登山記録アプリ10選|安全管理と健康経営への活用法

登山記録アプリの比較|YAMAPやヤマレコなど代表製品を紹介 スポーツDX

練習の後半、社員旅行や部活動としての登山イベントを企画したものの、参加者の現在地が分からず本部が不安になる——そんな場面を避けたい企業担当者は多いはずです。結論として、登山記録アプリはオフライン地図で位置を把握でき、GPSログを自動で記録・共有できるため、社員の安全管理と健康経営の両面に役立ちます。本記事では、YAMAPやヤマレコなど国内外の代表的な登山記録アプリ10製品を比較し、目的別の選び方と社内での定着ステップを解説します。

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登山記録アプリが企業の健康経営でも注目される理由

登山記録アプリとは、GPSでルートや高度を自動記録し、電波が届かない山中でも現在地を確認できるスマートフォンアプリの総称です。個人の趣味用途にとどまらず、社員のアウトドア活動を支援する健康経営施策や、部活動・社員旅行での安全管理ツールとして導入を検討する企業が増えています。スポーツDXの一領域として、位置情報とヘルスケアデータを組み合わせた活用が広がっている分野です。

背景には、山岳遭難の発生件数が高止まりしている実情があります。警察庁生活安全局の発表によると、令和6年(2024年)の山岳遭難は2,946件・3,357人が発生し、うち死者・行方不明者は300人にのぼりました。遭難の態様別では「道迷い」が全体の30.4%と最も多く、次いで「転倒」(20.0%)、「滑落」(17.2%)と続きます。現在地を見失うことが遭難の最大要因であるため、オフラインでも位置を把握できるアプリの活用は、個人の安全対策であると同時に、社員を送り出す企業側のリスク管理としても意味を持ちます。

Q. 登山記録アプリは無料で使えますか?

主要アプリの多くは基本機能を無料で提供しています。ただしオフライン地図の詳細な地形図の閲覧や記録の無制限保存には有料プランが必要な場合が多く、本格的に使うなら月額数百円程度の課金を想定しておくと安心です。

(参考)令和6年における山岳遭難の概況等 – 警察庁生活安全局生活安全企画課 公式サイト

登山記録アプリ10選|代表的な10製品を徹底比較

ここでは公式サイトで機能を確認できた国内外の登山記録アプリのうち、利用者数や実績が確認できる代表的な10製品を掲載します。野球データ解析アプリの比較記事と同様、まず一覧表で全体像をつかみ、その後に各製品の特徴を個別に解説します。

製品名 提供企業・提供元 主な機能・特徴 対応プラットフォーム
YAMAP 株式会社ヤマップ オフライン地図と現在地表示で圏外でも位置確認可能。活動日記の作成・共有機能が充実 iOS / Android / Web
ヤマレコ 株式会社ヤマレコ 2005年開始の老舗登山SNS。コース逸脱警告や下山予定時刻の管理など安全機能が豊富 iOS / Android / Web
ジオグラフィカ keiji matsumoto(個人開発) キャッシュ型オフラインGPSアプリ。国土地理院の地形図を無料で利用可能 iOS / Android
YAMATOMO YAMATOMO株式会社(早稲田大学発スタートアップ) 約6,000の山を検索でき、同じ山に行く仲間を探せるコミュニティ機能が中心 iOS / Web
Strava Strava, Inc.(米国) ランニング・サイクリングを中心に1億人以上が利用する世界最大級のフィットネスSNS iOS / Android / Web
AllTrails AllTrails, LLC(米国) 世界50万本以上のトレイルガイドとレビューを掲載。難易度・獲得標高での絞り込みが可能 iOS / Android / Web
Komoot komoot GmbH(ドイツ) 路面の種類や高低差を解析したルート自動提案。音声ナビと標高グラフが充実 iOS / Android / Web
Suunto app Suunto Oy(フィンランド) 心拍変動・トレーニング負荷など回復状況を分析。ウォッチと連携した現在地表示が強み iOS / Android(Suuntoウォッチ連携)
Garmin Explore Garmin Ltd.(米国) 地形図・空撮画像を含む地図の無制限ダウンロードとクラウドでのルート管理 iOS / Android / Web(Garmin端末連携)
Wikiloc Wikiloc S.L.(スペイン) 世界8,200万件以上のGPSトラックを共有する世界最大級のトレイルコミュニティ iOS / Android / Web

2026年9月時点。公式サイトで確認できた情報をもとにHuman Soarが作成

YAMAP

YAMAPは「登山アプリ利用者数No.1」(2024年10月・App Ape調べ)を謳う国内最大級の登山プラットフォームです。電波が届かない山中でも現在地を確認できるオフライン地図機能が中心で、歩いたルートや写真をまとめた「活動日記」をワンタップで作成・公開できます。

ユーザー同士のつながりを軸に、最新の登山道状況や山の楽しみ方を共有できるコミュニティ機能も特徴です。近年はアウトドア保険の販売やふるさと納税連携など、登山を軸にしたサービス展開を広げています。

(参考)YAMAP 公式サイト

ヤマレコ

ヤマレコは2005年10月にウェブサービスとしてスタートした、日本最大級の登山コミュニティサイトです。登山前は地図のダウンロードや山行計画の作成、登山届のオンライン提出(有料版)ができ、登山中は地図上での現在地確認に加え、コースを外れた際の逸脱警告や下山予定時刻の管理など、安全登山を支える機能が充実しています。

下山後は歩行ログから標高グラフや通過時刻が自動生成されるため、写真とコメントを添えるだけで山行記録が完成する手軽さも支持されています。

(参考)ヤマレコ 公式サイト

ジオグラフィカ

ジオグラフィカは、スマートフォンを登山用GPSとして使うことに特化した「キャッシュ型オフライン地図アプリ」です。一度表示した地図が自動でアプリ内に保存されるため、事前に山行ルートの地図を開いておけば、携帯電波が届かない山奥でも現在地表示とナビゲーションが可能になります。

国土地理院の詳細な地形図を無料で利用できるほか、MGRSやUTM形式の座標表示、マーカーを使ったロックオンナビゲーションなど、読図に慣れた登山者向けの機能を備えています。

(参考)ジオグラフィカ 公式サイト

YAMATOMO

YAMATOMOは、山岳事故を減らし誰もが安心して山を楽しめる社会を目指す早稲田大学発スタートアップが手がける、登山者同士のマッチングに特化したアプリです。標高や難易度から山を探せるほか、目的別のコミュニティや日付の決まったアクティビティを通じて、同じ山に行きたい仲間と出会える設計になっています。

「聞ける相手がいない」という初心者の不安を減らす入口を複数用意している点が、記録特化型のアプリとは異なる特徴です。

(参考)YAMATOMO 公式サイト

Strava

Strava(ストラバ)は世界1億人以上が利用するフィットネス系ソーシャルネットワークで、登山・ハイキングも対応スポーツの一つです。GPSでアクティビティを記録すると、速度・ペース・距離に加え、過去の自分の記録との比較や「Relative Effort」といった独自指標で振り返りができます。

友人とのつながりや「セグメント」機能を使った区間タイムの共有など、社内のランニング部・登山部のような複数人のコミュニティ運営とも相性がよいアプリです。

(参考)Strava 公式サイト

AllTrails

AllTrailsは世界50万本以上のトレイル情報を掲載する海外発の登山・ハイキングガイドアプリです。難易度や獲得標高、犬同伴の可否といった条件で目的地を検索でき、ユーザーが投稿した写真やレビューで現地の様子を事前に把握できます。

有料プランではオフライン地図のダウンロードや天候・積雪状況の確認、ルートから外れた際の通知機能が使え、海外の山を訪れる機会がある企業の海外拠点メンバーとの情報共有にも活用できます。

(参考)AllTrails 公式サイト

Komoot

Komoot(コモート)はドイツ発のルートプランニングアプリで、シングルトラックや舗装路といった路面の種類、高低差を解析したうえでハイキングに適したルートを自動提案します。ルート途中の絶景ポイントなどユーザー投稿の「ハイライト」を地図上に表示できる点も特徴です。

音声によるターンバイターンナビゲーションとオフライン地図に対応しており、GPXファイルの取り込みにも対応しているため、既存のルートデータを活用したい場合にも使いやすいアプリです。

(参考)Komoot 公式サイト

Suunto app

Suunto appは、Suuntoのスポーツウォッチと連携して使う専用アプリです。アクティビティの記録・分析・共有に加え、心拍変動やトレーニング負荷、回復時間といったコンディション指標を継続的にモニタリングできます。

登山特有の機能として、現在地や出発点のGPS座標をすぐに確認できる画面や、直前に歩いた経路との効率を比較する「DirectPath」機能があり、道迷いのリスクを減らす補助として使えます。

(参考)Suunto app 公式サイト

Garmin Explore

Garmin Exploreは、Garmin製のGPS端末やスマートウォッチと組み合わせて使うトリップ計画アプリです。地形図や空撮画像を含む地図を無制限にダウンロードでき、Wi-Fiや携帯回線がない環境でもオフラインでナビゲーションできます。

作成したルート・ウェイポイント・軌跡はクラウドに無制限に保存され、ウェブ版とアプリ版で同期されるため、事前のルート計画をパソコンの大きな画面で行いたい場合に向いています。

(参考)Garmin Explore 公式サイト

Wikiloc

Wikilocは、世界2,100万人以上が8,200万件を超えるアウトドアトレイルを共有する、世界最大級のGPSトラック共有コミュニティです。記録したトラックをGarminやSuunto、COROSなどの外部デバイスに直接ダウンロードできる連携機能を持ちます。

家族や友人にリアルタイムで位置情報を共有する「ライブトラッキング」機能もあり、海外遠征や単独行動が多い社員の安全確認手段としても活用できます。

(参考)Wikiloc 公式サイト

登山記録アプリの3タイプ|目的で選ぶ分類軸

10製品を並べただけでは選びにくいため、Human Soarでは「日本語対応と国内情報の厚み」「GPS・オフライン地図の精度」「グローバルなコミュニティ機能」という3つの軸から、各アプリを3タイプに分類しました。

登山記録アプリを国産総合型・GPS特化型・グローバルSNS型に分類した図解

国産総合型|日本語UIと国内登山道情報が強み

YAMAP・ヤマレコ・YAMATOMOは、日本語での操作性と国内の登山道情報の充実度に強みがあります。初めて登山記録アプリを導入する企業では、社員が迷わず使えるこのタイプから検討するのが無難です。

GPS特化型|オフライン地図と現在地把握を重視

ジオグラフィカ・Suunto app・Garmin Explore は、SNS的な機能よりもオフライン環境での現在地把握・ナビゲーション精度を重視したアプリです。自転車パワーメーターの比較記事で紹介したGPSデバイスと同様、正確な位置データを重視する社員向けの選択肢になります。

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グローバルSNS型|世界中のルートデータと比較機能

Strava・AllTrails・Komoot・Wikilocは、世界中のユーザーが投稿したルートデータとコミュニティ機能が特徴です。ランニングやサイクリングなど登山以外のスポーツとも記録を一元管理したい社員におすすめのタイプです。

Q. 登山記録アプリとGPSウォッチはどちらを選ぶべきですか?

スマートフォンだけで完結させたい場合はアプリ、バッテリー持続時間や耐久性を重視するならGPSウォッチが向いています。SuuntoやGarminのようにウォッチと連携するアプリを選べば、両方の利点を組み合わせられます。

導入までの4ステップ|社内のアウトドア活動での定着プロセス

アプリを選んで終わりではなく、社員が継続して使う状態を作れるかが定着の分かれ目です。ここでは登山記録アプリを社内のアウトドア活動に導入する際の4ステップを紹介します。

登山記録アプリを社内のアウトドア活動に定着させる4ステップの図解

ステップ1|目的を明確にする

「記録を残すこと」を重視するのか、「安全管理」を重視するのかによって適したアプリのタイプが変わります。導入前に目的を一文で言語化しておくと、後工程での選定がぶれません。

ステップ2|候補を2〜3個試す

無料範囲でオフライン地図の精度や操作性を実際に試し、参加予定のメンバー数名にも触ってもらいます。カタログ上の機能だけでなく、実際の山行での使い勝手を確認する工程です。

ステップ3|本運用の1つに絞る

候補を1つに絞る際は、機能の豊富さだけでなく、社内での記録共有のしやすさも判断材料にします。座りすぎ防止アプリの比較記事で紹介した健康経営施策と同様、継続利用のハードルの低さが定着率を左右します。

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ステップ4|定期的に見直す

導入して終わりにせず、年1回程度は参加者の声を聞いて運用を見直します。アプリのアップデートで新機能が追加されることも多いため、定期的な見直しは形骸化を防ぐうえで欠かせません。

Q. 社員に登山記録アプリの利用を義務付けてもよいですか?

義務付けは推奨できません。位置情報の共有は個人のプライバシーに関わるため、任意参加を前提に、利用のメリットを丁寧に説明して自発的な活用を促す運用が望ましいです。

導入企業が気をつけたい注意点|位置情報とプライバシー管理

登山記録アプリは便利な一方、位置情報という機微な個人データを扱うため、企業として導入する際は運用ルールを事前に整えておく必要があります。

位置情報とプライバシーの扱い

記録した山行データを社内で共有する場合も、公開範囲の設定を必ず確認します。自宅の位置が推測できてしまうケースもあるため、共有は「参加者のみ」など限定した範囲にとどめ、SNSへの公開は個人の判断に委ねるのが基本です。

遭難対策としての活用ルール

アプリはあくまで補助的なツールであり、紙の地図やコンパスの携行、無理のない計画立案という登山の基本を代替するものではありません。ヨガアプリの比較記事で紹介した健康経営アプリと組み合わせ、日頃の体力づくりも含めた総合的な安全対策として位置づけることをおすすめします。

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Q. 登山中に電波が届かない場所でもアプリは使えますか?

YAMAPやジオグラフィカなどキャッシュ型のオフライン地図に対応したアプリであれば、事前に地図を表示・保存しておくことで圏外でも現在地を確認できます。出発前のダウンロードを習慣化することが重要です。

まとめ|登山記録アプリは安全管理と健康経営の両輪になる

登山記録アプリは、社員のアウトドア活動を安全に支えると同時に、健康経営の一施策としても活用できるツールです。最後に本記事の要点を振り返ります。

  • 令和6年の山岳遭難は2,946件・3,357人が発生し、最大の原因は「道迷い」(30.4%)だった
  • 登山記録アプリはオフライン地図やGPSログで現在地を把握でき、遭難リスクの低減に役立つ
  • 10製品は「国産総合型」「GPS特化型」「グローバルSNS型」の3タイプに分類できる
  • 導入は目的の明確化→候補の試用→本運用の決定→定期的な見直しの4ステップで進める
  • 位置情報の公開範囲や紙地図の併用など、プライバシーと安全管理のルールを事前に整えておく

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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