「福利厚生でジムの補助を出しているのに、利用率が上がらない」。健康経営を担当していると、こうした壁に一度はぶつかります。実は今、通勤も着替えも不要な自宅トレーニングアプリのほうが、従業員の運動習慣を継続させやすいケースが増えています。結論から言うと、自宅トレーニングアプリは「AIか人か」「価格帯」の2軸で選ぶと自社に合うサービスを絞り込みやすく、Nike Training ClubやFitbod、Ladderなど12サービスの特徴を比較すると選定の軸が見えてきます。この記事では、主要12サービスの比較と、企業が導入を検討する際の視点をあわせて解説します。
- 自宅トレーニングアプリが健康経営で注目される理由
- 自宅トレーニングアプリを選ぶ基準|「コーチング方式」と「価格帯」の2軸で見る
- 主要12サービスの自宅トレーニングアプリ比較
- Fitbod|筋疲労データでメニューを毎回組み替える
- Freeletics|AIコーチが自重トレを個人に合わせて調整する
- JEFIT|1,400種の種目データベースで記録に強い
- Ladder|専属コーチのプログラムで本格的な伴走を受ける
- Nike Training Club|無料開放された動画メニューで導入障壁が低い
- Apple Fitness+|Apple Watchの運動データと連動する
- Aaptiv|音声だけで完結するコーチングで移動中も使える
- Peloton App|バイクを持たなくても使える有酸素・筋トレメニュー
- obé Fitness|1日14本のライブクラスで飽きにくい
- Centr|著名トレーナー監修のプログラムで食事管理も一体化する
- Sworkit|器具なし種目を時間から逆算してカスタムできる
- FitOn|基本機能を完全無料で使い続けられる
- 企業が自宅トレーニングアプリを導入するまでの4ステップ
- まとめ|自宅トレーニングアプリは「軸」で選び、3ヶ月単位で見直す
自宅トレーニングアプリが健康経営で注目される理由
自宅トレーニングアプリが注目されている理由は、運動習慣の有無が「場」によって大きく左右されるという調査結果があるからです。スポーツ庁が2026年11月に実施した世論調査では、勤務先で運動・スポーツを活用した取り組みがある就業者の週1日以上のスポーツ実施率は70.1%だったのに対し、取り組みがない場合は46.3%にとどまり、23.8ポイントの差が確認されています。
この調査は20歳以上の40,000件を対象としたWebアンケートで、20歳以上全体の週1日以上の運動・スポーツ実施率は52.5%、実施したいと思う人の割合は66.6%でした。「運動したい気持ちはあるが、きっかけがない」という14.1ポイントの乖離を埋める役割を、会社が用意する仕組みが担っているということです。
自宅トレーニングアプリは、この「きっかけ」をジムの契約よりも低いハードルで提供できます。通勤前後のスキマ時間に完結し、地方拠点やリモートワーク中の社員にも同じ体験を届けられるため、全社的な健康経営施策として導入しやすいのが特徴です。
(参考)令和6年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果を公表します – スポーツ庁
自宅トレーニングアプリを選ぶ基準|「コーチング方式」と「価格帯」の2軸で見る
自宅トレーニングアプリは種類が多く、名前だけで選ぶと自社の目的に合わないことがあります。Human Soarでは、今回比較した12サービスの特徴を「AIが自動でメニューを決めるか、人(トレーナー)が伴走するか」という軸と、「価格帯」という軸の2つで整理しました。

右上に行くほど専属コーチによる伴走の要素が強くなり、上に行くほど価格が抑えられます。「まずは無料で試したい」なら左上の象限、「専属コーチのような体験に投資したい」なら右下の象限から探すと選びやすくなります。
まず試す型|AI×低価格でハードルを下げる
Nike Training Club、FitOn、Sworkitのように、無料または低価格で使えるアプリがこの象限に入ります。定型プログラムやAIが提示するメニューをそのままこなす形式が中心で、初めて運動アプリを使う社員への導入ハードルが低いのが特徴です。
コーチ付きの入口型|人(AI)×低価格でモチベーションを支える
Freeletics、Aaptivのように、AIコーチや音声コーチングが個人の進捗に合わせて調整しつつ、価格は月数千円台に抑えられているサービスです。「一人だと続かない」という社員に向いています。
データ重視型|AI×高価格で記録・分析に投資する
Fitbod、JEFIT、Apple Fitness+のように、トレーニング履歴や心拍データを活用してメニューを最適化するタイプです。ウェアラブル端末と連携させ、運動量を数値で可視化したい企業に向いています。
本格伴走型|人×高価格でライブ性・専属感を重視する
Ladder、Centr、obé Fitness、Peloton Appのように、専属コーチのプログラムやライブ配信クラスに月数千円〜1万円規模を投資するタイプです。継続率の高さを重視する場合はこの象限が候補になります。
Q. 自宅トレーニングアプリは無料でも十分使えますか?
Nike Training ClubやFitOnのように、基本機能を無料で使えるアプリは複数あります。ただし心拍データとの連携や専属コーチによる個別調整など踏み込んだ機能は有料プランに限られることが多く、目的に応じて併用や乗り換えを検討するとよいでしょう。
主要12サービスの自宅トレーニングアプリ比較
ここでは、企業のサービス・アプリ調査(大区分「トレーニング」)で候補に挙がった12サービスを比較します。選定条件は、公式サイトまたは公式アプリストアページで機能・料金体系を確認できる、消費者向けに広く提供されている自宅トレーニングアプリであることです。上位4サービスは事業モデルと強みまで掘り下げ、残り8サービスは特徴を絞って紹介します。
| サービス名 | 提供元 | 主な特徴 | プラットフォーム |
|---|---|---|---|
| Fitbod | Fitbod, Inc. | 筋疲労・履歴をもとにAIが毎回メニューを自動生成 | iOS/Android |
| Freeletics | Freeletics GmbH | AIコーチによる自重・器具混合トレーニング、栄養提案付き | iOS/Android |
| JEFIT | JEFIT, Inc. | 1,400種以上の種目データベースと詳細な記録・進捗管理 | iOS/Android |
| Ladder | Ladder Technologies, Inc. | コーチ設計の週次プログラムとイヤホン越しの実況コーチング | iOS/Android |
| Nike Training Club | Nike, Inc. | 185以上の動画メニューを無料開放、器具なしメニューも豊富 | iOS/Android |
| Apple Fitness+ | Apple Inc. | Apple Watchの運動データと連動した12種のワークアウト | iOS/iPadOS/tvOS |
| Aaptiv | Aaptiv Inc. | 音声のみでコーチングする1万本超の音声・動画ワークアウト | iOS/Android |
| Peloton App | Peloton Interactive, Inc. | バイクなしでも使える有酸素・筋トレ・ヨガのライブ/オンデマンド | iOS/Android/スマートTV |
| obé Fitness | Obé Fitness, Inc. | 1日14本のライブクラスとバレエ・ピラティス中心の豊富な種目 | iOS/Android/Web |
| Centr | Centr Fitness Pty Ltd | クリス・ヘムズワース監修、食事・マインドフルネスも一体化 | iOS/Android |
| Sworkit | Sworkit Health | 器具なし中心、900種以上の種目を時間指定でカスタム可能 | iOS/Android |
| FitOn | FitOn, Inc. | 基本機能を完全無料開放、著名トレーナーの動画が中心 | iOS/Android |
表は各サービスの公式サイト・公式アプリストアページの記載内容をもとにHuman Soarが作成(2026年8月時点)。
Fitbod|筋疲労データでメニューを毎回組み替える
Fitbodは、直近のトレーニング履歴・重量・部位ごとの疲労度を学習し、毎回のセッションで最適な種目を自動生成するアプリです。1,000種類以上の種目を高解像度動画つきで解説しており、フォーム習得の負担を減らせます。年額プランは95.99ドルからで、記録を積むほど提案の精度が上がる設計になっています。
Freeletics|AIコーチが自重トレを個人に合わせて調整する
FreeleticsはAIコーチが個人の体力・目標・フィードバックをもとにトレーニング内容をリアルタイムで調整するアプリです。自重トレーニングを中心に、HIITやランニングインターバルまで幅広いスタイルに対応し、栄養面のコーチング機能「Coach+」も備えています。世界で6,000万人規模のユーザーコミュニティを持つ点も特徴です。
JEFIT|1,400種の種目データベースで記録に強い
JEFITは筋力トレーニングの記録・可視化に特化したアプリです。セット数・回数・重量・休憩時間まで細かく記録でき、1RM(挙上重量の目安)や進捗グラフで成長を確認できます。AI Workout Trackerでは、ボリューム・強度・部位バランスをもとに漸進性過負荷(少しずつ負荷を上げる原則)を自動で管理します。
Ladder|専属コーチのプログラムで本格的な伴走を受ける
Ladderは、複数のコーチが設計した週替わりのストレングストレーニングプログラムに特化したアプリです。動画デモンストレーションとイヤホン越しのリアルタイムコーチングにより、対面のパーソナルトレーニングに近い体験を、月59.99ドル程度で受けられます。トレーニング負荷の管理を重視するチーム向けの機器とは異なり、個人の「継続率の高さ」を優先する企業向けの選択肢です。
Nike Training Club|無料開放された動画メニューで導入障壁が低い
Nike Training Clubは、以前は有料だったプレミアム機能を含めて完全無料で提供されているアプリです。器具なしの自重メニューからヨガ、目標別プログラムまで185本以上を用意しており、初めてトレーニングアプリに触れる社員への入口として使いやすい設計になっています。
Apple Fitness+|Apple Watchの運動データと連動する
Apple Fitness+は、HIITやヨガ、ローイングなど12種類のワークアウトを提供し、Apple Watchの心拍数・自律神経(HRV)のデータをリアルタイムで画面に反映できるのが特徴です。iPhoneやApple TVを社内に既に導入している企業では、追加のハードウェア負担を抑えて導入しやすいサービスです。
Aaptiv|音声だけで完結するコーチングで移動中も使える
Aaptivは、ほぼすべてのワークアウトを音声のみで提供するアプリです。SmartCoach機能が年齢・体力・目標に関する質問への回答からプランを自動作成し、ウォーキングからランニング、筋力トレーニングまで1万本超のプログラムを用意しています。画面を見る必要がないため、屋外での運動にも向いています。
Peloton App|バイクを持たなくても使える有酸素・筋トレメニュー
Peloton Appは、専用バイクがなくてもスマートフォンやスマートTVから使える点が特徴です。AIエンジン「Peloton IQ」が個人の傾向に合わせたプランを提示し、チームで励まし合う「Peloton Official Teams」など、コミュニティ機能を通じた継続支援も用意されています。
obé Fitness|1日14本のライブクラスで飽きにくい
obé Fitnessは、1日あたり14本のライブクラスをストリーミング配信するアプリです。バレエ、ピラティス、HIIT、瞑想まで幅広いジャンルをそろえ、オンデマンドでも4,000本以上のクラスを視聴できます。カメラをオフのまま参加できるため、在宅勤務中でも気兼ねなく利用できます。
Centr|著名トレーナー監修のプログラムで食事管理も一体化する
Centrは俳優クリス・ヘムズワースが立ち上げたアプリで、専属トレーナーによる筋力・格闘技系プログラムに加え、レシピ提案やマインドフルネス機能まで一体的に提供しています。運動だけでなく生活習慣全体の改善を狙う企業の福利厚生に向いています。
Sworkit|器具なし種目を時間から逆算してカスタムできる
Sworkitは、900種類以上の器具なし・小型器具メニューを、使える時間から逆算してカスタムできるアプリです。年齢層・難易度・部位・騒音レベルまで細かくフィルタリングできるため、オフィスの休憩時間など短時間の利用にも対応しやすい設計です。
FitOn|基本機能を完全無料で使い続けられる
FitOnは、有名トレーナーが監修する動画ワークアウトを完全無料で提供しているアプリです。器具不要のメニューが中心で、有料プランのFitOn PROに加入すると心拍数連携や食事プランなどが追加されます。コストをかけずに全社導入をまず試したい場合の選択肢になります。
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Q. 自宅トレーニングアプリと活動量計は併用したほうがいいですか?
併用をおすすめします。トレーニングアプリは「何をするか」を決める役割、活動量計は「実際にどれだけ動けたか」を記録する役割と、担う機能が異なるためです。Apple Fitness+やFitbodのように連携機能を持つアプリであれば、データを二重入力せずに済みます。
企業が自宅トレーニングアプリを導入するまでの4ステップ
自宅トレーニングアプリは個人でも契約できますが、健康経営施策として導入する場合は決めておくべき順番があります。ここでは、目的設定から効果測定までの4ステップを整理しました。

①目的を1つに絞る|継続率か、成果指標かを決める
最初に決めるべきは「何を改善したいか」です。運動習慣そのものを増やしたいのか、体力測定の数値や欠勤率といった具体的な指標を改善したいのかで、選ぶべきアプリの象限が変わります。目的を複数同時に追うと、選定基準がぶれて社員にも伝わりにくくなります。
②無料期間で3つ試す|価格帯の異なるアプリを比較する
多くのアプリには無料トライアルがあります。まず試す型・データ重視型・本格伴走型から1つずつ、価格帯の異なる3つを実際に試してから契約先を決めると、社員の反応を見たうえで判断できます。トライアル期間中に利用率をアンケートで確認するのも有効です。
③記録の共有範囲を決める|個人利用か組織的な把握かを最初に決める
活動データを個人のプライバシーとして扱うのか、部署単位の参加率だけを人事・健康管理部門が把握するのかを、契約前に決めておく必要があります。後から共有範囲を変更すると、社員の不信感につながりやすいため、利用規約と合わせて導入時に明示することが重要です。
④3ヶ月で継続率を確認する|導入して終わりにしない
アプリを契約した時点をゴールにせず、3ヶ月後に継続率・利用頻度を確認する仕組みを作ることが欠かせません。スポーツ庁の調査が示すとおり、運動の「場」があるかどうかで実施率に20ポイント以上の差が出るため、利用が落ち込んだ場合は早めに象限の異なる別サービスへの入れ替えを検討します。
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Q. 自宅トレーニングアプリの導入を従業員にどう周知すればよいですか?
「無料で今日から使える」ことを最初に伝えるのが効果的です。契約から周知までに時間が空くと関心が薄れやすいため、無料トライアル期間中に社内掲示板やチャットで具体的な使い方(何分でどのメニューが完了するか)まで示すと利用開始率が高まります。
Q. 自宅トレーニングアプリだけで運動不足は解消できますか?
短時間の習慣化には有効ですが、それだけで十分とは限りません。厚生労働省などが推奨する運動量の目安と照らし合わせ、活動量計での実測やウォーキングなど生活動作との組み合わせで補うと、より着実に運動不足の解消につながります。
まとめ|自宅トレーニングアプリは「軸」で選び、3ヶ月単位で見直す
自宅トレーニングアプリは種類が多いからこそ、闇雲に比較するのではなく「AIか人か」「価格帯」の2軸で候補を絞り込むことが選定の近道です。今回紹介したポイントを振り返ります。
- 勤務先で運動の取り組みがある就業者は、無い場合よりスポーツ実施率が23.8ポイント高い(スポーツ庁調査)
- まず試す型(Nike Training Club、FitOn、Sworkit)は導入ハードルが低い
- データ重視型(Fitbod、JEFIT、Apple Fitness+)は記録・分析を重視する企業向き
- 本格伴走型(Ladder、Centr、obé Fitness、Peloton App)は継続率を優先したい場合の選択肢
- 契約して終わりにせず、3ヶ月後の継続率を必ず確認する
まずは価格帯の異なる3サービスを無料トライアルで試し、自社の社員に合う「象限」を見極めるところから始めてみてください。
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