勝です。決勝では、当時の第一人者だった水谷隼選手を最終ゲームの7-10から逆転で下し、高校生でチャンピオンになりました。

テレビ東京の選手紹介は、この優勝を「高校生チャンピオンとなった」と記しています。あと1点で負けるところから日本一になった、というのがキャリアの出発点なんですよね。

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(参考)吉村 真晴|世界卓球2025 – テレビ東京

2015〜2019年|五輪の団体銀と世界卓球の混合ダブルス金

20代前半は、団体戦とダブルスで世界のメダルを重ねた時期です。2016年のリオデジャネイロ五輪では男子団体で銀メダルを獲得しました。日本オリンピック委員会の選手ページには、当時23歳・所属は名古屋ダイハツと記録されています。

世界卓球の混合ダブルスでは、2015年に銀メダル、2017年のデュッセルドルフ大会で石川佳純さんとのペアで金メダル、2019年に銀メダルを取りました。2017年の決勝は台湾ペアに4-3の逆転勝ちで、この種目の日本勢の優勝は48年ぶりと報じられています。

(参考)吉村 真晴|卓球|リオデジャネイロ2016 – 日本オリンピック委員会

(参考)石川佳純&吉村真晴48年ぶり金メダル(2017年6月3日) – デイリースポーツ

2023〜2026年|30歳前後からシングルスでも結果が出た

直近の時期の特徴は、ダブルスの実績にシングルスの結果が加わったことです。2023年2月の世界卓球アジア予選会では中国の馬龍選手に勝ち、世界卓球で初めてシングルスの代表枠を取りました。2024年にはWTTフィーダー ハヴィジョフで優勝しています。

2025年5月の世界卓球ドーハ大会では、大藤沙月選手との混合ダブルスで銀メダルでした。決勝で中国の王楚欽選手・孫穎莎選手のペアにゲームカウント1-3で敗れましたが、この種目で自身4個目のメダルです。そして2026年の準優勝と優勝につながります。

(参考)吉村真晴が中国の至宝・馬龍を破って初のシングルス代表枠を獲得(2023年2月17日) – テレ東卓球NEWS – テレビ東京

(参考)吉村・大藤ペア 初出場V逃すも殊勲の銀メダル【世界卓球】 – テレ東卓球NEWS – テレビ東京

Q. 吉村真晴選手はオリンピックでメダルを取っていますか?

2016年のリオデジャネイロ五輪で、卓球男子団体の銀メダルを獲得しています。日本オリンピック委員会の選手ページに、当時23歳・所属は名古屋ダイハツと記録されています。

吉村真晴のサーブは上下の回転が読みにくいアップダウンサーブ

吉村真晴選手の卓球でいちばん知られている武器は、アップダウンサーブです。テレビ東京は試合記事のなかで、このサーブを「上下どちらの回転で出しているのかがわかりづらい」ものと説明しています。

卓球のレシーブは、ボールが上回転か下回転かを読んでラケットの角度を決めます。回転の向きを読み違えると、返球は浮くかネットにかかります。テレビ東京の選手紹介は吉村選手を「サービスの名手」とし、アップダウンサーブは世界のトップ選手がレシーブミスをするほどだと書いています。

サーブを打つ側が有利になりにくいとされるダブルスでも、この武器は効いています。2025年の世界卓球でメダルを決めた試合のあと、吉村選手は戦い方をこう振り返りました。

「サービスで相手ペアを上手く崩して、自分のパワーボールで押していくことが出来たら勝てるんじゃないかというイメージはあった」

吉村真晴選手(テレ東卓球NEWS、世界卓球2025ドーハ大会の混合ダブルスでメダルを確定させた試合後)

サーブで崩し、次の一球で決める。得点までの筋道が1本はっきりしているので、ペアが替わっても同じ形に持ち込めるわけです。

このサーブがどう作られたかについて、本人が打ち方を解説した発言は、公表された情報では確認できませんでした。テレビ東京の番組「卓球ジャパン!」を紹介した記事では、威力の理由として、遊びながらやるサーブ練習が挙げられています。

(参考)吉村真晴が15歳に貫禄勝ちで2回戦へ進む【卓球 TOP32】 – テレ東卓球NEWS – テレビ東京

(参考)中国撃破でメダル確定の10歳差・大吉ペア 吉村真晴が語るベテランの矜持と涙の理由【世界卓球】 – テレ東卓球NEWS – テレビ東京

Q. アップダウンサーブとは何ですか?

上回転と下回転のどちらで出しているのかが相手から見分けにくいサーブです。吉村真晴選手の代名詞で、テレビ東京は「上下どちらの回転で出しているのかがわかりづらい」と説明しています。

企業が吉村真晴の卓球から学べる3つのこと

吉村真晴選手の歩みを職場に置き換えると、ベテランの強みを伸ばす手がかりが3つ見えてきます。どれも成績と本人の発言から確認できることで、特別な才能の話ではありません。一流アスリートのコンディショニングと同じように、続け方の設計として読むと使いやすくなります。

得点源になる武器を1つ決めて磨き続ける

1つ目は、勝ち筋を1つに絞って磨き続けることです。吉村選手は18歳の全日本優勝から32歳の国際大会優勝まで第一線に立ち続けていて、その卓球はサーブという1つの武器を軸に語られています。

職場でも、ベテランに新しいスキルを次々と求めるより先に、「この人が成果を出すときの決まった形は何か」を言葉にするほうが早く効きます。面談では、直近の成果を3つ挙げてもらい、共通する動きを1行にまとめてみてください。

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組む相手が替わっても成果を出せる形を持つ

2つ目は、相手が替わっても通用する形を持つことです。世界卓球の混合ダブルスで、吉村選手は2017年に石川佳純さんと金メダル、2025年には10歳年下の大藤沙月選手と銀メダルを取りました。

ペアが替わっても結果が出るのは、自分の役割が「サーブで崩して次で決める」と決まっているからです。若手と組むプロジェクトにベテランを入れるときは、年次ではなく「最初の一手を作る役」のように役割で配置すると、強みが再現されやすくなります。競技経験者の強みを採用でどう見るかは、アスリートのセカンドキャリア採用の記事で整理しています。

年齢で見切りをつけず責任のある役割を任せる

3つ目は、年齢を理由に役割を小さくしないことです。2025年の世界卓球でメダルを決めたとき、吉村選手は31歳でした。試合後には、混合ダブルスに出る以上はメダルを取らなければいけないという責任を感じていた、と話しています。

「30歳を超えてメダルが取れると思っていなかったので嬉しい」

吉村真晴選手(テレ東卓球NEWS、世界卓球2025ドーハ大会の混合ダブルスでメダルを確定させた試合後)

本人ですら予想していなかった結果が、責任のある役割の先で出ています。Tリーグの琉球アスティーダでも、2025年5月の契約更新時にキャプテン継続が発表されました。役割が人を伸ばす、というのは30代以降にも当てはまるんですよね。

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(参考)琉球アスティーダ、吉村真晴選手と契約更新(2025年5月26日) – 琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社

40代・50代で自分から学ぶ人は3〜4割にとどまる

年齢階級別の自己啓発実施率の棒グラフ。吉村真晴選手の卓球に学ぶベテラン人材育成の参考データ

30代を過ぎても伸び続ける人は、職場では少数派です。厚生労働省の「令和7年度能力開発基本調査」(2026年7月31日公表)によると、令和6年度に自己啓発を行った人の割合は労働者全体で35.5%でした。正社員は43.3%、正社員以外は15.9%です。

年齢階級別では、30〜39歳が42.8%、40〜49歳が37.0%、50〜59歳が31.0%、60歳以上が21.3%です。調査結果の概要は「年齢階級が高くなるほど自己啓発を行った者の割合が低くなっている」とまとめています。

ここでいう自己啓発は、仕事に関する能力を自分から高める活動のことで、趣味やスポーツ、健康増進は含みません。つまり、40代で6割強、50代で7割近い人が、1年間に仕事の学びを自分からはしていない計算になります。

会社が用意する研修(OFF-JT)を受けた人の割合も、同じ調査で30〜39歳と40〜49歳が38.5%、50〜59歳が34.6%、60歳以上が24.1%と、年齢とともに下がります。本人の意欲だけでなく、機会そのものが減っているわけです。吉村選手のように30代で役割と挑戦の場を持ち続けている状態は、放っておいて生まれるものではありません。

人事や現場のマネージャーが最初にやることは1つです。40代以上のメンバーについて、直近1年に受けた研修と任せた新しい役割を一覧にし、どちらも空欄の人から面談を入れてください。

(参考)令和7年度能力開発基本調査 調査結果の概要 – 厚生労働省

(参考)令和7年度「能力開発基本調査」の結果を公表します – 厚生労働省

(参考)令和7年度能力開発基本調査 用語の説明 – 厚生労働省

Q. 吉村真晴選手は何歳ですか?

1993年8月3日生まれで、2026年10月時点で33歳です。31歳だった2025年5月に世界卓球の混合ダブルスで銀メダル、32歳だった2026年4月にWTTコンテンダー太原で準優勝しています。

まとめ|吉村真晴の卓球は武器と役割で30代も伸びている

吉村真晴選手の卓球を、現在・成績・サーブの順に整理しました。要点は次のとおりです。

  • 現在の所属はSCOグループで、Tリーグは琉球アスティーダ。世界ランキングは2026年第40週で44位
  • 主な成績は、2012年の全日本選手権優勝、2016年リオ五輪の団体銀、世界卓球の混合ダブルスでメダル4個
  • 武器は、上下の回転が読みにくいアップダウンサーブ。ダブルスでも得点の起点になっている
  • 2026年は32歳でWTTコンテンダー準優勝、WTTフィーダー優勝と、シングルスで結果を出した
  • 仕事の学びを自分から行う人は40代で37.0%、50代で31.0%。役割と機会を会社側から用意する必要がある

まずは、チームのベテラン1人について「成果が出るときの決まった形」を1行で書き出すところから始めてみてください。そこが決まると、任せる役割も研修の中身も選びやすくなります。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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