Jリーグのスポンサー構造|J1全20クラブの胸と企業の判断軸

Jリーグのスポンサー構造とJ1全20クラブの胸スポンサーを調査した記事のアイキャッチ画像 スポーツマーケティング
  1. Jリーグのスポンサーは「リーグ」と「クラブ」の二階建てになっている
    1. Jリーグと直接契約する「Jリーグパートナー」
    2. クラブ運営会社が個別に契約する「クラブスポンサー」
  2. J1全20クラブの胸スポンサーを公式サイトで1つずつ確認した
    1. 調査の方法と「確認済み」と判断した基準
    2. 胸の企業を特定できたのは11クラブだった
    3. 位置を公表していない9クラブにも2つのパターンがある
  3. 胸スポンサーを業種別に数え直すと8業種に分かれる
    1. 重なった3業種はいずれも「生活インフラに近い内需型」だった
    2. 本社がホームタウンと同じ都道府県にあるのは11社中8社だった
    3. リーグのパートナーとクラブの胸では顔ぶれが入れ替わる
    4. 胸が空いていないクラブもあるので候補は胸以外にも広げる
  4. Jクラブのスポンサー収入は2025年度で782億円|経営情報開示資料の数字
    1. コロナ禍の落ち込みから5年かけて過去最高を更新した
    2. スポンサー収入が増えたクラブは全体の8割近くに達した
  5. J1・J2・J3ではスポンサー依存度がまったく違う
    1. J1はスポンサー以外の収入源が育っている
    2. J3はスポンサー収入が売上の半分以上を占める
  6. スポンサーを検討する企業が公開情報だけで確認できること
    1. 露出したい場所を「胸」以外まで具体化しておく
    2. クラブの売上規模と収入構造を開示資料で先に見る
    3. 契約金額と契約期間は公開情報では分からないと割り切る
  7. まとめ|Jリーグのスポンサーは公開情報でここまで分かる

Jリーグのスポンサーは「リーグ」と「クラブ」の二階建てになっている

Jリーグのスポンサーは、Jリーグ(公益社団法人日本プロサッカーリーグ)と直接契約する「Jリーグパートナー」と、各クラブの運営会社が個別に契約する「クラブスポンサー」の二階建てで動いています。J1全20クラブの公式サイトを1つずつ確認したところ、ユニフォーム胸の企業を公式に特定できたのは11クラブで、その業種は8つに分かれていました。Jクラブ全体のスポンサー収入は、2025年度で53クラブ合計782億5,100万円です。

Jリーグのスポンサーがリーグとクラブの二階建てになっている構造の図解

この2つはよく混同されるのですが、契約相手も、露出する場所も、金額のレンジもまったく違います。「Jリーグのスポンサーになりたい」と社内で話が出たとき、最初にやるべきなのは、この二階のどちらを指しているのかをはっきりさせることなんですよね。

Jリーグと直接契約する「Jリーグパートナー」

Jリーグパートナーは、リーグそのものと契約する枠です。露出先は個別のクラブではなく、大会名称・リーグ戦全体の告知・公式映像・表彰などリーグ規模の資産になります。「明治安田J1リーグ」のように大会名に社名が入るタイトルパートナーが、この階層のいちばん上にあたります。

Jリーグは2026/27シーズンからパートナー制度そのものを組み替えました。従来の「Jリーグトップパートナー」を「Jリーグプラチナパートナー」と「Jリーグゴールドパートナー」に分け、さらに個別に名前が付いていた技術・チケットなどの枠を「Jリーグサポーティングパートナー」としてまとめ、ビジネス領域・メディア&エンターテインメント領域・フットボール領域・サステナビリティ領域の4領域に整理しています。Jリーグはこの変更の理由を「各パートナーがJリーグのどの領域を支えてくださっているかをより分かりやすくお伝えするため」と説明しています(2026年6月29日発表)。

つまりリーグ側は、協賛を「金額の大小」だけでなく「どの領域を支えているか」で見せる方向に動いているわけです。検討する企業から見ると、自社の事業領域と近い枠を選びやすくなったとも言えます。

(参考)2026/27シーズン Jリーグパートナー契約について – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

クラブ運営会社が個別に契約する「クラブスポンサー」

もう一方のクラブスポンサーは、鹿島アントラーズや浦和レッズといった各クラブの運営会社と直接契約する枠です。ユニフォームの各部位、スタジアムの看板、マッチデースポンサー、アカデミー支援など、そのクラブが持つ資産に露出します。こちらは契約先が60クラブぶんあるので、リーグ側の枠よりも入り口が広く、地域単位の露出を狙いやすいのが特徴です。

クラブ側の露出枠のなかで、いちばん目立つのがユニフォームの胸です。テレビ中継でも写真でも必ず映るので、クラブにとっては最上位の商品になります。

リーグとクラブで露出先も価格帯も変わるこの構造は、スポーツビジネス全体の収益構造のなかでも独特な部分です。ここから先は、その胸の枠を全クラブぶん実際に数えた結果を見ていきます。

あわせて読みたいスポーツマーケティングとは|定義・市場規模・事例を解説›

J1全20クラブの胸スポンサーを公式サイトで1つずつ確認した

J1全20クラブの公式サイトを1クラブずつ開き、2026/27シーズンのユニフォームパートナー発表ページを読んで胸の企業を数えました。結果は、胸(前面)の企業を公式に特定できたのが11クラブ、掲出位置が公表されておらず特定できなかったのが9クラブです。以下の表では、確認できなかったクラブも「未確認」のまま残しています。

クラブ 胸(前面)スポンサー 業種 公式ページ上の位置表記
鹿島アントラーズ 未確認 — 位置の記載なし
水戸ホーリーホック 株式会社ケーズホールディングス 家電量販(小売) シャツ・胸
浦和レッズ ポラス株式会社 住宅・不動産 胸
ジェフユナイテッド千葉 未確認 — 位置の記載なし
柏レイソル 未確認 — 位置の記載なし
FC東京 東京ガス ガス(エネルギー) 胸箇所
東京ヴェルディ 日本瓦斯株式会社(ニチガス) ガス(エネルギー) 前面:胸
FC町田ゼルビア 未確認(※1) — 掲出箇所一覧に「胸」なし
川崎フロンターレ 未確認(※2) — 位置の記載なし
横浜F・マリノス 未確認(※3) — 位置の記載なし
清水エスパルス 未確認 — 位置の記載なし
名古屋グランパス トヨタ自動車株式会社(GRカローラ) 自動車 胸部分
京都サンガF.C. 京セラ株式会社 電機・電子部品 前面
ガンバ大阪 パナソニック株式会社 電機・電子部品 胸
セレッソ大阪 未確認 — 位置の記載なし
ヴィッセル神戸 楽天グループ株式会社 IT・インターネット 前面[胸部分]
ファジアーノ岡山 株式会社グロップ 人材サービス 胸
サンフレッチェ広島 株式会社エディオン 家電量販(小売) 前面
アビスパ福岡 新日本製薬 株式会社 化粧品・健康食品 ユニフォームパートナー(胸)
V・ファーレン長崎 未確認 — 位置の記載なし

出典:各クラブ公式サイトの2026/27シーズン ユニフォームパートナー発表ページをもとに2026年9月18日時点で筆者集計。クラブの並び順はJリーグ公式サイトのクラブ一覧に準拠。※1 FC町田ゼルビアは掲出箇所が背中・鎖骨(右)・鎖骨(左)・袖(左)・裾・パンツ(前)・パンツ(後)の7箇所で公表されており、「胸」の項目自体がありません。※2 川崎フロンターレは2026特別シーズンの発表では「胸」として富士通株式会社が明記されていましたが、2026/27シーズンのパートナー一覧に位置表記はありません。※3 横浜F・マリノスは明治安田J1百年構想リーグの発表で「公式ユニフォーム胸部」として日産自動車株式会社が明記されていましたが、2026/27シーズンの発表に位置表記はありません。

調査の方法と「確認済み」と判断した基準

対象は2026/27シーズンのJ1に在籍する20クラブです。情報源はクラブ公式ドメインのページに限り、他メディアの記事は使っていません。判定基準は1つだけで、「掲出位置を示す語(胸・胸箇所・前面など)と企業名が、同じ公式ページ上で対応づけられていること」です。

企業名だけが並んでいて位置の記載がないページは、たとえ一覧の先頭に大手企業が載っていても「未確認」としました。順番が掲出位置を意味するとは限らないからです。上の表はこの基準だけで機械的に判定しています。

胸の企業を特定できたのは11クラブだった

11クラブについては、クラブ自身が「胸」「胸箇所」「前面」といった位置表記とセットで企業名を公表していました。表記のゆれはありますが、いずれもシャツ前面の最上位枠を指しています。

内訳を見ると、親会社やグループ企業が胸に入っているクラブと、地域の事業会社が入っているクラブが混在しています。クラブの規模が大きいほど全国区の企業が並ぶ、という単純な図式にはなっていません。

位置を公表していない9クラブにも2つのパターンがある

「未確認」の9クラブは、情報がないから未確認なのではありません。むしろ逆で、パートナー企業名はどのクラブもきちんと公表しています。足りないのは「どの企業がどこに載るか」の対応づけだけなんですよね。

パターンは大きく2つあります。1つは、鹿島アントラーズ・柏レイソル・ジェフユナイテッド千葉・清水エスパルス・セレッソ大阪・V・ファーレン長崎のように、ユニフォームスポンサーやトップパートナーとして企業名を一覧で並べる一方、掲出位置は書かない形です。もう1つは川崎フロンターレ・横浜F・マリノスのように、前のシーズンの発表では「胸」と明記していたのに、2026/27シーズンの発表では位置表記が落ちている形です。

FC町田ゼルビアはさらに特殊で、7箇所ぶんの掲出位置を全部並べたうえで「胸」という枠が存在しません。つまり「胸を公表していない」のではなく「パートナー告知の対象に胸が入っていない」ということになります。協賛を検討する側から見ると、この開示の粒度の差は、そのまま「問い合わせ前に自力でどこまで分かるか」の差になります。

(参考)2026/27シーズン ユニフォームおよびプラクティスウェアパートナーのお知らせ – 浦和レッドダイヤモンズ

(参考)2026/27シーズン『ユニフォームパートナー』決定のお知らせ – FC東京

(参考)『2026/27明治安田J1リーグ』ユニフォーム決定のお知らせ – ガンバ大阪

(参考)ユニフォームパートナー(トップチーム) – サンフレッチェ広島

(参考)2026/27シーズン ユニフォームパートナー決定のお知らせ – FC町田ゼルビア

(参考)2026/27シーズン ユニフォームパートナー決定のお知らせ – 名古屋グランパス

(参考)2026/27シーズン ユニフォームスポンサーのご紹介 – 京都サンガF.C.

(参考)2026/27シーズン『ユニフォームパートナー』決定のお知らせ – 東京ヴェルディ

(参考)2026/27シーズン ユニフォームスポンサー決定のお知らせ – ファジアーノ岡山

(参考)2026/27シーズン明治安田Jリーグ ユニフォームパートナーのお知らせ – アビスパ福岡

(参考)株式会社ケーズホールディングス トップパートナー契約更新のお知らせ – 水戸ホーリーホック

Q. Jリーグの胸スポンサーはどこで確認できますか?

各クラブ公式サイトのユニフォームパートナー発表ページが一次情報です。ただしJ1全20クラブを確認したところ、掲出位置まで公表していたのは11クラブでした。残りのクラブは企業名だけが一覧で並ぶため、位置を知りたい場合はクラブへ直接問い合わせる必要があります。

胸スポンサーを業種別に数え直すと8業種に分かれる

特定できた11社を業種で集計し直すと、8業種に分かれました。同じ業種が2社重なったのは家電量販(小売)・ガス(エネルギー)・電機/電子部品の3業種だけで、残りの5業種は1社ずつです。「Jリーグの胸は◯◯業界が強い」と言えるほどの偏りは、少なくともJ1の胸に関しては出ていません。

業種 社数 企業名(該当クラブ)
家電量販(小売) 2社 株式会社ケーズホールディングス(水戸ホーリーホック)/株式会社エディオン(サンフレッチェ広島)
ガス(エネルギー) 2社 東京ガス(FC東京)/日本瓦斯株式会社(東京ヴェルディ)
電機・電子部品 2社 パナソニック株式会社(ガンバ大阪)/京セラ株式会社(京都サンガF.C.)
自動車 1社 トヨタ自動車株式会社(名古屋グランパス)
IT・インターネット 1社 楽天グループ株式会社(ヴィッセル神戸)
住宅・不動産 1社 ポラス株式会社(浦和レッズ)
人材サービス 1社 株式会社グロップ(ファジアーノ岡山)
化粧品・健康食品 1社 新日本製薬 株式会社(アビスパ福岡)
合計 11社/8業種 —

出典:上表「J1全20クラブの胸スポンサー」をもとに筆者が業種別に再集計(2026年9月18日時点)。業種の区分は各社の主要事業にもとづく筆者分類で、公式の産業分類ではありません。

重なった3業種はいずれも「生活インフラに近い内需型」だった

2社ずつ重なった家電量販・ガス・電機/電子部品は、いずれも一般生活者が日常的に接する内需型の事業です。商圏がはっきりしていて、認知が売上に直結しやすい業種と言い換えてもいいと思います。

逆に、金融・通信・人材といった「Jリーグ全体のパートナーでよく見る業種」は、J1クラブの胸ではほとんど重なっていません。人材サービスは株式会社グロップの1社だけ、金融・通信にいたっては胸では0社でした。

本社がホームタウンと同じ都道府県にあるのは11社中8社だった

11社の本社所在地を各社の公式サイトの会社概要で1つずつ確認したところ、クラブのホームタウンと同じ都道府県に本社がある企業が8社ありました。株式会社ケーズホールディングス(茨城県水戸市)、ポラス株式会社(埼玉県越谷市)、東京ガス株式会社(東京都港区)、日本瓦斯株式会社(東京都渋谷区)、トヨタ自動車株式会社(愛知県豊田市)、京セラ株式会社(京都府京都市)、株式会社グロップ(岡山県岡山市)、新日本製薬 株式会社(福岡市中央区)の8社です。

残る3社は一致しませんでした。ガンバ大阪のパナソニック株式会社は東京都品川区、ヴィッセル神戸の楽天グループ株式会社は東京都世田谷区、サンフレッチェ広島の株式会社エディオンは大阪府大阪市(公式表記は「本社事務所」)です。「胸スポンサー=地元企業」というイメージは、おおむね当たっているものの例外もある、というのが実際のところでした。

ここで大事なのは、本社の所在地だけで地域との関係の深さは測れない、という点です。本社が県外にあっても、そのクラブの運営会社の親会社だったり、発祥の地がホームタウンだったりするケースがあります。候補を絞るときは、本社住所ではなく「自社の商圏とクラブのホームタウンが重なるか」で見るほうが実務的です。

(参考)会社概要 – パナソニック株式会社

(参考)会社概要 – 株式会社エディオン

(参考)会社概要 – 楽天グループ株式会社

リーグのパートナーとクラブの胸では顔ぶれが入れ替わる

Jリーグ側のパートナーを見ると、タイトルパートナーの明治安田生命保険相互会社、プラチナパートナーの株式会社NTTドコモと三菱UFJ銀行、ゴールドパートナーの株式会社アイデム、ルートインジャパン株式会社、イオンリテール株式会社、株式会社コナミデジタルエンタテインメントなど、全国区のブランドが並びます。

一方でクラブの胸は、上の表のとおり業種も社名も入れ替わります。同じ「Jリーグのスポンサー」という言葉でも、リーグと契約するのか、クラブと契約するのかで、隣に並ぶ企業がまったく変わるということです。検討時に競合他社の名前を調べるなら、この2つは別々に見ないと判断を誤ります。

胸が空いていないクラブもあるので候補は胸以外にも広げる

胸の枠は各クラブに1つしかありません。しかも水戸ホーリーホックの株式会社ケーズホールディングスのように、既存パートナーとの「契約更新」という形で発表されるケースもあります。新規で入るなら、鎖骨・背中・袖・パンツ・裾といった他の部位や、スタジアム看板・マッチデー冠といった枠まで候補を広げるのが現実的です。

たとえばガンバ大阪は胸のほかに右鎖骨・左鎖骨・背中・背中裾・左袖・右袖の6箇所を、サンフレッチェ広島は右鎖骨・左鎖骨・背中・背中裾・左袖・前面裾・ショーツなど複数箇所を、それぞれ別企業に割り当てています。胸だけを見て「空きがない」と判断するのは早い、というわけですね。

(参考)Jリーグパートナー – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

(参考)2026/27明治安田J1リーグ ユニフォームデザイン及びユニフォームパートナー決定のお知らせ – ヴィッセル神戸

Q. Jリーグのスポンサーとクラブのスポンサーは何が違うのですか?

契約相手と露出先が違います。Jリーグパートナーは公益社団法人日本プロサッカーリーグと契約し、大会名称やリーグ全体の告知に露出します。クラブスポンサーは各クラブの運営会社と個別に契約し、そのクラブのユニフォームやスタジアムに露出します。両方に同じ企業が入ることもあります。

Jクラブのスポンサー収入は2025年度で782億円|経営情報開示資料の数字

クラブ側の協賛市場がどれくらいの規模なのかは、Jリーグが毎年公表している「クラブ経営情報開示資料」で確認できます。2025年度のスポンサー収入は53クラブ合計で782億5,100万円でした。2019年度の615億5,300万円と比べると約27.1%増えています。

この資料は、クラブライセンス制度の透明性を担保する目的でJリーグ経営基盤本部クラブライセンス事務局が出しているもので、売上高・人件費・入場料収入などがクラブ単位まで載っています。協賛の検討材料としては、正直これ以上の一次情報はないと思います。

年度 対象クラブ数 スポンサー収入
2019年度 53クラブ 61,553百万円
2020年度 54クラブ 55,714百万円
2021年度 55クラブ 58,827百万円
2022年度 56クラブ 61,803百万円
2023年度 58クラブ 66,308百万円
2024年度 58クラブ 73,210百万円
2025年度 53クラブ 78,251百万円

出典:2025年度 クラブ経営情報開示資料(2026年5月26日公表・7月24日更新) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ 経営基盤本部 クラブライセンス事務局。2019〜2022年度は3月決算の2クラブ、2025年度は3月・6月決算の7クラブを除いた数値のため、対象クラブ数が年度で異なります。

コロナ禍の落ち込みから5年かけて過去最高を更新した

2020年度に557億1,400万円まで落ち込んだスポンサー収入は、2021年度から5年連続で増え続け、2025年度に782億5,100万円まで戻りました。同資料によると、2025年度にスポンサー収入が増加したクラブは40クラブ(78%)、減少したクラブは11クラブ(22%)です。

売上高で見ても、53クラブ合計で1,757億円と前期比112%の成長になっています。浦和レッズと川崎フロンターレの2クラブが売上高100億円を超え、売上高50億円以上のクラブは13クラブでした。市場全体としては明確に伸びているフェーズだと言えます。

スポンサー収入が増えたクラブは全体の8割近くに達した

ディビジョン別に見ると、スポンサー収入が増えたのはJ1で16クラブ(94%)、J2で17クラブ(89%)、J3で7クラブ(47%)でした。J1・J2はほぼ全クラブが増収で、J3だけが半数を割っています。

協賛を検討する企業の立場だと、J1・J2は競争が激しく単価も上がりやすい一方、J3は枠の余地が残っている可能性がある、という読み方ができます。ただしJ3は1クラブあたりの露出規模も小さいので、単純に「安いから得」という話ではありません。

(参考)2025年度 クラブ経営情報開示資料 – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ 経営基盤本部 クラブライセンス事務局

J1・J2・J3ではスポンサー依存度がまったく違う

同じ開示資料の数字を使って、スポンサー収入が売上高に占める割合をディビジョン別に計算し直すと、J1が40.6%、J2が51.1%、J3が56.5%になりました。下のカテゴリーほどスポンサー収入への依存度が高い、という構造です。

区分 対象クラブ数 売上高 スポンサー収入 1クラブ平均 売上高に占める割合
J1 18クラブ 117,248百万円 47,622百万円 2,646百万円 40.6%
J2 19クラブ 44,345百万円 22,666百万円 1,193百万円 51.1%
J3 16クラブ 14,106百万円 7,963百万円 498百万円 56.5%
合計 53クラブ 175,699百万円 78,251百万円 1,476百万円 44.5%

出典:2025年度 クラブ経営情報開示資料(公益社団法人日本プロサッカーリーグ)の2025年度数値をもとに、売上高に占める割合を筆者が算出。対象は3月・6月決算の7クラブを除く53クラブ。

J1はスポンサー以外の収入源が育っている

J1の依存度が40.6%と相対的に低いのは、入場料収入・物販収入・移籍補償金等収入といった他の柱が育っているからです。2025年度のJ1は入場料収入が218億2,200万円、物販収入が119億5,400万円、移籍補償金等収入が80億9,600万円ありました。

協賛する側から見ると、J1クラブは「スポンサー頼みではない経営をしている」ぶん、協賛が打ち切られても即座に経営が揺らぐわけではありません。長期のパートナーシップを組むうえでは安心材料になります。

J3はスポンサー収入が売上の半分以上を占める

一方J3は、売上高141億600万円に対してスポンサー収入が79億6,300万円と、半分以上を占めています。1クラブあたりの平均は4億9,800万円で、J1平均の26億4,600万円の5分の1以下です。

金額規模が小さいということは、1社あたりの相対的な存在感が大きくなるということでもあります。地域に根ざした企業が「クラブを支えている会社」として認知されたい場合、J3やJ2のほうが目的に合うケースは十分にあります。スポーツの商業化がどう進んできたかを踏まえると、この構造の違いは今後も続きそうです。

あわせて読みたいスポーツスポンサー市場|2026年投資機会›

Q. Jクラブのスポンサー収入はどのくらいの規模ですか?

2025年度は53クラブ合計で782億5,100万円でした。ディビジョン別ではJ1が18クラブで476億2,200万円(1クラブ平均26億4,600万円)、J2が19クラブで226億6,600万円、J3が16クラブで79億6,300万円です。3月・6月決算の7クラブはこの集計に含まれていません。

スポンサーを検討する企業が公開情報だけで確認できること

ここまでの調査で分かったのは、問い合わせをする前に公開情報だけで詰められる範囲が思ったより広い、ということです。逆に、公開情報では絶対に分からない項目もはっきりしました。社内で検討を始める段階では、まず次の3点を切り分けておくと話が早く進みます。

露出したい場所を「胸」以外まで具体化しておく

胸は各クラブ1枠しかなく、既存企業との長期契約で埋まっていることがほとんどです。鎖骨・背中・背中裾・袖・裾・パンツ前後といった部位は複数枠あり、クラブによっては7〜10箇所に分かれています。「どの部位なら予算に合うか」を先に決めておくと、クラブ側も提案しやすくなります。

また、ユニフォーム以外にスタジアム看板・マッチデー冠・アカデミー支援・地域連携活動といった枠もあります。ブランド認知が目的なのか、地域との関係構築が目的なのかで、適した枠は変わります。

クラブの売上規模と収入構造を開示資料で先に見る

クラブ経営情報開示資料には、クラブ単位の売上高・スポンサー収入・入場料収入が載っています。たとえば2025年度の売上高は浦和レッズが113億1,000万円、川崎フロンターレが100億6,900万円、ガンバ大阪が88億1,700万円という具合に、クラブごとの数字がそのまま読めます。

スポンサー収入が売上の何割を占めるかも計算できるので、「このクラブは協賛にどれだけ依存しているか」が事前に分かります。提案を受ける前にこの数字を押さえておくと、金額の妥当性を自分たちで判断しやすくなります。

契約金額と契約期間は公開情報では分からないと割り切る

今回J1全20クラブを確認した範囲では、胸スポンサーの契約金額を公表しているクラブは1つもありませんでした。契約期間についても、更新の事実は発表されても年数まで書かないケースが多数です。

つまり金額と期間は、クラブへの問い合わせでしか埋まりません。ここを公開情報で調べようとすると時間だけが溶けるので、「公開情報で候補クラブと露出枠を絞り、金額は直接聞く」と決めてしまったほうが効率的です。なお国としてもスポーツ市場を15兆円規模へ拡大する方針を掲げており、スポーツ庁は第3期スポーツ基本計画で「スポーツ市場規模5.5兆円を2025年までに15兆円に拡大することを目指します」と明記しています。協賛市場が拡大方向にあることは、社内稟議の後押し材料になります。スポーツ業界全体の成長領域とあわせて見ておくと、説明の筋が通しやすくなります。

あわせて読みたいスポンサー契約の効果測定ガイド|指標と手法›

(参考)スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画) – スポーツ庁

まとめ|Jリーグのスポンサーは公開情報でここまで分かる

J1全20クラブを1つずつ確認してみて、いちばん意外だったのは「クラブによって公開している情報の粒度がここまで違う」という点でした。企業名は全クラブが出しているのに、掲出位置まで書くかどうかはクラブの判断に委ねられています。

  • Jリーグのスポンサーは、リーグと契約する「Jリーグパートナー」と、各クラブと契約する「クラブスポンサー」の二階建てになっている
  • J1全20クラブのうち、ユニフォーム胸の企業を公式サイトで特定できたのは11クラブ、位置が公表されていないため未確認となったのは9クラブだった
  • 特定できた11社の業種は8業種に分かれ、2社重なったのは家電量販・ガス・電機/電子部品の3業種のみだった
  • 11社のうち8社は本社がクラブのホームタウンと同じ都道府県にあり、一致しなかったのはパナソニック・楽天グループ・エディオンの3社だった
  • Jクラブのスポンサー収入は2025年度に53クラブ合計782億5,100万円で、2019年度から約27.1%増えている
  • スポンサー収入が売上高に占める割合はJ1が40.6%、J2が51.1%、J3が56.5%で、下部カテゴリーほど依存度が高い

協賛を検討するなら、まずクラブ経営情報開示資料で候補クラブの規模を見て、次に各クラブのユニフォームパートナー発表で空いていそうな部位を探す。この順番で進めると、問い合わせの段階ではもう「どの枠をいくらで」という話に入れます。

ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ

お問い合わせはこちら →
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました